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「土神とキツネ」考 その1 ~嘘をつく心持ち~
恋する人に自分を伝え、認めてもらいたいという欲求は誰にだって多かれ少なかれあるものです。相手の関心を自分のほうに引き寄せたいと望むが故に「エーカッコウシイ」の嘘をつきます。
生来の性格というのはまわりの他者とのかかわりの中で「良い面」と、あるいは「良くない面」として反映されます。土神にしてもきつねにしても、それぞれ良いキャラクターを持っているのに、その良さをうまく発揮できないばかりか、発揮しようとすると自分の発する言葉の嘘によって現実は微妙に歪んでいきます。
二人に共通して言えるのは『自分自身をとことん信じきれない』という点です。
信じきれない面を自覚あるいは予見するが故に、そこを埋め合わせしようとして結果的に「嘘」をついてしまいます。嘘には無理がありますから露見すると倍になって矛盾点が爆発します。
皆それぞれによい面を持っているのですからその一方の自分の弱さや不足している面をそのままに認めてしまえば全く異なる新たなるストーリーの展開があるのですが、認めきれなかったところから「土神とキツネ」のお話が展開されていきます。