だんだんわかってくるさ/八万八千億の扉

だんだんわかってくるさ/八万八千億の扉

2011.08.05
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カテゴリ: ブックス

『英雄の書』を著すにあたり、作者宮部みゆきは、 ファンタジー の形を選んでいます。
(この物語は、毎日新聞の夕刊に連載されたものです/2007.1.4~2008.3.31)

私たちが見知っている4次元世界 (3次元+時間軸) を超え、もっと高次の要素を考えねばならない挑戦の故に、
ファンタジーでしか描けない・・・そんなテーマでした。

私は、読直後、畏れ多くも宮部さんを“わが心の同志”と呼びたく思いました。

カサブランカ1

***

引用から始めてみましょう。

―― 邪悪は、何と巧みに人の心の隙に付け入るものなのだろうか。嫉妬。怒り。罪悪感。取り返しのつかないことへの後悔。悲嘆。哀れみ。すべて、それ単体では害のないものだ。人が誰でも心に抱くものだ。…略…
  が、ひとたびそこに 邪悪 が棲み着くと、すべてが変貌してしまう。邪悪は (それらに) 形を与える。それを表出するエネルギーを与える。
  エネルギーは常に「敵」を求める。「的」を欲する。

私がいつも感ずるのは、邪悪は、《 大人の顏をした未熟 》とセットで存在するということです。

未熟の中身は、良心なるルールを守ることができないハンパさと甘えでしょうか。

分かりやすい例でいえば、ダダッ子が悪さをして重要他者(親 など )の気を引こうとする、
愛に餓えた強烈な欲求・・・そんなものの
延長線にあります。

それは、もはや‘子ども’と名指せないので邪悪と呼ばれます。
(発達途上にある子どもなら、大目に見てもられるのですが・・)

激しくも充たされない不満心のまま無理に大人となると、そこに邪悪が付け入るのです。

強いエネルギーを、隠し、押さえつけることは、確かに不可能でしょう。

英語で邪悪はイービル= evil  でしたね。  これは、 live =命,生きる の逆さ読みでした。

つまり、生きるエネルギーを流れさせる方向を間違えている・・・・・・・。

ただ、それだけなのだから、実はチョン ! と向きを変えるだけでよいはずです。
(親鸞上人も いわんや悪人をや と説いていますね)

ところが、この一事が、なかなか伝わらない・・・

振る舞いの変容につながっていかない・・・

紙一重であるがために、分かりにくく、難しい・・・・

そして、もうひとつ。

組織に頼ったり、徒党を組むことなく、おのが命を生きることが光明であります。

これこそが、本書のキーワードが “狼” であることの大きな意味だと。。

それと気づいたとき、

ラストのラストで、涙が、流れ落ちました。

私も、いつも いつも、傷つけられ、悲しみ、死にそうになります。

そんな自分にとって、ああ、盟友はいるはずだと思わせてくれた物語だったのです。

※ 仲間に頼らない仲間を盟友と呼んでいます
(つまり、依存せずに助け合う関係です)

***

カサブランカ3

ネットの読後感想だと、イマイチという方も多かったので、
援軍…にはならなくとも、非力ながら感想をしたためてみました。

なお沢山のことが心のスクリーンには明滅しますが、
未読の方の興をそぐわけにはいきませんので、この辺りでお終いにしておきます。

お付き合い、大変ありがとうございました。(拝)

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カサブランカ2

『英雄の書』の主人公の名前の響きにちなんでユリの花の写真を入れました

一世を風靡したカサブランカという大輪の白ユリです






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最終更新日  2011.08.23 10:51:41
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