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2回連続でアニメ化原作が登場したYahoo!コミックの『The Archive Selection of GOLGO13』でしたが、今回は『クライン夫妻の死』が登場でハズレでした(笑)〔Target.34:殺人劇の夜〕 原作:リイド社SPコミックス第145巻収録(2001年初出)CAST ジャンセン:藤城裕士 ロナルド・クランプ:金尾哲夫 ダニー:安井邦彦 デイブ・マッカートニー:千田光男 アメリカ:ニューヨークで不動産業を営むジャンセンは、自分の会社の社長室にゴルゴ13を招き、同業者のロナルド・クランプの抹殺を依頼した。今から10年前、ジャンセンはある利権を巡ってクランプとバッティングし、競馬の1着を当てる賭けで決めることにしたもののそれに負けてクランプに利権を譲った。クランプはその事業をきっかけに巨額の利益を得てニューヨークの不動産王と呼ばれるまでに成長したが、実はその賭けの結果がクランプの仕組んだイカサマだったことがわかり、ジャンセンは自分を騙したクランプへの報復を決意したのだった。 ジャンセンが依頼に付けた条件は2つ、自分の目の前でクランプを殺すことと、彼以外の人間に危害を加えないこと。ゴルゴ13は依頼された状況を構築するためジャンセンに協力を求める・・・ クランプは普段、自ら所有するクランプ・タワーと呼ばれる超高層ビルの最上階に籠もっているが、時折劇場に出かけては芝居やミュージカルを観劇するのが趣味だという。クランプが来月の13日にブロードウェイのイブニング劇場を借り切って芝居を見る予定であることを調べたゴルゴ13は、その日に旧交を温めると称してクランプの元を訪ねるようジャンセンに依頼、彼に恭順の意を示すため、当日劇場に軽食のケータリングを手配するという。ジャンセンは憎き相手に下手に出る不満を押し殺しつつ了解する。 その後、ゴルゴ13はデイブ・マッカートニーの工房を訪ね、依頼しておいた組立式の単発拳銃を受け取る。銃身を万年筆のキャップに、他のパーツをある物に擬装したそれは特殊な合金で作られており、発射は1発が限界だという・・・ 一方、ジャンセンから来月13日の観劇に自身の誕生日祝いを兼ねて仕事の話で訪ねたいとの手紙を受け取ったクランプは、今更彼が何か目論んでいるわけでもなかろうと考えて快諾する。 そして1ヶ月後の13日。ジャンセンはゴルゴ13とボディガードのダニーと共にクランプが借り切った劇場を訪ねた。秘書に扮したゴルゴ13が持参したアタッシュケースには、ジャンセンが手掛けている都市開発事業の模型と、ジャンセンが愛用する日本製の使い捨てカイロ、誕生日祝いのクラッカーが収められていた。そして、劇場の観客席にはゴルゴ13が手配した軽食のケータリングも準備されていた。クランプも交えて一同でクラッカーを鳴らしてジャンセンの誕生日を祝った後、面々は観客席で演劇を鑑賞する・・・ 演劇の第1幕が終わって休憩に入り、一同はケータリングの軽食に舌鼓を打つ。ゴルゴ13は固形燃料で熱々に保温されたコンソメスープの寸胴鍋を確認していた・・・ そして第2幕が始まり、ケータリングの席を客席の後部に残したまま一同は再び観劇の席に着く。劇がクライマックスに近付く中、ゴルゴ13はアタッシュケースを手に一旦席を外してトイレに向かう。数分後、戻ってきた彼の手には例の単発拳銃が握られていた。そして劇のクライマックス、主人公の男が親の敵を単発銃で撃つシーンに合わせて、ゴルゴ13は客席の遥か後方からクランプの後頭部を狙撃して射殺! クランプが射殺されたのに気付いた部下たちが混乱する中、ダニーだけはゴルゴ13が暗闇に紛れて後方のケータリングの席を彷徨いているのを目撃していた・・・ 通報を受けた警察は演劇の役者たちやケータリングのコックたちから事情聴取したが、劇場内にいた人物たちに不審な点は見られない。クランプの部下たちはジャンセンたち3人の中に犯人がいるのではと疑うが、肝心の硝煙反応は劇場に来たときにクラッカーを鳴らしたため取れそうになかった。凶器と思われる銃器も見つからず、警察の現場検証は行き詰まることに・・・ 警察の検証の間、劇場に足止め中のジャンセンたち。そんな中、ダニーはゴルゴ13がクランプを射殺したと見抜き、自分が推測した銃器持ち込みのカラクリを語る。ゴルゴ13は持参した使い捨てカイロの中に詰めた生石灰を熱源に、防弾チョッキに仕込んでいた低温で融解する特殊合金を溶かし、都市開発の模型を鋳型にしてパーツを作って拳銃を組み上げたのだ。クランプを射殺後、拳銃の本体は熱々に保温されたスープの寸胴鍋に投げ込まれて溶け、冷えると鍋の中に張り付くため、傍目には焦げ付き防止のコーティングにしか見えないというわけである。あくまで真相を知りたいだけだったダニーは自らの推理を警察に話すことはせず、あの状況で一発必中させる自信を持っていたゴルゴ13に驚嘆するのだった。 そして同じ頃、唯一の物的証拠である例の寸胴鍋は店に戻る途中でコックによってハドソン川に捨てられていた――――――○○○○○○ アニメ化原作では現時点で最も新しい本作は、ゴルゴ13が他者に怪しまれず且つ一切の証拠を残さない方法で武器を持ち込み標的を仕留めるトリックをメインにしたエピソードで、完全犯罪トリックの逆パターンという意味では第6話『神に贈られし物』と同様の話といえます。 全体的にはほぼ原作通りの展開ですが、クランプがジャンセンに仕掛けた賭けのイカサマの詳細(10万ドルで競馬場の調教師や騎手らを買収していた。なお、ジャンセンは自分が買った競走馬の関係者からその話を知った)や、ゴルゴ13がジャンセンたちと共にクランプのビルに乗り込む前に自ら用意した小道具類の口裏合わせをするシーン等が省略されています。あと、クランプがビルの自室で秘書の女性とエロいことしてるシーンも原作の方がモロでした(笑) ちなみに、余所のブログの記事で触れられていたのですが、今回の標的であるロナルド・クランプは実在のアメリカの実業家であるドナルド・ジョン・トランプ氏がモデルになってるようです。ドナルド・トランプ氏は1980年代に不動産ブームに乗って数々の不動産事業で"アメリカの不動産王"と呼ばれるほどの大成功を収め、1990年代前半には一転して不動産不況で苦境に陥ったものの、90年代後半には不動産ブームの再来に伴ってカムバックを果たした人物です。 今回の話のキモとなるゴルゴ13の拳銃。アニメ版では省略されていましたが、ダニーは終盤の推理でウッド合金を使ったのではないかと考えていました。ウッド合金はアメリカの物理学者であるロバート・ウィリアム・ウッド博士が発明した低融点合金の一つで、ビスマス50%・鉛27%・錫13%・カドミウム10%の共晶材料となっており、融点が70~80℃と低いのが特徴です(ビスマスと他の金属の合金は低融点となる特徴がある)ウッド合金は無鉛ハンダの材料や防火用スプリンクラーの感温材として利用されているほか、"お湯で溶ける金属"ということで理科実験の素材としても使われているようです。ただし、実際にはウッド合金に銃弾の発射に耐えられるだけの強度があるかどうかは疑問があるようですが・・・ついでの余談ですが、『スカイ・クロラ』シリーズ等で知られる森博嗣のミステリー小説にもウッド合金で合鍵を作るシーンがあるそうです。 そういえば、この種の低融点合金か何かを材料に即製のパーツを作って銃器の応急修理に使用するという研究が実際に行われているとどっかで読んだような気がするんですが、ネタ元が思い出せない・・・(苦笑) ちなみに、ゴルゴ13シリーズではこの手の"使用後は消滅してしまう銃や弾丸"というのは結構よく出てくるガジェットで、今回の特殊合金の拳銃や『神に贈られし物』でのプラスチック製拳銃の他に、標的の膝から抜いた水を凍らせた弾丸や、微生物を貯水槽に撃ち込むための生分解性プラスチック製の弾丸といったアイテムが登場したことがあります。リアリティの有無は別にしても、こうしたトリックめいたガジェットは見ていて面白いですね。
2008.12.01
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<←昨年の国際航空宇宙展2012でロッキード・マーチン社のブースに展示されていた、スナイパーXRポッドを装備したF-2のイメージモデル。まさかこの姿が現実になる可能性が出てくるとは・・・> 去る今月2日、航空自衛隊は三菱F-2A/B支援戦闘機に搭載を検討するターゲッティングポッド(目標指示ポッド)の機種として、米ロッキード・マーチン社のAN/AAQ-33スナイパーXRとイスラエル・ラファエル社のAN/AAQ-28(V)ライトニングを比較検討し、スナイパーXRを選定したと発表しました。 スナイパーXRは、アメリカ空軍が運用する戦闘機搭載用のLANTIRN(夜間低高度航法・目標指示)システムの目標指示ポッドであるAN/AAQ-14の後継として開発されたもので、先端のセンサー部を平面ガラスで構成した独特の形状が特徴です。FLIR(前方監視赤外線装置)機能の他にCCDカメラと組み合わせたレーザー目標指示機能やGPS連動機能を備え、レーザー/GPS方式の誘導爆弾への誘導や座標入力が可能です。同社のF-35ライトニングII統合打撃戦闘機に内蔵されるAN/AAQ-40 EOTSもスナイパーXRの派生型です。 空自のF-2においては近年、空対地兵装としてGPS誘導爆弾キットであるGBU-38 JDAM(統合直接攻撃弾薬)の運用能力を付与するための改修が順次進められており、さらにセミアクティブレーザーホーミングを併用できるGBU-54 LJDAM(レーザーJDAM)の導入も決定しています。これと平行してF-2に搭載する外装型FLIRポッドとして国産のJ/AAQ-2が装備化されていますが、LJDAMの導入に際しては自機でのレーザー誘導能力を付与する必要があり、今回のスナイパーXRの選定はそれに関連するものと思われます。噂によれば、J/AAQ-2にレーザー指示機能を追加することも考えられたものの、運用するLJDAMのレーザーパルスのソースコードが得られなかったという話もあるようで、開発期間や費用を検討して国産化よりも輸入した方がいいという結論になったのでしょう。 仮にスナイパーXRが正式に装備化された場合、国産のJ/AAQ-2との兼ね合いが気になりますが、LJDAMを運用するミッションではスナイパーXR、それ以外の対地・対艦ミッションではJ/AAQ-2を使用という感じで棲み分けすることになるのでしょうか。 かつて、2004年の国際航空宇宙展でロッキード・マーチン社のブースに"F-2 Super Kai"という独自のF-2能力向上案の模型&パネルが展示されて話題になったことがありますが、このスーパー改の案で盛り込まれたスペックの中にはスナイパーXRの輸出版であるパンテーラの運用能力が含まれていました。それから9年を経てまだ検討段階とはいえスナイパーXRを本当にF-2に搭載する可能性が出てきたわけですが、F-2スーパー改で盛り込まれていたスペックを改めて見てみると、以下のものについては現在実際に能力が付与されるか、同等の装備または能力を付与する検討がなされつつあります。・ターゲッティング能力拡張を見込んだAESAレーダーへの換装 →国産AESAレーダーであるJ/APG-1の改修が進行中・リンク16データリンクシステムへの対応 →JADGEに連接するJDCS(F)(自衛隊デジタル通信システム)の搭載を検討中・GPS誘導爆弾の運用能力 →JDAMの運用能力を適用中・レーザー誘導爆弾の運用能力 →LJDAMを導入予定・AIM-120 AMRAAMの運用能力 →同等の99式空対空誘導弾の運用能力を適用中・AIM-9Xサイドワインダー2000の運用能力 →同等の04式空対空誘導弾の運用能力付与を検討中・AGM-88 HARMの運用能力 →開発中の新空対艦誘導弾XASM-3は対レーダーミサイルとしても運用できる可能性有?・パンテーラFLIRポッドの運用能力 →国産のJ/AAQ-2を装備化、さらにスナイパーXRの搭載を検討・オフボアサイト照準を可能とするJHMCSに対応 →04式AAMでHMDを用いたオフボアサイト能力を獲得 F-2スーパー改の案自体はロッキード・マーチン社のフカシで終わったようなものですが(笑)、現在進められているF-2の能力向上案をまとめると、その方向性はF-2スーパー改にかなり近いものになっているのがわかります。
2013.08.08
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<←2002年の北朝鮮工作船一般公開で展示されていた北朝鮮製AKS74とみられるライフル。管理人が実物のAK系を見た機会はこれを含めて3回くらいです> 去る23日、AK系アサルトライフル等の開発者として知られた旧ソ連/ロシアの元軍人で銃器設計家のミハイル・ティモフェィエビッチ・カラシニコフ氏が、ロシア連邦ウドムルト共和国の首都イジェフスクの病院にて亡くなりました(享年94) 1911年に旧ソ連アルタイ地方に生まれたカラシニコフ氏は、1938年に旧ソ連軍に徴兵されて戦車兵として独ソ戦に従軍、戦闘中に負傷し入院したのを機に小火器設計を志しました。その後、1946年にドイツ軍のStG44(MP43/44)に範を取った新型自動小銃を設計し、これが1949年にAK47としてソ連軍に採用されました。AK47はシンプルな設計とそれによる生産性・信頼性の高さが高く評価されて戦後のアサルトライフルの代表作の一つとなり、生産性を向上させたAKM、5.45mm弾を採用したAK74等へと発展しつつ今日まで生産が続けられています。旧ソ連/ロシアだけでなく東ヨーロッパや中国等の社会主義諸国でもライセンスやコピーによりAK系ライフルは生産されて世界中に広まり、正規軍からゲリラ・テロリストに到るまで良くも悪くも最も普及した小火器の一つとなりました。 AK系ライフルの他に派生型のRPK分隊支援火器やPK/PKM汎用機関銃等の開発も手掛け、高齢になってもイジェマッシ社の設計部門に携わるなど銃器設計者として精力的に活動を続ける一方で、自らの発明を周囲にひけらかすことのない控え目な性格で、紛争やテロにおいて多数のAK系ライフルが使用されている現状には常に懸念を表明していました。そういえば、日本のアームズ・マガジン誌連載の『魔法の海兵隊員ぴくせる☆まりたん』の企画で編集部がカラシニコフ氏にインタビューに赴いた際に「子供に銃を持たせちゃいかん」と叱ったというエピソードも残っていますね(笑) 以前の床井雅美氏の講習会後の懇親会の席で、雑談がてら講習会のアイデアとして「カラシニコフ氏を日本に招待して講演とかどうよ?」みたいな話で盛り上がったことがありました。床井氏曰く「ご高齢だし通訳の用意とかもあるから難しいだろう」との見解でしたが、残念ながらそれは叶わぬ夢となってしまいました・・・ 来月以降のGun Professional誌辺りで追悼特集組むかなと期待しつつ、偉大な銃器設計者のご冥福をお祈りしたいと思います。
2013.12.25
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