天空乃舞

2005/12/13
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カテゴリ: 勉強について
武漢君のアメリカ文学紀行も 私の荒削りな紹介のせいで あっという間にトニ・モリスンまで来た。

ジャック・ロンドンの後に彼には「赤い仔馬」を読んでもらっていた。

「はつかねずみと人間」の方は 小説よりゲイリー・シニーズとジョン・マルコビッチの
映画の方を観てほしい。

その後で、もう「青い目が欲しい」を読んでもらっていた。

やはり この人は「気持ち悪い」とか「近親相姦のレイプの話」とは思わなかったようだった。

私は実は この父親チョリーを どうしても憎みきれないし
著者も そのようには描いていない気がする。

この点では武漢君の考えも一致していた。


無意識に 逃げていたものを 思い出させた。

「この作品の状況は アメリカだから 黒人だから だけじゃなく 日本にも 
誰にも通じると思う」

私が初めてトニ・モリスンの作品を読んだのは「ビラブド」であり、

本当は「青い目が欲しい」がデビュー作だから ちょっと逆順序で 読み始めたことになる。

初めて「ビラブド」を読んだ時の衝撃は 大変なもので
後にも先にも あんなに 本を読んだだけで どうしようもなくなったのは
あれが 最後と しばらくは思っていたいくらいだ。

あの時、「黒人文学」を こんな 私などが 研究だの何だのして
どんなに頑張ったからって 「意見」や「見解」など とてもじゃないけど 言っていいような立場ではないと
思った。


抹殺された 息と 声と 言葉と それを 宿していた魂に
いったい何を この私が言えるというのだろう
と。

先生は「真摯に受け止めて下さって嬉しい」と激励してくださったけれど
私は本気で怖かった。


一生を捧げるとも思えば これほどの分野なら本望かもしれない。
一生をかけても 恐らく 私の人生が終わりを迎えても 私の研究が終点まで辿りつくことは ないだろうから。

あの
最初の感覚としては
あれで 悪くはなかったと思う。

しかし 
私は大学院に入り 先生は教材として 「青い目が欲しい」を選ばれた。

「ビラブド」に比べると「青い目」は私にとって強烈なものではなかったので
「ビラブド」のように、しばらくはカバーにすら触れないという本ではなかったから
何度も読み返した。
日本語でも英語でも。

その中で「ビラブド」ほどの衝撃がなかったぶんだけ 繰り返し出会う中で考察は深まっていった。
夏休みのレポートでは 書きたいことで洪水になるほどに。
けれど その洪水を 秩序だてる根気が夏の段階では 私にはなかった。

先生もお侍さんも あの夏のレポートを 

「これ ちゃんとまとめたら いい論文になる」

と言ってくださったけど 私は逃げ腰だった。

理由は「ビラブド」の方の衝撃が忘れられないから、もう一度読んでみようかと思うことと
あとは 
前期・後期と通して これを扱ってきて 今更 ふざけているが

「私には恐れ多いことです」

という 謙虚を装った、 要は 逃げだった。

自分が経験したことのない辛酸についてなど書くのは恐れ多い。

↑ 悪いことではない。

けど、私は 研究者になると決めている上、
私より辛酸をなめていない人の文学なんてあるのか?
あったとして、そんなのを批評して何になるのだろう?
私がそんなことに耐えられるのか?
私がそんなことを

。。。。ありえない。

「どんな国にも どんな人にも 通じることだと思う」

武漢君の台詞で 「青い目」がもう一度自分の前に突きつけられた。


そうなんだよね、

私の特徴として自分が「謙虚」なつもりになっている時は怪しいのである。

私の特徴として それは逃げの言い訳。

「力がないので」とか「経験不足なので」は謙虚さじゃなく

失敗するのが怖いのだ。私の場合は。

修士論文。

今の私には今の私の限界はある。

あるが、しかし、 その力の全てを果たしつくして 闘いきることが誠実 というか

お前 やる気あんのかよ? だよね、自分。

いつになったら いつか になったら 今よりは まし とか 勝手に夢想ってるから

今はまだ駄目とか 暢気な言い訳をしたくなるんだ。


いつだって駄目にきまってんだろう!

いつだって上には上がいるんだよ。

駄目だけど 駄目だから まし になるために
全部出して闘うんだろうが。

ビラブドは もう一度 冬休み中に読むだろう。

大事だから。忘れないために。

けど 修士論文は

「青い目が欲しい」

どういうふうに まとめるか 

じゃなく

ここから逃げないで ここから前に進む意外

今の自分を卒業する方法はないと感じた。





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Last updated  2005/12/26 05:12:43 PM
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