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2006/03/25
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「天帝妖狐」 (日記は →こちら )に続いて,

乙一の「夏と花火と私の死体,1996」

(2作の短編)を読んだ。

デビュー作ということだが,これまでに読んだ中では,もっとも怖かった1冊といえるだろう。

夏と花火と私の死体
作品としてもっとも驚かされたのが,語り手としてのわたし(五月)が弥生に殺された後も,一貫して語り手であるのをやめないこと。

死んだことによって「見開かれたままのわたしの目」をわたしが見ることのできるくらい,視線は解放されはした。
それでも,見て,聞いて,考えて,語っているのは,肉体から離れた霊ではなく,死体となったそのままの「わたし」なのだ。

これはもう,ある意味で「霊魂の不滅」とか「不老不死」とかをあっさりと越えてしまっている。

この怖さの前には,自分が殺したことをあくまでも隠し通そうとする9歳の少女弥生,笑ったまま死体を見て,妹に協力する11歳の健, 美少年のコレクターであることが判明する

だから, アイスクリーム工場の冷凍倉庫で仲間を見つけ,「寂しくなんかありません」 という「わたし」になぜかほっとしてしまうのだろう(笑)


優子
奥様である優子様を清音に会わせようとしない旦那様。
2人で1人分の食事。
2人の部屋の中にある数多くの人形と,ふとんの中で動かない奥様。
裏の竹やぶの中にある,2年前に死んだ奥様の墓。
旦那様の不在と一升瓶の中に灯油を詰める清音。

そして,プロローグにある「優子の炎に包まれた姿」。

だからこそ,決してそのままでは終わらないだろうと思っていた。そして,プロローグも何度か読み返した。

しかし,そうですか,そうまとめますか(笑)

プロローグで語られていた「歴史」も含め,すべてがおさまる所におさまった後,「首をかしげ」て「少し寂し」く感じる清音の姿を表した最後の2行が,かなり怖く感じられた。

乙一の他作品についての日記は,フリーページ  読了本(日本)  (乙一)からごらんください。


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Last updated  2006/03/25 12:20:18 AM
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