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2026.02.05
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介護の朝は突然に…#13 夜は、いつも予定表を裏切る
明日は、尿パックの定期交換日だった。
けれど介護というやつは、こちらの予定表を一度も尊重してくれない。
どうやら、持ちそうもない。
嫌な予感は、たいてい外れない。
夜中。
また尿道カテーテルからの尿もれ。
時計を見る前に、身体がもう動いている。
電気をつける。
手袋をはめる。
おむつを替える。
着替えさせる。
シーツを拭く。
床を拭く。
匂いを消す。
いつもの一連の動作。
もう「作業」だ。感情を挟む余地はほとんどない。
確実に、頻度は増えている。
浮遊物の量も増えている。
詰まりやすくなっている。
データにすれば、たぶん「悪化」という二文字で片付く話だ。
でも、現場にいると、そんな言葉は役に立たない。
今やれることを、ただ粛々と進めるしかない。
それが終わったと思った頃に、今度は父の表情が沈む。
うつっぽい症状。
これも、もう珍しいことではなくなった。
できるだけ明るく振る舞う。
冗談をひとつ混ぜる。
声のトーンを少し上げる。
悲観的な空気を部屋に溜めないように、気をつけながら話す。
……そんな時に限って、認知症の母は、
父が一番傷つくようなことを、悪気なく、平気で言う。
これはもう、仕方がない。
頭ではわかっている。
わかっているけど、正直に言えば、勘弁してほしいと思う夜もある。
それでも、母をなだめ、
父をフォローし、
空気を整え、
また布団の中に二人を戻す。
夜中も、早朝も、こういうことは日常茶飯事だ。
「事件」ではない。
ただの「日常」だ。
だからこそ、熟睡なんてものは、もうずっとしていない。
細切れの睡眠。
物音ひとつで目が覚める身体。
それでも、ギリギリのところで、バランスを保つしかない。
倒れたら終わる。
自分が倒れたら、この家の時間は止まる。
だから、踏ん張る。
気合ではなく、惰性と責任感と、少しの意地で。
来週、父は誕生日を迎える。
87歳になる。
2023年の年末、余命宣告を受けたとき、
正直、ここまで来るとは思っていなかった。
「もう長くないですね」
あの一言が、頭の中で今もくすぶっている。
それでも、今は、まだ家で生活できている。
それだけが、救いだ。
病院のベッドではなく、
自分の布団で、
自分の家の匂いの中で、
朝と夜を行き来できている。
あと、どれくらい行けるのか。
そんなことは、誰にもわからない。
カレンダーにも書いていないし、
医者の言葉にも、正解はない。
わかっているのはひとつだけだ。
この家の夜は、これからも、たぶん静かには終わらない。
それでも、朝は来る。
こちらが望もうと、望むまいと。
だからまた、
尿パックの交換日を気にしながら、
夜を越え、
朝を迎える。
昨日は2、3時間しか寝れなかったが、
介護の朝は、今日も突然に始まる。
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EX-FAX-CE | NOTE執筆家
「ロスジェネ氷河期的視点 ― 情に生き、言葉で立ち上がる」
「ゆるぎなく、まっすぐに」
「言葉は、再起動ではなく継続の証」
▶ EX-FAX-CEとは▶ ロスジェネ脱線学 ▶ 一瞬永遠 ▶ 笑いの臨界点
X:@zdocomo / note:/exfaxce
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最終更新日  2026.02.05 05:52:18 コメントを書く


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