空のへや

空のへや

2005.02.15
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カテゴリ: 本
「カウンセラー」作者:松岡圭祐

ダニエル・キイスの本が好きなので、心理学系小説は好きなのですが、この作家は新しく発掘した人です。

少年犯罪の被害者(主人公)の心の闇にせまる、という感じでしょうか。
臨床心理士・嵯峨敏也のシリーズです。
前半は面白く読めたのですが、最後のあたりは「どうなの?」と微妙な気持ちになりました。

あらすじ

主人公・響野由佳里は、小学校のピアノ教師。
ピアノを通して他人の感情が理解でき、不登校の子供を立ち直らせる事を生きがいのようにしています。
ダンナと離婚後、二人の子供と暮らしています。


警察での事情聴取以降、PTSDの症状が出て苦しみます。
が、加害少年殺害を目標にし、心の平穏を取り戻す。
その後も他の少年犯罪の加害者殺害を生きがいのようにしてしまいます。

最終的には嵯峨敏也が由佳里を自首させるのですが、
なぜこの人が由佳里に関わってきたのか?という理由が、二人の子供が境界例だったから、というものでした。
そして、母親である由佳里もまた境界例である。
境界例の人は、みずからを見捨ててしまっているため、一般の人には想像できないような凶行をおこしてしまう事がある。
嵯峨敏也はそれを心配して、由佳里の表彰式で様子を見に行ったのでした。

最初に「グロテスクな表現がある」と書いてあるだけあって、
リアルに想像するとかなりな描写です。

私が微妙に思ったのは、なぜ母親である由佳里が子供の異常に全く気付かなかったのか?という点です。

男の子はともかく、女の子は万引き、リストカット等をしていたため、祖母が病院へ連れて行ったとの事。
子供が死んでからそんな事を知るより、生きているうちに知って何らかの対応をしたかっただろうに。
カウンセラーの方から勝手にカウンセリングをするのはムリだろうから、この場合はどうしようもない気もしますが。
子供が通っていて母親が原因だと分かっていたなら、
母親をカウンセリングに呼ぶ事は出来ないのかな、と複雑な気持ちになりました。


しかし、加害少年がなぜ殺人を犯したのか、という質問に対して由佳里は
「彼は悪人で、理由なく私の家族を殺した。」
と答えているのですが、他人から見れば由佳里も同じ。
加害少年だけでなく、犯人と一緒にいただけの少年まで殺しているからです。
その子の親からすれば、いじめられていたから一緒にいただけで、
抜けれるものなら抜けさせたかったでしょう。
犯罪を犯したわけでもなく、なぜ殺されたのか・・・
私には、そこに正当な理由があるとは思えないのです。

私は今まで、少年法って時代に合っていないな~と思っていました。
今でも、そう思っています。
でも、この本に書かれている加害少年については、この少年もある意味、被害者なのかな・・・と思いました。
少年法を改正し、刑罰を重くするだけが解決法ではないような・・・
由佳里の子供も、こういう犯罪の加害者になる可能性が多聞にあったと思うのです。
親から認めてもらえなかった子供たち。
不登校の子供を救うくらいなら、まずは自分の子供にももっと目を向けてあげればいいのに・・・

これから私もいつかは子供を産むと思うんですけど、
こういう話を読むとやり切れない思いが残ります。





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最終更新日  2005.02.16 12:15:56
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