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October 15, 2005
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カテゴリ: カテゴリ未分類
『ゴミの定理』感想第2弾。
今回も短編ごとの感想から。


『夢の話』
小説というよりも、エッセイ。
睡眠中に見る夢について、作者自身の独断と偏見を基に考察している。
空を飛ぶ夢について書かれてあるが、私の見る夢もそんな感じ。
案外、空を飛ぶ夢は大きな共通性があるのかもしれない。
最初、「小説に夢オチはタブー」という話から入っていって、「夢論」に発展していくが、どうこの話を終わらすのかが気になった。
「夢オチはタブー」と断ったうえであえて夢オチに持っていくのかと予想した。

気になる人は、読んでみて下され。


『ガイドの話』
これも、作者のエッセイに近い。
ガイドの説明に耳を傾ける観光客の話から、「ガイドの全てがそうではないが、結構いいかげんな説明をするガイドもいる」という話に発展。
史実から程遠い伝承をさらに膨らませて観光客に話すと、観光客はその国や地方について間違ったイメージを持ってしまう、というもの。
それらを踏まえて、「もし日本のいいかげんなガイドがいたらどうなるか」ということで、京都の名所をいいかげんに説明してみたりする。


『ビデオを見る』
いきなり離婚を切り出され、妻に出て行かれた男が、ビデオカメラで撮り溜めした妻の姿を編集する。
?な1編。
編集して、そのVTRの中の妻しか愛せなくなった、という話でもなく、
妻から電話がかかってくるが、現実の出て行った妻からの電話ではなく、実はVTRの中の妻が電話をしてきた、といった話でもない。

捉えどころのない作品。


『泥江龍彦のイラン旅行』
売れない作家、泥江龍彦の旅行記。
これまた?な1編。
イランでは宗教上酒が飲めないので、旅行中断酒状態にある主人公の変貌ぶりを描いた作品、というわけでもない。



『鮫島村のデナーショー』
架空の寒村で初のデナーショーを開催する人々の奮闘記。
ディナーショーではなく、「デナーショー」である。
これも中途半端な1編。
初めて村から東京に出て行った男のアイディアで計画が進められる。
デナーショーを開くにも、施設やそれにふさわしい料理を準備できないので、なんとか代用のものを準備する。
その準備段階も、もっとめちゃくちゃになって良かったと思うし、実際のデナーショーも、中途半端。
支離滅裂な展開になるべきだったと思う。


『ゴミの定理』
表題作。
架空の数学者がゴミに関する論を述べている。
これも小説というよりも、ひとつの論文といっていい。
「ああ、なるほど」と思ってしまう1編。


<全体を通して>
全部読み終えたあとの爽快感がない。
その理由を私なりに考えてみると、全体を通して「現実から飛躍していない」という点が挙げられる。
比較するべきではないと思うがあえて比較してみると、筒井康隆さんは、現実から出発して徐々に非現実に踏み入っていく、という書き方をしている(最初から超非現実的なものもあるけど)。
スタート地点が現実な、いわゆる「ありふれた日常」で始まった方が物語に入りやすい。
この本だけを見ると、現実からスタートして非現実に踏み入ってはいない。
架空の田舎が出てきて、それは思い切り作られた世界ではあるが、その中で生きる田舎の人間は現実的なのだ。
私が田舎に住んでいるせいもあると思うが、ほとんどが「そうそう、いるいる」という人間ばかり。
生まれてこの方ずっと都会にしか生きていない人にすると、それは非現実的な世界かもしれない。
全編が「あるあるネタ」の小説と言ってもいい。
そういう小説はあってもいいと思うし、現に『他小説』は良かった。
でも、300ページ近く、全11編にわたってそれだと少々きつい。
完全なエッセイなら構わないが、現実からの飛躍を求めてしまう小説としては、読後に妙なフラストレーションを感じてしまう。
『他小説』なんか、支離滅裂なSF集の合間にポンと入れてみると、SF的な展開を期待する読者を裏切って、面白いと思う。


ひょっとしたら、清水さんの小説ってこういうものなのかもしれない。
これまで読んだ『上野介の忠臣蔵』や『苦労判官大変記』も、「歴史の解釈の仕方」による面白さだった。
ほかの清水さんの小説を読んでみると、また違ったおもしろさがあるのかもしれない。

ゴミの定理
ゴミの定理





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Last updated  November 12, 2005 01:59:14 PM
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