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2026.04.03
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介護の朝は突然に…#23|出張直前、父の痛みと母の異変 それでも立ち続けるしかない【50代】
出張直前に、父の痛みが引かなかった。
ここ数日、カテーテル交換後の痛みが続いていた。
これまでの薬では、どうにも抑えきれない。
貼るタイプの鎮痛薬。
皮膚から吸収して、24時間効くタイプのものだという。
即効性はない。
だが、そのぶん持続性がある。
これまでの舌下錠と併用していく流れになった。
容量はまだ少ない。
理解できる。
だが父にとっては、別の部分が大きかった。
説明の中で、やんわりとではあるが「麻薬成分」という言葉が出た。
その一言が、父にはかなり強く響いたようだった。
痛みそのものもつらい。
そこへ「そこまでしないといけない状態なのか」という思いまで重なる。
父の気持ちが一気に沈んでいくのが、見ていてわかった。
出張の直前だというのに、まるで鬱のような状態になってしまった。
だが、もう出なければならない時間だった
本当は何とかしたかった。
もう少しそばにいて、言葉をかけて、落ち着くところまで見届けたかった。だが現実には、時間が来る。
仕事は待ってくれない。
介護があっても、そこだけは容赦がない。
結局、あとは妻と娘に任せるしかなかった。
私はそのまま東北新幹線に乗った。
この時の気持ちは、なかなかきつかった。
父をあの状態で置いていく。
しかも新しい薬を始めたばかり。
本当に大丈夫なのか。
気持ちはさらに落ち込まないか。
痛みは少しでも和らぐのか。
次から次へと考える。
だが、考えたところで、その場にいない私は何もできない。
見えているのに、何もできない
出張中も、見守りカメラで様子を見た。
妻からのLINEも入る。
介護士さんが来てくれた。
医師にも来てもらった。
状況はそのつど伝わってくる。
それはありがたい。
本当にありがたい。
だが一方で、見えているのに何もできない苦しさは、想像していた以上だった。
介護は、そばにいて大変なことも多い。
だが、離れている時のほうがしんどい場面もある。
自分の手で動けない。
自分の目で見られない。
頼るしかない。
任せるしかない。
その無力感は、なかなか重い。
帰る頃には、父の鬱っぽい状態も多少は和らいでいた。
そこはひとまず救いだった。
一番沈んだところからは、少し戻ってきていた。
ようやく少しだけ息をつけるか。
そんなふうに思った。
だが、今度は母だった
母は認知症で、訪問医療と大学病院の両方で診てもらっていた。
前回の血液検査で、カリウムの値が低すぎると言われ、投薬も始めていた。だが改善しなかった。
さらに検査を進めたところ、多血症の可能性があると言われた。
多血症。
あまりあるものではないらしい。
大学病院で精密検査を受けなければならなくなった。
父の状態も悪化してきている。
そこへ今度は母まで、である。
正直、かなり堪えた。
父だけでも十分重い。
母の認知症だけでも軽くはない。
そのうえで、さらに別の病気の可能性が出てくる。
先が読めない。
というより、もはやこの先どうなるのか予測不能である。
「ここが底か」と思ったところの先に、まだ続きがある
介護をしていると、そういうことがある。
それがいちばんきつい。
人は、ある程度先が見えていれば踏ん張れる。
だが、次に何が来るかわからない状態が続くと、心の芯から削られる。
気持ちが沈む。
重くなる。
何も考えたくなくなる。
いや、考えなければならないのに、考えたくない。
そういう感覚に近い。
さすがに、心が折れそうになった。
それでも、立ち続けなければならない
父がいる。
母がいる。
妻もいる。
娘もいる。
誰かが崩れた時、こちらまで崩れてしまったら、家は回らない。
それがわかっているから、簡単には倒れられない。
もちろん、強いわけではない。
平気なわけでもない。
本当はしんどい。
かなりしんどい。
だが、それでも立つしかない。
認知症どころの話ではない。
もうそれだけでは済まない段階へ、
じわじわ入ってきているのかもしれない。
さらに過酷な未来が待っている可能性もある。
それでも、やるしかないのである。
結局、今日もやるしかない
50代になって思う。
人生は、ある日突然、想定の外へ連れていかれる。
しかも、一つだけでは終わらない。
父、母、介護、病気、仕事、全部が重なってくる。
そして、そのただ中でこちらは判断をし、
動き、支え、回し続けなければならない。
前向きなことばかりも言えない。
頑張ります、だけでも足りない。
だが、それでも思う。
一気に全部は越えられない。
ならば一つずつだ。
父のことを見て、母のことを見て、
必要な連絡をして、検査を受け、
また次へ進む。
その繰り返ししかない。
追い込まれるたびに思う。
まだ終われない。
まだ投げられない。
私が立ち続けるしかないのだと。
介護の朝は、やはり突然に来る。
しかも最近は、朝だけでは済まない。
昼も、夜も、次の波が来る。
それでも、そのたびに立ち上がるしかないのだろう。
かなりきつい回だった。
だが、きつい現実は、きついまま書いておこうと思う。
それもまた、いまの私の生きる記録なのだと思っている。





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最終更新日  2026.04.03 05:21:45 コメントを書く


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