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2026.04.05
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介護の夜も突然に… 父の怒りが家じゅうに広がる夜
夜に、父が突然激怒した。
またか、と思う。
いや、思うのだが、その「また」が軽く済まないから厄介なのである。
母は認知症だ。
同じことを言う。
話が通らない。
言葉もずれる。
話の流れも平気で壊す。
それはもう、日常の一部になっている。
こちらはそれを前提に、どうにか受け流しながら回している。
だが父は、そこにいちいち腹を立てる。
もう少し頭がしっかりしていると思っていた。
認知症相手に真正面から怒っても仕方がないことくらい、わかっているはずだと思っていた。
だが、そうではなかった。
何を言ったのかはわからないが、
気にさわることを言ったようだ。
怒り始めると、矛先は一気に広がる。
母だけでは終わらない。
家の空気そのものを巻き込み、こちらにも向いてくる。
私にも向く。
全方位である。
「もう死ぬだけだ」
「苦しい」
そうわめき散らす。
だが、こちらが手を貸そうとすると、さらに火に油になる。
助けようとすれば、余計に荒れる。
このあたりが本当に難しい。
昔から、父にはこういう一面があった。
感情が一気に高ぶる。
子どもが駄々をこねるように、怒りが膨らんでいく。
年を取れば少しは丸くなるのかと思っていたが、そう単純でもないらしい。
むしろ身体が衰え、思いどおりにいかないことが増えた分、感情の置き場が難しくなっているのかもしれない。
こうなると、たぶん数日はこのままだ。
今夜だけで終わらない。
しばらく引きずる。
機嫌の悪さは残る。
空気も悪くなる。
また眠れない日が続きそうだな、と思う。
そういう予感だけは、よく当たる。
こちらも感情的になったら終わりである。
言い返したくなる時はある。
いや、かなりある。
理不尽だと思う。
何でこちらまでぶつけられなければならないのかと思う。
だが、そこでこちらまで熱くなれば、家は完全に壊れる。
介護のある家では、誰か一人の感情の暴発が、そのまま全体の崩れにつながる。
だから飲み込む。
ひたすら飲み込む。
正直、しんどい。
我慢にも限度はある。
だが、今夜は我慢するしかない。
落ち着くまで待つ。
言わせるだけ言わせる。
時間が過ぎるのを待つ。
結局、そのくらいしか打つ手がない。
介護は、排泄や食事や通院の段取りだけではない。
こういう感情の処理まで含めて、全部こちらにのしかかってくる。
それが本当にきつい。
目に見える作業より、目に見えない空気を持たせるほうが、
時にずっと消耗する。
今夜もまた、静かに削られる夜になりそうだ。
それでも、こちらが崩れるわけにはいかない。
とにかく耐える。
今はそれしかないのである。





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最終更新日  2026.04.05 05:53:58 コメントを書く


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