ここなつ家のフィリピン生活
1
今日はフィリピンの教育とホームスクール事情について書いてみます。◆教育制度フィリピンの教育制度は、小学校6年とハイスクール4年の10年間の後、大学です。公立は1クラスが70人、教室などの設備もあまり良く整っておらず、椅子や机が足りないこともよくあります。クラスは成績によって分けられ、1組は成績の高い子、数字が大きくなるほど成績の低い子のクラスになっています。公立小学校からハイスクールに入ってくる生徒のレベルがあまりに低いため、今年から試験的に0学年制度という補修クラスが始まりましたが、合格レベルの子は従来通りハイスクール1年生に入ります。公立の程度があまりに悪いため、都市部の、ある程度収入のある中流以上の家庭では、子供を私立の学校に入れるのが普通です。しかし私立学校では1年の学費が3万ペソ(約75,000円)位から8万ペソ(約20万円)くらいかかるため、それほど生活水準の高くないフィリピンの家庭では教育費が大きな負担になっています。そう言った意味でも、比較的手ごろな値段で程度の高い教育ができるホームスクールに人気が集まっているのだと思います。◆科目フィリピンの国語は、タガログ語が元になったフィリピン語(フィリピーノ)です。この他英語が公用語となっています。最近まで英語、算数、理科は英語で、社会とフィリピン語はフィリピン語で教えられていましたが、2004年度から理科と社会、体育、図工、道徳が1科目に統合されて「マカバヤン(愛国)」という科目になり、マカバヤンはフィリピン語で、それ以外は英語で教えられることになりました。(ただし地方には各地方ごとに地域共通語があり、これらの地方語も使われる場合もある。)ただし私立の学校はこのようにマカバヤンとして統一する必要が無く、今まで通り理科と社会と分けて教えられている場合が多いようです。◆ホームスクールホームスクールは教育省により正式に制度として認められているわけではありません。しかしフィリピンは経済的な事情などから途中退学者が多いため、そういった人たちがまた学校に戻る時に受ける認定試験があります。ホームスクールをしていた人が学校に戻りたい場合、この認定試験によって、学年レベルを診断してもらうことができますが、これは基本的に「学校へ入る」ということが前提で受けるものだということです。◆ホームスクールのできる学校機関家庭で親が教育しながらも、「何学年終了」という終了証や成績証明が出してもらえる学校、およびホームスクール・サポート機関がフィリピンにはいくつかあります。一つはアメリカのSchool of Tomorrowの系列の学校のホームスクール部です。ここはフィリピン各地に学校もあり、その学校でもSOTの教材が使われています。ホームスクールの場合も、同じ教材です。SOTはフィリピン向けに国内で印刷した廉価な教材やフィリピンの社会やフィリピン語の教材も出版しています。これは問題集中心の教材で、本人が1日何ページと決めて学習し、自分で答えを確認する、という教材なので、殆ど親が教える必要はありません。ここは歴史が長く、ハイスクールまであります。今まで知り合ったホームスクーラーの中ではこのSOTを使っている人が一番多いように思います。その他、アメリカのAlpha Omega社の教材を使っているThe Master's Academyという学校があります。ここはプロテスタント教会のチャーチ・スクールとして始まった所で、普通の学校に付属のHS部があるような形になっています。ゆっぴーはここに登録していました。現在ここに登録している生徒は大体200人くらいだと思います。最初にHS部ができたころは、1年間で1年分の教材を終えなければならないなどの制限があったそうですが、最近は1年分の教材に何年かけても構わないようになりました。もちろん延長するとその分追加手数料を払わないといけないのですが。ここは毎月、または三ヶ月おきに習熟度テストがあります。SOTと違い、ここは毎月ペアレント・トレーニングや地域ごとに集まるCOOP制度があります。(うちの地域のCOOPは殆ど活動が無いようで、1年間のうち1度も集まったことがありませんが。)ここはまだ小学校しかありませんが、将来的にはハイスクールもできる予定です。ここは積極的にフィリピン教育省とも協力しているため、最近は発達障害のある子供の家庭が教育省に相談に行って、ここを通してホームスクールをすることを奨励された例もあるということです。上記TMAが使っている教材出版社のAlpha Omegaは、アメリカにオンライン・スクールを持っている会社なのですが、来年度からは新たにAlpha Omegaのインターナショナル・スクールがフィリピンにできることになったそうです。その他、ビクトリーという教会のチャーチ・スクールがホームスクール部を開始し、ここは親が教材を選ぶことができるそうですが、残念ながら現在は試験的に行なっているだけなので、その教会の教会員のみだそうです。こういった学校付属のHS部などに登録している以外に、個々にホームスクールしている人も多く、アメリカからの各種教材(ボブ・ジョーンズ、A BEKA、Sonlight等)を個人輸入して使っている人や、ローカルの教科書を使っている人、あるいは特に決まった教材を使っていない人など様々です。◆民間のサポート・グループ教材などの違いを超えて、HS家庭が交流するサポート・グループがいくつかあります。これは口コミで知人同士が集まるもので、私の知っているだけで3つぐらいグループがありますが、参加している家庭が重複している場合も多いです。同様にメーリング・リストがいくつかありますが、こちらもかなりメンバーが重なっています。
2005年03月06日
閲覧総数 570