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先日のシベのV協奏曲オルガン版は、製作者としては完成を断念した作品の焼き直しということで、決して満足いくものとはいえないわけですが、その代わり皆さんから、なかなか楽しい?反応をお聞かせいただきました。実はオルガン編曲にかかったときに、ちょっとしたイタズラを思いつきまして、何人かの友人に曲名を隠したまま送りつけて差し上げた?んですが、その結果はみごとに予想通りで、この曲の原曲名を言い当てられた方はただのお一人もいらっしゃいませんでした。曲名はわからないけれど原曲自体オルガンのための曲と思われた方がお二人。あるお一人は「壮大なミサ曲」の一部と信じておられたようで、このブログ上で原曲の正体をみるまで、まさか協奏曲、しかもヴァイオリンとはどなたもご想像もされなかったようです(^^)この曲は最近でこそときどきコンサートでも取り上げられるようになりましたが、私の若い頃はシベ・マニア以外はほとんど存在を知る者のほうが珍しいほどで、この曲の真価を世に知らしめたのはたぶん30年ほど前の、キョン・チョンファさんの旧録音ではないかと思います。・・・少なくともチャイコフスキーやメンデルスゾーンのように、ポピュラー名曲とはいえないし、この曲名をご存じなかったとしても、まあ当然のことかもしれません。面白かったのは、聴かれた方の多くが、原曲を何らかの宗教音楽だと想像されていたことです。オルガンというのは不思議な楽器で、どんな曲でもオルガンで弾いたとたんに宗教的イメージになってしまうという特徴がありまして、まあそのせいでもあるでしょうが(^^)、実はこの実験結果は、シベという作曲家の音楽の本質のひとつをみごとに浮き彫りにしているように思いました。シベという人は、一般的評価にしたがえば、史上最も非宗教的な作曲家のひとりに数えられます。その理由は、長い生涯にただの一曲も宗教音楽を残していないからですが・・・その一方で誰もが指摘するのは、フィンランドの自然がその音楽にあたえた影響の大きさでしょう。「私にとって、自然こそ聖書である」この短いひとことが、彼の音楽のすべてを言いあらわしている、と私は思っています。彼はたしかにいわゆる宗教曲は書かなかった。しかし彼の音楽には一貫して、人間の喜びや悲しみといったものを超えた畏敬の念というか、一種崇高な感情が流れています。彼の音楽はすべて、自然という神に捧げられたものだからです。曲名やオーケストレーションを隠し、むきだしの音楽そのものと向き合ったときに、それが宗教音楽を連想させるのも当然といっていいでしょう。私は特に彼の晩年の交響曲などは、「歌詞のないミサ曲」と表現するのが正しいと考えています。事実、最後の傑作「交響曲7番」の主題部分などは、そのまま「テ・デウム」の歌詞をのっけて歌えてしまいそうなほどだし、もっと身近な例で、「フィンランディア」のなかの有名な旋律が、そのまま讃美歌として歌われている例も思い起こしていいでしょう。・・・シベの音楽については、まだまだこれから研究もし、書いていかなければならないと思っていますが、それは次の宿題にさせていただきましょう。
2008.06.30
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さて、少し元気を出さねば・・・といいつつ、製作のほうもこのところとんと低空飛行が続いてまして・・・私が曲がりなりにも唯一弾ける楽器がヴァイオリンだということは、このブログでも何度かお話しましたし、若き日にフィンランドを旅したおり、偶然にもシベリウス本人のヴァイオリンを手に取る機会に恵まれたときの思い出もご披露したことがありました。そんな経験を持つ身にとって、この曲がどれほど重大な曲であるか、容易にご想像がつくと思います。その曲をこんな中途半端な形でしかお聞かせできないというのは、まことにもってザンキの至りなのですが(汗)いかんせん、今の自分には原曲のまま仕上げるだけの時間とパワーが残されていません。・・・といって未完成のままディスクの中に埋もれさせるのは悲しいので・・・ シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 第2楽章(オルガン版)
2008.06.21
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