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パブリッシャーはオランダのSplotter Spellen。「ボドゲの最低プレイ時間は120分」と考えてるふしがあり(90分台のもいくつかあるが)、180分とか240分とか平気で書いてくるところw デザイナーはJeroen DoumenとJoris Wiersinga。同社のゲームの大半をこの2人で作っており、残りにもどちらか一方が絡んでるようで、Jeroen Doumenの方が社長らしい。あとJeroen Doumenはどっかの大学で数学の博士号を取ってるとのこと。
舞台は古代アフリカ。無学な私には未開のイメージしかなかったが、実は中世ごろにはヨーロッパと対等につきあってた国もたくさんあり、古代にも独自の立派な文明が栄えたそうだ。プレイヤーはそんな王国の1つを率いる王となり、資源を確保してそれを加工する職人を誘致し、その生産物を使って記念碑を建てていく。記念碑の配置とその高層化、および職人タイルの配置から勝利点を得て、誰かが勝利条件ラインを越える勝利点を得たら、そのラウンドでゲーム終了。その時点で最多得点プレイヤーの勝ち。
このゲームにはユニークなルールがいくつもあるが、まず第一に「勝利条件は自分で上下させることができる」というのがある。ゲーム開始時の勝利条件は全プレイヤー一律に20点なのだが、プレイ中に神カード、技術カード、専門家カードを取ると、それに応じて勝利条件が上がっていくのだ。当然強力な能力を持つもの、多くの勝利点をもたらすものほど勝利条件を大きく上昇させる。たくさん取るほどプレイ中の選択肢やボーナスが増え、有利になるが、一時的に勝利から遠ざかってしまうので、最低限必要なものだけを確保して、それを効率よく利用するのが肝だろう。勝利条件は40点で打ち止め(それより上昇させるようなカードは取れない)なので、いっそ最初から40点獲得目指してばんばんカードを取り、圧倒的な火力で勝利点を稼ぐというのも手かもしれないがw
プレイ人数に応じたマップタイルを適切な形に並べたら、まずは手番順を決める競りを行う。当時資産として大きな価値のあった牛を使って入札するのだが、ここも少し変わっている。このフェイズは正確には「国王の寛大さフェイズ」と呼ばれ、自分がいかに気前のいい国王であるかを示すフェイズとなっている。このため、支払った牛駒はストックに戻すのではなく、全プレイヤーに均等にばらまかれることになる。“全員”に振る舞うので支払額のいくらかは自分に返ってくる(こともある)。序盤は手番順より牛駒の方が大事だが、後半(特にゲーム終了間際)は1手差が大きく盤面を変化させるため、限界まで突っ張ることになるだろう。
前ラウンド1番手の赤が牛駒2個で入札したところ。赤と2番手の緑のタイル上に牛駒を1個ずつ置く。
ここで2番手の緑が牛駒3個で入札すると、黄、赤、緑の順に1個ずつ置いて上図のようになる。このあと黄、赤の順でパスしたら、手番順は緑、赤、黄となり、各プレイヤーは自分のタイル上にある牛駒を得る。流れによっては、ほとんど支払いをせずに先手となることもあり得る。
手番順を決めたら、メインのアクションフェイズ。手番プレイヤーは以下の3つを任意の順で1回ずつ実行できる。
・神カードか専門家カード1枚の獲得(いずれか1枚)
・専門家カードの使用(何枚でも)
・新規記念碑の建設/職人タイルの配置/記念碑の高層化(いずれか1つ)
カードを獲得した場合、それに応じて勝利条件を上げなければならない。当時のアフリカは一神教がほとんどだったので、一度神カードを取ったらもう取れないし、交換することもできない。効果はさまざまで、ラウンドごとの牛駒の収入を2個増やす“牛の供給者”エンガイや、新規記念碑建設時に2つずつ建設できる“人類の創造主”オバタラなどは非常に強力だが、その分勝利条件の上昇も大きい。“太鼓師の長”ザンゴは何の利益ももたらさないが、逆に勝利条件を2点下げてくれる。どの神も役に立つが、ボードタイルの配置や専門家カード、職人タイルとの兼ね合いで強くも弱くもなるので、よく考えて取らなければならない。
専門家カードも特殊能力をもたらすもので、1人で何枚でも持つことができるが、使用時に指定の牛駒をカード上に置かなければならない。また、カードを取った手番中には必ずその能力を使わなければならないので、充分な牛駒がないと取ることもできない。専門家カードに限らず、カード上に置かれた牛駒はラウンド終了時には手元に返ってくる(ここも他のゲームの“支払い”とは異なり、分かりにくい)のだが、牛駒がなければ使えないことには変わりない。ボード上に新たな資源エリアを増やす「シャーマン」、置いた牛駒の数に応じてラウンド終了時により多くの牛駒をもたらす「牧者」など、これも強力なものばかりだが、牛駒の回転をうまくマネジメントしないと毎ラウンド利用するのは難しいだろう。
神カードの一部と専門家カード。VR+●ってのが勝利条件の上昇分。
新規記念碑の建設はノーコスト。ボード上の空いている陸地マスにマーカー1枚を置くだけ。既存の記念碑に隣接させることはできない(斜めも不可)。お手軽かつ地味だが、これをやらないとまず勝てないw ボード上に最低5、6個は自分の記念碑がないと駄目だろう。将来高層化しやすい場所というのはそんなにいくつもないので、先を見据えた1マス単位での配置戦略を練る必要がある。
このゲーム中で一番難解なのが「職人タイルの配置」と「記念碑の高層化」だ。職人タイルを置くには、まず対応する技術カードを持っていなければならない。持ってない場合、カード置き場から1枚取る。こうして晴れてその職人を置けるようになるが、やはりその分勝利条件を上げることになる。
そのあと職人タイルをボード上に置くが、このとき必要な資源マスから3マス以内(斜め可)に置かなければならない。また、他の同種の職人タイルから3マス以内にある資源マスは、もうその職人タイルの“縄張り”なので、タイル配置時には利用することができない。縄張り内に必要資源マスが多いほど、のちにその職人タイルを何度も利用できるので、マップの状態に応じた職人タイルを焦点となるマスに置けるようにしたい。タイルを配置したら、のちに物品を生産したときの価格を決めておく(牛駒1~3個)。この価格はあとで上げることはできるが、下げることはできないので、自分だけ使う予定なら安く、他プレイヤーにも使わせたい(そして競合する職人がいない)なら高くしておこう。
これがより高位の二次職人ともなるとさらに大変で、資源マスの他に、前提となる一次職人タイルにも3マス以内で到達しなければならない。ただし、職人さんは向こうから歩いてくることができるので、途中にある塔(誰のものでも可)を中継地として挟むことができる。そうすると、またその塔から3マス以内にあればいいことになる。塔はいくつでも挟めるので、ずいぶん遠くから一次職人を連れて来ることも可能だ……配置に関しては。
塔を高層化するには、高層化前の塔の高さに等しい数の儀式的物品が必要になる。これらはボード上に置かれた職人タイルが生産してくれる。たとえば高さ1の塔を高さ2にする場合、物品が1つ必要なので、3マス以内に何らかの職人タイルが置かれていればいい。このとき、その職人タイルは資源マスを1つ消費する。タイル配置時には縄張りを主張しただけだが、ここでは実際に象牙彫刻などを作っているので、資源が消費されるのだ。そしてタイル配置時には自分たちだけの資源マスが必要だが、消費するときには3マス以内にあるマスならどれでも消費できる。つまり、他の職人タイルの縄張りとかぶっているところは早い者勝ちってことだw
ある種類の二次職人タイルが置かれていると、その下位にあたる一次職人タイルを塔の高層化に使うことはできなくなる。儀式に使うものなので、チープなものではお供え物として不適切なのだw また、二次職人から儀式的物品を得る場合、材料として資源だけでなく、対応する一次職人が生産する物品も必要になる。そしてその一次職人は当然資源マスを消費するので、資源マスの奪い合いはより熾烈になるw
使用した職人タイルごとに、そのプレイヤーのカード上で示されている額の牛駒を支払い、そのカード上に置く。これはあとでそのプレイヤーのものになる。物品の輸送経路を考えるとき、タイル配置時と同様に塔を中継地として使うことができるが、今度は実際に人が歩いて物品を運んでくるため、コストとして牛駒1個をストックに支払わなければならない。遠路はるばる運んでくるととんでもない額になるw
塔を高層化するとこれだけ勝利点が入る。そうとうでかい。
ラウンドの最後に手元のカード上から全牛駒を回収し、自分の最も高い塔の高さに等しい牛駒を収入として得る。この時点で誰かが勝利条件を満たしてたらゲーム終了。そうでなければ続行。
ここまで読んだ皆さん、お疲れ様でした。何一つ理解できなかったと思いますがw とにかく分かりにくい。特に塔を中継地として使うルールが職人タイル配置時と塔の高層化時に使われるが、前者は無料、後者は牛駒1個が必要となっており、混乱しやすい。職人タイル配置時の“縄張り”の概念も配置時にしか影響せず、塔の高層化時に実際に使うときは(3マス以内であれば)どれでも使えるというのもやはり混乱する。インストには相当時間をかけなければならないだろう。
何とかプレイにこぎつけても、最初はさっぱり分からないだろう。ルールブック巻末に「戦略的ヒント」があるが、これを頭に入れてもうまくプレイするのは至難の業。ゲームが終わるころに、やっと微かな光が見えてくる感じかw
そんなわけで、万人に勧められるゲームとはまったく言えない。重ゲーマーが集まる場でも、これを出すのはなかなかに勇気が入りそうだ。それでも、ここのメーカーの「インドネシア」とかが好きなら、それよりは分かりやすい(そして視認性もいい)らしいので、1回プレイする価値はある。そんな敷居の高さをすべてクリアし、「俺たちゃそんじょそこらの重ゲーにはもう飽き飽きだぜ」という重ゲー中毒者たちなら、繰り返し長く楽しめるタイトルになるはずだ。
BGGの和訳ルール
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