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2009年12月25日
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カテゴリ: カテゴリ未分類


ようこそおいでくださいました。

聖なる夜にお客様とお会いできるとは、この上なく光栄なことでございます。



今日は、クリスマス。

お送りした物語も、今夜で最後を迎えます。

この扉を開けた先で待ちかまえている物語の結末を、あなたは見ることになるでしょう。


そこからぜひ、大切なメッセージがあることに気づいて頂きたい。

どのようなことも、お客様自身への血と肉にしてくださいませ。



私から、この言葉をお送りしましょう。





最も美しいものとは、、、一体どこにあるのでしょうか。
それは、一人一人の人間の中にあるのです。








また、あなたにお会いできる日を楽しみにしております。




それでは、どうぞ素敵な夜を――――。



















『ルドルフ、ナンバーナイン』


そして最後 「赤鼻のトナカイ」











――――止むことのない、雪。

白い凶器はノエルの行く手を阻みます。

ノエルはもう、前に進むことが出来ないでいました。

雪が膝まで積もっています。
雪にさらされて、顔が真っ赤になっています。


「・・・止まる・・・わけには・・・いかないんじゃ・・・。」

吹雪の中でも、ノエルの瞳の光は決して弱まることはありませんでした。



「・・・・!!!」



目の前の雪の塊にぶつかり、ノエルはしりもちをつきました。
その時、足にひどく痛みが走りました。

「・・・・っ・・・!!」

体勢を崩し、何度も起き上がろうとしましたが、足が痛くて立ち上がることができません。
どうやら足をくじいてしまったようです。
ノエルの強い瞳が、一瞬揺れました。



「・・・神よ・・・。」





「おや、神に懇願かい?」


いきなり声が降ってきたので、ノエルはとても驚きました。

「・・・・!?」

辺りを見回しますが、声の主は見つかりません。




「ここだよ、ここ。」

再び降ってきた声に注意を向けてみると・・・。

なんと、さきほどぶつかった雪の塊から声がしているではありませんか。
そして更に驚くことに、その塊がいきなり動き出したのです。

「・・・・な・・・なんじゃっ!?」

くるりっ、と前を向いたその塊には、目がありました。
鼻がありました。口がありました。
そしてほうきを持っていて、ノエルと同じように帽子を被り、胸元には赤いリボンをつけていました。

「・・・おぬしは・・・?」

聞くまでもありませんでしたが、スノーマンです。
しかしスノーマンは人が作り上げたもの、本来は喋ることなんてできないはず。

ノエルはただただ口をあんぐりです。


「ぼくが喋れることが不思議のようだね。」

スノーマンが器用に口を動かしながら喋ります。

「けどねじいさん、ぼくにしてみれば、こんな吹雪の中を、たった1人でそりを引きながら歩いているあんたの方がよっぽど不思議だけれどね。」


もしこのスノーマンの顔が表情豊かだったら、きっと笑顔になっていたに違いないでしょう。




吹雪の中、足をくじいて動けなくなった、ノエル。
その目の前には、なぜだか喋れるスノーマン。


ノエルはいったん、深呼吸をしました。





「じいさん、お困りかい?」

喋れるスノーマンを目に、ノエルは次第に落ち着きを取り戻していきました。

思えば、今日はノアとの出会いと言い、不思議なことばかり。
いちいち気にするのはやめました。

それに、ノエルには時間が無かったのです。


「ああ、ちと手こずっておる。足をやられてしまったようでな。」

「ふ~ん。」

スノーマンは、さも興味がないと言った様子です。


「でも、ぼくにはどうすることも出来ないなぁ。
喋れるけれど動けるわけじゃないんだ。
けれど、あんたのその様子じゃ、そこから動くことができないみたいだね。」

「それでも、わしは行かねばならん。」


「なぜ?」

「たくさんの子供たちが、わしのプレゼントを待っているのじゃよ。」

ノエルが微笑みます。


「あれ、もしかして、あんた、サンタクロースなのかい?」

「そうじゃ。」

「そうか。それならそれは、ほんとうに困りごとだ。
けれどもやっぱり、ぼくにはどうすることもできないよ。」

「わかっておる。お前さんの気持ち、じゅうぶんに嬉しいよ。」

「そうかい。」


スノーマンは、何かを思い出したように喋り直しました。

「そう言えば、誰かと話をしたなんて、いつぶりだろう。
話をすることがこんなにわくわくすることだったとはね。」

「ははは、そうか。そいつぁよかったよ。役に立てたな。」


ノエルは、この会ったばかりのスノーマンに、何だか親しみを持ちました。 

「ところでお前さん、名前は何て言うんじゃ?」


「ぼくかい?
ところがね、久しく話をしていなかったもんで、自分の名前も忘れてしまったみたいだ。
あったのか、ないのか。」

「それは不便じゃな。」

「不便かな?」


ノエルがふふっと笑います。

「ノアが言っておったよ。不便なら名を呼べと。」

「・・・・ノア・・・。」


「おや、どうかしたかい?」

「・・・いいや、おかしいな。心が少し反応したみたいだ。」

「・・・お前さん、ノアのことを知っていたんじゃないのかね?」

「うーん。知っていたのかもね。わからないや。
その、ノアがどうしたんだい?」

「ノアは、わしの背中を押してくれた。」

「へぇ。」

「だけれど、わしは歩く足を失ってしもうた。」

「うん、そのようだ。」

「子供たちの元へ行かなくてはならん。
クッキーを作らなくては・・・わしはこんなところで立ち止まっているわけにはいかんのじゃ。」


ノエルは立ち上がろうとします。


「おいおい、じいさん、無理をするな。」

「無理してでも行かねばならん。わしは・・・。」

ノエルの顔がゆがみます。

「じいさん、いけないよ。」

スノーマンの顔が近付きます。
吹雪で見えなかった顔が今度ははっきりと見えました。

真黒な目に赤い鼻、器用に動く大きな口。





「・・・赤い、鼻・・・?」

ノエルはおや、と思いました。


「・・・ルドルフそっくりじゃ。」

「ルドルフ・・・?」

その名を聞いて、スノーマンはさきほどのノアの名を聞いた時と同じ反応を返します。

「・・・ルドルフを知っておるのか・・・!?」

ノエルの言葉に力が入ります。

「・・・おかしいな。
知っているわけでもないんだが、どうもひっかかる。」

その時、ノエルの中で言葉が響きました。






―――・・・スノーマンに尋ねると良い。道しるべになろう。―――――







「・・・おお、そうじゃった。ノアは確かに、そう言った。
なぁ、お前さん。ルドルフを知っておるのじゃろう?ノアはお前さんが道しるべになると言ったんじゃ。」

「それが、どうにも。知っているような気がするんだが、思い出せない。何かが足りないようだ。」


「足りないとは・・・。」

「もう1つ言葉があれば、きっとぼくの記憶は戻る。」

「もう1つの・・・?」

「・・・そう・・・名前。・・・名前が足りないんだ・・・。」

「名前・・・?お前さんの名前か?」

「・・・ぼくの名前・・・。わからない・・・。」

「それは困った!わしにもわからん。」


2人ともが、うなだれてしまいました。
スノーマンの名前がわかりません。






――――尋ねると良い。道しるべになろう。――――






「尋ねる・・・。」

ノエルの顔がぱぁっとなりました。

「スノーマン!お前さんの『名前』を、教えてくれんかのう?」




「・・・じいさん、残念ながらぼくにもわからな・・・・」

スノーマンの口が止まりました。




「・・・・そうか。」

そして、大きく頷きました。








「ぼくの名前は、ハーミー。
ルドルフの道しるべになる存在。」

「・・・ハーミー。」

ノエルもその名を口にします。

「そうか、ハーミー・・・。さぁ、わしを、ルドルフのところへ連れて行っておくれ・・・。」














どこまでも続く、暗闇の中。









声だけが聞こえる。








(うわ・・・なんだコイツ)

(オレたちと違うね。)

(まるで血のようだ!)

(化け物だよ、よくないことが起こるよ!)

(仲間外れにしちまおう)

(そうだ、おれたちに災いがふりかかる前に・・・!!)










吹きつける雪の中、ノエルはただ、前を見つめていました。




さきほど喋っていたのは確かに、スノーマンのハーミー。





けれど、そこには・・・・・・。








「・・・・・ルドルフ・・・・。」




赤鼻のトナカイ、ルドルフの姿がありました。
代わりにハーミーの姿はありません。





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Last updated  2009年12月25日 19時54分33秒 コメントを書く


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