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「メディアの裏でたくらむ仕事」
電通マンが暴露する、
巨大代理店の内幕
――就職サイトには載せられない!
長く電通に勤務してきた身として、あまり知られることのないその内幕を読者のみなさんにお伝えしたいと思う。広告業界に関心がある学生にも、就職サイトには絶対に載ることのない、巨大広告代理店の真の姿を知っていただけるはずだ。
――本書の内容はすべて、私が地べたを這いつくばって得た実体験である。
●もくじ●
まえがき――クリエイティブはエラいのか?
第1章 知られざる電通の内幕
某月某日 土下座 : クライアントは神さまです
某月某日 24時間、戦えますか? : 繰り返された悲劇
某月某日 扱いづらい人材 : リストラ策
某月某日 接待漬け : ゴルフ、料亭、ソープランド
某月某日 中元・歳暮 : 「したい」と「してもらいたい」の狭間で
某月某日 トライアングル : 一番強いコネは?
某月某日 センベイ : 「さすが大物だよ」
某月某日 キーマンを探せ : シブチン部長、攻略法
某月某日 不倫の代償 : 2週間の海外出張にて
某月某日 ネット通販の雄 : あなたは誰の代理人ですか?
某月某日 貧乏人の倅 : 広告代理店を志したワケ
第2章 電通マンの修業時代
某月某日 内定者パーティー : 「ねえねえ、僕と一緒に来ない?」
某月某日 新入社員研修 : 「ニュースステーション」の裏側
某月某日 配属辞令 : せっかく電通に入ったのに…
某月某日 雑巾がけ : オフィスの不思議な光景
某月某日 タクシーチケット : 先輩の仕事術
某月某日 とんでもない給料 : 交際費はこう使え
某月某日 結婚 : 「電通」というブランド
某月某日 ブルーオーシャン : Jリーグ開幕
某月某日 勝ち馬に乗る : 博報堂VS電通
某月某日 役得 : 会社のカネでブラジル旅行
某月某日 ドンの息子 : 無邪気で隙だらけのお調子者
某月某日 競合プレゼン : 「絶対に負けてはならない」
某月某日 でっちあげ : 思わぬ逆転勝利
某月某日 人生の階段 : 「子煩悩な父親」のウラの顔
第3章 ビッグプロジェクト
某月某日 主導権争い : 「俺は降りるぞ!」
某月某日 大物セレブ : 1人1年1億
某月某日 話にならん : 一筋の光明を頼りに
某月某日 1晩2000万円 : どうしても要りますか?
某月某日 只今、逃亡中 : 「もうあなたには会わないでしょう」
某月某日 赤字処理 : 少しずつマークアップ
某月某日 ジャニーズ事務所 : クライアントに見せる前に
某月某日 薬物好き : コーディネーターは☓☓☓で決める
某月某日 視聴率 : 水もの、魔物
第4章 クライアントにバレてはいけない
某月某日 僕とキミだけの秘密 : そして出向
某月某日 ラグジュアリーブランド : 詰め腹を切る
某月某日 カウンセリング : 「あのクソ女!」
某月某日 帰任 : アルコール依存
某月某日 電通を辞めた日 : 「キミにとってはいいんじゃない?」
某月某日 最後通牒 : 公証役場へ
あとがき――退職後の日常
彼女は、2015年4月の入社後、デジタル広告関連の部署に配属され、
インターネット広告を担当していた。この仕事は、テレビや新聞・雑誌
などとくらべて受発注のスピードが速い激務として知られている。
彼女は、本採用(入社から9月までは試用期間という建前である)
となった10月以降に仕事量が急増。1ヵ月の時間外労働は約130時間に
達し、過労死ラインといわれる80時間を大幅に超えていた。だが、
上司は労使協定で決められた残業時間を超えないよう、彼女に勤務時間
を過少申告させていた。
当時の電通において、たとえば営業局では「月80時間」の残業は
当たり前だ。だが、それはイベント開催時の現場立ち会いなどにより、
土日の残業が加算されるのが一般的だ。高橋まつりさんのような、内勤
デスクワーク中心の残業時間とは業務の性格が異なる。
高橋さんの自殺後も、電通は、彼女の失恋話を利用し、自殺の原因を
個人的問題に結び付けようと画策した。しかし、彼女のツイッターには
過労だけでなく、上司によるパワーハラスメントやセクシャルハラスメ
ントの被害を確信させる書き込みがされていた。
2017年10月6日、東京簡易裁判所は「違法な長時間労働が常態化し、
サービス残業が蔓延していた」とし、電通に対して労働基準法違反に
より罰金50万円の支払いを命じる判決を下した。電通は控訴せず、
罰金刑が確定した。そして、判決を受け入れた電通は、高橋まつりさん
の遺族に対して、賠償金を支払うことで和解した。
これまでの事件ではどこか他人事であった電通の社内も、この事件を
境に一変した。インターネットには、高橋さんの自死に関して会社が
全面的に責任を認めるとする社長のコメントが掲載された。さらに
パワハラやセクハラへの厳罰化が図られるとともに、内部通報制度が
強化され、匿名で社外の弁護士に直接訴えられる手段が新設された。
そして、管理職が部下に対して過度な残業を命じることがなくなった。
それは劇的な変化だった。どうしても残業が必要な場合は、管理職自ら
が働くようになった。
クライアントの労働意識が様変わりしたのも大きな要因だろう。クラ
イアント側も残業などしなくなったし、広告代理店に残業が必要なほど
の業務を発注しないのだ。さらにコロナ禍を機に、大部分の業務がリモ
ートで完結し、それでなんら問題がないというコンセンサスができあが
ったことも大きい。
もう24時間戦うことなど誰も求めてはいないのだ。
起用タレントについては、スキャンダルの有無、交際相手、好きなとありました。
ブランド、その他の性癖などの「身体検査」を行なう。とはいえ、
内実など簡単に探れるはずもない。スキャンダルでCMがお蔵入りに
なった場合、広告代理店とクライアントはタレント側に損害賠償を
求めるが、事務所側に支払い能力がないこともあり、ほとんどは
広告代理店が肩代わりすることになる。
テレビ東京は格下の民法と扱われ、長年蔑(さげす)まれてきたためか、とありました。
私が接した限り、社員の態度が非常に謙虚である。この点では高慢&
高圧的だったフジテレビと対照的である。テレビ東京は、クライアント
の無料のパブ宣伝(パブリシティー)などに対しても寛容かつ協力的で
私も世話になった。
「ずばり、嫌われていたんですよ(笑)。われわれに対する態度のということでした。
デカさや冷たさは、ほかの民放キー局と比べても異常なほどでした。
清水社長は自社の営業社員のことを “売り子” と呼んでいましたが、
かつてはわれわれ広告代理店の人間のことも “売り子さん” と呼んでいました。
正直、この先テレビの広告枠が今まで以上に値上がりすることもないし、
フジテレビを必死に守る必要はない。自業自得でしょう」

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さそい水さん