さて、奈保子さんと高橋のぶさんとの関わりがいつ頃からなのか、正確なところはわかりませんが、前に『DAYDREAM COAST』の記事に書いたとおり、84年のライブツアーでは、元々デイビッド・フォスターとのデュエット曲だった「LIVE INSIDE YOUR LOVE」を共演しています。これまた定かな情報でないのが恐縮ですが、Youtubeにアップされた録音の中で、何かのラジオ番組(ヤン火ではないとおもわれますが…)で高橋のぶさんをゲストに迎えた際、最初に会ったのがライブのためのリハーサルだったと言っているのを聞いた記憶があるので、それはこの84年のツアーだったのかもしれません。さらに記憶が曖昧ですが、奈保子さんはトランザムの印象からのぶさんのことを「ギンギンな人」とイメージしていたのが、実際に会った時にはTシャツか何かを着たごく普通の人だったので意外だった、というようなことをその番組の中で言っていたように思います(このあたり、記憶のみを頼りに書いているのでご了承ください…)。
86年には「NAO&NOBU/N. TAKAHASHI with TRANZAM II」名義のアルバム『SKY NATIVE』がリリースされましたが、このアルバムA面の楽曲は「君は綺麗なままで」を含む、奈保子さんとのぶさんのデュエット曲で構成されています。さらに、「PURE MOMENT」ボックスのブックレットに掲載されている山田聡さん(日本コロムビアの奈保子さん担当ディレクター)の回想には高橋のぶさんが当時、芸映の原盤ディレクターの立場にあったとの記載を見て、あらためて確認してみると、アルバム『JAPAN』ではアシスタント・ディレクター、『Members Only』ではディレクターとしてのぶさんがクレジットされていることに今さらながら初めて気づきました。山田聡さんによると、当時「高橋伸明さんと、あとはNATURALのギタリストで音楽的にも奈保子から信頼されていた永島広さんと、彼女の作りたい音楽をどうやって商品として仕上げていこうかと、よく酒を飲んでは話していた」といいます。ちなみに、アルバム『SKY NATIVE』のディレクターは山田聡さん、B面のアレンジは「永島広 and TRANZAM II」となっていますので、「酒を飲んでは話していた」三人の中から生まれたプロジェクトだったのかもしれません。
奈保子さんとのぶさんは、正確な時期は不明ですがFMスタジオ・ライブでの共演もありました。このライブでは「君は綺麗なままで」はもちろんのこと「ANGELA」「IF YOU WANT ME」など他の曲でものぶさんがコーラスで参加しているのが聴けます。「ジェラス・トレイン」でバックの "Jealous Train" のパートをのぶさんが担当しているのも面白いですが、何といっても圧巻は「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」で、これぞライブ!という活力に満ち溢れた素晴らしいパフォーマンスになっています。