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2026.01.06
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ロスジェネ脱線学 #14 ふと開いたアルバムと、写っていないもの
ふと開いたアルバムと、写っていないもの
探していたわけじゃない。
ただの掃除の途中で、手が偶然ぶつかっただけ。
そんな“偶然”に、人生はやられる。
表紙のビニールが黄ばんでいた。
触れると、指先にざらつきが残った。
昭和の紙は、どうしてこうも時間を抱え込んでいるんだろう。
ページを開く。
写真の中には、
昔の自分。
家族。
友達。
亡くなった人たち。
もう手の届かない時間ばかりが並んでいた。
笑っている顔。
走っている姿。
肩を並べたまま、未来なんて考えていなかった頃。
でも。
一枚一枚めくるたびに思った。
写っているのは、“形”だけなんだと。
本当にあったこと、
大事なことは、
写真の外側に落ちている。
あのときの空気。
夕方の匂い。
友達の声の震え。
母の機嫌。
父の背中の温度。
全部、写っていない。
消えてはいない。
ただ、どこにも残らないだけだ。
ページの端に、折れた跡があった。
誰がつけたものだろう。
子どもの私か、
母か、
あるいは、
忘れてしまった誰かか。
指でなぞった瞬間、
胸の奥がじんわりした。
“あの頃の私は、何を考えていたんだろう”
答えなんてないのに、
問いだけが静かに立ち上がる。
アルバムを閉じる。
重さが手のひらに残った。
記憶って、こんなにも重かったのか。
押し入れに戻そうとして、
やめた。
部屋の隅に置いた。
見える場所に。
過去が恋しいわけじゃない。
戻りたいわけでもない。
ただ
写っていない記憶にも、
確かに“私の続き”がある。
いまの私は、
あの頃の私の“延長線”。
途切れていない。
消えていない。
細くても、まだつながっている。
アルバムの上に、柔らかく夕陽が差した。
部屋が少しだけ、温かくなった気がした。
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EX-FAX-CE | NOTE執筆家
「ロスジェネ氷河期的視点 ― 情に生き、言葉で立ち上がる」
「ゆるぎなく、まっすぐに」
「言葉は、再起動ではなく継続の証」
▶ EX-FAX-CEとは▶ ロスジェネ脱線学 ▶ 一瞬永遠 ▶ 笑いの臨界点
X:@zdocomo / note:/exfaxce
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最終更新日  2026.01.06 05:51:32 コメントを書く


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