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2008.05.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
いよいよ・・

ショーダンサーデビュー・初日を迎えた。


四日前より、ステージを使っての振り固め、

衣装をつけての場当たり、

照明を合わせ、衣装チェンジを行う小返し

通し稽古・・・、

本番と同じ段取りで行う、ゲネプロリハーサル・・

と続き、疲労もピークながら・・



いよいよ本番である・・





ただ気になるのがお客様の入り具合である

ショータイム開始、30分前に一組・・

15分前に三組・・



120人入るお店にお客さんが8人である・・。

オカマのお香、ニューハーフのソフィア、ケリーが、

接客を終えて、楽屋に戻って来た・・。



芳しくない表情だ・・。



ほとんどのお客さんが、前回のキャストのお客さんらしい・・。


ショー開始5分前・・

2組、4人のお客さんが入店し、

目の前のカウンター席は多少・・埋まった・・・







後は元気よく踊るだけだ。

ショー前のオーヴァーチェァーが流れ始める・・

店内が暗転になっていく。



俺達は、金のステッチが入っている白い学ランのような衣装を

身にまとい、軽くストレッチをして・・




後方には、ニューハーフの3人がセクシーな衣装を身にまとい、

スタンバイをしている・・。


一瞬の静寂・・。

ステージに上がる。

真っ暗な暗転から・・音楽が鳴り始め・・

一気に、眩いばかりの証明に照らし出される・・。


音楽に合わせて・・サイドステップ・・。

2回転のピルエット・・足をあげて・・バットマン・・

フォーメーションチェンジをしながら・・

小刻みに、ステップを踏む・・。


順調に踊りだす・・。

少し慣れると・・目の前にはカウンターに8人のお客さんが座っていた。


と・・

目の前に座っている・・

5分前に入店した、20代くらいの女性2人が・・

怪訝そうな顔で、見ている・・・いや・・睨んでいると言っても過言ではない・・。


俺は、作り笑いを浮かべ・・視線を合わせながら・・

軽快に踊っていた・・・



と、次の瞬間・・・・

2人とも、あからさまに、席を立ち、伝票を持って・・

席を立った・・・。




ショースタッフが入れ替ったと、知った瞬間、なんと帰ってしまったのだ。



ショーが始まっているのに・・


途中で帰ってしまうと言う行為・・・


された方は・・かなり傷つく・・。


動揺する・・・。



引き攣った笑いを浮かべ・・

俺はそのまま・・踊り続けた・・。

何事もなかったように・・。



1回目のショーが終わり・・・・


エントランスに向かった・・。


客の予約状況を把握したかったからだ・・




すると・・背の高い狐目の男が声を掛けてきた・・。

店長の高柳だ・・。



「予約・・全然入ってないよ・・。こんなショーじゃ客呼べねえな・・」


嫌味なやつだ・・。

彼は、我々を敵対視している・・。


「男のダンサーよりも、綺麗なオカマ入れねぇーとなぁ・・」

か細い声で・・嫌味を言ってくる・・。

職制上・・睨む訳にもいかない・・

「そうですか・・」

そう言いながら・・背を向ける・・

「女房子供食わしていかなきゃならないんだから・・客呼べる奴入れてくれねぇとなぁ・・」

背後から・・声が追いかけて来た・・。

奴の口癖だ。


俺達は、契約上、この店に来ているのが、気に入らないらしい・・。

ダンサー以外の、ソフィア・ケリー・お香の3人は店との契約だ・・。

必然的に、この3人を可愛がっている・・。



2回目のショーが始まる頃には・・

ドヤドヤと、団体の客が入店して来た・・

3組・・4組と、増えていき、店はいつしか・・

猥雑な感じになり、7割程度の席が埋まった。


2回目のショータイムが始まる・。




1回目に比べ、活気もあり、我々も2回目と言う事で、

少し余裕が出てきた・・。


この回は、途中で帰る客もなく・・

無事に終了した。



ショーの合間・・ダンサーは楽屋で待機している。

ニューハーフの3人が接客をしている。


と・・そこへ店長が顔を出した。


「タケさん・・B2のお客さんが、呼んでいるから、席に行ってくれない?」


「・・はい」


基本的に、「接客」はしなくていい契約になっている。


自分から、進んでいく気にはなれないが・・

呼ばれているのなら仕方がない・・。


「接客」なんてした事も無い・・。

何をすればいいのか解らないが・・

とに角、呼ばれた以上・・行くべきであろう・・。


ガヤガヤと嬌声、雑沓などが交じり合った店内・・

薄明かりの中、その席に行く・・。


髭を蓄えた体格の良い、いかにも社長風のオヤジと・・

その、会社の社員だろうか・・サラリーマン風の男が2人・・。

着物姿の女性・・、ワンピースの女性が2人・・

6人の席であった・・。



姿をみるなり、社長風の男が言った・・。

「おう!来た来た!そこへ座れ!」

横柄な奴である・・。

その言い分にカチンと来たが・・

俺は従って、そこに座った・。

「失礼します・・。」

ちょうど、ピンクのワンピースを着た女性の隣だった・・。

年の頃は20代の後半といった感じで・・

いかにも水商売のホステスと言った感じだ・。

その女が擦り寄ってくる。



社長風の男が言った・・。

「こいつがな、お前が可愛い!ってよ!」

ピンクのワンピースを着た女性が言った・・



「踊り上手ね・・どっかで習ってるの?」

プロダンサーなんだから・・当たり前だと言いたかったが・・


「ありがとうございます・昔ジャニーズだったんです」


そう言った・・。


みな・・笑った・・。


本気に取られなかったようで・・


「うんうん・・いかにもいそうな感じよね・・一生懸命踊ってる所が可愛いわね」


上から目線で言われる事に・・苛立ちを覚えた・・。


「おう!何か飲めよ!水割り飲むか?」

テーブルの上にはヘネシーのボトルが置いてあった・・。


「いや・・後1回ショーがあるんで・・お酒は飲みません。」



酒は好きだし、ブランデーも飲めないこともない・・が

ダンサーである以上、3回のショーが終わるまでは・・

アルコールを口にするわけにはいかない・・。



神聖な舞台に、ダンサーが酒を飲んで踊るなど・・

言語道断だと思っていた・・・。



嫌な空気が流れた・・・


気を使ったのか・・

ピンクのワンピースの女性が察知して・・


「足が随分高く上がるのね・・」


「プロのダンサーですから・・」

そう言った瞬間だった・・


「お前!生意気なんだよ!」


大声とともに・・

目の前にあった、フルーツ盛りのリンゴを投げつけてきた!



空気が凍りつく・・。


投げられたリンゴは俺の頬をかすめ・・・

後ろのソファーに当たって落ちた・・。


沈黙・・



「失礼します」



俺は席を立った・

これ以上いても、空気が悪くなるだろう・・。




後で聞いた話だが、どうやら、この社長は・・

ピンクのワンピースがお気に入りだったらしい。


俺が隣に座り、女がベタベタくっついてきた事に・・

嫉妬もしてたらしい・・。




俺はこの件以来、決して接客時に・・

女性の隣には座らないようにしている・・。


当たり前のことだが・・


男の嫉妬は醜いからだ・・。



席を立った後・・

狐目の店長が大慌てで、席に向かっていった・・。


知ったことじゃない・・

そう思った。






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Last updated  2008.05.23 19:57:09
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