Flatのガンプラ製作日記

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2021.09.17
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カテゴリ: 本の感想
書籍の感想です。
今回は「天使と悪魔のシネマ」です。


天使と悪魔のシネマ (一般書 325) [ 小野寺 史宜 ]

小野寺さんの小説です。
先日、「ひと」と「まち」を読み、もっと読んでみたいと思い、
こちらを選んでみました。
タイトルからして「ひと」や「まち」とは一線を画す小説なんだろう
という予想を抱いて読み始めました。


なんかおかしいな、と思っていたら、実はその方、死んでしまっている
そうです。しかも、不運にも上から鉄骨が落ちてきてその下敷きになる
というなんとも痛ましい事故でした。

それをスクリーンの向こう側にいる役者さんから説明されるのです。
「あれ?会話できるぞ??」なんて疑問に感じているうちにだんだん
自分が死んでしまったことが真実であることを理解するようになります。

タイトルの「シネマ」というのもあったので、二話以降もこんな感じで
映画館を舞台にしたお話なのかな、と思ったのですが、ちょっと違いました。
二話は映画館は全く無関係で、全く別の「天使」のお話でした。
こうなると、一話完結の短編なのかな、と思いました。

このお話には天使と悪魔が出てきます。

天使は「悲惨な死をそこまで悲惨ではない死にする」
悪魔は「早死にすることなっている人を転ばせたり、背中を押したりして
    事故死に見せかけて死なせる」
というミッションを持っています。

どちらも結局は関わった方は亡くなるのですが、積極的に死者を増やそうとは


例えば、電車に身を投げた自殺志願者を救おうと自身も飛び込んだおじさん。
なんとか明日桁が、自殺志願者は大けがを負い、しかも死んだときの保険金で
家族を守ろうとしたが、それでもできず状況はますます困窮する。
しかも、おじさんは3日後、妻に離婚を迫られ、カッとなり、妻を殺してしまう。
そのせいでおじさんの娘は親戚に引き取られることとなり・・・

みたいな感じで負の連鎖が続きます。
そこで天使は驚くべき提案をするのです。
驚くべきというのは「天使には結局死ぬ人の人数を減らすことはできない」という
ルールがあるような気がします。
単純に事故に遭わないようにする、とかそういうことはできないのです。
結局、死ぬ、そうであれば、残された人がより幸せになるような死を選んでは
どうか、という提案なのです。

もちろん、選ぶのは本人ですが、悲惨は未来が待っていると聞かされてはあまり
選択肢はありません。
天使も結構強引な感じがあります。完全な善人というわけでもないのかな。

そんなこんなで、これから死ぬ人、死んでしまって霊魂となって漂っている人(?)
運良くギリギリのところで死を免れた人、とかが出てくるのですが、最後で
色々なお話が繋がっていることが分かります。
関係ないと思っていたそれぞれのお話がだんだん繋がってくるのは面白いですね。

ここまでのお話は、天使と悪魔の利害がぶつかっていることが原因で発生したり
していたのです。
悪魔はとにかく早死にさせれば良いので、ダンプを部屋に突っ込ませたり、
バイクをこけさせたり、酔っぱらった男に車を運転させ、歩行者に突っ込ませたりと
色々画策します。
しかし、天使はその死がそこまで悲惨なものにならないように画策するわけです。
その結果、悪魔が勝つ場合もあれば、天使が勝つ場合もあるわけで、この「闘争」
を映画のワンシーンみたいだと思って、タイトルになっているのかな、と感じました。

なかなか面白かったです。
「ひと」や「まち」とは全く違いますが、天使の提示する「救い」が
「死んでしまう運命の人を死ななかったことにする」とかそんな全能の
ある救いでないことも納得感がありました。
そんな全能ならもっと別の救い方があると思うからです。
痛みを和らげる、十の悲しみを五くらいにするという感じですが、
それはそれで当人にとっては大いなる救いとなるかと思います。





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Last updated  2021.09.17 10:34:21
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