落日

落日

2006年11月01日
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カテゴリ: 残像
「六年前の或る日、私の胸に幽かな淡い虹がかかつて、それは恋でも愛でもなかつたけれども、年月の経つほど、その虹はあざやかに色彩の濃さを増して来て、私はいままで一度も、それを見失つた事はございませんでした。夕立の晴れた空にかかる虹は、やがてはかなく消えてしまひますけど、ひとの胸にかかつた虹は、消えないようでございます。どうぞ、あの方に、きいてみて下さい、あのお方は、ほんとに、私を、どう思つていらつしゃつたのでせう。それこそ、雨後の空の虹みたいに、思つていらつしゃつたのでせうか。さうして、とつくに消えてしまつたものと?(太宰治『斜陽』)





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最終更新日  2006年12月13日 01時57分36秒
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