クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

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February 18, 2007
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「死と乙女」の弦楽合奏版が実演されるのが期待で,近々Hさんがホームとする弦楽四重奏団の演奏会でもこの曲を取り上げるので,聴き比べに
いかがですか?とお誘いいただいたのでした.ただ,Hさんのホームのほうの演奏会は出張のために聴きに伺えないのが大変残念なんですが...

「死と乙女」は弦楽四重奏の原曲で聴いてもドラマチックなところがあり,弦楽合奏へ編曲するとまた変わった味わいがありそうです.この編曲はかのマーラーによるもので,当日配布されたプログラムには,この曲のドラマチックな性格と,「命あるものは必ず滅ぶ」という想念がマーラーの心に響いたのでは,というような解説がありました.マーラーにとっては,この原曲の響きは弦楽合奏によりはじめて完全になると考えていた,ともあります.

実際に演奏を聴いてみると,なるほどこうなるのか~,と実に興味深く聴けました.第1楽章冒頭の,緊迫感ある始まりは合奏ならではだし,演奏はしり上がりに盛り上がってゆき,特に終楽章のプレストは,迫力ありました.「死と乙女」の名があるのは第2楽章の主題が,シューベルトが書いた歌曲「死と乙女」のピアノパートで用いられている旋律がつかわれているからですが,この主題と変奏も,よく歌われていました.ただ,私のイメージとしては,この曲はやはり弦楽四重奏で聴くほうが,味わえる感じがしたのも正直なところ.旋律のからみや対位的なからみは,弦楽四重奏のほうが裸に近くなり,よく聴こえてくるような印象をもちました.またもし私もヴァイオリンを弾けるなら,やっぱり弦楽四重奏のほうが大変だけど楽しさも大きいかな,という感じもしました.

実は私の好きなメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲にも弦楽合奏版があって,イスラエルフィルの弦楽をメータが指揮した有名な録音があり,この弦楽合奏もはまっているなぁ,という印象を持ったことがあり,それをこの「死と乙女」にも期待しちゃった感があったのですが,こちらの場合は弦楽合奏にすると原曲が持っていた繊細感がちょっと薄れてしまって,ドラマチック感が少し強く出すぎちゃうきらいがあるかな...という印象でした.これは演奏の良し悪しではなくって,やはり編曲から出てくることだと思いました.(マーラーではなくブラームスが編曲していたら?また違ったかもしれませんね.)

そういえば,この「死と乙女」の終楽章の出だしは,黒人霊歌の...曲名は忘れたけれど,その出だしに似ていますね.似ているのが日本の曲なら,NHK FMの日曜日夜の「気ままにクラシック」の「どこ似て」コーナーに投稿できてホームラン間違いなしと思うのですが...残念.

当日の演奏会のアンコールには,同じシューベルトの弦楽四重奏曲の「ロザムンデ」より第2楽章が演奏され(この編曲はどうされたんでしょう? オリジナルだったのかな?),これも有名な旋律が主になった曲.「死と乙女」でちょっと深刻な気分になったところを,柔らかくやさしく包んで帰途に着かせていただけた,心憎い演出でした.

大変興味ある楽しいひとときを過ごさせていただきました.感謝です.

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Last updated  February 20, 2007 01:32:53 AM
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