2004年06月28日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
”風雲!たのみこむ城!!ぷろじぇくとX(ぺけ)”
アレ を叫ぶ” ヨッパライ麻生百合之介のカレイな挑戦・後編~

(風の中のす~ば~る~♪砂の中のぎ~んが~♪みんな何処へ行っ~た~♪見送~られることもなく~♪)



漢達は地吹雪と風の音だけが鳴り響く暗闇の中に足を踏み出した―。


まだ明けきらぬ暗闇の中で、中からランプを点したテントが幾つも幾つも、テント場に立っていた。それはさながら、色とりどりの繭のランプシェードが、生の灯火を湛えているようだった・・・。



ひゅううううう・・・・ごおぉおぉぉぉっ!



強い風の音が、漢達の背中を押した。




(さ、寒い・・・T▽T)


酔い冷めの体に、ボタ雪混じりの風の寒さが骨身に染みた。見上げれば、空は物凄い勢いで雲が流れていく。それでも希望の星は、見えなかった―。





やがて―。




漢達の目前に、巨大なスロープの様な道が現れた。文三郎尾根―だった・・・。



(これが アノ


過去、三回の八ヶ岳登山で、この道は嘗て知ったる道である筈・・・だった。だが、今目の前にあるその坂道は、真綿の様な雪を敷き詰めて、その様を全く変えていた。さながら、地獄へと続く坂道のようだった。


「こっがらえらい登りだべ。百合之介、あますなよ。」


ゴーグルの奥で笑いながら、山縣が言った。だが、百合之介は、その冷やかしに応じる気力も持ち合わせていなかった。



ザクッ、ザクッ



アイゼンの爪をしっかりと雪に噛ませて、一歩一歩着実に登る。先頭を歩くのは、後輩の千恵蔵。隊のペースメーカーだった。千恵蔵は、向かい風に逆らうように、一歩一歩力強く坂道を登っていった。




と、その時―。




『千恵蔵ーッ!!今何℃だあぁぁぁっ!!??』



強風に掻き消されない様に、百合之介が先頭を歩く千恵蔵の背中に向かって声を上げた。千恵蔵は、温度計を装備した腕時計をして歩いている筈だった。






「わかりませんッッ!!」




しかし、千恵蔵は、振り向く余裕も無い様に、背中で応えた。




『なぜだーッ?!お主温度計持ってたんじゃないのかぁッ!!?』




頬を打つ雪に顔を顰めながら、百合之介は再度千恵蔵に問いただした。




「この寒さで、ぶっっ壊れましたあッ!!」




「でも、この時計、-20℃まで測れる筈ですから、 それ以下 だと思いますっっ!!!」











・・・( ̄ー ̄;)マイナスニジュウド・・・イカ・・・?








『よっしゃあぁぁーッッ!判ったああああぁぁッ!! お゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ~ッ!!



その時だった。寒さと二日酔いに堪えきれずに、麻生百合之介は、新雪が降り積もる白一色の稜線にあろうことか お好み焼き屋さん新装開店。


「おわっ!?百合之介殿、だ、大丈夫ですか!?」後に続いていた野比田くんが、血相を変えて駆け寄って来た。



『・・・だ・・おぇっ!・・ぐ・・だいじょぶだ。し、しばらくやすめば・・・』



・・・息も絶え絶えに、ヨッパライはそう言った。



―厳冬期の冬山で、お好み焼き屋さんを新装開店したのは、もしかしたらこのヨッパライだけかも知れなかった・・・。。。












(・・・?)



その時だった。百合之介の前を歩いていた 見知らぬ人 が、不意に立ち止まった。



(こら、さっさと行け!)



百合之介は、心の中でそう叫んだ。だが、どうも前に立ち止まっている人の様子がおかしかった。



(バテたんかな?)



前かがみになっているその人達を追い越せるか確かめる為、横から前を覗き込んだ。すると―。



(・・・違うな。。。ピッケル雪に突き刺したあの姿勢って・・・ 耐風姿勢 じゃん・・・--;)



右手を見ると、そこは、 凄い絶壁 ―。




と、その時―




ごおぉぉぉぉっ!!



と言う、凄まじい突風が襲った。




(T▽Tあわわわ、や、ヤバイ!!)


百合之介も慌てて後ろにいる野比田くんに声を掛け、耐風姿勢を取って、風が止むのを待った。間一髪の・・・出来事だった―。






 吹く風と視界を遮る雪に悩まされながらも文三郎尾根の核心部を抜け、足元から来る寒さに耐えながらも稜線のピーク手前の崖を、雪で滑る鎖にしがみ付きながら這い上がり―。そして遂に・・・。










『うおぉぉぉっ、着いたああぁぁーッ!!』





午前6時46分、 頂上到達。



 東の空は暁闇の中に黄金色の雲が流れ、茜挿す山の峰々は、雪のヴェールを被りながらもその陰影が稜線の隆起を明らかにし、風の音と共に満ちた、清澄な冷たい空気が、人里離れた深山の荘厳な雰囲気を顕していた。



(初日の出は!!)



漢達は東の空を見つめ続けた。すると・・・










東の彼方の稜線から、金色に耀く太陽が・・・!!




(おお・・・)



それは、何にも増して美しい耀きだった。漢達はしばし、その壮麗な陽の光に見とれていた・・・。



「先輩!!今です、”アレ”を叫びましょう!!」



「んだ、皆、用意はいいが?」



『おう!』



「はい!!」



「いくぞ、せーの・・」











”やああぁぁっほおぉぉぉーッ!!”








・・・(TーT)ジーン・・・。




日本の(ほぼ)中心・八ヶ岳で 正月に”ヤッホー”を叫ぶ ・・・。漢達の本懐は今・・・達成された。。。





―感動の瞬間・・・だった・・・。























はずだったのだが

















本当の悲劇 は、 実はここから。




「先輩、写真撮りますよ。」


後輩の板井が、気を利かせてシャッターを押す役を引き受けた。百合之介は 写真が大ッキライ だったが、流石にこの美しい風景と共にならばと、これに応じた。


「いいですか?いきますよ。・・・はい、チーズ」


と言って”伝染るんです”のシャッターボタンを押そうとした。が・・・ シャッターボタンが落ちない。







・・・どうやら、 ボタンまでもが凍っている らしかった。



「あれ?おかしいな?ちょ、ちょっと待って下さい。」


と言って板井が・・・ グローブ外した。








更に・・・






「ファインダーが見難い」






と言って・・・






耳当てまで外すし。


「よし。はい、いきますよー」



パシャッ!





どうにか、シャッターは切れたようだった。しかし―。






「・・・あれ? 耳当てとグローブは? 」


振り向くと、 元来た道のず~っと下 に、 板井のグローブと耳当てがポツンと・・・


「あーッ!!やべっ!??」


板井は・・・転がり落ちる様にしてグローブと耳当てを追いかけた。やっとの思いで取り戻し、戻って来た時―。







板井の耳と指はピンポン玉くらいの大きさの水ぶくれが。


『おい、大丈夫か!?お前、耳凄いことになってるぞ!?』


「・・・なんか・・・ 耳朶の感覚 無いです。。。」


明らかに凍傷の兆候だった―。山縣が、兜山に先導させて、板井を先に下ろした。漢達も、10分もジッとしていると猛烈な寒さが襲い掛かって来る山頂に長居はできないと、先を争うように頂上を後にした・・・。





 そんな中、百合之介は、新雪を被った稜線を 尻スキーで 滑り降りていた。




(わははははは!チョ~快適~♪)




 歩く速度の数倍の速さで滑り降りて行くヨッパライ。だが、その内・・・













段々のっぴきならない速度になってきた







ズザザザーッ!ザッ!ザザッ!!ザーッ・・・







(・・・ちょ、ちょっと早過ぎない(T▽T)?自分・・・)


しかし既に 制御不能。 もし次のカーブで曲がり切れなかったら・・・







滑落






の可能性が無いことも無かった―。







と、その時―。





ガスッ!







と言う音と共に、雪の中にうずくまるヨッパライの姿があった。。。





―どうやら・・・ 曲がりきれずに岩にぶつかって止まることが出来た ようだった・・・。



ともあれ全員無事に下山し、「痛い痛い」と喚く板井を病院に送って、漢達は無事、幕営地に戻った。下山したのは、昼過ぎ―。その頃になって、澄み渡る様な青空が、白銀の山を彩っていたことが、納得行かなかった・・・。



(ヘ~ッドラ~イ~♪テ~ルラ~イ♪旅は~まだ~終わら~ない~♪)






リーダーの山縣さん。


大学卒業後、就職転職を繰り返し、仙台に移住。福島弁の体得に勤しんでいる。




自衛隊出身の、野比田さん。


消息不明。




凍傷に罹った板井さん。


その後、夏山でブユとハチに刺される。




ヨッパライの麻生百合之介さん。



以下省略―。




漢達は、”日本の中心でアレを叫ぶ”目標を達成した。それは、馬鹿馬鹿しい目標だった。



しかし、漢達は、数々の困難を乗り越えて行った。



・・・寒くて痛い冬が、通り過ぎて行った―。           完





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年06月29日 00時45分42秒
コメント(5) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

コメント新着

MartaTek@ President The US president raged at NATO allies o…
JamesTraup@ Наркологическая клиника Похмельная служба. Вывод из запоя на дому Информация об обращении не передается т…
Davidced@ мастер по ремонту компьютеров в Волжском ремонт ноутбуков в Спартановке<a hr…
Jamesphire@ Клиника Триумф. Вывод из запоя анонимно Мы работаем круглосуточно и готовы опер…
Davidced@ компьютерный сервис в Волгограде и Волжском компьютерная помощь в в Волгограде Спар…

お気に入りブログ

知恵の友の会 知恵の友さん
謎的HP Asellusさん
スザンヌの「ぶろぐ… スザンヌ☆さん
福岡・博多の美味し… 福岡・博多の美味しい情報さん

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: