
雨が降った。
「これで畑が一息ついただろう」
と、朝、家人が言ったのを思い出し、
戸外へ出た。
くもり空のうすねずみ色が肌にやさしい。
目を上げると、雨つぶがポツポツ落ちてきた。
それが、アマガエルのようにうれしい。
カンカン照りが続いていたのだった。
写真
: オオマツヨイグサ
と ケヤキのみどり
街中を流れる川沿いを歩く。ぬれた緑がきれいだ。雨を待てずに枯れてしまった雑草を気の毒に思いながらてくてく行くと、川面をひらひら、羽黒とんぼのペアが追いかけっこして舞っている。黒い翅に胴の緑があざやか。
「あの緑。エメラルドグリーンに見えるのは、雨のせいね」と呟かずにいられない。
今日あたり、雨をうとましくおもうものたちはいないらしい。
川辺の遊歩道に出てから街路樹がケヤキとなる。大きな枝ぶりだ。セミの声がする。
じーじーじーじーしゃーしゃーしゃー・・・
◎◎ゼミと◆◆ゼミと、▽▽ゼミ? 名前に詳しくなくて残念だが、どうも複数種のセミが樹々の中で鳴いている。雨ふりというのに、晴天日とまるでテンションが変わらない。鳴声の網にとらわれたかのようだ。
にしても、哀れなにぎやかさ。 ヘクソカズラ(左)ヤブガラシ(右)

そう思いながら絵になりそうな花をさがす。カメラ片手にそぞろ歩き。
ヘクソカズラやヤブガラシは花ざかり。
ヤブカンゾウのオレンジ花は終わりかけか。
街路樹として植えられているムクゲは、和風ハイビスカスの風情で花弁の中に雨のしずくを受けている。

ヤブカンゾウ(左) ムクゲ(右)
やがて、大きな川にいたる。
長い橋の上から見おろす川の色は濁っていて、水鳥の姿もない。
中州や河原に自生するカワヤナギの緑が色濃く、目に心地よい。
そのおかげだろうか、風はぬるいが、まあいい感じだ。
今日に限って、ひっかき傷だらけの標識に目が留まる。
橋の向こうのはし(端)に行き着く手前で、またもセミの大音声が聞こえてきた。
カワヤナギが林になっている辺りは、セミ天国なのだ。
やれやれ・・・・。雨だというのに・・・・。
ふと、疑惑が湧いた。
虫けらの大合唱に かなしさ
を感ずるワタシ------。だがそれは、ひとりよがりかもしれない。
現実には、あいつらは命の限りを謳歌している。
自作自演の 【
趣きごっこ 】
そんなとこだ。
------はてな。これもまたおかしいか?
清少納言も親しんだごっこ遊び、虫たちに迷惑がおよぶわけでもない。
こっちの反省なんか、どうでもいいだるう。
あっぱれじゃ、
雨がふってもせみしぐれ。
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