護送車は広い。車内に私とつきそいの看守だけが最後部座席に座った。
窓から、景色が見える。アパートなどが見えた。
よく、この車は見かけていた。
(こんな風にして乗っていたのか)
と思う。
荒町のあたりで震災の爪あとの道路段差のため軽いジャンプがあった。
検察庁に着き、車から降ろされたのは検察庁の車庫にあたる。
この検察庁には、300万円をひったくられたとき(自分でつかまえた)被害者として来たことがあるが、それ以来だ。その前に、官庁の食堂を取材していたときに、ここの食堂でカレーライスを食べたことがあった。なるほど、そのとき、警官がいたのは
「これ」だったのか。
地下に降りる途中にカレーの匂いがした。
地下二階に行くと、椅子がボルトで固定されている、やはり檻に入れられ、手錠がはずされた。トイレがあるが、めかくしのための金属板が、一応たてかけるように設置してあるが、基本丸見えの構造だ。
窓をあけると、また鉄格子ごしに、階上の網が見える。その網の上をひとや車がたまに通る。
窓ガラスは透明なプラスチックだった。
トイレを使うときは、看守が気を使ってくれて、体をすこしずらして見ないようにしてくれた。
椅子は長いすで、深くなく、休まるようなものではない。ひたすらここで、待つ。
時計も、本も、もちろんテレビもなにもない。
檻のなかにあるのは、
トイレ、椅子だけで
自分とパンツとジャージの下と、シャツと、ジャージの上。
それがすべてで、そこで待つのだ。今何時なのかもわからない。いつまで待つのかもわからない。
おそらく、そこで4時間待ったと思う。