落日

落日

2006年10月14日
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カテゴリ: 斜陽
ハルコが目を明けると、邦明はいつも起きていた。
ハルコの気配を感じて起きるのか、邦明の気配にハルコが目を覚ますのか、判らなかった。
ただ邦明はそのたびにハルコを抱き寄せた。
前から抱かれるのは、息苦しくて好きではない。
ハルコはそのたびに寝返りを打ち、邦明から背を向けた。
ただ、背を向けるだけでなく、邦明の腕がハルコの胃の辺りに来るように、位置を決めていた。

まどろむだけの内に朝が来て、その間に邦明は、「一晩中愛し合いたい」といった詞のとおり、何度もハルコを組み敷いたり、体の上に乗せたりした。ハルコは邦明が想像していた以上に子供っぽい表情をすることもあったし、想像していた以上に大人びた反応をすることもあった。
ハルコは、起き出して、邦明に軽くキスをし、愛してるわ、と口にした。
言葉にしながら、気の重さを感じた。





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最終更新日  2006年11月14日 03時05分24秒
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