嘔吐112.

April 9, 2006
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カテゴリ: 幻想即興曲



喉が焼けて掠れるまでシャッター切って死なせて。


氷張りの家、燻る暖炉は息を吹いた。
まだ火は消えない、かすかに音を立てる。

何を燃やそう、カーテンも花も跡形もない。
冷えた四肢は重ねて寄せるだけじゃ足りない。



逸らさず見ていてよ、わたしの写真が灰になるまで。

過去と今をゼロに戻しわたしをわたしで葬る。
あなたを温めて埃に塗れた銀色の猫。




あなたの写したわたしは白くはにかんでる。
まだ何色へと染まるのかさえ知らず。


炎の中、捩れる顔が浮かんできえる。
窪み落ちた記憶の言葉放り投げては。


逸らさず見ていてよ、わたしの写真が灰になるまで。
開いた穴を塞ぐようにわたしはダイヤを葬る。

あなたを温めて埃に塗れた銀色の猫。
身体中に刻みつけた刻印ごと愛して。

すべて燃やそう、あなたの頬を照らせるように。
立ち上った煙や煤が目にしみても。


逸らさず見ていてよ、わたしの写真が灰になるまで。


あなたを温めて埃に塗れた銀色の猫。


喉が焼けて掠れるまで、シャッター切って死なせて。




天野月子 『銀猫』





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Last updated  April 9, 2006 03:38:14 PM コメントを書く


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