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2026.08.04
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ロスジェネ脱線学 #44 傘だけコンビニに残る午後

午後、雨が降りそうだったので傘を持って出た。

折りたたみではない。

普通の長い傘である。

念のため、というやつだ。

コンビニに寄って、パンとコーヒーを買った。

支払いを済ませ、袋を持って外へ出る。

五十メートルほど歩いてから、手が軽いことに気づいた。

傘がない。

持って出た。

たしかに持って出た。

店に入る時、傘立てに入れた。

そこまでは覚えている。

つまり、置いてきたのだ。

50代になると、持ち物の管理が途中で少し甘くなる。

最初はちゃんとしている。

玄関で傘を持つ。

雨が降りそうだと空を見る。

我ながら用意がいい。

ところが、買い物をした瞬間、頭の中の持ち物リストが更新される。

パンとコーヒー。

レシートに財布、スマホ。

傘だけ、古いリストに残されたままになる。

昭和の頃、傘は家に何本もあった気がする。

学校にも、職場にも、誰のものかわからない傘があった。

平成になるとビニール傘が増えた。

急な雨でも買えるようになった。

令和では、スマホが雨雲まで教えてくれる。

それなのに、持って出た傘を忘れる。

技術の進歩と私の記憶力は、あまり連動していない。

私は少し迷ってから、コンビニへ戻った。

たった50メートルなのに、戻る時の道は少し長い。

失敗を回収しに行く道だからだろう。

傘立てには、私の傘がそのまま立っていた。

よかった。

誰にも必要とされていなかったらしい。

少し失礼な安心である。

傘を手に取る。

今度は忘れないように、握りを少し強く持つ。

人生も、こんなふうに置いてくるものがある。

用意した気持ち。

言おうとした言葉。

持っていたはずの自信。

気づいた時に戻れば、まだそこにあることもある。

コンビニを出ると、雨はまだ降っていなかった。

傘は少し邪魔だった。

でも、その重さがあるだけで、私は少し安心して歩けた。

✨✨最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。✨✨

血圧計、薬、禁酒、睡眠。

50代になると、自分の身体も少しずつ点検対象になっていきます。

少しでも残るところがありましたら、スキやフォローで応援していただけると励みになります。

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最終更新日  2026.08.04 05:46:35 コメントを書く


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