EX-FAX-CEのブログ

EX-FAX-CEのブログ

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ex-fax-ce

ex-fax-ce

カレンダー

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

フリーページ

2026.03.08
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類

束の間の家キャン 土曜日、日中の平和を噛み締める
今日は土曜日だ。
父を風呂に入れる日でもある。
まず気になるのは、やはり前夜のことだった。
トイレで血が出た件である。
出血はなさそうだ。
ひとまず、そこは少し安心した。
体調も、そこまで悪い感じではない。
ただ、相変わらず気分は落ち込み気味だ。
父の表情を見ていると、こちらまで引っ張られそうになる。
だからこそ、私は努めて明るく振る舞う。
介護をしていると、こちらの空気が案外そのまま伝わる。
雑に暗くなるわけにはいかない。
朝食を済ませる。
そのあと、まずは妻を仕事へ送る。
土曜でも、家の中はのんびりとはいかない。
送り終えて帰宅。
今度は父を風呂に入れる番である。
ところが、こういう日に限って、いつも使っている短パンが見つからない。
なぜか毎回、父を風呂に入れる時の短パンだけは、肝心な時に消える。
家の中にはいろいろな謎があるが、これもその一つだ。
仕方がないので、パンツ姿で風呂へ入れることにした。
風呂から上がって脱衣所へ出ると、そのパンツがとてつもなく冷たい。
濡れた布が肌に張りつく、あのどうにも情けない冷たさである。
だが、まずは父のほうが先だ。
こちらの寒さなど後回しである。
身体を拭く。
体重を測る。
服を着せる。
部屋まで移動する。
ここまでやって、ようやくひと区切りつく。
だが、まだ終わらない。
風呂掃除がある。
最近はそこまで手が回らず、まともにやれていなかった。
どうせ自分も濡れている。
ならば今やるしかない。
そう思って、時間もないので手早く済ませる。
結果、さらに濡れる。
寒さは倍増する。
鼻水まで出てきた。
何をやっているのかと思わなくもない。
だが、こういう細かい実務の積み重ねで家は回っている。
誰かがやらなければ進まない。
ようやく身体を拭いて着替え、少しストーブの前で温まる。
その時間だけは、わりと切実だ。
身体が温まるにつれて、ようやく人心地つく。
そんなことをしているうちに、もう昼が近い。
昼食の準備をする。
両親と娘と食べる。
一息つく暇もなく、午後一番ではまた妻を迎えに行く。
その帰りに買い物も済ませて帰宅。
ここまでで、もうそこそこ一日分動いた気がする。
ようやく少し時間が取れるか。
そう思ったところで、今度は母である。
出かけたまま、まだ戻ってこない。
迎えに行くべきか。
少し悩む。
だが、とりあえずGPSで場所を確認する。
認知症とはいえ、今のところは何とか帰ってこられている。
ここで慌てて追い回すと、かえってややこしくなることもある。
まずは少し様子を見ることにした。
とはいえ、じっとしているのも落ち着かない。
なので、私も同じ方面へウォーキングに出ることにした。
様子見ついでのウォーキング。
一石二鳥である。
歩いていると、途中で桜が目に入った。
ああ、もうそんな時期かと思う。
介護の中にいると、季節の移ろいが妙に遠くなることがある。
だから、こうして不意に桜が目に入るだけでも少し救われる。
歩きながら、胸の中のざらつきが少しだけ洗い流される感じがした。
帰宅しても、まだ母は戻っていなかった。
だがGPSを見ると、どうやら近くのスーパーで休憩しているようだ。
そのくらいなら、もう少し様子を見ても大丈夫だろう。
私は父の様子をうかがう。
問題はなさそうだ。
ならば、今しかない。
すかさず家キャンである。
玄関脇に椅子を置く。
そこへ座り、ノンアルコールの赤ワインスパークリングを飲む。
ほんの一息。
たったそれだけのことだ。
天気が少し曇ってきたのは残念だった。
晴れ切っていれば、なおよかった。
それでも、この時間は貴重だ。
本当に貴重だと思う。
朝からずっと、細かい判断と動きの連続だった。
父のこと。
母のこと。
妻の送迎。
買い物。
風呂。
掃除。
食事。
見守り。
どれも派手ではない。
だが、一つ一つが確実にこちらの時間と神経を削っていく。
だからこそ、こういう数分が効く。
玄関脇の椅子に座りながら、土曜日の昼間の空気を吸う。
家のすぐ外なのに、少しだけ日常から距離が取れる。
遠くへ旅に出られるわけではない。
何時間も自由があるわけでもない。
だが、それでも十分なことがある。
束の間の家キャン。
ほんの短い時間。
それでも私は、この時間にかなり助けられている。
介護のある暮らしでは、大きな自由はなかなか手に入らない。
だからこそ、小さな平和をきちんと拾わないといけない。
でないと、毎日はただの消耗戦になる。
曇り空の下ではあったが、それでも悪くなかった。
土曜日の日中の平和。
それを、少しだけ噛み締めることができた。
─────────────
EX-FAX-CE | NOTE執筆家
「ロスジェネ氷河期的視点 ― 情に生き、言葉で立ち上がる」
「ゆるぎなく、まっすぐに」
「言葉は、再起動ではなく継続の証」
▶ EX-FAX-CEとは▶ ロスジェネ脱線学 ▶ 一瞬永遠 ▶ 笑いの臨界点
X:@zdocomo / note:/exfaxce
─────────────





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2026.03.08 05:36:04 コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: