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2019 鈴鹿 8 時間耐久ロードレース・・・チェッカーではなく、振られた赤旗。これにより大混乱となった。
その混乱の原因になった謎の“ 5 分ルール”に触れる。ちょっと長いですよ。
レースディレクションにより 19 時 28 分、赤旗提示。これによりレース距離 75 %以上走行していることから、レース成立とみなし、終了となる。(レースディレクションには赤旗提示の理由について説明義務がない)
16 時 58 分グランドスタンド前のストレートで、エンジンブローしたマシンは、 1 コーナーに入らず、マシンを内側に停めて、リタイアを選択した。残り 30 分でのことだったが、ここから大混乱が始まる。
夕闇がコース全体を包み込み始めた。 2
コーナー立ち上がりに、サイレンサーが落とされ、それを踏んだ№ 29
ドッグハウスが転倒。あわやトップ№ 10
Kawasaki Racing Team Suzuka 8H
を巻き込むところだった。

このときコースマーシャルからの注意喚起指示が弱かった。コースポストは黄旗振動ナシ。
19 時 23 分 S.E.R.T. 自身の 211 周目のグランドスタンド前のストレートで、エンジンブロー。間違いなくブローしており、普通であればブロー後すぐマシンを停めるべきなのだが、ピットに戻りたいがために東コースを走ってしまう。
ライダーが白煙を確認し、オイル噴出の可能性を感知したなら、速やかにコースアウトしてマシンを止めるべきだった。
ライダーの気持ちは分かるが、 FIM もしくはレースディレクションは S.E.R.T. チームにペナルティを科すべきであろう。
19 時 25 分過ぎ № 25Honda Suzuka Racing Team が S 字コーナーで転倒。この転倒は、オイルに乗って転倒したのは明白で、ライダーはケガをしてしまう。コースマーシャルのオイルに対する指示やメインタワーへの連絡は密に行われていたか?は疑問である。
ちなみに筆者自身が”八耐”のコースマーシャルを行なった経験があるが、その時は”ポストチーフの判断でセンターに緊急連絡入れてください。赤旗やセーフティーカーもポスト判断を優先します”と言われてポストに就いたことがあった。
19 時 28 分過ぎ 逆バンク手前のコーナーでファイナルラップに突入した トップの№ 10 ジョナサン・レイ (Kawasaki Racing Team Suzuka 8H) が№ 25 と同じ位置で転倒 した。その瞬間グランドスタンドがマジで揺れた。
レースディレクションは、レース続行を危険と判断し、赤旗とした 。

“赤旗掲示が遅い”“判断が遅い”と声が上がり続けていた・・・・・・・。
赤旗に関し、 MotoGP 規則書 1.25.1 項には「赤旗掲示から 5 分以内にマシンに乗ってピットレーンに入らず、指定された計測ポイントを通過しなかったライダーは、非完走扱い<リタイア>となる」と明記。
スーパーバイク世界選手権( SBK )規則書 1.27.4 項には「赤旗掲示後に再スタートの資格を得るには、掲示から 5 分以内にライダーはバイクに乗るか押すかしてピットレーンに戻らなければならない」と明記。
鈴鹿 8 耐は世界耐久選手権 EWC の規則によって行われている。世界耐久選手権 EWC 規則書にはこういった“ 5 分ルール”の項目はない。 EWC レギュレーションのもとで行われる鈴鹿 8 耐では、赤旗に関する“ 5 分ルール”は無関係だ。
今回、レースディレクションは赤旗終了時において、”最初の暫定結果は赤旗に関する“ 5 分ルール”ではなく、 1.22.5 に示される完走に関する“ 5 分ルール”が根拠だ”とした。
暫定結果変更発表の際、レースディレクションは冒頭で「レースディレクションは、赤旗から 5
分以内に全ライダーがピットレーンに入ってきた段階のリザルトをもってレース終了、と考えた。これは FIM
のすべての世界選手権の見解だ」と説明した。

おそらくジョナサン・レイにも、“ピットに戻らなきゃいけない”ということが、頭を過ぎったんだろうと。そのために一所懸命に戻ろうとしている所が映し出されていた。(実際には再始動しなかった。)
もしこの説明により暫定結果が決められたとすれば、 MotoGP や SBK の規則書に記載されており、 EWC 規則書には記載されていない、赤旗に関する“ 5 分ルール”が勝手に独り歩きし、運用されてしまった。
赤旗に関する“ 5 分ルール”は EWC 規則書には記載されていないにも関わらず、 「 FIM のすべての世界選手権の見解です」 と話したレースディレクションは、無知としか言えず、運営をおこなう資格がない。
耐久レースの結果とは、正式な結果はマシンのレース後車検で正式決定となるが、暫定でのリザルトを決定するうえで、もちろんながら耐久レースだから、最長距離を走破し、チェッカーを受けたチームが優勝となるのは一目瞭然。ただし、何かの条件で、レース中断そして終了する場合もある。
実際、 2019 前日の 4 時間耐久が、荒天のため、 1 時間強を残しながらの、レース終了となった。
ゆえに、レースディレクションは自身の発言通り、 FIM はすべての世界選手権に共通するルールを策定するべきだ。
例えば今回、 S.E.R.T. が白煙を上げた時点で赤旗中断となり、その後レース終了となった場合、 EWC 規則に則れば、赤旗 1 周前の順位をリザルトとするため、 S.E.R.T. は完走扱いとなり、 EWC チャンピオンになっただろう。
こういった事態を不公平と見て、 MotoGP と SBK には赤旗に関する“ 5 分ルール”が定められたのだ。 EWC においても同様にルール化して適用されるべきなのだろう。
鈴鹿 8 時間耐久は“ 8 時間スプリント”と呼ばれて久しい。耐久ではなく 1 時間スプリントレースを 8 回。タイム差が僅差の状態でゴールの 19 時 30 分まで全開で走り、緊迫したレースを展開する。
レースディレクションの考えとしては、「状況が二転三転する劇的な展開が続いたレースを停めてしまうよりも、なんとか選手たちに無事に走りきってもらって、皆の記憶に強烈に灼きつく感動的な幕切れを迎えたい」という気持ちが判断を鈍らせたかもしれない。
だからこそレースディレクションには、歩く“ルールブック”と言える担当を作ったり、 F1
レースに尽力を尽くした (
故 )
チャリー・ホワイティングのような代表を据えて、より迅速かつ精密な判断に期待したい。
観客と喜びを分かち合った表彰式。その場にいた、お客様も この結果を噛みしめ、帰途についたであろう。

暫定ながらも 総合優勝は“ヤマハファクトリー” 5 連覇。ただ素直には喜べない。
レギュレーションがもたらしたリザルトである。
“ トップを走っていないけど、これも勝ちは勝ちなんで・・・
”と中須賀克行選手は話す。

19
時 40
分 暫定結果として、計時モニターにて総合順位を発表。
1st #21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2nd #33 Red Bull Honda
3rd #1 F.C.C. TSR Honda France
EWCシリーズ選手権表彰も行われた。総合の表彰が変わっても、この表彰は、変わらなかった。
暫定表彰を行なっている頃、 20 時 20 分 ピットビル/コントロールタワーでは、 Kawasaki Racing Team Suzuka 8H が正式に抗議書を提出しにきていた。 20 時 35 分 レースディレクションは、これを正式に受理し、ここから裁定が始まった。
Kawasaki Racing Team Suzuka 8H のライダーは、ちょうどその頃、S - PLAZAにて、食事中だった。
そこへコースに残ってた(抗議書提出組)チームメンバーから、優勝の連絡来て、急遽、会見場に向かった。

FIMはここにきて、 Kawasaki Racing Team Suzuka 8H
の抗議に正当性があるとし、 FIM Race Direction
において赤旗の運用規則を再度厳密に精査し、 FIM Endurance World Championship and Cup Regulations 1.23.1
に定められた赤旗中断時の規則を適用し、 ”
赤旗提示の 1
周前( 216
周)の順位を結果として採用する ”
という規則に則り、暫定結果を変更した。
1st #10 Kawasaki Racing Team Suzuka 8H
2nd #21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3rd #33 Red Bull Honda
4th #1 F.C.C. TSR Honda France
ファンの方々で、深夜にこのニュースを見て、驚かれた方も多いはず。実際にサーキット内で、優勝が Kawasaki Racing Team Suzuka 8H になったことを、鈴鹿サーキットで知った人は限定されている。

報道関係のみで、ファンもいない、簡素な会見となった。
筆者も、F1ドイツ GP を見ながら、レース内容をまとめ始めた矢先に、逆転優勝を知った。その時点では、詳細は不明だったが、後に詳細が分かり、筆者自身も 勘違いしていた“ 5 分間ルール”について、改めて、 EWC のルールを見たが、“ 5 分ルール”というものは、記載なかった。
ヤマハは抗議はせず、レースディレクションに対して、詳細の説明を書面にて求めた。レースディレクションも、ヤマハだけでなく、ホンダやスズキに対しても正式の説明文を手渡している。
明けた月曜日、上位 20 位の最車検が実施された。壊れた Kawasaki Racing Team Suzuka 8H の ZX10-RR に火が入るかどうか?が問題だったが、問題なくエンジンは回った。左側を下側に転んだため、エキゾーストに割れもなく、騒音検査も無事パスした。全車、車検終了し、車検落ちもなく、前日の訂正結果が 7/29 16 : 17 正式結果と変更された。
望むべくなら、 Kawasaki Racing Team Suzuka 8H の面々を招へいし、表彰式を行なっていただきたいものである。
なにせ 26 年ぶりの総合優勝なのだ・・・・・。
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