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2026.09.04
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時間は、思っていたより残っていない|52歳、まだ人生を間に合わせようとしている
若いころ、時間について考えたことなんて、ほとんどなかった。
明日がある。来年がある。そのうちやればいい。いつか行けばいい。また会えばいい。そんなことを、当たり前のように思っていた。時間なんて、使っても使っても後ろから補充されるものくらいに思っていたのかもしれない。
52歳になった今、ようやく少し分かってきた。時間は、本当に減っている。しかも思っていたより速い。
50代になると、十年という数字が変わる
30歳のころの十年と、52歳の今からの十年は、同じ十年なのに、まるで違って見える。
30歳なら、十年後は40歳。まだその先がずっと続いているような気がした。今から十年後、62歳。さらに十年たてば72歳。数字にすると、急に現実になる。
もちろん62歳になったら何もできないわけではない。72歳だって元気な人はいくらでもいる。それでも、自分があと何回夏を見るのか、あと何回桜を見るのか、あと何回正月を家族と迎えるのか。そんなことを、たまに考えるようになった。昔は考えもしなかった。
親を見ていると、自分の時間まで見えてくる
親の介護をしていると、時間というものを嫌でも見る。
昔は親が先を歩いていた。子どもの私は、その背中を追っていた。いつからだったのだろう。歩く速さが逆になった。今では私が待つ側になった。手を貸す側になった。
そういう毎日の中にいると、親が年を取ったというだけではなく、自分も同じだけ年を取ったのだと気づかされる。子どもだってそうだ。いつまでも小さいわけではない。
家族の姿は、自分の時計でもある。昨日と今日はほとんど変わらない。なのに数年振り返ると、ずいぶん遠くまで来ている。時間というものは、たぶんそうやって減っていく。
だからといって、毎日を大切に生きられるわけでもない
ここで、「だから一日一日を大切にしましょう」と書ければ綺麗なのだろう。だが私は、そんなふうには生きられていない。
朝になればやることがある。仕事もある。介護もある。家庭のこともある。面倒なことも、腹が立つこともある。何もしないで一日が終わることだってある。スマホを眺めていたら一時間たっていた、なんてことも普通にある。
限りある時間を、毎日きっちり有効活用する。そんな人生は私には無理だ。そもそも人間はそこまで立派にできていないと思う。無駄な時間だっている。ぼーっとする時間もいる。くだらないことをして笑う時間だっている。
私が最近気になるのは、時間を無駄にしたかどうかではない。本当はやりたかったのに、「そのうち」と言って終わらせてしまうことのほうだ。
いつか書こう。いつか会おう。いつか行こう。いつかやってみよう。
若いころなら、その「いつか」は本当にどこかにあるような気がしていた。だが今は少し違う。いつかなんて、放っておいたら来ない。こちらから日にちを決めなければ、ずっと「いつか」のままだ。
そして気がついたときには、できなくなっていることもある。会えなくなっている人もいる。行けなくなっている場所もある。あのときやっておけばよかった。そんなものが人生には少しずつ増えていく。
だから最近、妙に焦ることがある。まだ何かできるんじゃないか。もう少しやれるんじゃないか。このままでいいのか。52歳にもなって、いまだにそんなことを考えている。
若いころなら、50代というのはもっと完成した大人だと思っていた。全然違った。迷う。焦る。失敗する。昔のことを思い出す。ときどき、今さら人生を変えたくなる。たぶん人間は、何歳になってもそんなものなのだろう。
私たちロスジェネは、ずっと「あとで」だった
振り返れば、私たちの世代は、ずいぶん「あとで」を使ってきたような気がする。景気が良くなったら。仕事が安定したら。生活に余裕ができたら。子育てが落ち着いたら。親のことが落ち着いたら。もう少し金が貯まったら。そうやって、自分のことを後ろへ回してきた。
もちろん、誰かに強制されたわけではないものもある。生活していれば仕方のないこともある。だが気がつけば50代だ。まだ、「もう少し落ち着いたら」と言っている自分がいる。
少し笑ってしまう。いつ落ち着くんだ。たぶん、完全に落ち着く日なんて来ない。
だから私は、まだ間に合わせようとしている
何か大きなことを成し遂げたい、という話でもない。有名になりたいとか、人生を劇的に変えたいとか、それだけでもない。ただ、自分がやってみたいと思ったことくらいは、できる範囲でやっておきたい。
書きたいなら書く。作りたいなら作る。会いたい人がいるなら、会えるうちに会う。行きたいところがあるなら、全部ではなくても一つくらい行く。失敗したら、まあ失敗したでいい。52歳の失敗なら、もう一つくらい増えても大勢に影響はない。
むしろ怖いのは、何もしないまま、「あのときやればよかった」だけが増えていくことだ。
時間は有限である。昔の私は、その言葉を頭で書いていた。今は少し違う。親の背中を見て、子どもの成長を見て、鏡に映った自分を見て、身体の変化を感じて、ようやく実感として分かってきた。
だから今すぐ動く。明日もたぶん脱線する。くだらないこともする。無駄な時間も使う。それでいい。
ただ一つ。本当にやりたいことまで、「いつか」の箱に放り込むのは、そろそろやめようと思う。
人生があと何年あるのかは分からない。でも、今日が一日減ったことだけは分かる。だったら私は、残った時間を数えて怖がるより、まだできることを一つずつやっていきたい。
50代ともなれば突然病気になってしまうこともある。突然死ぬことだって不思議なことではない。
52歳。もう若くはない。でも、終わったわけでもない。
身体がまだ若いころの感覚が多少は残っていて、動ける50代。
この年代のうちに後悔の無いように生きていこう。
私はまだ、人生を間に合わせようとしている。





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最終更新日  2026.09.04 06:29:46 コメントを書く


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