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「デロイアの物語を知る者は幸運である。心豊かな者であるから」←間違い。
「太陽の牙ダグラム」を象徴するセリフとは、「狼も死んだ、獅子も死んだ。心に牙を持つ者は すべて死んでしまった 」と言う、第1話のナレーション。第1話冒頭から登場した「朽ち果てたダグラム」の姿は、当時衝撃的だった。ザンボット3にしろガンダムにしろ、大破したのは最終回だし、イデオンですべてが因果地平の彼方へ消えたのもラストである。それが、第1話からとは…これは「 敗北を予告 」するものであり、相当に型破りだった。
実は、第1話は「パイロット版(イメージ)」である。「どう言う物語か?」と言う事を視聴者(スポンサー)に明示するものであって、後のストーリーとはやや異なっている部分があった。ただ、これは主役ロボ(ダグラム)が8話まで登場せず、また活躍はさらに先、と言う事への救済措置とも言える。
だが、もっとも驚くべきは、第1話に「シナリオが存在しない」事だろう(「現存しない」の間違いではない)。高橋監督が、スタッフに口頭で説明し、スタッフは「シナリオがない」事に驚いたと言う(主にマイナスの意味で)。ダグラムらしいと言うか…。
ここでお分かりのように、ダグラムとは「 敗者の物語 」である。植民地の人間が独立運動(ゲリラとして武装蜂起)を起こし、独立を勝ち取ろうとするが、現実(政治)に左右される話だ。だが、これがロボットアニメであり、1年半も続いたTVアニメだと言う事にも驚く。サンライズの単独アニメで、ダグラムを越える放送回数を持つのは4作品あるが、いずれも原作付きであり、オリジナルとしては最長である(サンライズのロボット物としても最長)。※ガンダムなど、続編を含む「シリーズ物」は別カウント。
開始当初、「ガンダム・イデオン・ダグラム」の3部作、と尋ねられた時、高橋監督は「それなら、ダグラムも富野さんが監督した方が」と語っていた(否定した)。ただ、スポンサー(タカラ)は「ポストガンプラ」を狙っており、制作(放送)が延長されたのは、視聴率が良かった為ではなく、プラモデルの売れ行きが良かった為だと言う(このストーリーは 大河ドラマ的 であり、視聴率的には苦戦したのも止むを得ない)。
その象徴として「 主人公 は、実は ドナン・カシム 」と言う構図である。地球連邦のトップである彼は、主人公クリン・カシム(デロイア解放運動の象徴であるダグラムのパイロット)の実父であり、デロイア独立を阻む人物である。だが、カンタンに「悪役」とは呼べない、誠実な人物だ(クリンの二人の兄は、対照的に俗物だが)。なお、ドナンの死ぬエピソードでは「戦闘シーン」がなかった。ダグラムとしても、珍しい措置である。
その彼に対抗するのがサマリン博士、デロイア開放運動のトップである(個人的な感想だが、モデルは 手塚治虫 ではないかと思っている)。彼は、ドナンの歴史観を「過去のもの」とし、クリンたち若い世代に期待をかけていた。
ドナンが病死し、サマリンが失脚(後、死亡)し、デロイアは形ばかりの独立を得る。そして、ゲリラとして活動していたクリンたちは、「自分たちの牙(武器)に落とし前」をつけ、 破壊 する。そして、市井の人間として真の独立に向かって行くのである。
敗者の物語=弱者の物語であり、爽快ではないが、これを見て心のバネにして欲しい(悩んでいる人は)。 現実 は、物語よりも遥かに 残酷 なのだから。
「だが、 物語は語り継がなければならない 」、第1話はそう締めくくっている(見出しは予告の決まり文句の日本語訳)。
ラコック、デスタンについてはいずれ。

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