嘔吐112.

February 20, 2007
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カテゴリ: Lily
夢を観ていると、何時の間にか境界を見失ってしまうのは仕様だった。

響く残響音と、自分自身とも似つかない声が僕の中をぐるぐると引っ掻き回す。君の初めの一言は、いつも僕の名を呼ぶことから。
おぼろげで、優しげで、けれど決して易しくはない。いつになっても変わらない彼と彼女の声色。僕はいつも、その声を聞く度に何処か心が落ち着いてしまう。
変わらないんだよ、何時になっても。12歳の夏、僕らが空に祈りを捧げたあの時のように、君はいつだって笑顔で血を流してる。そのやさしさが、僕には酷く心地良い。傷付こうとする僕を、いつも巣食ってくれたのは君だった。だから、その血が滲むのも、徐々に僕の脳髄が溶かされていくのも、いつだって仕様のないことだと判っていた。父さんがヒトラーや昔の知を愛するように、僕も、知を愛するが故に血を滲ませてゆくのだ。

こんなにも捻じ曲がった、生気のない僕らの世界は、正負の区別さえ付けさせない瘴気で満ちていく。虚ろという瘴気は、ただ虚ろに虚ろを注いでく。
そしてその虚ろは、時期に視界を阻み、僕らに現実を遠ざける。曖昧な現実は、曖昧な境界を引き、常に曖昧な本質を築いていく。
けれど僕は、その本質を理解出来ないが故に自分を現実に近付けさせないのか、その本質を理解するが故に近付かないのか、判らない。ループはループでしかない、名称としての自然さを求めない僕は、不自然な定義ばかりを思い起こしてしまう。其れが、僕の自墜落の様ならば、なんて滑稽なんだろう。

父さんのいた場所に今のわたしはいないように、母さんのいた場所には、当然のように姉さんの乾いた笑顔があって。
変わったものは、日々破壊されていくこの環境と、僕を取り巻く環境と、この冷虐な離人性。


少しずつ闇に病んでいくように想う。けれどその闇、つまり僕の中に潜む怪物の姿は、今のわたしには観えはしない。
けれど其れは、一端に恐怖と定義付けるには、余りにも御粗末過ぎた。だから僕は、僕の中に同じく怪物を産み出していく。不自然で、不可解で、僕にとっても不都合な其れを。

夢が、観える。甘くもない、優しくもない、ただ、名称だけを持ったものが。僕は其れに溶け込み、夢を僕に溶け込ませる。中途半端な矛盾が、白々しく、僕の声を一層荒がせる。





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Last updated  February 20, 2007 10:37:22 PM
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