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SF小説から科学書まで、サイエンス・ブックを網羅した『サイエンス・ブック・トラベル』という本が面白かったので・・・以下のとおり復刻して読んでみよう。*********************************************************図書館で『サイエンス・ブック・トラベル』という本を、手にしたのです。【サイエンス・ブック・トラベル】 山本貴光著、河出書房新社、2017年刊<「BOOK」データベース>より“いま”と“これから”がわかる。気鋭の科学者ら30名が自然科学の眼差しで捉えた世界の姿!!【目次】1 宇宙を探り、世界を知る(この世界の究極の姿は何か?/人はなぜ宇宙を探るのか?/光より速く進むことは可能か? ほか)/2 生命のふしぎ、心の謎(心はどこにあるのだろうか?/動物はどんなふうに働いているのか?/生物は、細胞は、果たしてどう進化してきたのか? ほか)/3 未来を映す(私たちが“身体性”を備えるとはどういうことなのか?/科学的な思考とは何か?/未来の医療はどうなるだろうか? ほか)<読む前の大使寸評>追って記入rakutenサイエンス・ブック・トラベル「SF小説と科学書の類似」が語られているので、見てみましょう。p190~192<22 SF小説を書くには?:藤井太洋> 1976年に初版が発行され、平成元年の1989年に増補改訂されたリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』はこう始まる。 “この本はほぼサイエンス・フィクションのように読んでもらいたい” サイエンス・フィクション=SFというジャンルの文学を定義するのは難しいが、多くのSF作家が宇宙開発や時間旅行、人工知能が支配する社会やジェンダーの溶け合った遠い未来を通して人が不思議や神秘に触れたときに感じるときめき・・・“センス・オブ・ワンダー”を描こうと日夜努力していることは共通している。 そんな日々を送っている身にとって、この序文は挑発的だ。 科学者が? 科学書で? SFのように読める? 甘く見るんじゃないよ、と言いたくなるところだが、実のところ本書は優れたサイエンス・フィクションのように読めてしまう。 科学書なので当然ではあるが、ドーキンスは物語を前に進めるためにSF作家がやるような嘘や隠蔽を混ぜない。喩えの中に混入してしまう正確でない言い回しの意図を修正するために、五月蠅いと思えるほどに紙面を割いてすらいる。日本人には馴染みの薄い宗教に対する言葉など、何度繰り返せば気が済むのかと感じてしまうほどだ。それでも本書は面白く読めてしまう。 ドーキンスの語り口は、SF作家が作品の中で架空の事物を作り上げていく方法とそっくりだ。先入観を覆すような言葉で読者の興味を惹いておいて、手触りの感じられる事例を丁寧に紹介しながら伝えるべき理論を積み上げる。最後に力強く、冒頭で示した言葉の意味を述べる。 特に第12章「気のいい奴が一番になる」で扱われるゲーム理論と進化的に安定な戦略・・・ESSのくだりは秀逸だ。囚人のジレンマという思考ゲームで、遺伝子が生命に行わせている戦略が徐々に明かされていく。ゲームノプレイヤーがとる戦略の「やられたらやり返す」というフレーズは、事例がサッカーのゲームや離婚訴訟に及んでも繰り返されるが、最後に「利己的な遺伝子」という本書のテーマを強く補強するチスイコウモリの“献血”事例に帰着して、1世紀以上も居座っている“血まみれの自然”という先入観を打ち砕く。 まるでよく書けた短篇小説のような美しい構成だ。私は何度も読み返しているが、実際のところ本書がなければ、いくつかの重要なSF作品は生まれなかったか、全く違う読み心地となっていただろう。 本書の主たる主張である生物=生命機械論や『利己的な遺伝子』というフレーズだけをとってもマイケル・クライトンの『ジュラシックパーク』や瀬名秀明『パラサイト・イヴ』、岩明均『寄生獣』などにその影響は色濃く出ている。そして進化論というアイディアがDNAに留まらないことを示してみせた“ミーム”に至っては、SF作品において文化を技術的に操作することへのもっともらしさを加えるための必須のアイディアの一つともなっている。 「論」や「説」が生まれた場所とその熱気を知ることは難しいのだが、“ミーム”に関しては『利己的な遺伝子』から始めればよい。その一点だけでも本書の価値は計り知れない。 もう一つ驚くべき事がある。40年近く前に書かれた科学書だというのに、その論旨と事例が全く古びていないことだ。これは驚愕に値する・・・正直に言えば、羨ましい。 東西冷戦が終わったために、スパイ小説家たちは頭を抱えたというが、PCとIT革命は同様にSFを書きにくい時代にしたと言われている。私たちが住む21世紀の社会は情報革命によってかつて描かれていたSFを超えつつあるからだ。『利己的な遺伝子』を以前に読んだので紹介します。【利己的な遺伝子】リチャード・ドーキンス著、紀伊国屋書店、2006年刊<「BOOK」データベース>より「なぜ世の中から争いがなくならないのか」「なぜ男は浮気をするのか」-本書は、動物や人間社会でみられる親子の対立と保護、雌雄の争い、攻撃やなわばり行動などが、なぜ進化したかを説き明かす。この謎解きに当り、著者は、視点を個体から遺伝子に移し、自らのコピーを増やそうとする遺伝子の利己性から快刀乱麻、明快な解答を与える。初刷30年目を記念し、ドーキンス自身による序文などを追加した版の全訳。【目次】人はなぜいるのか/自己複製子/不滅のコイル/遺伝子機械/攻撃ー安定性と利己的機械/遺伝子道/家族計画/世代間の争い/雄と雌の争い/ぼくの背中を掻いておくれ、お返しに背中をふみつけてやろう/ミームー新登場の自己複製子/気のいい奴が一番になる/遺伝子の長い腕<読む前の大使寸評>待つこと2週間、わりと早くゲットできたが・・・世界的なベストセラーという本でも、ちょっと古いのが狙い目かも♪<図書館予約:(12/05予約、12/18受取)>rakuten利己的な遺伝子お薦めの4冊1 リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』2 カール・セーガン『COSMOS』3 ブライアン・グリーン『エレガントな宇宙』4 福田和代『宇宙へ』『サイエンス・ブック・トラベル』3:利己的な遺伝子『サイエンス・ブック・トラベル』2:進化とは何か『サイエンス・ブック・トラベル』1:歴史を変えた火山噴火
2024.05.21
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手許不如意の大使は外出時には、サイゼリアですますことが多くなりました。だって最近はラーメンが千円近くするので、サイゼリアのコスパがより魅力的に映るわけです。・・・というわけで、ヤマザキマリが説くイタリア料理を復刻して読み直してみます。*********************************************************図書館で『パスタぎらい』という本を、手にしたのです。ヤマザキマリが説くイタリア料理ってか・・・これはいけるかも♪【パスタぎらい】 ヤマザキマリ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>よりイタリアに暮らし始めて三十五年。断言しよう。パスタよりもっと美味しいものが世界にはある!フィレンツェの絶品「貧乏料理」、シチリア島で頬張った餃子、死ぬ間際に食べたいポルチーニ茸、狂うほど愛しい日本食、忘れ難いおにぎりの温もり、北海道やリスボンの名物料理…。いわゆるグルメじゃないけれど、食への渇望と味覚の記憶こそが、私の創造の原点ー。胃袋で世界とつながった経験を美味しく綴る食文化エッセイ。<読む前の大使寸評>ヤマザキマリが説くイタリア料理ってか・・・これはいけるかも♪rakutenパスタぎらい第3章でオリーブ・オイルが語られているので、見てみましょう。p85~87<第3章 それでもイタリアは美味しい>■「万能の液体」オリーブ・オイル イタリアの家庭において絶対に切らしてはいけない調味料といえば、オリーブ・オイルをおいて他にない。 いざ料理する段階となって、オリーブ・オイルを切らしているのに気付くイタリア人で、軽いパニックになる人は少なくないはずだ。実際私も、舅が最後のオリーブ・オイルを使い切っておきながら、新しいのを補填しなかったことに姑が激怒して、その日の食事の準備を放棄してしまったのを目にあたりにしたことがある。 かといって、慌てて近所のスーパーで買ってきたところで、事態が円満に修復されるとは限らない。イタリアではその家庭それぞれにオリーブ・オイルへのこだわりというのが強くあり、どこのものでもいいということは決してない。例えば我が家の場合であれば、オリーブ・オイルはスーパーなどで小売店で購入するのではなく、二世代前から世話になっている農家から分けてもらっているものを使うのが定番だ。どんなに高級で高いオリーブ・オイルを買ってきても、喜んで使ってくれるわけではないのである。 イタリアのサッカーのナショナルチームが海外に遠征する時に、専属の調理師を伴っていくのは有名な話だが、その時に携帯する調味料として絶対に欠かせないのがオリーブ・オイルである。それもおそらく慣れ親しんだものでなければいけないはずだ。 選手によっては自分のコンディションの不調をオリーブ・オイルの味が普段と違うことを理由にしたりもするだろう。もし、普段使っているものが入手できない場合は、せめていつも使っているのと同じ生産地域のもの、それが厳しければせめてイタリア国内のもの、という優先順位になるだろう。 十年ほど前、当時暮らしていたポルトガルからイタリアの実家に持ってきた、お薦めのポルトガル産オリーブ・オイルは、いまだに台所の棚の中にしまわれていて、使われる気配はない。オリーブ・オイルはワインと並び、彼らにとって極めて保守的な食材なのである。 日本だと「オリーブ・オイルごときでそんな大袈裟な」と思われる方もいるかもしれない。例えば醤油にしても、決して全ての料理に使う訳ではない。しかしオリーブ・オイルに関しては、あらゆるイタリアの食事にとって必要不可欠なものなのだ。 パスタでもスープでも調理の段階で用いるだけではなく、食べる直前にも、さらにオリーブ・オイルを上から垂らす。ドレッシング文化のないイタリアでは、サラダを和えるのにもオリーブ・オイルは欠かせないし、肉や魚がどのような形態で調理されても、その上にはやはりオリーブ・オイルが掛けられる。 私が貧乏学生時代によく食べていた「アーリオ・オリオ・エ・ペペロンティーノ」にしても、オリーブ・オイルさえそこそこ美味しければ、かなり贅沢な気持ちになれる。 古代ギリシャや古代ローマの人たちは、朝ごはんにオリーブの実を食べたり、オリーブ・オイルの掛かったパンを食べていたとされているが、「地中海人」たちの徹底的なオリーブ・オイルへの執着は、おそらくあの頃から培われたものなのだろう。『パスタぎらい』3:スパゲッティ・ナポリタン『パスタぎらい』2:恋しいラーメン『パスタぎらい』1:アーリオ・オリオ・エ・ペペロンティーノ*********************************************************
2024.05.21
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図書館に予約していた『南海トラフ地震の真実』という本を、待つこと7ヵ月ほどでゲットしたのです。気象庁の公表情報でも発生確率70~80%という数値が出ているわけで・・・この本の告発が興味深いのである。【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>気象庁の公表情報でも発生確率70~80%という数値が出ているわけで・・・この本の告発が興味深いのである。<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実まず「第1章」の冒頭から、見てみましょう。p15~18<第1章 「えこひいき」の80%>■地震学者の告発「南海トラフ地震の確率だけ『えこひいき』されていて、水増しがされています。そこには裏の意図が隠れているんです」 取材は、地震学者からの衝撃的な「告発」で始まった。 それは2018年2月9日、地震調査委員会が南海トラフ地震が30年以内に発生する確率を「70%程度」から「70~80%」に変更されるとの情報を事前にキャッチした。「いよいよ東海地方に大地震が迫っている」と直感した私の頭の中では「防災対策は十分か」「自身が起きた場合の被害予測は」など、さまざまなニュースの切り口が駆け巡った。 まずは専門的な観点が必要と考え、本社から名古屋大の鷺谷威教授(地殻変動学)に電話した。鷺谷氏は南海トラフの発生確率の検討に関わった政府の委員会の委員だ。当然、このときは防災のために警鐘を鳴らすコメントが返ってくると期待していた。しかし返ってきたのは、冒頭のえこひいきという意外な発言だった。なぜ、自らが検討した確立を否定するのか・・・。訳がわからなくなりかけている私に、鷺谷氏は続けた。「個人的には非常にミスリーディングだと思っている。80%と言う数字を出せば、次に来る大地震が南海トラフ地震だと考え、防災対策もそこに焦点が絞られる。実際の危険度が数値通りならいいが、そうではない。まったくの誤解なんです。数値は危機感をあおるだけ。問題だと私は思う」 ミスリーディング? 誤解? 問題? 予想外の言葉に頭が混乱した。要領を得ない私に鷺谷氏はさらに驚くことを言った。「南海トラフだけ、予測の数値を出す方法が違う。あれを科学と言ってはいけない。地震学者たちは『信頼できない』と考えています。他の地域と同じ方法にすれば20%程度にまで落ちる。同じ方法にするべきだという声は地震学者の中では多いんです。だが、防災対策を専門とする人たちが、今さら数値を下げるのはけしからん、と主張しています」 科学とは言えない? 20%? 下げるのはけしからん? 想定外のコメントの数々が、ますます頭を混乱させた。だが、80%の数値に何かカラクリがあれば、それを知っておく必要がある。 鷺谷氏によると、地震学者たちは、いったんは全国で統一の計算方法を用いて算出した「20%程度」という確率を素直に発表する案も検討したという。ところが、その方針を政府の委員会の上層部に伝えると、大反対が巻き起こった。 確率の出し方は大きく分けて2通りあり、それぞれのメカニズムを電話のやりとりだけで理解するのは難しかった。だが、南海トラフ地震の確率が高いのは特別な算出方法のためで、その方法を地震学者たちが変えようとすると上から圧力がかかったということに、裏の意図があるらしいことは理解できた。 東海地方に住む人間にとって、南海トラフ地震はずっと「必ず来る」と言われ続けている地震だ。そのため、名古屋出身の私も幼い頃から学校などで防災訓練を念入りに行ってきた。しかし、発生確率が作られた数字だったとしたら・・・。この問題は、しっかりと取材しないといけない。そう直感した。 そのときはひとまず電話を終え、デスク(原稿のまとめ役)に報告した。デスクも「70~80%」の数字の大きさだけがことさら目を引くことを警戒し「そんなにでかでかと書かない方がいいな。粛々と報じよう」と冷静に反応した。
2024.05.20
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図書館で『映画の巨人たち リドリー・スコット』という本を手にしたのです。なんか既視感のある本であるが・・・再読でもいいかということでチョイスしたのです。帰って調べると、やはり再読となっています。で、この記事を(その4)とします。*********************************************************図書館で『映画の巨人たち リドリー・スコット』という本を、手にしたのです。「ブレードランナー」「ブラック・レイン」「テルマ&ルイーズ」とくれば・・・もっとも好きな監督になるのかなあ。【映画の巨人たち リドリー・スコット】佐野亨著、辰巳出版、2020年刊<「BOOK」データベース>よりSFから歴史劇まで、幅広い題材を描きながら、人間の悪意や文明論など明確なテーマ性と独自の映像美で、いまなお第一線で活躍し続けるリドリー・スコットーその魅力と本質をさまざまな角度から読み解く!<読む前の大使寸評>「ブレードランナー」「ブラック・レイン」「テルマ&ルイーズ」とくれば・・・もっとも好きな監督になるのかなあ。rakuten映画の巨人たち リドリー・スコットリドリー・スコットの生い立ちなどが語られているので、見てみましょう。P30~32<リドリー・スコットの生い立ちと原体験:稲田隆紀> リドリー・スコットにはこれまで三度、インタビューを行った。思い起こせば、1980年代は話題作であればプロモーションのために監督、俳優が来日することが定番化していて、取材する機会も頻繁にあった。 最初はスコットが『ブラック・レイン』のロケハンで来日し、『誰かに見られてる』のプロモーションに時間を割いた1988年だった。『誰かに見られてる』はアメリカでの評判も芳しくなく、スコットは意気消沈した風情で取材に応じた。 2回目は1989年、『ブラック・レイン』公開直前のプロモーションで、今度は意気軒昂の彼に取材した。(中略) この時点では彼は巨匠としての風格を身につけていた。 だが、本稿で求められているテーマはスコットの“匠に至る道”ではなく“生い立ちと原体験”だ。これまでの取材のコメントを洗い出し、資料を駆使して挑んだ。 資料によれば、リドリー・スコットは、1937年11月30日に北海に面したサウスシールズ、タイン・アンド・ウェアで生まれた。父親フランシス・バシー・スコットは王立工兵連隊(Royal Èngineers)の将校だった。母親のエリザベスは留守の多い父親に代わって、兄のフランク、リドリー、弟のトニーの三人をタフに育て上げた。彼女は口答えも許さない絶対的存在、強く尊敬に値する女性だった。後にスコットが生み出すタフな女性キャラクターの原型が母親であったことは間違いがない。 時代は第二次世界大戦前夜。父の任地がイギリス、ヨーロッパ各地に及び、家族は父と行動をともにして、各地を巡ることになる。第二次大戦後、スコット一家はダラム州ハートバーン、グリーンズ・ベック・ロードに定住することになった。 スコットが海洋冒険小説、特にジョゼフ・コンラッドなどのファンになったのは、父親の影響だと思われる。実際、彼は兄のフランクが既に輸送船団の一員となっていたこともあり、子供らしい夢として王立工兵連隊に加わりたいと考えていたようだ。 一方で、父親が水彩画を描くのが好きだったこともあって、スコットは絵画やコミックに興味を持つようになり、彼もまた絵を描くのが好きになった。父親は彼に芸術的才能を見いだし、それを伸ばすように勧めた。 さらにこの世代の子供らしく、スコットもまた映画に魅せられた。映画館のスクリーンをみつめながら、夢を育む日々を送っていた。「影響を受けたのは1940年代の英国映画だ。ゾルタン・コルダの『ジャングル・ブック』や『サハラ戦車隊』、マイケル・パウウェルの『赤い靴』、デヴィッド・リーンの『大いなる遺産』。さらにリーンが後に生み出した『戦場にかける橋』や『アラビアのロレンス』にも感動させられた。キャロル・リードの『落ちた偶像』や『第三の男』も忘れられない。みな卓抜したストーリーテラーだった。ハリウッドの作品も見たが、面白いだけで、感銘はなかった」 このコメントは1988年に引き出したのだが、どうも後付け臭い。当時はきれいな映像だけの男という評価に悩み、ストーリーテラーになるべく模索していた頃で、子供時代にこうした監督たちに惹かれたとは考え難い。他のインタビューでは、H・G・ウェルズの小説に熱中し、『恐怖の火星探検』や『放射能X』、『地球が静止した日』などのSF作品を、十代の頃に好んだと語っていた。こちらの方がよほどしっくりくる。 ともあれ、スコットは父の勧めに従い、ウェスト・ハートルプール美術カレッジに進んだ。1954年から1958年まで、彼は本格的に絵画を学び、写真技術やグラフィック・デザインにまで手を広げた。ヴィジアルセンスの何たるかを学んだ時期といえるだろう。 卒業後、今度はロンドン王立美術大学の奨学金を得て、美術的感性をさらに深めていく。デヴィッド・ホックニーやアラン・ジョーンズといった現代を代表する画家とともに学んだことで、スコットの感性は磨きがかかっていった。 この頃からスコットはオーソン・ウェルズや黒澤明をはじめとする世界の映画監督を知り、映画の多様さに眼が開いた。大学の映画部門の設立を積極的に働きかけ、大学の戸棚に置かれていた十六ミリカメラを駆使して、『少年と自転車』という短編を撮り上げる。父親フランシスと、嫌がる弟トニーを出演させたエピソードはつとに知られている。『映画の巨人たち リドリー・スコット』3:「ブレードランナー」の論考『映画の巨人たち リドリー・スコット』2:「テルマ&ルイーズ」の論考『映画の巨人たち リドリー・スコット』1:冒頭の論考
2024.05.20
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?このところ夏日とはしり梅雨のような日が立ち代わりに現れているが、梅雨入り宣言はいつ出るのでしょうね?『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は二十四節季でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたり麦秋この本で、小満のあたりを見てみましょう。和暦p15<小満>万物が次第に成長して、大きくなること 立夏から15日目ころにを小満の節を迎える。期間は5月15日ころから次の節である芒種の前日までである。小満に入るころは「万物が次第に成長して、大きくなること」であり、なかでも、秋に蒔いた麦に穂がつくころにあたる。「小満」は、その出来具合に「少し満足する」といった意味である。 ちなみに『暦便覧』では「万物盈満すれば草木枝葉繁る」とある。盈満の意味は、広辞苑によると「物事が充分に満ち足りること」。小満は、現時点での出来具合が「まずまず」といったほどの意味。 旧暦時代の暮らしでは、作物、なかでも米麦などの穀物の出来が暮らしと経済を左右していたため、収穫までは目を離すことができない。歳時記は、こうした季節の移ろう状態を短い言葉でまとめた冊子だが、農作業の重要な指針とも、なっていたのである。 また小満は穀物だけでなく、梅、桜桃梅(ゆすらうめ)などの草木が実をつけ始めるころでもある。さらに、七十二候に「蚕起食桑」があり、養蚕の蚕が盛んに桑の葉を食べ始めるのも小満のころだ。 小満の期間の七十二候は、次の通り。 初候「蚕起食桑(かいこ、おきて、くわを、はむ)」 次候「紅花栄(べにばな、さかう)」 末候「麦秋至(むぎのとき、いたる)」二十四節季の立夏に注目(復刻3)令和 6年(2024) 暦要項
2024.05.19
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図書館で『中国の論理』という新書を、手にしたのです。理屈のこね方・論理のパターンには日中間に違いがあると注目する著者であるが・・・深みのある洞察ではないか♪*********************************************************【中国の論理】岡本隆司著、中央公論新社、2016年刊<「BOOK」データベース>より同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛書がそのまま現実となる。それはなぜかー。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。<読む前の大使寸評>理屈のこね方・論理のパターンには日中間に違いがあると注目する著者であるが・・・深みのある洞察ではないか♪rakuten中国の論理マカートニーを謁見する乾隆帝「Ⅳ 近代の到来」でアヘン戦争あたりを、見てみましょう。P130~134<1 「西洋の衝撃」と中国の反応>■マカートニー使節 かくて中国・東アジアは19世紀を迎えた。この時代は「中国の論理」が西洋近代に直面して、転換をとげてゆく過程にほかならない。それはここまでⅠ・Ⅱ・Ⅲ章に述べてきた時間観念・社会構成・世界秩序のそれぞれで生じたことであり、その結果、現代の中国が誕生する。 しかしながら、すべてが同時に、また一様に起こったわけではない。たがいにタイムラグがあり、深浅もまちまちだった。 ごく単純にいってしまえば、Ⅰ章とⅡ章の観念・社会というエリアでは、変化が容易に起こらなかったのに対し、Ⅲ章の世界秩序では、論理の相剋と破綻をきたした。そこを起点に中国が自らの姿を次第に、やがて全面的にあらためてゆく、というシナリオになろうか。その過程をわれわれは近代化、中国革命と呼んでいる。 そのためこうした転換をみるには、第三の世界秩序からはじめるのが便宜であろう。まず縁遠かったはずの外国人に、登場いただきたい。イギリスが1793年、史上はじめて派遣した全権大使・マカートニーである。 イギリスは18世紀の後半、すでに中国との貿易を大幅に伸長させていた。中国はその茶買付で、未曽有の貿易黒字と好景気を謳歌していたのである。それはイギリスから見れば、貿易赤字なので、改善の余地が少なからずあった。マカートニー使節の派遣は、そんな貿易の規制緩和と中英の国交樹立を実現するのが目的である。マカートニーを謁見する乾隆帝 マカートニーは乾隆帝に謁見を果したものの、その使命についていえば、まったくの失敗だった。乾隆帝はマカートニーに、イギリス国王ジョージ三世あて勅命を下げわたしている。いわく、わが「天朝」は「外夷の貨物に頼る」必要はないのに対し、「天朝」所産の「茶葉・磁器・生糸」は、西洋に欠かせない必需品なので、「恩恵を加えて優遇」し、貿易をさせてやっているから、過分の要求など以ての外、「遠人に恩恵をあたえ、四夷を撫育する道義をないがしろ」にする、との文面だった。物知らずな「外夷」・野蛮人に教え諭す口吻である。 そもそもマカートニー使節団は全権大使だから、西洋的な基準でいえば最も高位の使節、相応の礼遇があってしかるべきだった。ところが清朝側の待遇は、まったくの「朝貢」使節に対するものである。そこで「朝貢」使節のマナーである、皇帝に対する叩頭の礼も、実践しなくてはならなかったところ、さすがに宥免してもらった。あまりにも遠いところから来た「遠人」・野蛮人だから、ということで、これまた特別の「恩恵」ではある。 要するに、清朝では君臣こぞって、朱子学的な「華夷」意識一色だった。イギリスとの貿易は、それを極力排除したはずの「互市」カテゴリーにあったはずだが、そこにもすでに浸透していたわけである。多元的な秩序体系の併存がくずれつつあった兆候と見てもよい。 使命は果たせなかった一方で、マカートニーたちは滞在中、清朝の実地調査にいそしみ、多くのレポートを書き残した。その統治が危機的な情況にあることを「ボロボロに傷んだ戦闘艦」にたとえており、その末路を正確に予言さえしている。 そして野蛮人の待遇を受けたはずのかれは、清朝の人々を「現代のヨーロッパ諸国民と比べると、半野蛮人となりはてている」と断定した。互いを野蛮人と見下しあっているわけで、東西双方の世界秩序は、もはや大きな矛盾をきたし、衝突を待っていたといえよう。■アヘン戦争 そのイギリスは、旭日の勢いである。東アジアも当然、それとは無縁ではありえない。18世紀も後半に入って、世界経済が始動するなか、イギリスは本格的な工業化をはじめると同時に、中国からおびだたしい量の茶を買い付けた。その経済力はもはや清朝の世界秩序をも左右するほどになっていたのである。 そうしたなか、イギリスは清朝の待遇そのものに不満をいだきはじめた。それは個別の関係や取引からはじまって、全体的な統治構造・秩序体系全体にも及んでいる。それを象徴するのが、アヘン貿易であった。 アヘンは麻薬であり、清朝でも当然、禁制品である。しかし当時のイギリスと世界経済は、その中国への売却を必要不可欠としたばかりではなく、「自由貿易」というシステムで、それを正当化しようとした。 清朝側でも秘密結社の密売人など、強力な受け入れ体制 が厳然として存在している。双方あいまって、清朝が想定する対外秩序を掘り崩していった。 それを押しとどめようと奮闘したのが林則徐である。かれは時の天子、道皇帝の委任を受けて、アヘン貿易禁圧に乗り出した。しかし帝も林則徐もいかに善意で明察だったにせよ、世界観・秩序観では旧態依然、乾隆帝と選ぶところがない。さすがに有能な林則徐は、任に当たって相手のイギリスのことを知るべく、情報を集めて研究しはじめた。けれども実際の政策や態度は、「華夷」「攘夷」でしかありえなかったのである。『中国の論理』1:はじめに
2024.05.19
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図書館で『中国の論理』という新書を、手にしたのです。理屈のこね方・論理のパターンには日中間に違いがあると注目する著者であるが・・・深みのある洞察ではないか♪*********************************************************【中国の論理】岡本隆司著、中央公論新社、2016年刊<「BOOK」データベース>より同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛書がそのまま現実となる。それはなぜかー。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。<読む前の大使寸評>理屈のこね方・論理のパターンには日中間に違いがあると注目する著者であるが・・・深みのある洞察ではないか♪rakuten中国の論理まず「はじめに」あたりを、見てみましょう。中国嫌いの著者のスタンスが見えるのがええでぇ♪Pⅲ~ⅶ<はじめに>■謎の国 見た目にはとっつきやすく、わかりやすそうな中国は、ほんとうは謎の国である。「ロシアのほうがはるかにわかりやすい」といったのは、西洋史学の大家だった。しかしわれわれ中国を専門に学んでいる者にとっても、やはり中国は謎である。その謎がおもしろい。おもしろさが嵩じて、うかつにも専門の職業としてしまった面もある。■言行不一致 もっとも、おもしろがってばかりはいられない。不可解、謎というのは不気味で、不安をかき立てるし、実害を被る時さえある。謎の中国をめぐっては、往々にして不愉快な事象もまぬかれない。 言行が一致しないことは、その1つ。いっていることとやっていることが著しく異なる、というわけで、なかんづく政府の言動がきわだっている。政治・権力というのは、多かれ少なかれ二枚舌の習性があるものだが、中国は格段に甚だしい。 日本人からみれば、自らに関わる尖閣など、領土問題もそうだし、相手のことなら、その内政じたいがそうである。「腐敗」が蔓延しながら、「法治」を呼号し、しかも言論を弾圧しているのは、いかにも理解しがたい。 政府だけではない。全体についても同じ、やはり日本に対する態度が、典型的である。中国人の多くは「反日」だろうが、その同じ中国人が日本を好んで、大挙して「爆買い」にやってくる。どうにも不気味で、愉快な光景ではない。 もっともそれを極論して、全くのウソつき、と断じてしまうのは、いささか躊躇する。おそらく故意にウソをついているのではない。中国人じしんにとっては、むしろごく自然なふるまいなのだろう。われわれにはそれがウソ、不自然に見えてしまうところに、謎の核心がある。 にもかかわらず、日本人は往々にして、自らの常識で中国をはかりがちである。欧米人とはちがって、近隣に暮らし、姿形も似ているし、同じ文字を使っているからである。しかし言行が一致しないことが、中国の謎から来ているのだとすれば、それをウソつきと片づけてしまっては、単なる知的怠慢にすぎない。謎は謎として、向き合う必要がある。■「一つの中国」 では、その謎はどうやったら解けるのか。そんな問いに対する解答があるなら、筆者が真っ先に知りたいところである。自身はようやく謎が謎であることを認識したにすぎない。 そうはいっても、謎であるとわかったら、貧しい知見ながら、その解き方を模索することはできる。なぜ言行が一致しないのか、そんなふるまいと、それをみるこちら側の常識・見方とが、どうしても食い違ってしまうのか。そうしたことを考えてみるのが、まず第一歩である。(中略) やはり現実は決して「一つ」ではない、けれどもその現実は認めがたい、だからこそ「一つ」であらねばならないし、「一つ」だといわねばならぬ。これが中国側の主張であって、やはりそこには、日本人の容易にはかりしれない論理がはたらいている。■「論理」と歴史 こうした中国の論理、ひらたくいえば、理屈のこね方は注目に値する。そもそも理屈というのは、時と場合、ないしは立場によって千差万別、いろいろ変わっても不思議ではない。しかしそんな表に出る多様な理屈をこねまわす方法、あるいは主張を成り立たせる骨格には、身に染みついた一定のパターンがあって、たやすくは抜けない、変わらないものである。日本人には日本人の理屈のこね方があり、中国人には中国人の理屈のこね方があって、そこにこそ、まとまった集団の個性があろう。 だから個々の理屈、その字面はわかったような気がしても、理屈のこね方、論理に考えを及ぼすと、わからなくなってしまうことも少なくない。「一つの中国」は、その典型である。相手をほんとうに理解しようとするなら、そこまで考えなくてはならない。 だとすれば、中国の謎とは、その論理にある。なぜそう思考するのか、発言するのか、行動するのか。そこに通底しているはずの論理を考察してみようというのが、本書の試みである。
2024.05.18
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定年退社前の仕事で、「個体燃料電池を組み込んだ試験用発電設備」の設計、製作、試運転に携わったことがあるのですが・・・ネットで「グリーン水素革命目指す欧州」という記事を見たので紹介します。*********************************************************水素関連で500社弱出展のハノーバーメッセ、「グリーン水素革命」目指す欧州よりドイツ・ハノーバーで開催された「Hannover Messe 2024」の主要テーマは「Energizing a Sustainable Industry(持続可能な産業を活性化する)」。約4000社の出展のうち、多くが「Industry 4.0」、すなわち工場のオートメーション化やデジタル化を軸に出展した。 その中でやや異色だったのが「Hydrogen+Fuel Cells(水素と燃料電池)」をテーマとした出展だ。Hannover Messeでは30年近くも続いているテーマだが、今回は、「Hydrogen+Fuel Cells EUROPE」というコミュニティーに所属する企業だけで300社超。それ以外の企業も含めると出展社500社弱(日経クロステック調べ)と過去最大規模になった。水素関連だけでこの出展規模は世界最大級といえる。Bosch社の個体燃料電池■水素社会実現のインフラ、サプライチェーン構築へ 会場には、「ENERGY 4.0」や「green hydrogen revolution(グリーン水素革命)」といった刺激的なキャッチコピーが目立つ。出展内容も、水素またはアンモニアやメタノールなどの水素キャリアの生産技術、その圧縮や貯蔵システム、パイプラインの敷設計画、水素の充填ステーション、そして燃料電池や燃焼システムまで、水素の様々なサプライチェーンやインフラが出そろった。 中でも人気を集めたのがドイツRobert Boschの出展や講演だ)。同社は、日本では自動車関連の部品・部材メーカーとしての印象が強いが、水素関連でもサプライチェーン・システムの多くを手掛けている。
2024.05.18
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ウツギ類やコデマリの白い花が見ごろになっている昨今ですが・・・私のブログの画像としているヤブデマリを京都府立植物園に見にいきたいのだが・・・とりあえず、昔の(12年前の)日記を復刻して覗いてみたのです。*********************************************************ドングリ国のウツギ類、コデマリの咲き具合から類推すると・・・・・京都府立植物園のヤブデマリが見頃だろう。連休が過ぎた頃、ここのヤブデマリの見頃に合わすように繰り出すのが大使のパターンなんですが、今年のこのピンポイント予想がバッチリ大当たりでした♪ヤブデマリ1ヤブデマリ2比叡山を借景にしてうっそうとした感じがいいですね。植物園1クスノキの並木もなかなか年季が入っているようです。植物園2東福寺まで足をのばして、「八相の庭」を見てきました。紅葉の名所は、この時期は若葉がきれいで人出も少ないし・・・・気分はええでぇ♪東福寺ちなみに京都府立植物園にてに、2年前のヤブデマリが見られます。
2024.05.17
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・南海トラフ地震の真実・映画の巨人たち リドリー・スコット・中国の論理・宇宙へ(借り出し2回目)<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【映画の巨人たち リドリー・スコット】佐野亨著、辰巳出版、2020年刊<「BOOK」データベース>よりSFから歴史劇まで、幅広い題材を描きながら、人間の悪意や文明論など明確なテーマ性と独自の映像美で、いまなお第一線で活躍し続けるリドリー・スコットーその魅力と本質をさまざまな角度から読み解く!<読む前の大使寸評>「ブレードランナー」「ブラック・レイン」「テルマ&ルイーズ」とくれば・・・もっとも好きな監督になるのかなあ。rakuten映画の巨人たち リドリー・スコット【中国の論理】岡本隆司著、中央公論新社、2016年刊<「BOOK」データベース>より同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛書がそのまま現実となる。それはなぜかー。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。<読む前の大使寸評>理屈のこね方・論理のパターンには日中間に違いがあると注目する著者であるが・・・深みのある洞察ではないか♪rakuten中国の論理【宇宙へ】福田和代著、講談社、2012年刊<「BOOK」データベース>より【目次】職業メンテナンスマン。仕事場は、宇宙!2031年、原田拓海は宇宙へ上がる。天に向かい、まっすぐ伸びていく“宇宙エレベーター”で。誰もが宇宙へ行ける時代の到来。夢のその先には、誰も味わったことのない未知なる“お仕事”が待っていた。 遙かなる宇宙の歌/メンテナンスマンはマタ・ハリの夢を見るか?/アストロノーツに花束を/わが名はテロリスト<読む前の大使寸評>著者は神戸市生まれの理系女性で、宇宙エレベーターに関するハードSFを書いているのがええでぇ♪rakuten宇宙へ
2024.05.17
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在138位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在57位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在32位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在29位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在124位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在3位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在4位・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、副本3、予約86)現在49位・大学教授 こそこそ日記(1/12予約、入荷待ち、予約?)現在20位・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在50位・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、副本?、予約106)現在94位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在47位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)現在8位・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』 (5/14予約、副本2、予約21)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・西東三鬼『神戸・続神戸』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・地球の歩き方 日本・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵<予約分受取:2/27以降> ・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』(2/15予約、2/27受取)・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、2/27受取)・川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』(1/26予約、2/27受取)・呉叡人『フォルモサ・イデオロギー』(2/03予約、3/11受取) ・森見登美彦『太陽と乙女』(3/23予約、3/31受取)・Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機 (4/16予約、4/28受取)・本川達雄『ウマは走るヒトはコケる』(3/31予約、5/10受取)・南海トラフ地震の真実(10/20予約、5/15受取予定)**********************************************************************【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【イラク水滸伝】高野秀行著、文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>よりアフワールーそこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録ー“現代最後のカオス”に挑んだ圧巻のノンフィクション大作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本3、予約86)>rakutenイラク水滸伝【大学教授 こそこそ日記】 多井学著、三五館シンシャ、2023年刊<「BOOK」データベース>より「いくらでも手抜きのできる仕事」。現役教授が打ち明ける、ちっとも優雅じゃない生活。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/12予約、入荷待ち、予約?)>rakuten大学教授 こそこそ日記【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/12予約、副本?、予約111)>rakutenしんがりで寝ています【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【アジア発酵紀行】小倉ヒラク著、文藝春秋、2023年刊<出版社>よりアジアの巨大な地下水脈をたどる冒険行。「発酵界のインディ・ジョーンズ」を見ているようだ!ーー高野秀行(ノンフィクション作家) 自由になれーー各地の微生物が、奔放な旅を通じて語りかけてくる。ーー平松洋子(作家・エッセイスト)発酵はアナーキーだ! チベット~雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へーー前人未到の旅がいま幕をあける! 壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流が浮き彫りになる渾身作。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/14予約、副本2、予約21)>rakutenアジア発酵紀行【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.05.16
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図書館で『フランス語っぽい日々』という本を、手にしたのです。どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪【フランス語っぽい日々】じゃんぽ~る西×カリン西村著、白水社、2020年刊<「BOOK」データベース>より外国語を愛する、外国語に苦しむすべての人に。日仏夫婦が漫画とコラムでつづる、異文化・外国語学習・子育ての悲喜こもごも!<読む前の大使寸評>どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪rakutenフランス語っぽい日々海外県のフランス語が語られているので、見てみましょう。p40~41<17 海外県のフランス語 Le francais d‛outre—mer> 歌手のダニエル・バラヴォワーヌは、フランス語はよく響く言語だと言いました。その通り。フランス語は遠くまで響く言語、カナダや太平洋のど真ん中、ニューカレドニア、マルキーズ諸島やタヒチにまで響き渡る言語なのですから。海外県のフランス語に接する機会があると、愕然とすることがしばしばあります。 ラジオ・カナダで時評を担当するわたしが接する人たちは、独自の美しい表現も編み出す見事なフランス語を操るのですが、彼らのなまりやイントネーションに思わず不意を打たれ、つまり、笑いそうになってしまうことがあるのです。 ケベックのフランス語話者たちは、かなり独特な話し方をします。具体的に説明するのは難しいですが、主な特徴のひとつに、巻き舌のRがあります。半分Rのような半分Lのような発音で、日本人のそれと少し似ています。 夫とともに招待されたタヒチのサロン・ド・リーブル(ブックフェア)に訪れたときのこと。タヒチのフランス語話者たちもまた、この巻き舌のR()を使うことを知り、おどろいたのなんの。さらに彼らにはフランス語と現地の言葉を頻繁にしかも絶妙に混ぜ合わせる、一風変わった癖があります。結果、本土のフランス人であるわたしには、彼らの言うことの半分しか理解ができません。 旅先であれ、フランス国内であれ、その土地によって多少なりともなまりはあるもの。よく言われるのはマルセイユ、トゥールーズ、そしてエクサンプロヴァンスのなまり。パリジャンだって「粘ついた」フランス語を話すと言われています。 わたしはといえば、ブルゴーニュ出身、厳密にはヨンヌ県の生まれです。さて、みなさんごぞんじでしょうか。お隣のソーヌ・エ・ロワーヌ県の人たちにもある変わった特徴があるんです。それは、なんと巻き舌のRです。『フランス語っぽい日々』2:新旧のシャンソン『フランス語っぽい日々』1:言葉とは思考の方法
2024.05.16
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図書館に予約していた『ウマは走るヒトはコケる』という新書を、待つこと40日ほどでゲットしたのです。なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。【ウマは走るヒトはコケる】本川達雄著、 中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>より背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ?鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ?渡り鳥が無着陸で何千kmも飛べる。なぜ?魚やイルカには顎がない。なぜ?皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!<読む前の大使寸評>なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。<図書館予約:(3/31予約、副本1、予約5)>rakutenウマは走るヒトはコケる「第2章 歩く力・走る力」あたりを見てみましょう。p50~52<ヒトの2足歩行―ヒトはコケながら歩く>■ヒト、恐竜、鳥 ヒトは立ち上がって2足歩行をするようになった。2足歩行の利点として次のようなものが考えられるだろう。①手が自由になった。②高い位置から見晴らせるようになった。③脳を重くしても、真っ直ぐに経っていてその真上に脳が乗っているので、支えるのが楽。④2足でしか立っていないので体が不安定になるが、その不安定さを利用して、歩くエネルギーを節約している。⑤直射日光が当たる面積が小さくなり過熱が防げ、また体が地面から離れているため、暑さ寒さの影響を受けにくい。 2足歩行をしているものには、ヒトの他に恐竜とその子孫である鳥がいる。ただし彼らはバランスの取り方がヒトとは違う。恐竜は永くて太い尻尾をもち、胴も尾もともに水平に保ちながら、重心のある位置あたりから肢を垂直に下ろして立っていたとされる。これはT字のやじろべえの姿勢であり、バランスのとれた安定した姿勢である。 鳥の場合は体を軽くするために長い尻尾を失ったし、飛ぶための強大な筋肉を胸のところにもった。そのため体の重心は股関節よりずっと前に移動した。それでもやじろべえ方式で立つために、大腿骨を水平にして前に向け、膝をほぼ重心の位置までもってきて、その位置で膝を曲げて脛(すね)から先を垂直に下ろした。鳥の肢は一見、われわれのものとは逆向きに膝関節が曲がっているように見えるが、あれは不座ではなくくるぶしの関節である。 鳥も恐竜もやじろべえ方式の安定した姿勢を保っているが、ヒトの場合は胴を垂直に立ててしまったため、トップヘビーの極端に不安定な姿勢になった。その点を逆手にとって省エネしているというのが、ここからの話題である。■胴の形 四肢動物は2つのやじろべえが前後に並んだものと見ることもできる。1つのやじろべえは、頭+「胴の前半分」の水平の棒が、真ん中で前肢に支えられているもの、もう1つは、「胴の後半分」+尻尾の水平の棒が後肢で支えられているやじろべえ。やじろべえだから体が安定する。 さらに頭と胴が釣り合い、また胴と尻尾が釣り合っているのだから、重力で頭や胴が垂れ下がらないようにと筋肉で持ち上げ続ける必要がなくなり、省エネになる。とくに胴は重いものだから、陸の大型動物は胴が真ん中で垂れ下がらないように工夫しなければならず、これが工夫の一つである。 ここで胴の形について考えておきたい。胴はおおまかに見れば前後に長い円柱形だが、断面の形は動物群ごとに違う。魚でもよく泳ぐものたちの胴の断面は幅が狭く背腹に長い楕円形であり、これは胴のくねりで水を押す面積をおおきくしていると解釈できる。 四肢動物の胴でも断面は背腹が少々長い楕円形である。重力で前後の肢の間の腹が垂れ下がらないように脊柱をアーチ状に上に凸にし、脊柱から内臓を吊り下げた。このため横幅より背腹の方が長い。胴は建築学的に見れば梁である。梁とは水平方向の支持材のことで、垂直方向の支持材が柱。胴を梁、肢を柱と観ることができる。梁は重力のかかる方向が厚い方が下にたわみにくい。だから胴も四肢動物のように背腹方向に厚い方が力学的に強くて重力で胴が垂れ下がりにくい。『ウマは走るヒトはコケる』1:ウニの歩行
2024.05.15
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図書館で『空港時光』という本を、手にしたのです。おお 温又柔の短編小説ではないか。日本―台湾の間で出国、帰国を繰り返す台湾系ニホン語人作家の飛翔作とのこと・・・面白そうである。【空港時光】温又柔著、河出書房新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より「出発」「日本人のようなもの」「あの子は特別」「異境の台湾人」「親孝行」「可能性」「息子」「鳳梨酥」「百点満点」「到着」…最注目の気鋭が描く、10の物語!エッセイ「音の彼方へ」併録。台湾系ニホン語人作家の飛翔作。<読む前の大使寸評>おお 温又柔の短編小説ではないか。日本―台湾の間で出国、帰国を繰り返す台湾系ニホン語人作家の飛翔作とのこと・・・面白そうである。rakuten空港時光台湾と日本を行き来しながら育ちましたより「音の彼方へ」で入国カウンターでの躊躇を、見てみましょう。p148~150<台湾> タイワン、のイントネーションについて。 日本では、タイワンと尻下がりのイントネーションで発音するのがふつうだろう。タイワンの「ワン」を、ワーン、と平らに伸ばして発音すると、途端に中国語っぽくなる。「タ」を少々濁らせて、「ダイ」と「ワン」をそれぞれ低く抑え込みながら言えば、もう立派な台湾語。(あくまでも私の個人的な感覚です) タイワーン、とダイワン。 日本生まれの妹はときおり混乱するようだが、台湾で生まれ、二歳半まで台北に住み、四歳の春に日本の幼稚園にあがるまではほぼ中国語と台湾語だけを聞いていた私は、どちらが中国語で台湾語なのか瞬時に判る。けれども私は、「台湾」が、日本語ではタイワンと発音すると知ってからは、タイワーンともダイワンとも言わないようになった。 友だちや先生といった日本人に対してはもちろん、たいわんじんである両親や親せきが相手の時も、日本風にタイワンと言うようになった。ほとんど無意識のうちにそうしていた。日本の学校に通うようになり、日本語を習得しつつあった私は、自分でも知らずしらずのうち、自分の中にある非日本的な響きを疎んじるようになっていたのである。 ・・・BR189便が台北松山空港に到着する。いよいよ「台湾」だ。今の私が、台湾、と日本語で思うとき、その「タイワン」という響きは、少なくとも三つのイントネーションを同時に秘めている。飛行機から一歩降りると、まだ建物の中にいるというのに、もう、南の匂いのする風に撫でられている気分がした。東京はあれほど冷え込んでいたのに。 これから国内線に乗り換えて、さらに南の台東へと向かう。まずは「入国」。ここでまた、エイコさんとはいったん別れなければならない。「外國人」の列の最後尾についたエイコさんに、あとでね、と手をふって、「本國人」の列へと向かう。「外國人」の列よりもそれはずっと短かった。 エイコさんや同じ飛行機に乗っていた日本人たちを何人も追い抜いて、その短い列に並ぶのは抜け駆けのようでちょっとうしろめたい。いや、堂々と振る舞えばいい。タイワン。私は、ここでは、外国人ではない。今、手にしているパスポートが、そのまたとない証ではないか。 私は、台湾(ここ)では外国人ではない。 私がそれを最も意識する場所は、空港だ。それも入国カウンターで、だ。何よりもまず、訪れた個人がどこの国家のパスポートを持っているかを問う場所。たとえ私が、どちらかといえば自分は日本人だと感じている、と主張したとしても、それがどうした。審査官は、私がナニジンであるかを私の持つパスポートによって判断する。 前のひとの審査が終わったようだ。赤い線の向こうに踏み出そうかどうか躊躇している私を、早くしろ、とばかりに審査官が見やる。そもそも一段高いところに座っているので、その視線は、どうしてもこちらを見下ろすものになる。審査する側とされる側。される側の私は、なすすべもない。それでも(それだから?)私は、明るく感じよくふるまう。『空港時光』1:出発と再入国
2024.05.15
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図書館で『空港時光』という本を、手にしたのです。おお 温又柔の短編小説ではないか。日本―台湾の間で出国、帰国を繰り返す台湾系ニホン語人作家の飛翔作とのこと・・・面白そうである。【空港時光】温又柔著、河出書房新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より「出発」「日本人のようなもの」「あの子は特別」「異境の台湾人」「親孝行」「可能性」「息子」「鳳梨酥」「百点満点」「到着」…最注目の気鋭が描く、10の物語!エッセイ「音の彼方へ」併録。台湾系ニホン語人作家の飛翔作。<読む前の大使寸評>おお 温又柔の短編小説ではないか。日本―台湾の間で出国、帰国を繰り返す台湾系ニホン語人作家の飛翔作とのこと・・・面白そうである。rakuten空港時光冒頭の「出発」の手続きを、見てみましょう。p6~8<出発> IMMIGRATION 出国 DEPARTED 入国審査官―日本国 HANEDA A.P 12 MAR. 2002 真新しいパスポートの一頁に、出国スタンプの判が捺された。ついに、出発だ。大祐(だいすけ)の興奮は募る。搭乗券に印字された搭乗口は「G 05」。Gに続く「0」を、アルファベットの「O」と一瞬みまちがえる。「Go」と「5」で、ゴーゴーか。大祐は可笑しくなる。 搭乗時刻まではあと半時間ほど余裕があった。あたりを見渡せば、名だたるブランド店が連なっている。子どもの頃に祖母や大叔母に連れられておとずれた百貨店の風景ににていると大祐は思う。ちがうのは、そこらじゅうに「免税 duty-free」という文字が躍っているということ。そして、天井まであるガラス窓一枚隔てたむこうには、滑走路が広がっていること。 雲一つない、よく晴れた空にむかって離陸する飛行機が見える。空を斜めによぎりながら遠ざかってゆくその姿を目で追っていたら声がよみがえる。・・・あたし、飛行機は自分が乗る日にだけ飛ぶと思ってたんだ。 かのじょとは、大学一年生のとき、中国語のクラスで知り合った。初回の授業で、就職に役立てたい、とか、三国志演義が好きだから、とか、漢字なら何とか読めそうなので、などいったことを第二外国語に中国語を選んだ理由としてクラスメートたちは答えていた。大祐も自分の番がまわってくるまでに何かそれらしいことを言わなければと思い、あまり深く考えずに、ジャッキー・チェンが好きだから、と答えた。「音の彼方へ」で再入国の手続きを見てみましょう。p138~140<台湾(中国)> 私の国籍。私という個人が属していることになっている国家の名称。それについて考えるとき、私は揺れる。ボールペンを置き、傍らのパスポートを手にとる。私とパスポートの付き合いは長い。考えてみれば三十年近くの歴史がある。三歳になるかならないかの頃からずっと、パスポートは私の身分を証明してきた。私が温又柔であると保証していた。ほかでもない私自身が、お名前は? と訊かれて、オンユウジュウです、と答えることができなかった時期から。 それ以来、一度も途切れることなくパスポートを更新し続けてきた。数えたことはないけれど通算十数冊目であるはずの私のパスポートの表紙には「中華民國 REPUBLIC OF CHINA」と金色の文字が記されている。真ん中あたり(日本のパスポートなら菊の紋章に該当する位置)には、太陽の形のマークが描かれてある。 これは中国国民党の党章を基本とした「中華民國」の「国章」だそう。国章の下側には「TAIWAN護照PASSPORT」とある。以前は「TAIWAN」の表記はなかった。それが記されるようになってからまだ十年も経っていない。(中略) 中華民国(=台湾)外務省の発行したパスポート。表紙に「REPUBLIC OF CHINA」と「TAIWAN」が同時に並ぶパスポート。台湾(=中華民国)じたいが、「中国(CHINA)」と「台湾(TAIWAN)」の間で揺らいでいる。「再入国記録」の国籍蘭には、「Nationality as shown on passport」という英文が添えられている。ただ「国籍」というのであれば「Nationality」だけでいいはずだ。何故「as shown on passport」と続くのだろう。パスポートを持たない人は、どうすればよいのだろう。もちろんそんなことはありえない。「再入国記録」の記入は、(渡航先がどこであろうと)日本からの出国を前提とした行為なのだ。そして、出国には、パスポートの掲示が不可欠なのである。
2024.05.14
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図書館に予約していた『ウマは走るヒトはコケる』という新書を、待つこと40日ほどでゲットしたのです。なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。【ウマは走るヒトはコケる】本川達雄著、 中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>より背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ?鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ?渡り鳥が無着陸で何千kmも飛べる。なぜ?魚やイルカには顎がない。なぜ?皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!<読む前の大使寸評>なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。<図書館予約:(3/31予約、副本1、予約5)>rakutenウマは走るヒトはコケるBuNa第1回 ウニの世界より最終章の「第11章 ウニの歩行」あたりから食いついてみようと思う次第です。p269~271<ウニの体はまったくユニーク> 私自身が研究したことにも若干触れて本書を閉じたい。私がもっぱら研究してきたのは棘皮動物、つまりナマコ、ウニ、ヒトデの仲間で、どれもきわめてゆっくりと海底を這う。こんな逃げ足の遅い動物はたいてい隠れているものだが、棘皮動物は海底に露出して暮らし、それでも食われてはいない。そのことは沖縄の海でナマコの多さに驚き、磯焼けの海のウニの多さにうんざりすればわかる。のそのそしていても食われないのはなぜかが、そもそも私の疑問だった。 その答えは3つの手段で身を守っているから。①毒(ナマコやヒトデ)、②硬い殻と棘(ウニ)、③硬さの変わる結合組織(これは棘皮動物すべてにある) ③については説明が要るだろう。ナマコやヒトデの皮(結合組織)は緊急時に非常に硬くなって動物を守る。このような硬さのすばやく変わる結合組織を私は「キャッチ結合組織」と呼んでおり、棘皮動物独特なものである。 ウニにもキャッチ結合組織があり、やはり身を守ることに関係している。ウニの殻はちょうど栗の毬(いが)のように見えるが、栗とは違い棘を動かすことができる。棘は殻の上の小さな丸い膨らみ(いぼと呼ぶ)の上に乗っており、棘といぼの間はボールジョイントそっくりの関節になっている。関節には筋肉があり、これで棘を振り動かす。 関節には筋肉の他に靭帯があり関節の脱臼を防いでいるのは哺乳類の関節と同様だが、この靭帯がキャッチ結合組織なのである。 これは緊急時には硬くなり、棘をガチッと立てて不動にし、槍ぶすまをつくって身を守る。このキャッチ結合組織が私のライフワークだった。だからいかにして動かなくて済むかの研究をずっとやってきたことになる。そんな人間が本書を書いてしまったのだが、移動運動の研究をまったくやらなかったわけではない。 ウニの棘の根元のキャッチ結合組織は固くなって身を守るだけでなく、ふだんは棘の動きのじゃまをしないように柔らかい状態になっている。だから棘を大きく倒して狭い隙間を通り抜けることもできるし、棘を振って歩くウニもいる。大学を定年退職する前の数年間、ウニの歩行の研究をしたのでここに紹介したい。<歩帯> まずウニの体について説明しておこう。ウニの殻はちょっと上下につぶれたボール状であり、これを地球儀に見立てる。殻の頂上が北極(背中側の真ん中)で、ここに肛門がある。口は南極、つまり地面に向いている面の真ん中が口。北極と南極の中間が赤道で、ここが殻の一番太った部分。赤道より下の南半球を口側、北半球を反口側と呼びならわしている。(中略) ウニの体は球形だがやはり5放射相称で、歩帯が5本、放射状に配列している。各歩帯は南極と北極をつなぐ経線に沿って走っており、そこに管足が並んでいる。歩帯と歩帯の間が間歩帯で、ここに歩くための棘がある。ウーム、やはりちょっと専門的すぎるようで、食いつき難いのでおま♪
2024.05.14
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朝日の「歴史学者・網野善彦 没後20年 いま読む意義は」という記事を歴史のファイルにスクラップしたのだが・・・デジタル朝日でも「「日本」とは何か、問い続けた網野善彦 没後20年に読み直す意義」として流れているので、紹介します。また、紙とデジタルデータのダブル保管になったが・・・いつものことで(汗)*********************************************************「日本」とは何か、問い続けた網野善彦 没後20年に読み直す意義より 戦後の歴史学を主導し、新たな日本史像を描き出した歴史学者・網野善彦の死去から20年。今年3月までに主著「中世荘園の様相」と「日本中世の非農業民と天皇」(上・下)がともに岩波文庫で出版され、「無縁・公界(くがい)・楽」増補版など平凡社ライブラリーの各著作も再び注目を集める。「網野史学」の重要な舞台の一つは、被災した能登半島だ。網野と同じ日本中世史の専門家2人に、いま網野の著作を読む意義を聞いた。 ◇ 明治大教授の清水克行さん(52)は網野本人と接した最後の世代。1990年代に学生時代を過ごし、わずかに生前の網野と言葉を交わしたことがある。「誰に対しても分け隔てない豪放磊落(らいらく)な人柄が印象に残っている」 清水さんは当時を「昭和から平成へと天皇の代替わりがあり、天皇の存在をいや応なく意識させられる時代状況があった」と振り返る。「戦争責任を問う左派と戦前を肯定する保守派。そうした緊張関係のもとで網野さんは中世以来の海の民や山の民、芸能民などの非農業民と天皇の関係を論じた。天皇の歴史的なあり方を網野さんのような視点で語る人は他にいなかった」 清水さんは、網野の主要著作の時代背景には、高度成長下で起きた地方農村の衰退と生活スタイルの都市化をふまえる必要があると指摘する。 「網野さん自身、日本各地で農村の変容を目の当たりにしており、民俗学や文化人類学の発想もあった。地震に見舞われた能登半島もその舞台の一つだった」■自由な中世像 2000年代以降に転機 網野は神奈川大学日本常民文化研究所に長く籍を置いた。「古文書返却の旅」(中公新書)に記すように、網野は80年代半ばから約10年かけて、代々庄屋を務めた家に伝わる時国家(ときくにけ)文書(石川県輪島市)の調査に取り組み、独自の歴史像を確立していく。「時国家文書の中には、農民としては貧しい身分とされたが実態は裕福で、日本海側の海運で富を築いた者の姿も確認できる。非農業の営みにより初期の資本蓄積が起きていた」 石高で豊かさを示す江戸時代以来の固定観念を取り払う発想の転換が起きた。 「稲作中心の階級闘争の視点に立つマルクス主義的な歴史観の不自由さから転じた網野さんの議論に多くの読者が魅力を感じ、流動性が高い自由な日本中世像にロマンを抱いた」 高度成長期にヒッピー、バブル期にはフリーターがもてはやされた。97年には網野の影響が色濃い宮崎駿監督の映画「もののけ姫」が公開された。 2000年代に入ると、非正規雇用や格差拡大へと社会の関心が向かった。自由な中世像も転機を迎えていると清水さんは見る。「いま網野さんの著作を読めば、戦乱や飢饉が多い中世の自力救済、いわば弱肉強食の悲惨さにまず目が向かうかもしれない。こども食堂をアジール(聖域・避難所)の歴史的系譜に位置づけることもできる」 清水さんは「天皇の歴史的あり方への関心が低い、天皇を必要としないナショナリズムが浸透し、史実を軽視した物語や陰謀論が目立つ中で、日本の歴史全体を見渡す網野さんの歴史像は価値を失っていない」と見る。■原史料を丹念に 能登は原点の一つ 東京大教授の桜井英治さん(62)は、ともに通史シリーズの編集委員を務めた網野を「純真な人」と形容する。「網野さんの熱量を支えていたのは発見の喜び。売れっ子になってどんなに忙しくても、全国各地にある原史料を丹念に読み解く作業を忘れなかった。能登半島はそうした研究の原点の一つだった」 04年の死の直前まで網野が向き合った問いは「日本とは何か」だった。北方や南方の独自性、東日本と西日本の違いなど「日本」がもつ多様性を強調した。 「網野さんは講演でよく北と南を上下逆にした富山県発行の日本地図を見せた。千島から台湾まで島々が弧を描き日本海は東アジアの内海。能登はその中心に位置する。見方を変えれば辺境が中心だと伝えたかったのでは」(清水さん) 網野の歴史学は必ずしも異端ではない。中世の重層的な土地支配構造を整理した「荘園公領制」の議論は定説とも言える。 桜井さんは網野の著作を読み直す意義を強調する。「網野さんは、人類はいま壮年期にあり壮年期ならではの知恵があるはずとよく語っていた。閉塞感に満ちた時代だからこそ網野さんの言葉は若い世代の心にもきっと響くはずだ」(大内悟史)この記事も網野善彦の世界に収めておくものとします。
2024.05.13
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にぎり寿司、天ぷら、うなぎ、蕎麦など和食が頭の中に満ちてくるわけで・・・『浮世絵に見る江戸の食卓』という本を復刻して読み直してみようと思い立ったのです。*********************************************************図書館で『浮世絵に見る江戸の食卓』という本を手にしたが・・・にぎり寿司、天ぷら、うなぎ、蕎麦など現代でも愛される食文化が江戸時代に確立していたことがすごいと思うわけでおます。【浮世絵に見る江戸の食卓】林綾野著、美術出版社、2014年刊年刊<商品説明>より食のシーンは、浮世絵の世界に度々描かれてきました。鰹の初売り、夏の白玉、雪中の蕎麦屋など。そこには今もなお受け継がれる食文化があり、また失われてしまった食習慣に気づくこともあります。食を描いた浮世絵を紐解きつつ、そのレシピも紹介する一冊。<読む前の大使寸評>にぎり寿司、天ぷら、うなぎ、蕎麦など現代でも愛される食文化が江戸時代に確立していたことがすごいと思うわけでおます。rakuten浮世絵に見る江戸の食卓《園中八撰花 松》屋台で普及した、「天麩羅」を見てみましょう。p30~31<天麩羅> 今まさに食べようとしているのは、海老の天麩羅。くるっとまるまった形、衣の下にうっすら赤い海老の色が透けて見える。尻尾は落とし、薄めの衣で揚げた天麩羅だ。奥には汁を入れた青い器が見える。 天麩羅は、寛永元年に出された、36種の献立を紹介する『歌仙の組糸』に作り方が記されている。魚介に小麦粉と玉子を練った衣をつけ、油で揚げるという方法は今とあまり変わらない。『守貞マン稿』によると具材は「あなご、芝ゑび、こはだ、貝の柱、するめ」など。 魚介を揚げたものを天麩羅と呼び、野菜を揚げたものは、野菜揚げ、精進揚げなどと呼ばれた。国芳がこの絵を描いた頃、天麩羅はすっかり江戸の屋台料理で定番となっていた。 火事の多い江戸では、室内で油を使うことは禁じられていたため、屋台でまずは普及し、値段も安かった。蕎麦屋で蕎麦が一杯十六文、そこに芝海老の天麩羅を3、4つのせると三十二文。江戸の屋台や蕎麦屋で天麩羅は気軽な食べ物として親しまれたのだ《源氏雲浮世画合 桜丸女房八重》お次は家庭料理でもある白和えを見てみましょう。p68<すり鉢の恩恵 濃厚な江戸の白和え> 歌舞伎『菅原伝授手習鑑』の1シーンを描いたこの絵では、大きなすり鉢とすりこぎが存在感を放つ。桜丸の妻である八重は、ある祝宴のためにこれから料理の腕を振るうところである。微笑みながらすりこぎを手にする姿は、「さあ、これから料理しよう」という気負いを感じさせる。 江戸時代、丹波焼や堺の湊焼など、丈夫なすり鉢が出回るようになり、庶民にも普及し、料理の幅がぐっと広がった。豆腐、味噌、胡麻、それぞれをすり鉢でする白和えは、江戸で親しまれた豆腐料理のひとつ。『豆腐百珍続編』にも登場し、魚介類を和える調理法が紹介されている。普段の食材に、もう一手間かけるだけでできる気の利いた一品である。『浮世絵に見る江戸の食卓』2:『浮世絵に見る江戸の食卓』1:■2018.11.04XML『浮世絵に見る江戸の食卓』2https://plaza.rakuten.co.jp/foret/diary/201811040000/
2024.05.13
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図書館で『フランス語っぽい日々』という本を、手にしたのです。どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪【フランス語っぽい日々】じゃんぽ~る西×カリン西村著、白水社、2020年刊<「BOOK」データベース>より外国語を愛する、外国語に苦しむすべての人に。日仏夫婦が漫画とコラムでつづる、異文化・外国語学習・子育ての悲喜こもごも!<読む前の大使寸評>どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪rakutenフランス語っぽい日々カリンが新旧のシャンソンについて述べているので、見てみましょう。p78~79<35 シャンソンで Èn chanson> 外国語の学習法でつい忘れがちなものに「歌 chanson」がある・・・息子が日本語で童謡を歌っているのを聞くたびそう思います。それまでは知らなかったけれど、日本のちびっ子たちがみんな知っている節回しのおかげで自然と覚えることができた言葉が童謡にはたくさんあります。 息子は歌でアルファベットを覚え、フランス語で10まで数えることもできるようになりました。言語にはその言語固有のメロディーというものがあって、たとえ何も理解できないとしても、よく聞いてそのリズムやイントネーションを覚えることが肝要。子どもは見事にそれをやってのけます。 日本人にとって「シャンソンchanson」といえば特定のカテゴリーを思い起させます。それは、必須の作詞家や歌い手の名とともに刻まれた1940~80年代のフランスの流行歌。シャルル・トレネ、ジョルジュ・ブラッサンス、ジャック・ブレル、セルジュ・ゲンズブール、エディット・ピアフ、ジュリエット・グレコ、シルヴィ・バルタン、ジェーン・バーキン、フランソワーズ・アルディ・・・以下略。 日本にはフランス好きの小さなアマチュア歌手グループが数多くあり、みなこうしたアーティストたちのシャンソンを覚え、たがいに感染力の強い熱心さで分かち合っていることにいつも驚かされます。 想像してみてください。パリのあちこちで演歌のリサイタルを開く、何十ものフランス人集団があるでしょうか。 いっぽうで、これらアーティストの全盛期以降もフランスの歌謡曲はかなり進化しているのに、残念ながらバンジャマン・ビオレ、ドミニク・A、ブリジット、ケレン・アン、クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズといった才能豊かな彼らの後継者たちは、日本ではほとんど知られていません。 バンジャマン・ビオレに「東京の椅子 Une shaise a Tokyou」という歌がありますが、最近のアーティストたちはまだまだ日本では人気の座を獲得できていません。ぜひ一度聞いてみてください。きっと耳に残るはずです。イヴ・モンタン、ジャック・ブレル、エディット・ピアフ、シルヴィ・バルタンなどをよく聞いたが・・・最近のシャンソン歌手はさっぱり知らないのです。1940~80年代以降のシャンソンについては聞く機会がなくなったのだが、メディアが取り上げないためか、フランコフォニーの意気消沈のためか?『フランス語っぽい日々』1:言葉とは思考の方法
2024.05.12
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図書館で『フランス語っぽい日々』という本を、手にしたのです。どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪【フランス語っぽい日々】じゃんぽ~る西×カリン西村著、白水社、2020年刊<「BOOK」データベース>より外国語を愛する、外国語に苦しむすべての人に。日仏夫婦が漫画とコラムでつづる、異文化・外国語学習・子育ての悲喜こもごも!<読む前の大使寸評>どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪rakutenフランス語っぽい日々カリンが「言葉とは思考の方法」と述べているので、見てみましょう。p104~105<47 言語を替える、考え方が変わる Parler une autre langue, c‛est repenser> 外国語を学ぶ、それは単に母語の単語や文を別の言語で仕立て直すだけのkとではなくて、コンピュータのOSをすぱっと変えてしまうようなもの。わたしは日本で毎日そう実感しています。言葉とはつまり思考の方法。 いえ、もちろん、翻訳でも言いたいことはそこそこ伝わりますが、それで外国の社会に溶け込むことにはなりません。フランス人にとっては日本の場合が特にそう。なぜなら日本語を深く勉強すればするほど、わかってくるのです。解釈の余地の大きい曖昧な表現や遠回しの言い方が、この言語ではどれほど好まれていることか。 非常に直截な表現もたしかに存在します。だけど公の場やテレビ、政治家の演説では、こみいった文の言い回しや「~ではないかと思います」といった否定疑問表現のほうが重宝されます。 フランス語では、俗に言う「鍋のまわりをうろうろtourner autour du pot(遠回しの言い方を)」することは少なく、「言葉をもごもごmacher ses mots(歯に衣を着せ)」もしません。フランス人の意識では、それは失礼ではなく、率直であり、大人だということです。日本では逆に、習得した社会慣習のフィルターを通さず、考えをダイレクトに表現するのは、子供にしか許さない、幼稚なふるまいとみなされます。 そんなわけで、フランス人女性が日本に来て、母語同様にズバズバ日本語でものを言うと、どこか子どもじみた印象をあたえます。いっぽう、パリに来た日本人が、自分の本心をフランス語ではっきりと言い表さなかったら、人間が未熟だと思われます。
2024.05.12
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今回借りた3冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・ウマは走るヒトはコケる・空港時光・フランス語っぽい日々<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【ウマは走るヒトはコケる】本川達雄著、 中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>より背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ?鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ?渡り鳥が無着陸で何千kmも飛べる。なぜ?魚やイルカには顎がない。なぜ?皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!<読む前の大使寸評>なんか、力学とか流体力学とかも引用しながら説明する箇所があって・・・これまでよりハード志向であり、読むほうにも覚悟が求められているようです。<図書館予約:(3/31予約、副本1、予約5)>rakutenウマは走るヒトはコケる【空港時光】温又柔著、河出書房新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より「出発」「日本人のようなもの」「あの子は特別」「異境の台湾人」「親孝行」「可能性」「息子」「鳳梨酥」「百点満点」「到着」…最注目の気鋭が描く、10の物語!エッセイ「音の彼方へ」併録。台湾系ニホン語人作家の飛翔作。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten空港時光【フランス語っぽい日々】じゃんぽ~る西×カリン西村著、白水社、2020年刊<「BOOK」データベース>より外国語を愛する、外国語に苦しむすべての人に。日仏夫婦が漫画とコラムでつづる、異文化・外国語学習・子育ての悲喜こもごも!<読む前の大使寸評>どこを開いても・・・夫の描くマンガの頁、妻の述べる説明の頁がセットになっていてわかり易くて興味深いのである♪rakutenフランス語っぽい日々
2024.05.11
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在145位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在64位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在34位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在33位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在130位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在2位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在3位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在4位・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、副本3、予約86)現在51位・大学教授 こそこそ日記(1/12予約、入荷待ち、予約?)現在22位・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在50位・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、副本?、予約106)現在95位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在47位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/10予約、副本?、予約8)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・西東三鬼『神戸・続神戸』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・地球の歩き方 日本・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』<予約分受取:2/04以降> ・絲山秋子『御社のチャラ男』(1/27予約、2/04受取)・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』(2/15予約、2/27受取)・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、2/27受取)・川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』(1/26予約、2/27受取)・呉叡人『フォルモサ・イデオロギー』(2/03予約、3/11受取) ・森見登美彦『太陽と乙女』(3/23予約、3/31受取)・Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機 (4/16予約、4/28受取)・本川達雄『ウマは走るヒトはコケる』(3/31予約、5/10受取)**********************************************************************【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【イラク水滸伝】高野秀行著、文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>よりアフワールーそこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録ー“現代最後のカオス”に挑んだ圧巻のノンフィクション大作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本3、予約86)>rakutenイラク水滸伝【大学教授 こそこそ日記】 多井学著、三五館シンシャ、2023年刊<「BOOK」データベース>より「いくらでも手抜きのできる仕事」。現役教授が打ち明ける、ちっとも優雅じゃない生活。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/12予約、入荷待ち、予約?)>rakuten大学教授 こそこそ日記【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/12予約、副本?、予約111)>rakutenしんがりで寝ています【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.05.11
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<男の友情、女の友情・・・2本立て館>久々にくだんの2本立て館に繰り出したが・・・・今回の出し物は「カラオケ行こ!」と「テルマ&ルイーズ」であり、館主の設けたテーマは「男の友情、女の友情」となっています。「テルマ&ルイーズ」を映画館で再度(4回目)観るために、「カラオケ行こ!」の方はオマケの映画として繰り出したのですが・・・なるほど、館主は「男の友情、女の友情」としてこの2作品を選んだのか♪、と感心したのです。【テルマ&ルイーズ】リドリー・スコット監督、1991年米制作、2024.5.9観賞<Movie Walker作品情報>より旅の途中での偶発事件をきっかけに、鮮やかに自己を解放していく女性2人を描いた女だけのロードムービー。監督は「ブラック・レイン」のリドリー・スコット。製作はスコットとミミ・ポーク、脚本はカーリー・クォーリ、撮影はエイドリアン・ビドルが担当。出演はスーザン・サランドン、ジーナ・デイビスほか。〈ストーリー〉アーカンソー州の小さな町に住む、子供のいない専業主婦テルマ(ジーナ・デイビス)と、ウェイトレスとして独身生活をエンジョイするルイーズ(スーザン・サランドン)の2人は、退屈な日常に別れを告げドライブヘ出掛けた。夕食を取るためカントリー・バーへ立ち寄るが、悪酔いしたテルマは調子に乗り、店の男ハーランと姿を消す。行方を追い駐車場へ向かったルイーズは、レイプされかかっているテルマを発見、ハーランに銃弾を撃ち込んだ。週末旅行から一転、逃避行へと化したものの有り金がない。仕方なくルイーズは恋人のジミーに助けを求めた。一方テルマは夫のダリルに連絡を入れるが、身勝手な夫は一方的に責めるばかり。<大使寸評>レイプされかかっているテルマのエネルギッシュなシーンもあったり、ルイーズのために理由も聞かずに大金を届けるジミーの優しさもあったり、悪化する状況にもかかわらずこの2人の逃亡犯を信じてやまないハル警部など・・・ルイーズが死を選ぶ際の潔さはやや短絡的に思ったりもするが、よくできたシナリオだと思うのです。Movie Walkerテルマ&ルイーズYouTube『テルマ&ルイーズ』90年代ロードムービーの金字塔この映画館ではいつもは幕間にお昼の弁当を食べるのだが・・・・今回は時間帯の関係で、入館前に立ち食いうどんで済ませました♪【カラオケ行こ!】山下敦弘監督、2024年公開、2024.5.9観賞<Movie Walker作品情報>より歌が上手くなりたいヤクザと真面目だけど毒舌な合唱部部長の男子中学生の奇妙な友情を描く和山やまの人気同名漫画を実写映画化。監督を『味園ユニバース』の山下敦弘、脚本を「MIU404」の野木亜紀子が務める。ヤクザの成田狂児を『亜人』の綾野剛が、合唱部部長の岡聡実をオーディションで選ばれた齋藤潤が演じる。〈ストーリー〉合唱部部長の岡聡実は、突然見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われ、歌のレッスンをしてほしいと頼まれる。狂児がいる組のカラオケ大会で最下位になった者には恐怖の罰ゲームがあり、それを回避するため上手くなりたいという。聡実は嫌々ながらも、狂児の勝負曲であるX JAPANの「紅」の歌唱指導を行うことになるが、いつしかカラオケを通じて2人の関係に変化が訪れる。<大使寸評>カラオケの出来が悪いと、手の甲に入れ墨を入れられたり小指を切られたりするヤクザ社会のシーンが描かれる、ビックリ仰天のオマケ映画はスタートするわけで・・・途中で出ようかとも思っていたのだが、脚本、監督の意欲に圧倒されたというか、結局、最後まで観た次第です。館主は「男の友情」映画と捉えたようだが・・・言えてるかも。Movie Walkerカラオケ行こ!音楽が人生を変える・・・2本立て館あなたがいない世界を・・・2本立て館:「テルマ&ルイーズ」3回目パルシネマ上映スケジュール
2024.05.10
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季刊マンガ誌「COMICばく」が刊行されていた当時、この雑誌を見たことはなかったのだが、つげ義春をメインに据えた純文芸誌的スタンスがいいではないか♪・・・ということで以下のとおり復刻して読み直してみましょう。*********************************************************図書館で『「COMICばく」とつげ義春』という本を、手にしたのです。マンガ界における純文芸誌ってか・・・執筆者につげ兄弟、杉浦日向子、林静一らのビッグネームも見える凄い雑誌やないけ♪ほとんど独力で、この雑誌を出版した著者も凄いけど。【「COMICばく」とつげ義春】夜久弘著、ベネッセコ-ポレ-ション、1989年刊<「BOOK」データベース>より1984年に創刊され、87年までの4年間に15号刊行された季刊マンガ誌「COMICばく」は、強烈な個性をもった作家をずらりと並べた〈マンガ界における純文芸誌〉として、熱狂的ファンの支持をうけた。その「COMICばく」の看板ともいえたのがつげ義春で、寡作をもって鳴る彼が毎号(!)作品を発表するということ自体、重大事件と呼んでも決しておおげさではなかった。本書は、ほとんど独力で雑誌を作りつづけた著者が、創刊からやむなく休刊にいたるまでの迂余曲折を綴った、「もうひとつのマンガ史」である。<読む前の大使寸評>マンガ界における純文芸誌ってか・・・執筆者につげ兄弟、杉浦日向子、林静一らのビッグネームも見える凄い雑誌やないけ♪ほとんど独力で、この雑誌を出版した著者も凄いけど。rakuten「COMICばく」とつげ義春『ばく』最終号あたりを、見てみましょう。p206~210<ついにギブアップ> 1987年9月18日、ぼくはつげ義春と調布の深大寺にいた。 『ばく』最終号に掲載するためのインタビューを行なうためだった。つげ義春は3ヶ月前に14号に掲載する原稿を手渡し、ギブアップを宣言していた。 「今までなら、不安神経症で自分が悩んでいても、女房は夜久さんと同じで原稿描け描けと尻を叩くんだけど、今は休めっていってるんですよ。今回はそれぐらい症状が重いのね」 ぼくは奥さんにならったわけではなかったが、もう引き留めようとは思わなかった。『ばく』を出すことに、ぼく自身も疑問をもちはじめていたところだった。 つげ義春は終始『ばく』に苦しみつづけていた。日本文芸社も『ばく』の存在が重荷になっていた。そしてぼくもはっきりいえば苦しかった。みんなそれぞれの立場で懸命になって苦しんでいたのだ。 もうみんな苦しみから解放されてもいいんじゃないだろうか、そういう時期に来ているんじゃないだろうか、ぼくはそう思った。 2時間余にわたるインタビューを終えて、つげ義春とぼくは駅へ向かった。 「終わりましたね」 「そうね」 そんなことばをかわして、ぼくらは、ただ黙々と歩きつづけた。<夢の終わり> ぼくは、最終号の編集後記を次のようにしめくくった。 ☆…空を飛ぶ夢をよく見ます。小高い丘のような場所から、地を蹴って体を水平にすると、ふんわりと自分が宙に浮くのです。意志を働かせれば、思い通りに中空を遊泳できます。無重力、浮遊感を味わうのはなかなかの快感です。 ときどき恐いことが起こります。いつのまにか自分はとてつもなく高所に舞い上がっているのです。こんなところから落下したら、ひとたまりもないぞ、思うと同時に自分の体は地上に向かって急降下を始めています。ビルや道路や樹木がどんどん大きくなって眼の前に迫ってきます。ああっ! ぼくは声にならない声をあげ、8割がた観念をする。残りの2割に現実の意識が入りこむ。「これは夢なんだ、やがて覚めてしまう夢なんだ」…と。(中略) ☆…街を歩けば、あちらこちらにその日に発売されたマンガ誌が捨てられています。ぼくの女房がいいました。「マンガ誌なんて、ああやって読み捨てにして惜しくない値段、だからマンガ誌なのよ」たぶん、それは現実に見合った正解なのだろう。だとすれば、正反対の条件を持ち合わせた『ばく』の苦戦は自明の理で、敢えて存在を世に問うこともなかったのかもしれない『ばく』最終号について、くだんのフォームで紹介します。【『COMICばく』第15号休刊最終号】季刊雑誌、日本文芸社、1987年 <ヤフオク☆おすすめポイント>より 『COMICばく』は1984年から1987年までの4年間に、わずか15号巻のみ刊行された伝説の季刊マンガ誌の最終号です。強烈な個性をもったガロ系作家をずらりと並べ、マンガ界における純文芸誌として、熱狂的ファンの支持をうけた漫画雑誌で、こちらは休刊となる最終号となります。最終第15号には、創刊のきっかけともなったつげ義春先生の希少な写真付きロングインタビューが掲載されております。発行部数も限られたシュールでコアな漫画誌の最期の発刊部ですので、お探しの方にオススメの一冊です。 <読む前の大使寸評>【ご注意】ヤフオクは1987円で終了しています。yahoo『COMICばく』第15号休刊最終号『「COMICばく」とつげ義春』1:杉浦日向子の登場『「COMICばく」とつげ義春』2:「石を売る」の原稿を受けとった『「COMICばく」とつげ義春』3:在庫はゼロになったけど
2024.05.10
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図書館で『地図で見るロシアハンドブック』という本を、手にしたのです。この本は2022年のウクライナ侵攻前に発刊されているが・・・2014年のクリミア半島侵攻には触れているので借りた次第です。【地図で見るロシアハンドブック】パスカル・マルシャン著、原書房、2021年刊<「BOOK」データベース>よりロシアの現状が一目瞭然でわかるアトラス!ウクライナ危機、国境の変化、世界の新たな均衡など、今日のロシアの地政学的利益が一目でわかる。<読む前の大使寸評>この本は2022年のウクライナ侵攻前に発刊されているが・・・2014年のクリミア半島侵攻には触れているので借りた次第です。rakuten地図で見るロシアハンドブック「ロシアの地政学的利点」から「極東のロシア」を、見てみましょう。あくまでもフランス人著者の見方ですが。p176~179<空白地域を管理する> エニセイ川より東の極東と東シベリアでは、1000万平方キロメートルの面積に1550万人の住民しかいない。1989年には1670万人だった。大多数を占めるロシア人は西に戻っていく傾向があり、数少ない先住民族はあまり多産ではない。この空白地域に隣接するのが、人口13億人の中国をふくむ世界でもっとも人口密度が高い地域である。 中国人移民はアメリカやヨーロッパ、アフリカなど、もっと温暖で実入りのいいところへの移住を好むので、ロシアへはほとんど入ってこない。 1990年代にはイルクーツク、ノヴォシビルシク、コムソモリスク・ナ・アムーレにあるスホーイ社の工場が、インドなどアジア諸国に作戦機を大量に輸出した。西部にある工場ではおこなわれなかった近代化がなされたのである。 現在、航空機産業の復興はこれらの工場にかかっている。最新型の戦闘機(Su—34、Su—35、Su—57)や、ソ連崩壊後に設計された民間旅客機、スーパージェット100やイルクートMS—21の製造がおこなわれている。 ロシア政府は2006年にヴォストチヌイ宇宙基地の建設をけっていした。2020年にはロシアのほとんどすべての有人飛行を担うことになるだろう。ロシアの民間船舶建造の刷新は、とくに韓国からの技術移転がおこなわれることになっているヴラジオストクのズヴェズダ造船所に託されている。将来のロシア製砕氷船の製造もうけおっている。(中略)<国境紛争> アムール川とウスリー川に沿った現在のロシアと中国の国境は、1858年のアイグン条約で定められたものだ。この条約は19世紀にヨーロッパの列強に押しつけられた「不平等条約」と中国がよんでいるもののひとつである。1969年には、ウスリー川流域でロシアと中国との軍事衝突が起こった。その後、国境が画定され、承認された。 中国は、東シベリアの豊富な鉱物資源に触手を伸ばしたいという気持ちはあるかもしれないが、これほど広大で過酷な地域の管理コストを負担するのは避けたいところだろう。いずれにしても、この地域からの販路としては中国や東アジアしかない。(中略) いっぽう、ロシアと日本の領土問題は数世紀前から続いている。千島列島は1644年から日本地図に描かれている。日本人は列島南部を支配し、ロシアのロシアのアザラシ猟師たちは北部にやってきていた。 1855年の下田条約(日露和親条約)で、列島北部はロシアに、列島南部は日本に割りあてられた。国境線は択捉島とウループ島(得撫島)のあいだを通っていた。 1875年のサンクトペテルブルク条約(樺太・千島交換条約)で、日本は千島列島すべてを獲得し、ロシアは樺太(サハリン)の統治権を得た。1905年にロシアが敗北したとき、ロシアは樺太北部の領有権を保持し、日本が樺太南部の支配権を得た。 1945年、ソ連軍が千島列島と樺太を占領した。樺太については日本から意義は唱えられなかった。1946年、ソ連は千島列島全体を併合し、南の4島に住んでいた1万7000人の日本人を追放した。1951年、サンフランシスコ講和条約により、日本は千島列島北部を放棄したが、南部の4島(歯舞、色丹、択捉、国後)はそうではない。 両国のあいだにはいかなる平和条約も結ばれていない。 2019年はじめ、日本の報道機関は、安倍晋三首相の発言にもとづいて、返還合意が間近にせまっていると報じた。このうわさは、ロシアのモスクワや、千島列島が属するサハリン州で抗議運動をひき起こした。『地図で見るロシアハンドブック』1:2014~19年のウクライナ
2024.05.09
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図書館で『地図で見るロシアハンドブック』という本を、手にしたのです。この本は2022年のウクライナ侵攻前に発刊されているが・・・2014年のクリミア半島侵攻には触れているので借りた次第です。【地図で見るロシアハンドブック】パスカル・マルシャン著、原書房、2021年刊<「BOOK」データベース>よりロシアの現状が一目瞭然でわかるアトラス!ウクライナ危機、国境の変化、世界の新たな均衡など、今日のロシアの地政学的利益が一目でわかる。<読む前の大使寸評>この本は2022年のウクライナ侵攻前に発刊されているが・・・2014年のクリミア半島内戦には触れているので借りた次第です。rakuten地図で見るロシアハンドブック「ウクライナⅡ」で2014~19年のウクライナを、見てみましょう。p133~136<クリミア半島> 14世紀から19世紀にかけて、クリミア半島はクリミア・タタール人の手中にあった。彼らのたえまない襲撃は、1571年にはモスクワにまでおよび、数百万人のスラブ人がオスマン帝国で奴隷となった。その後、[彼らのクリミア・ハン国は]ロシア皇帝エカチェリーナ2世の軍勢に征服され、タヴリダ県としてロシア帝国に組みこまれた。 おもにロシア人が住むクリミア半島は、1924年にボリショヴィキが「共和国」(主権をもたない)からなる連邦を結成したとき、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国ではなく、ロシア・ソヴィエト社会主義共和国にふくまれていた。 1954年、自身もウクライナ人であるフルシチョフは、「ウクライナ」(実際には当時はドニエプル地方のみ)とロシアの連合300周年を機に、クリミア半島をウクライナにゆずることを決めた。おもにロシア人であるクリミア半島の住人は、同じソヴィエト連邦の国にとどまっていたので、ほとんど反発はなかった。1992年にウクライナが独立したとき、クリミア当局と住民はロシアへの帰還を求めた。ロシア議会はこれを受け入れたが、エリティンは拒否した。1990年代を通じて、クリミアとキエフの関係はきわめてむずかしいものとなった。スターリンによって中央アジアに強制移住させられた少数民族のタタール人は、この10年のあいだに自分たちの土地にもどってきた。 2014年2月21日にキエフでクーデターが起こったあと、新政権に抵抗する住民の反乱が最初に起きたのは、クリミアだった。ロシア軍の支援のおかげでこの反乱は成功をおさめる。クリミアは住民投票をおこなって3月11日に独立、16日にロシア領への編入を宣言した。ウクライナ東部のドンバスでも反乱が起こった。2014年6月、ウクライナで内戦が勃発する。<2014年の危機とモスクワとの段階的な関係凍結> 2014年6月に前倒しでおこなわれた大統領選挙(EUの調停による2月21日の合意でまもられたただひとつの点だ)では、ペトロ・ポロシェンコが第1回投票で過半数を得て当選した。危機の中にあって、対立する両陣営と話すことができる唯一の指導者だった。西部でも東部でも、内戦の広がりをおそれていた国民は彼に信頼をよせた。 しかしウクライナは、厳しい経済状態にあった。ソ連から受け継いだ軍需産業では、まだ20万人近くが働いており、ロシアの軍需産業とも密接な関係をたもっていた。ところが、ウクライナ政府がNATOとつながりを持つ可能性があるというだけで、ロシアは共同プロジェクトをすべて中止したのである。 ウクライナのユージュノエ(設計局)=ユージュマシュ()グループは、ロシアの新型ICBM「トポル」の製造に協力することになっていたが、その計画はすぐにロシアの工場に移管された。このグループはソ連の3つの大型打ち上げロケットのひとつ、「ゼニット」も設計・製造していた。だがバイコヌール宇宙基地にも立ち入れなくなった。予定されていたブラジルとの協力関係も、資金不足から2015年に解消された。ウクライナの花形産業は壊滅させられた。 ソ連のアントノフ設計局を前身とする航空機メーカー、アントーノウは、2014年にすでに困難な状況にあった。2010年から2012年にかけて,6機しか販売していなかったのだ。(中略)<2019年、窮地> 2019年4月、ウクライナ政府は新たなロシアからの輸入禁止、ロシア語の使用を制限する措置、ロシアのおよそ10の出版社のウクライナでの販売禁止などを決定したのである。これに対してロシアは、ウクライナからのパイプライン管の輸入および、ロシアからウクライナへの輸出の70パーセントを占めている石油製品(40億ドル)と石炭(15億ドル)の輸出を禁止することを決定した。選挙前夜には緊張関係が頂点に達していた。 だがペトロ・ポロシェンコは2019年の4月の大統領選挙で、政治経験のないコメディアンに敗北した。ウォロディミル・ゼレンスキーは、支持政党をもたず、相手候補を支持する現行議会にはばまれながらも、73パーセントの票を獲得して大統領に選ばれた。 彼は議会を解散し、2019年7月にウクライナ最高議会選挙をおこなうことを決め、勝利した。しかし、選挙で大きなテーマとして掲げていた反汚職を実現できるかについては、懐疑的な見方をされている。 彼はきわめて悪化した経済状況を受け継いだ。モスクワとの対立は、とくにウクライナの経済にダメージをあたえている。2019年5月20日にゼレンスキー氏が大統領に就任したが、そのあたりのことがコメディアンから「戦時下の大統領」にで見られます。また、ロシアによるゼレンスキー氏暗殺計画を阻止、「スパイ」2人逮捕という気になる報道も出ています。
2024.05.09
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図書館で『外国人記者が見た平成日本』という本を、手にしたのです。どこを開いても・・・外国人記者による見慣れない視点が出て来るわけで、興味深いのである♪【外国人記者が見た平成日本】ヤン・デンマン著、ベストセラーズ、2018年刊<出版社>より現代日本に蔓延している悪性のニヒリズムはいったいどこから来ているのか? これほどまでに高まっている「不信感」はどうすればよいのか? 『週刊新潮』の名物コラム「東京情報」の執筆者で自称オランダ人記者ヤン・デンマンによる珠玉の平成日本の比較文化論。<読む前の大使寸評>どこを開いても・・・外国人記者による見慣れない視点が出て来るわけで、興味深いのである♪rakuten外国人記者が見た平成日本「第5章 日本のジャーナリズムの弱点」で反捕鯨カルトを、見てみましょう。p324~327<イルカをめぐる雑音> 世界動物園水族館協会(WAZA)がイルカの追い込み漁を残酷だと問題視し、それを受けて日本動物園水族館協会(JAZA)が、和歌山県太地町産のイルカの入手を禁止したという。先日S・P・I本社に送った記事をもとに、一人の外国人特派員の立場からこの問題を考えてみたい。 食文化は、宗教と密接にかかわるものだ。ご存じのように、イスラム諸国では豚を食べることはない。彼らからすれば、日本のトンカツは論外である。日本でも仏教の影響で、明治までは四つ足のものは口にせず、たんぱく質は豆腐や納豆などで摂っていた。 中国は儒教の影響が強く、タブーがないので、なんでも食べる。「四つ足で食べないものは机だけ」と言われるように、犬や猫も食べる。 それではキリスト教諸国はどうか。 日本の捕鯨に一部の欧米人は文句を言うが、これも完全に宗教問題である。聖書の「ヨブ記」には、神がヨブに様々な試練を与える様子が描かれている。そこにクジラが登場するが、「神はクジラを遣わした」との記述がある。つまり、「神の遣いを獲ってはならない」というわけだ。 もっとも、欧米人は長年にわたり捕鯨を続けていた。その言い訳はすでに用意されている。メルヴィルの小説『白鯨』にはこうある。「我々はクジラを殺して、その油を絞る。その油はランプの灯となり、各家庭の中で、その光で神の言葉を読むのだ」<「恵比寿信仰」> 日本の捕鯨やイルカ漁も宗教と深い関係がある。 イルカ漁は和歌山だけでなく、熱海や能登、千葉でも行われてきた。ただし、必要最小限の量を捕獲し、その場で消費する。 私は取材した漁師から「恵比寿信仰」を教えてもらった。 釣竿を持ち鯛を掲げる恵比寿様は、漁師の神様でもある。その信仰においては、自分たちの浦に流れ着いたものは、神からの恵みであり、ありがたく頂かなければならない。 日本ではイルカもクジラも神の贈り物とされてきたのである。伊勢神宮の遷宮の際に使われる御物のひとつにクジラのひげがある。欧米が日本の捕鯨にケチをつけるのは、伝統文化への侵略に他ならない。 若い頃からクロード・レヴィ=ストロースの思考に馴染んでいた私は、自分たちと異なる風習を「野蛮だ」と切り捨てる態度がいかに野蛮なものであるか、身にしみて感じていた。 宗教により食文化が異なるのは当然であり、他国に口を出すのは慎むべきである。 私は日本でイルカやクジラを食べることに、それほど抵抗はなかった。千葉の九十九里に住む友人は、子供の頃、「イルカのタレ」というおやつがあったという。イルカの肉をしょうが汁に漬けて臭みをとり、しょうゆに漬けて天日干ししたものだ。これを炙れば酒の肴にもなる。 クジラも旨い。日本人は肉、骨、ひげ、皮にいたるまで、目玉以外はすべてを活用してきた。先述の友人によれば、戦後の給食でクジラは定番のメニューだったという。クジラのベーコンは今では高級食材だが、当時は安い弁当に入っていた。日本人にとって、クジラは思い出の味なのだ。 実はわれわれ欧米人にもクジラ好きは多い。渋谷のクジラ料理屋に行けば、欧米人も舌鼓を打っている。一部の反捕鯨カルトに、むやみに譲歩するのはナンセンスである。<エコ・テロリスト> 反捕鯨、反イルカ漁の背後には、グリーンピースやシーシェパードなどの環境保護を唱えるテロ集団が存在する。いわゆるエコ・テロリストだ。彼らがクジラやイルカに執拗にこだわるのは、ニューエイジ思想の影響である。 60年代のアメリカでは反ベトナム戦争のヒッピー文化が発生した。彼らはやがて「ガイア思想」、つまり地球は一つの生命体であるという思想に取り憑かれるようになる。瞑想により意識のレベルを高めることで地球と一体化するというオカルトだが、その教祖が脳科学者のジョン・カニンガム・リリーだ。彼は脳神経に電極を通す研究を行い、FBIなどの政府情報機関の洗脳に悪用されることもあった。また、法律で規制される前には、LSDを使って人体実験を行っていた。 LSDを使ってトリップすれば、動物、地球と一体化し、神に近づくことができるという荒唐無稽な発想である。(中略)『ザ・コーヴ』という映画がある。太地町のイルカ漁を隠し撮りした映画だが、監督のルイ・シホヨスは、インタビューで「ジョン・カニンガム・リリーとは友達だ」と言っていた。 結局、カルトは連鎖する。 テレビドラマの『わんぱくフリッパー』や映画『イルカの日』により、イルカは知能が高く、アシカやオットセイを食べるシャチのような獰猛な生物ではないというイメージが振りまかれた。しかし、イルカは別に平和的な動物ではない。弱い仲間をいじめて殺すこともあるし、気晴らしのためにアザラシを食べる前にいたぶることもある。 大体、人間に近いということは、残虐であるということではないか。『外国人記者が見た平成日本』1:文庫文化
2024.05.08
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図書館で『外国人記者が見た平成日本』という本を、手にしたのです。どこを開いても・・・外国人記者による見慣れない視点が出て来るわけで、興味深いのである♪【外国人記者が見た平成日本】ヤン・デンマン著、ベストセラーズ、2018年刊<出版社>より現代日本に蔓延している悪性のニヒリズムはいったいどこから来ているのか? これほどまでに高まっている「不信感」はどうすればよいのか? 『週刊新潮』の名物コラム「東京情報」の執筆者で自称オランダ人記者ヤン・デンマンによる珠玉の平成日本の比較文化論。<読む前の大使寸評>どこを開いても・・・外国人記者による見慣れない視点が出て来るわけで、興味深いのである♪rakuten外国人記者が見た平成日本本を予約する際には、新刊本か文庫本かを選ぶことになるのだが・・・文庫本文化が語られているので、見てみましょう。p278~281<豊饒なる文庫文化> 2017年、文藝春秋の社長が全国図書館大会で「図書館で文庫を貸し出すのはやめてください」と発言した。それが文庫市場の低迷に影響している可能性があるとし、読者に対しては「文庫は借りずに買ってください」と訴えた。 アルバイトの小暮君が資料を配る。「文庫市場は2014年以降、年率約6%減と大幅な縮小が続いています。文庫は文藝春秋社の収益の30%強を占める最大の収益事業で、『週刊文春』などの雑誌事業を上回っているそうです。だから、文庫本の売り上げ低迷は死活問題なんですね」 もっとも、図書館の本の貸し出しは、出版物販売に負の影響を与えてはいないという研究結果もある。 フランス人記者が顎髭を撫でた。「オレは文藝春秋の社長の意見に賛成だ。そもそも文庫は、単行本として刊行された作品を、より広範な読者に対し、手に取りやすい価格で提供するものだろう。出版社からすれば、同じ作品を半分以下の値で売るわけで、たくさん売れなければ採算が取れない」<貧乏学生でもカントを買える> たしかにそうだ。図書館は、個人で入手するのが困難な本を、知識へのアクセスが社会にとって重要であるという理由で無料で貸し出している。高価な学術書や専門書の出版も、図書館の買い上げが生命線になっている。 しかし文庫は、そもそも誰もが容易に知にアクセスできるようにつくられたものだ。今の図書館は、誰もがいつでも買えるものを無料で貸し出し「市民のニーズに応えている」と勘違いしているのではないか。 イギリス人記者が同意する。「民間がやるべきことと公の機関がやるべきことの区別がついてないんだな。貸し出し数が多ければ市民サービスの要求に応えたと思い、貸し出し数が少ないと税金の無駄だと勘違いする。だが、税金の正しい使い道は、民間の論理では成り立たないサービスを公の論理で提供することなんだ。公務員が民間と同じ論理で動くのは、民業圧迫以外の何物でもない」 先輩ジャーナリストのY氏が頷く。「誰も借りないような難しい本を所蔵するから図書館は価値があるんです。文庫を無制限に貸し出すのは、文化の破壊につながると思いますよ。文庫は日本の読書文化の中核です。貧乏学生でもカントの『純粋理性批判』を買うことができる。図書館は無料だから、一見、貧乏学生に優しいようですが、肝心の版元がダメージを受けるなら、良書の出版が妨げられることになりかねません」 文庫の最大の魅力は、気軽に古典に触れられることだろう。文庫がなくなり新刊本ばかりになったら、薄っぺらい世の中になる。世界を見ても、古典を持たない国はバカにされている。一方、イタリアのように豊饒な文化、古典を持つ国は、経済的に停滞していようが一目置かれる。 日本には古事記、万葉集、源氏物語、平家物語などの古典があるが、われわれ西欧人が日本を重視する理由はまさにここにある。 小暮君が鞄から岩波文庫の『存在と時間』を取り出した。「僕は今、ハイデガーを読んでいるんです。岩波文庫は日本で最初の文庫ですよね」 Y氏が首を振る。「いや、新潮文庫のほうが先です。でも、休刊して、岩波文庫ができた後に復活している。岩波文庫の巻末に有名な『読書子に寄す』という創刊の辞があります。その中に、『吾人は範をかのレクラム文庫にとり』という一節がある。岩波はドイツのレクラム文庫を真似したのですね」 資料によると、レクラム文庫の創刊は1867年なので、明治維新の頃だ。岩波文庫の創刊は1927年、第一次新潮文庫は1914年である。 小暮君が身を乗り出す。「なるほど、文庫という形態は日本独自のものではないんですね」<似て非なるペーパーバック> フランス人記者が唸る。「だが、レクラム文庫の位置づけは、日本の文庫とは少し違う。ドイツは職人文化が根強いので、18歳で中等教育を終えてそのまま大学に進むのは一部のエリートだけだ。日本人はドイツと聞くとカントやヘーゲル、マルクスを思い出すのかもしれないが、レクラム文庫でそんなものを読むドイツ人はごく少数だ」 イギリス人記者はベトナム戦争を取材している。「アメリカのペーパーバックも文庫に似ているが、やはり位置づけが違う。通俗小説が中心だし、読み捨てを前提にしているので、非常に安い紙を使っている。日本の文庫は非常にいい紙を使っているだろう。ベトナムでは基地間の移動のため軍用ヘリに乗ったことがある。その待合所に、大量のペーパーバックが並んでおり、何気なく1冊を手に取ったら、面白くて移動中に大方読み終えた。移動先の待合所に置いてきたが、兵隊たちもそうしていたようだ。日本の文庫より、あらゆる意味において“軽い”のがペーパーバックの魅力だろう」
2024.05.08
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先日『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』という本を紹介したが、同著者でよく似たタイトル『宇宙はなぜ美しいのか』と言う本を以下のとおり復刻して紹介します。*********************************************************図書館に予約していた『宇宙はなぜ美しいのか』という新書を、待つこと7ヶ月ほどでゲットしたのです。 ぱらぱらとめくってみると、カラー画像も多くてビジュアルであり、解説もわりと物理学的でかつ、美しくなっているのが、ええでぇ♪【宇宙はなぜ美しいのか】村山斉著、幻冬舎、2021年刊<「BOOK」データベース>より夜空を彩る満天の星や、皆既日食・彗星などの天体ショー。古来、人類は宇宙の美しさに魅せられてきた。しかし宇宙の美しさは、目に見えるところだけにあるのではない。これまで宇宙にまつわる現象は、物理学者が「美しい」と感じる理論によって解明されてきた。その美しさの秘密は「高い対称性」「簡潔さ」「自然な安定感」の3つ。はたして人類永遠の謎である宇宙の成り立ちを説明する「究極の法則」も、美しい理論から導くことができるのか?宇宙はどこまで美しいのか?最新の研究成果をやさしく解説する知的冒険の書。<読む前の大使寸評> ぱらぱらとめくってみると、カラー画像も多くてビジュアルであり、解説もわりと物理学的でかつ、美しくなっているのが、ええでぇ♪<図書館予約:(7/14予約、副本2、予約19)>rakuten宇宙はなぜ美しいのか「第1章 宇宙はこんなに美しい」からブラックホールの撮影を、見てみましょう。p53~55<ブラックホールの写真を撮ることに成功!> ブラックホールは入ってしまうと光も出ないので、直接見ることができません。ですが、2019年、初めてブラックホールの「写真」を撮ることに成功しました。 先ほど出てきたM87銀河は、私たちの銀河系の10倍ほど星がある大きな楕円銀河です。この銀河では、中心から高速で高エネルギーのガス「ジェット」が噴き出しています。何かとてつもないものが中心にあるに違いありません。 考えられるのは「超大質量のブラックホール」です。太陽の何十億倍もの重さのあるブラックホールの周りをガスがぐるぐる回り、落ち込むものもあれば噴き出すものもあるのだと考えられています。 大きさが太陽と地球の距離の120倍もある巨大なブラックホールですが、なにせ5350万光年先。よほど小さいものが見える望遠鏡でないと、その姿を写真に撮ることはできません。小さいものを見るには光景が大きな望遠鏡が必要です。しかもM87銀河の中心には星や塵がたくさんあり、ふつうの光は届きません。 このような観測で使われるのが電波望遠鏡です。 車でラジオを聞いていると、FMは建物の陰に入ると聞こえなくなりますが、AMは大丈夫。波長の長い電波は障害物を回り込んで届くからです。これと同じで、電波を使うと星や塵を回り込んで、銀河の中心からでも信号が届きます。 電波を使って天体を見る電波望遠鏡は、地球上のいろいろなところにあります。それらをつないでひとつの地球サイズの望遠鏡として使えれば、計算上、M87の中心のブラックホールのような小さいものも見える。私の視力の0.3に比べたらはるかに目がいい、視力1.4億が実現できるはずです。 そんな野心的なプロジェクトが始まり、日本も大きな貢献をしました。日本、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、メキシコ、中国、台湾、韓国という、文字どおり地球サイズの国際協力プロジェクトです。 プロジェクトの名前は「イベント・ホライズン・テレスコープ」といいます。ブラックホールの周りの、出てこられるところともう決して出てこられないところの境目を「事象の地平線」といいます。英語ではイベント・ホライズンです。 「地平線」とは、たとえば山の上から海を見ると、地球が丸いために、あるところから向こうは見えない、この境目のことです。「事象」というのは、何かしら起きている現象のことです。「事象の地平線」とは、この境目の内側で起きたどんな事象も見ることができない境目のことです。そのイベント・ホライズンを見るテレスコープ(望遠鏡)というのが、このプロジェクトの触れ込みです。 こうして撮ったブラックホールの写真が写真[1-29]です。[1-29]M87の中心のブラックホールのシャドウ 周りの明るいところがブラックホールの周りを回るガス、真ん中の黒いところの縁は光がブラックホールの周りを公転してしまって出てこられなくなる「光子リング」、光子リングの内側の半径3分の2ぐらいのところに「事象の地平線」があります。写真の下半分はガスが私たちの方を向いているので明るく、上半分はガスの運動が遠ざかっているので暗く見えています。2019年、日本を含む国際研究チームの観測によって、ブラックホールが初めて視覚的に証明されました。2019/04/11ブラックホール初撮影 5500万光年先を直接観測 日本など国際チームより あらゆる物質をのみ込む巨大ブラックホールの撮影に、国立天文台などの国際研究チームが世界で初めて成功し、10日発表した。世界6ヵ所の望遠鏡で同時に観測して解像度を飛躍的に高め、真っ黒な穴を捉えた。ブラックホールの存在を直接裏付けたことになり、銀河の成り立ちの解明につながる。 撮影に成功したのは、地球から約5500万光年離れた銀河「M87」にあるブラックホール。 ブラックホールは重力が極めて強く、光も吸い込んでしまう。光が脱出できなくなる境界は「事象の地平線」と呼ばれる。巨大ブラックホールは宇宙に無数ある銀河の中心にそれぞれ存在すると考えられているが、誕生の仕組みなどはわかっていない。これまでは、周囲を回る星の動きなどから、間接的に存在を確認していた。 研究チームは、宇宙空間のちりなどに吸収されにくく、地球まで届きやすい電波「ミリ波」に着目。ブラックホールに吸い込まれる際に周囲のガスが発するミリ波を観測し、画像に変換することを試みた。 2017年4月、南米・チリのアルマ望遠鏡や米ハワイ、南極など世界6ヵ所、計八つの電波望遠鏡を使って計5日間、M87と、天の川銀河の中心にある「いて座A*(エースター)」のブラックホールを観測した。 最大約1万キロ離れた望遠鏡のデータを合成することで、解像度を月面に置いたゴルフボールを地球から見分けられるほどに高め、わずかな電波を捕捉。約2年かけ解析した結果、M87の画像では、ガスの光に包まれた黒いブラックホールの姿が確認できた。質量は太陽の約65億倍に相当することがわかった。いて座A*については解析中という。 研究チームで日本の代表を務める国立天文台の本間希樹(まれき)教授は会見で「写真はアインシュタインの相対性理論以来初めて、ブラックホールを視覚的に証明するもの。銀河の真ん中にブラックホールが存在することを決定づける意味のある一枚だ」と話した。(石倉徹也、小宮山亮磨)『宇宙はなぜ美しいのか』3:ブラックホールの撮影『宇宙はなぜ美しいのか』2:星の誕生『宇宙はなぜ美しいのか』1:「はじめに」『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』(復刻)もお奨めです。この記事も『ブラックホールを見たいR3』に収めるものとします。
2024.05.07
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図書館で『習近平の敗北』という本を、手にしたのです。表紙のコピーに「中国の危機」とあるように・・・かなりの中国ウォッチャーでなないかと思ったのです。【習近平の敗北】福島香織著、ワニブックス、2019年刊<「BOOK」データベース>より無能でも皇帝になれる共産党体制、すさまじい牢獄国家で暮らすということ、日本は中国とどう向き合うべきか!-政変、動乱、分裂…中国を襲う9の厄災。<読む前の大使寸評>表紙のコピーに「中国の危機」とあるように・・・かなりの中国ウォッチャーでなないかと思ったのです。rakuten習近平の敗北「第六章 軍靴の足音」で米中の軍事プレゼンスを、見てみましょう。p216~227<中国は苦しい時ほど戦争を仕掛ける> 中国がどこかで戦争をするかもしれない。そういう予感はこの数年、ずっと漂っています。 中国は国内が不安定化すると対外戦争を行って国威発揚し、中国共産党の軍権掌握と人民の愛国心やナショナリズム高揚効果を狙う、と同時に軍内の不穏分子を戦場に送り出す、というようなことを実際にやってきました。 記憶に残るのが1979年の中越戦争です。結果的に中国はズタボロに負けるのですが、国内では大勝利を宣伝し、文革によって求心力が落ちた中国共産党の威信を取り戻す効果がありました。またその敗戦の責任を文革中にはびこった扱いづらい軍内左派の軍幹部に負わせて排除し、替わりに自分に忠誠を誓う将校を出世させ、軍権の掌握を勧めました。 実戦を通じて解放軍の弱点を理解した鄧小平はその後、大規模な軍制改革や、軍の近代化を勧めました。 この軍の近代化の成果を試す意味もあり、また1979年の敗北の雪辱を晴らすためにも1884年に再び中越国境紛争を起こします。実際は苦戦を強いられ多大な犠牲を払いましたが、やはりこれも大勝利と国内で宣伝され、鄧小平のカリスマ的地位を確立することになりました。(中略)<半島有事> この原稿を書いているとき、おりしも2回目の米朝首脳会談(2019年2月)がハノイで行われ、何の進展もないまま会議は決裂しました。両首脳は予定よりも2時間も早く会談を切り上げてランチもとらずに早々にホテルに帰ってしまったそうです。 この決裂の原因は、北朝鮮側が「制裁解除を先にせよ」と要求し、米国側は「寧辺以外の全核施設の廃棄や保有するすべての核弾頭の提出などが先で、それが終わってから制裁解除だ」ということで、米朝双方の主張が根本的に対立しているので合意できないのですが、実質進展がないものの、もう少し双方が取り繕って、基本的合意だとか、覚書きのような文書を出すこともできたわけです。そうせずにトランプが席を立って会議を決裂させたのは、同席したボルトン大統領補佐官の振り付けのようです。 半島問題の専門家、重村智計さんから聞いた話ですが、北朝鮮との話し合いは「交渉すると負け」なのだそうです。先に席を立って、北朝鮮側に追いかけさせて、北朝鮮に譲歩させるのが北朝鮮との正しい交渉術。ボルトンはそれを熟知していたので、トランプに交渉しないで帰るようにアドバイスしたのかもしれません。(ここで6ページほど中略) 北朝鮮には常に軍事クーデターの危険性が潜んでいますが、もし軍事クーデターが起きるとしたら、ほぼ必ず中国解放軍の協力があるでしょう。逆にいえば解放軍がその気になれば北朝鮮でクーデターを起こせます。解放軍、特に旧瀋陽軍区は朝鮮族も多く、軍事物資や資源の密輸入共謀関係があり、心情的にも利益供与的にも絆は深いのです。 習近平政権が命じてそうした北朝鮮有事をたきつけなくとも、解放軍内の不満や不安がそういう形で暴発することはありうるでしょう。旧瀋陽軍区は、汚職で失脚させられた軍長老・徐才厚の部下がまだ多くおり、不満をくすぶらせています。 また習近平サイドが、旧瀋陽軍区内のアンチ派を粛清する口実にするつもりで、軍内で何か問題を起こさせる、ということもあるかもしれません。北朝鮮政府内部がいつ倒れてもおかしくないほど求心力を失ったとき、ロシアも狙っている羅津、清津といった重要港はなんとしても先に抑えたい港ですから、どんな手を使ってもおかしくはないでしょう そう考えると、半島情勢は、韓国の文在寅が夢見ているような“お花畑”のようなものではなく、いつ引火爆発を起こしてもおかしくないガスが充満しているようなものといえるでしょう。<南シナ海有事> 南シナ海はどうでしょう。オバマ政権の8年間の間に、中国は南シナ海の領有権問題でフィリピンやベトナムらと争う岩礁島の実効支配を次々と固めていき、軍事拠点化を進めてきました。 具体的にはスビ礁、ファイアリー・クロス礁、クアテロン礁、ミスチーフ礁、ヒューズ礁、ジョンソンサウス礁、ガベン礁の7つの岩礁島を埋め立てて人工島にしているだけでなく、造りあげた島を基地化しています。このうち、スビ、ファイアリー・クロス、ミスチーフの3島には3000メートル級の滑走路ができています。また軍艦が着けられそうな港湾施設、レーダー施設なども設置されているようです。 ファイアリー・クロス、ジョンソンサウス、クアテロン、スビ、ミスチーフには灯台が造られ、中国の交通運輸部が運用しています。気象観測所も造られ、軍人だけでなく民間人(あるいは民兵)も常駐するようになってきています。 ロイターの安全保障専門家の見解をもとにした報道によれば、特にスビ島は解放軍海軍陸戦隊数百人が常駐することを目的に400以上の建物が建てられ、ちょっとした街がけいせいされているといいます。米国の民間衛星写真をみれば、バスケットコートや練兵場が並び、解放軍基地らしきものが確認できます。 1974年のベトナムとの西沙海戦で実効支配を奪ったウッディー島には、2700メートルの滑走路があり、2018年には爆撃機の離着陸テストが行われ、地対空ミサイル発射台が配備されるなど軍事拠点化が進んでいます。(中略) 2018年6月初め、シンガポールで開催されたシャングリラ会合ことアジア安全保障会議では、ジェームズ・マティス米国防長官(当時)は演説で、中国が南シナ海の人工島で、ミサイル配備や電波妨害施設の設置、新型爆撃の離着陸テストなどを行っていることは周辺国への「脅迫と威圧」であると断言しました。 かつて習近平国家主席が「南シナ海を軍事拠点化する意図はない」と言ったことに反していると批判し、「必要なら断固とした措置をとる」と軍事オプションを臭わせました。 このとき、台湾の台湾の防衛能力強化のために米国が装備面で積極的に協力していくことで、「南シナ海における中国の軍事的脅威に対抗する」とも発言しており、南シナ海有事が台湾有事とも連動する可能性をほのめかしています。(中略) 中国と岩礁島の領有を争うフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領はこうした米中の軍事的緊張が、自国が領有を主張する岩礁島が含まれる海域で急激に高まっていることについて、米中紛争に自国が巻き込まれる懸念を言い出しています。フィリピンは岩礁島を中国に実効支配され、その国際海洋法違反をハーグの仲裁裁判所に提訴して勝訴していますが、中国はこれを公然と無視しています。『習近平の敗北』1:習近平政権の変節
2024.05.07
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図書館で『習近平の敗北』という本を、手にしたのです。表紙のコピーに「中国の危機」とあるように・・・かなりの中国ウォッチャーでなないかと思ったのです。【習近平の敗北】福島香織著、ワニブックス、2019年刊<「BOOK」データベース>より無能でも皇帝になれる共産党体制、すさまじい牢獄国家で暮らすということ、日本は中国とどう向き合うべきか!-政変、動乱、分裂…中国を襲う9の厄災。<読む前の大使寸評>表紙のコピーに「中国の危機」とあるように・・・かなりの中国ウォッチャーでなないかと思ったのです。rakuten習近平の敗北「第二章 嫌われ習近平に漂う政変のにおい」で習近平政権の変節を、見てみましょう。p73~77<毛沢東ばりの対外強硬路線> また習近平の外交政策は毛沢東的対外強硬路線に近くなりました。鄧小平は「外国に学べ」とスローガンをうち、改革開放経済を進めた国際協調路線を打ち出してきました。これを「韜光養晦」、つまり、いつか大国として復活しようという野心を隠して、実力が不足している時代は、国際社会のスタンダードに自ら沿う姿勢をアピールし、外国から吸収できることはできるだけ吸収していく戦略でした。 この結果、米国や日本の資本や技術を呼び込んで中国の高度経済成長時代を実現し、WTO(世界貿易機構)にも加盟し、世界の向上として安価な労働力を使った低廉な中国製品によって世界市場を圧倒することができました。また豊かになってきた中国巨大市場は、世界から新たな消費市場のフロンティアとして垂涎の的となりました。江沢民、胡錦涛政権の外交路線もこれを受け継ぐ形で多極外交が基本でした。 ですが、習近平は、こうした野心を隠して「学ぶ姿勢」「国際スタンダードに寄っていく姿勢」の鄧小平的多極外交から、「中華民族の偉大なる復興」という野心を高らかに掲げ、世界が中国のスタンダードや秩序に合わせていくべきだという、中華思想的な大国外交路線に切り替えていきます。 米国に対しても、いずれ中国が米国と並ぶ大国になるのでそのように扱えとばかりに「米中新型大国関係」を提案しました。南シナ海の領有権を他国と争う岩礁島を実効支配していき、国際法廷(常設仲裁裁判所)で違法行為だという判決が出ても、「そんなものは紙切れだ」と完全に無視しました。 これはちょうど米国のオバマ政権がレームダックを迎え始め、EUの矛盾やほころびも顕在化してきたのに比して、中国は五輪(2008年の北京オリンピック)を経験し、リーマンショックを切り抜け、国際社会で評価が高まってきたので、国家として自信を持ってきたということも関係しているのでしょう。 ですが、中国をグローバル経済の牽引国と認め、責任ある大国に成長すると期待していた国際社会は西側の普遍的価値(〇)を完全否定して、中華秩序、中華的価値を受け入れよ、という中国の主張を受け入れるはずがありません。 習近平はコンプレックスが強く小心者ですが、ものすごく自信過剰で傲岸不遜なところがあります。 文革期に思春期を過ごし、ろくに勉強もせず、毛沢東の政治のやり方、権力闘争のやり方を脳裏に刻み付けていることから“文革脳”と呼ばれています。若い時代に海外留学経験もない彼は、国際情勢や国内情勢を読み違えたのだと私は思います。 結果として、あれほど親中的だったオバマ政権を怒らせることになります。米国はアジア太平洋リバランス政策をとって対中強硬姿勢に転じてきました。改革開放以来ずっと中国に対して一衣帯水の隣国として支援し、天安門事件後の国際的経済制裁のときにもいち早く中国との関係を正常化させた日本とも厳しい対立関係に入りました。 これまでの中国は、米国とちょっと関係が悪くなると日本と関係を良くするようにし、日本に対して強硬になるときには米国との関係を融和的にするというふうに、バランスをとってきました。そうすることで日米両国とも経済関係は良好にいじするという合理的な判断に基づく多極外交を行ってきたのですが、習近平体制になってからの中国は周辺諸国すべてに対して傲岸不遜で、攻撃的な姿勢になりました。 この延長線として、米国にトランプ政権が誕生し、米中冷戦構造に向けた西側世界の対中包囲網が開始されることになったのです。<クーデター未遂に脅えて大粛清> 鄧小平が作り上げた中国共産党の集団指導体制()を破壊し、毛沢東のような独裁者になりたがっている危険な指導者、それが習近平であると、中国共産党内の右派も左派も気づき始めました。 鄧小平路線や胡耀邦の信望者たち、つまり改革派、自由派、民主派の党内知識人は習近平を嫌い、彼のやり方はまずいと考えます。鄧小平システムが破壊されるということは、再び、動乱を利用した文化大革命や天安門事件のような血生臭い権力闘争が起こるかもしれません。 新左派、保守派も、習近平を危険視するようになりました。習近平はあたかも毛沢東のようになろうとしているけれど、習近平に毛沢東の後継を名乗るようなカリスマ性はひとかけらもありません。また中国共産党の規約にある個人崇拝の禁止を堂々と侵す習近平に社会主義国家指導者としての資質を疑う人も多いのです。
2024.05.06
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図書館で『写真で見る満州全史』という本を、手にしたのです。この本には、なんかデジャビュの感があるが・・・二度借りてもまあいいかということでチョイスしたのです。(帰って調べると、やはり借りていたので、この記事を(その4)とします。)【写真で見る満州全史】太平洋戦争研究会, 平塚柾緒著、河出書房新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本は大陸で何をしようとしたのか?…「幻の帝国」の前史から崩壊後まで!満鉄・関東軍・満州事変・満州国誕生・日本人街・開拓移民団・帝国崩壊・シベリア抑留・負の遺産…私たち日本人が今知るべき歴史!【目次】消えた帝国を歩くー現在も姿をとどめる「満州」残影/第1章 満鉄と関東軍/第2章 満州事変/第3章 関東軍の満州支配/第4章 日本人が住んだ街/第5章 満州帝国の繁栄と崩壊<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・まさにタイトルにあるとおり写真が満載のビジュアル本となっているのが、ええでぇ♪rakuten写真で見る満州全史どこから読んでもいいのだが、「第5章 満州帝国の繁栄と崩壊」から満州開拓移民団あたりを見てみましょう。p154~156<百万戸・五百万移民計画>■武装試験移民からスタート 満蒙開拓団、あるいは満州開拓団は当初は「移民」と呼ばれた。最初の移民は満州国を成立させてほぼ1年後の昭和8年(1933)3月である。東北・北関東11県の在郷軍人会が募集した、独身男性だけの集団で約500人。全員が小銃や手榴弾を携行し、機関銃も何挺か装備しており、武装移民と呼ばれた。 入植地は吉林省チャムスの南約60キロの樺山県永豊鎮で、満州に着いてからの引率者は東宮金男だった。いうまでもなく張作霖爆殺の実行部隊指揮官だった大尉で、行政処分で予備役編入になっていた。そして、この当時は「関東軍付・吉林軍顧問」という肩書だったから、東宮の背後には関東軍が控えていた。 彼らが入植した永豊鎮は未開の原野ではなく、百戸ほどの農村で、当時は匪賊の跳梁で七十戸ほどに減っていた。東宮はそこの老若男女に、一人当たり五円を支給して追い払った。五円という価値は政府が移民隊員一人当たりに支給した1ヶ月の食事補助額に等しく、もちろんそれで1ヶ月は食べられない額である。東宮は「民有既耕地七百町歩人家百十四戸を全部移民隊のものとする計画に対しては、満州人がかわいそうになりやや躊躇せざるべからず」と日記に書き記した(『満州武装移民』教育社)。 永豊鎮で確保した土地は既耕地七百町歩だけではなく全体で四万五千町歩あり、今の横浜市や金沢市ほどの広さである。この地は「弥栄村」と名づけられ、満州開拓の宣伝のために大いに利用された。 二回目の武装移民(五百名余り)はやはり吉林省で、依蘭県七虎力に入ったが、これはのちに地振村と命名された。 この土地は第一次武装移民のあとに設立された東亜勧業㈱が強制買収したものだった。同社は関東軍をバックにして吉林省やそこに隣接する黒龍江省の各県で強制買収を行い、全体として可耕地の約六割を獲得したという。 これほどの横暴に対して、追い出された農民たちが黙っているはずはなく、同地の徳望家・謝文東をリーダーに戴き、武装闘争に転じた。日本では抵抗発祥の地の名をとって土竜山事件と呼ばれるは、「兵力」は約1万人だった。 関東軍は一個連隊(約2500人)を投入して鎮圧につとめたが、途中で連隊長が襲撃されて死亡するほど激しいものだった。七虎力から湖南営にさがった第二次武装隊を3ヵ月にわたって包囲、関東軍もそれに対して討伐隊を繰り出し、各所で激戦が展開された。農民側は約五千人が殺されたという。 武装移民は昭和11年(1936)11月まで断続的に第五次まで続いたが、これが試験移民と呼ばれるものである。第四次からは在郷軍人会は募集から手を引き、武装もしなかった。■百万戸・五百万人の「満州開拓団」計画 本格的な移民は「満州開拓団」と呼ばれ、当初は「五ヵ年・二万戸移住」計画のもと、一開拓団が千戸規模に拡充された。ところがこれが実現されないうちに、昭和11年(1936)6月、広田弘毅内閣は「二十カ年・百万戸・五百万人」移住の政策を打ち出した。これからが本格的な満蒙開拓団の時代に入るのである。『写真で見る満州全史』3:皇帝・溥儀と満州帝国p102~103『写真で見る満州全史』2:「関東軍」の登場>p26~27『写真で見る満州全史』1:ラストエンペラー・溥儀p102~103
2024.05.06
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図書館予約していた『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』という雑誌を、待つこと12日でゲットしたのです。このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。【Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機】雑誌、ウェッジ、2024年刊<商品説明>より■【特集】霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なことかつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。<読む前の大使寸評>このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。<図書館予約:(4/16予約、副本?、予約1)>rakutenWedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機泉房穂・前明石市長SPECIAL INTERVIEWで泉房穂・前明石市長の提言(続き)を載せているので、見てみましょう。p48~49<悪循環の日本 最大の要因は「時代」> そうこうしているうちに、日本の国力は低下し続けている。 私は、その最大の要因は「時代」だと考えている。「右肩上がりの時代」から「右肩下がりの時代」になったということだ。 右肩上がりの時代には、財源が増えるので、これまでやっていた10のことをやりつつ、新しく1のことをやることができた。しかも、財源は11どころか、12、13・・・と増えていった。 だが、今やそんなことは不可能になった。右肩下がりの時代には、問題が増える一方で、使えるお金は減っていく。11のことをしなければならなくても、財源は10ではなく9、8、7・・・と減ってゆく。何が必要かといえば、これまでの10を見直すことだ。「何を続け、何をやめるか」という方針転換が、政治家には一段と求められている。 ところが、今の政治家は、時代の変化を直視せず、「魔法の杖」なんてないのに、いまだに右肩上がりの時代感覚でシステムを維持しようとしている。それでいて国民を救うという「情熱」もなく、不必要な政策をやめるという「方針転換」も決断せず、「責任」を取ることからも逃げ続けている。「政治家のフリをしている政治家」があまりにも多いのだ。 時代の変化について、私が心配していることの一つに少子化問題がある。今の日本が特にしんどい状況にあるのは、大きな時代の転換点に直面しているのに、この問題にうまく対応できていないことにある。 私はかつてフランスの少子化対策を学んだが、93年に出生率が1.66にまで落ち込み、「このままでは国が滅びる」との危機感から国家を揚げて「方針転換」し、一気に子ども施策に重点を置いた。それは国民の気持ちをも変える大転換であった。 日本も同様の「方針転換」ができなければ、これまで築き上げてきた社会構造が坂道を転げ落ちるように崩れる可能性がある。 国家予算も膨張し、税・保険料の国民負担も増えるばかりだ。社会を運営していくためにどうしても必要な予算や負担なら理解できる。しかし、今の政治家から「なぜそれが必要なのか」という納得のいく説明は聞こえてこない。国民の負担を減らすために何かをやめる、何かを諦めるといったことも一向に示されず、選挙対策として、必要性が疑わしい公共事業などがいまだに続けられている。 30年間給料は上がらず、経済成長もせず、国民負担は増えるばかり、おまけに昨今は物価高も直撃している。国民の不満はマグマのようにたまっており、いつ大噴火してもおかしくない状況だ。 まさに、「今の3対1」から「本来のあるべき3対1」の関係性への大転換が求められている。 それには、官僚自身が変わらなければならない点も多々ある。だが、そもそも官僚は選挙で選ばれているわけではなく、各省庁に就職している公務員である。政治家とは異なり、責任の取りようがない。さらに、政治家が官僚に責任をなすりつけようなことが横行すれば、官僚は委縮し、合理的な判断ができなくなる。これでは、官僚の良いところまで失われてしまう。 だが、政治家が本気になって覚悟を示し、大きな決断に基づき「私が責任を取るから、思い切りやってほしい」という覚悟を示せば、多くの官僚たちは国民のために懸命に業務を遂行するものだ。これは断言してもいい。『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』3:泉房穂・前明石市長の提言『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』2:PART 1 未完の公務員制度改革 『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』1:INTRODUCTION
2024.05.05
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『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』という本を再度読み直したいわけで・・・以下のとおり復刻します。*********************************************************図書館で『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』という本を、手にしたのです。朝日新聞の連載コラム「村山斉の時空自在」を3年間も続けた村山博士である。難しい事象を読みやすい筆致で面白く書くことにかけては、天下一品でんな♪【宇宙はなぜこんなにうまくできているのか】村山斉著、集英社、2012年刊<商品説明>よりこれほどやさしい宇宙論の本はなかった!なぜ太陽は燃え続けていられるのか。なぜ目に見えない暗黒物質の存在がわかったのか。なぜ宇宙はこんなにも人間に都合よくできているのか・・・宇宙の謎がよくわかる、村山宇宙論の決定版。<読む前の大使寸評>朝日新聞の連載コラム「村山斉の時空自在」を3年間も続けた村山博士である。難しい事象を読みやすい筆致で面白く書くことにかけては、天下一品でんな♪rakuten宇宙はなぜこんなにうまくできているのか「第7章 宇宙の未来はどうなるのか」で、宇宙のインフレーションを見てみましょう。p168~173<膨張の後押しする暗黒エネルギー> 宇宙には目に見える星や目に見えない暗黒物質を含めて、たくさんの物質が音在します。その量は変わらないので、宇宙が膨張すれば密度は薄まるのはわかりますよね? たとえば宇宙の大きさ(二点間の距離)が二倍になれば、体積は(タテ×ヨコ×高さですから)その三乗の八倍になります。体積が八倍になれば、その中にある物質の密度は八分の一に薄まるわけです。 そうやって物質の密度が薄まれば、空間内部のエネルギーも薄まるでしょう。そのエネルギー宇宙を押し広げているのですから、宇宙が膨張するにつれて速度は遅くなっていくはずです。 ところが、その膨張が実は加速していました。つまり、膨張するにつれて薄まるはずのエネルギーが、逆に増えているわけです。こんなに不思議な話はないでしょう。いわば、時間が経てば冷めていくはずのコーヒーが、どんどん温度を上げていくようなものです。どこかから謎のエネルギーが加わっているとしか考えられません。 この謎のエネルギーを、研究者たちは「暗黒エネルギー(Dark Energy)」と名付けました。暗黒物質と同様、とにかく正体がさっぱりわからないので、とりあえずそんなふうに呼んでおくしかありません。暗黒エネルギーは、宇宙が広がるたびにどこからともなく増え続け、放っておけば減速してしまう膨張をぐいぐい後押ししているのです。 その暗黒エネルギーが宇宙全体に占める割合は、2003年にわかりました。それを調べたのが、第5章に登場したウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機WMAPです。その観測結果も、宇宙研究者を大いに驚かせました。 宇宙にある物質をエネルギーに換算すると(E=mc2を思い出しましょう)、原子でできている通常の物質は。たったの4.5パーセントにすぎません。物質の五倍もある暗黒物質も、宇宙全体から見れば約23パーセント。そして、残るおよそ73パーセントを暗黒エネルギーが占めているのです。 エネルギーという観点から考えれば、宇宙は大半が暗黒エネルギーでできているといっても過言ではありません。その正体がわからなければ、宇宙のことを理解したとはとてもいえないでしょう。日本でも、直径8.2メートルの鏡を持つ世界最大級のすばる望遠鏡を使って暗黒エネルギーの正体を暴こうという「すみれ計画」を進めているところです。(中略) およそ100年も前に、暗黒エネルギーの存在を予見していたかのように思える計算をしたアインシュタインには驚かされます。彼が遺した宇宙定数は、宇宙論を研究するすべての科学者に与えられた宿題のようなものだといえるのではないでしょうか。<インフレーション宇宙論> もちろん、超新星の観測で加速膨張の事実がわかって以来、多くの研究者が暗黒エネルギーの謎に取り組んでいます。まだ何もわかっていないに等しい状態ではありますが、その研究の中で、ひとつ大きな疑問が生じました。暗黒エネルギーそのものが大きな疑問ではあるのですが、実はその量が少なすぎると思われるのです。 これを本気で説明すると例の量子力学から始めることになるので、ごく簡単にお話しします。細かいことはさておき、ともかく「真空」にエネルギーがあると思ってください。ふつう、真空とは空気も何もないカラッポのように見えるところでも、粒子と反粒子が対生成と対消滅を繰り返しています。対生成を起こすにはエネルギーが必要ですから、何もないと思われている真空からエネルギーを「借りている」としか考えられません。その「借金」を、対消滅のときに生まれるエネルギーで「返済」しているのです。(中略) そして、この「真空のエネルギー」は、膨張して体積が増えると、その分だけ大きくなります。ならば当然、暗黒エネルギーは真空のエネルギーではないかと思いますよね? 実際、その可能性は高いでしょう。実は誕生直後の宇宙も、この真空のエネルギーによって凄まじい勢いで膨張したと考えられます。 これは「インフレーション宇宙論」と呼ばれる考え方で、30年ほど前に、東京大学名誉教授の佐藤勝彦先生とアメリカの物理学者アラン・グースがほぼ同時に発表しました。宇宙誕生の10のマイナス36秒後から10のマイナス34秒後というほんのわずかな時間に、宇宙が倍々ゲームで急膨張したとする理論です。 これは、いわゆるビッグバンではありません、一般的には「宇宙の始まりは」だと思われていますが、宇宙論でいうビッグバンは、このインフレーションが終わってから「真空のエネルギー」が熱に変わり、熱い宇宙になったもの。急膨張が済んでからビッグバンが起こり、そこからは膨張速度がゆっくりになったと考えられています。ウーム 論旨明瞭だけど、意味不明ですね・・・それだけ難しいところなんでしょう。2012年発刊のこの本では、まだヒッグス粒子(2012年に発見)に触れていません。そのヒッグス粒子についてネットを巡ると最後の素粒子「ヒッグス粒子」の発見はさまざまな謎の解明のスタート台がヒットしました。『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』5:宇宙のインフレーション『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』4:宇宙の晴れ上がり『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』3:暗黒物質『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』2:ブラックホール『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』1:太陽系は「新興住宅地」?『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』(復刻)
2024.05.05
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図書館で『日本の映画産業を殺すク-ルジャパンマネー』という新書を、手にしたのです。著者は経済産業省主導のクールジャパン政策を厳しく問い詰めているが・・・「成長戦略の柱」などのごまかしや官僚の限界を見てみようではないか。【日本の映画産業を殺すク-ルジャパンマネー】 ヒロ・マスダ著、光文社、2020年刊<「BOOK」データベース>より「日本再生のカギ」「成長戦略の柱」などと叫ばれ、国を挙げて推進されてきたクールジャパン政策。映画産業に関しては「ハリウッドで日本映画を作る」と気炎が上がっていた。ところが、実際は全く成果を上げられないどころか数十億~数百億円の赤字を垂れ流す、壊滅的な状況となっている。巨匠ヴィム・ヴェンダース監督からの言葉をきっかけにクールジャパン政策の問題点を長年追いかけてきた映画プロデューサーが、すべての元凶である経済産業省の不正や非常識を徹底的に暴くとともに、世界各国の成功例を基にした、クリエイター支援のあるべき姿を考える。<読む前の大使寸評>著者は経済産業省主導のクールジャパン政策を厳しく問い詰めているが・・・「成長戦略の柱」などのごまかしや官僚の限界を見てみようではないか。rakuten日本の映画産業を殺すク-ルジャパンマネーなにはともあれ「はじめに」の冒頭から、見てみましょう。p3~8<はじめに> ここ数年、「日本再生のカギ」「成長戦略の柱」などと叫ばれ、国を挙げてクールジャパンが推進されてきました。映画、テレビ、アニメ、ゲームなどのクリエイティブ産業もクールジャパンの具体例とされ、これまで1000億円以上に上る莫大な額の税金や、国の借金を原資とした財政投融資の公的資金が投じられています。 しかし、これらの「クールジャパンマネー」は1円たりとも、日本のクリエイティブを支える「人」に向けられることはありませんでした。 これはクールジャパンを批判することありきで、大げさに言っているわけではありません。本来ならばクールジャパンを推進する上で重要な役割を担うはずである、日本の制作現場には、巨額予算が文字どおり1円たりとも使われてこなかったのです。 では、クールジャパンの名の下に投入された1000億円以上のお金は、一体何に使われたのでしょうか? また、それは誰が、どのように運用してきたのでしょうか? クールジャパンをめぐる動きを見ると、その数々の事業を所管する経済産業省が主導的な役割をなした法律と制度濫用が横行しています。そして、こうした暴走を許す背景には、クールジャパン政策が始まる前から巧妙に仕組まれた、公的資金を搾取する「カラクリ」が存在しています。 クールジャパンの制度的、および組織的な腐敗の顕著な例として、本書が扱う「官民ファンドを使った事業」と「間接補助金を使った事業」が挙げられます。 これらの巨額クールジャパン事業は、税金、公的資金で賄われています。それにもかかわらず、官民ファンドは「民間企業」、間接補助金は「民間事業」と位置付けられるため、「民間の正当な利益を損なうおそれが認められる」等の理由で情報開示を免れられる、政府にとって都合のいい制度に設計されています。その結果、事業の中で流れている公金の流れは不透明になっています。 さらに、それらの事業がどれほど合理性に欠け、非効率で、日本のクリエイティブ産業の発展を妨げる「無駄事業」であったとしても、事業が適切であったか否かについて、私たちは「そこで何が行われたか」だけでなく、「なぜ巨額の損失を招いたのか」という失敗の原因すら知ることができません。 もちろん、「官民ファンド」「間接補助金」ともに、公平、公正に運用するための法律やガイドラインが存在します。しかし、そうしたルールすらも初めから、政府が自分たちに都合よく作っているため、国民の財産をチェックしたり安全な運用を担保したりする機能は果たせていません。 そればかりか、妥当性や必要性が疑われる事業においても、重要部分の情報を隠すことにより、政府は何の根拠もなく、それらを全く問題のない「適法」な投資、事業にすることができます。 この状況を例えるなら、監督官庁である経済産業省が、悪質な反則行為を目撃しても決して笛を吹かない「八百長審判」になっているだけでなく、反則チームと事前に打ち合わせているようなものです。 本書では、クールジャパン行政のこうした反則行為によって、合わせて40億円以上の税金と公的資金が消失した事業令として、産業革新機構(現:産業革新投資機構)が作った官製の映画会社「株式会社Àll Nippon Èntertainment Works」(以下、ANEW)と、民間の広告代理店も関わっている「ジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金(J-LOP)」による搾取の裏側を明かしたいと思います。(中略) 私は決して、最初から「クールジャパン政策をターゲットにしよう」と思いたって調査してきたわけではありません。また、多くのクールジャパン事業を所管する経済産業省に私怨を抱き、重箱の隅をつつくように粗探しをしたわけでもありません。 きっかけは10年前、映画監督からのある一言でした。 私は当時、『パリ、テキサス』でカンヌ国際映画祭パルムドーム(最高賞)受賞などの経歴を持つ、ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の新作品に、脚本と共同プロデユースで関わっていました。その映画は日本の小説を原作にしており、日本での撮影を予定していました。 映画を作るにあたって、日本ではどのような支援策があるのかを調べ始めました。するとわかったのが、日本には本当の意味で変化を生むことのできる施策が存在しないという事実でした。効率的で有効な、ビジネス面から見て常識的な施策は全くなかったのです。 さらに調べていくうちに、産業支援の観点からあってはならない、不適切な事業に巨額の公金が流れている実態も判明しました。その背景をちょうさすると、ことごとく姿を現したのが「クールジャパン」であり、「経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課」だったわけです。 六本木のホテルでヴィム・ヴェンダース監督に会った時のことです。「なぜ日本には、こんなに有効な産業施策がないのですか?」 ヴェンダース監督は日本での企画を諦め、次回作を政府支援が潤沢なカナダで撮影すると話していました。その後実際に『誰のせいでもない』(原題:Èvery Thing Will Be Fine)をカナダで撮影しています。 私はヴェンダース監督に「今の日本の産業支援制度の状況は変えないといけません。今回の経験から、この問題に取り組んでいきます」と話しました。ヴェンダース監督には「あなたがこの状況を変える一人になれますよ」と言われました。
2024.05.04
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早朝に散歩する太子であるが、南東の空に月と金星が見えるのです。ちょうど三日月の内側に金星が位置しているが、これって中東諸国が好むマークではないか。また、このマークは春分と関係があるのではないか?このところ宇宙や占星術の記事を見たり、書いたりしているが『日本のならわしとしきたり』という蔵書に二十四節季の記事があることを思い出したのです。【日本のならわしとしきたり】ムック、 徳間書店、2012年刊<内容紹介>ありふれたムック本ということなのか、ネットにはデータがありません。<大使寸評>とにかく「今日は七十二候でいえば、何になるか♪」を知りたいロボジーにとって、座右の書となるでしょう♪Amazon日本のならわしとしきたりこの本で、立夏のあたりを見てみましょう。和暦p13~14<立夏>空に幟、目には青葉若葉、風は緑の薫風 現行の暦(太陽暦)では、例年5月5日~6日ころが立夏となる。この日から立秋(8月7日ころ)の前日までが「夏」であり、俳句では、立夏から立秋の前日までの期間は夏の季語が用いられる。(中略) 立夏に入ると、大地が緑に染められ、樹木の葉は日々茂り、その色を濃くしていき、体感的にも夏の気配が感じられるころとなる。またこのころは比較的雨量が少なく、風が青葉若葉の色に染められ、文字通り風に香りがあるかのように爽やかな気候となる。ちなみに「風薫る」「薫風」はこの状態を表現した季語である。 このような気候風土をとらえて『暦便覧』には「夏が立つがゆへなり」と書かれている。 誤解されやすい言葉に「五月晴れ」がある。 これは梅雨最中にみられる「晴れ間」のこと。五月晴れの5月は、陽暦では梅雨入りした6月から7月ころになる。 立夏の期間の七十二候は以下の通り。 初候は「蛙始鳴」(かわずはじめてなく)であり、蛙が鳴き始めるころ。 次候は「蚯蚓出」(みみずいずる)であり、ミミズが暖かくなったので地上に這い出てき始めた。 末候は「筍生」(たけのこしょうず)であり、タケノコが生えて来る季節になった。 五月のこの季節、陽光が降り注ぎ、動物も植物もその生命力を誇示するかのように、芽吹いたつぼみが一斉に咲き始める。五月を「さつき」と読むのは、早苗を植える時期「早苗月」を略したものだと言われているが、あらゆる花が咲き始める、まさに百花繚乱の季節である。このように、二十四節季の紹介に務めてきましたが・・・ついに一巡し、(復刻)も三巡目に入ることになりました。二十四節季の清明にに注目(復刻)二十四節季の穀雨に注目
2024.05.04
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今回借りた3冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・地図で見るロシアハンドブック・習近平の敗北・外国人記者が見た平成日本<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【地図で見るロシアハンドブック】パスカル・マルシャン著、原書房、2021年刊<「BOOK」データベース>よりロシアの現状が一目瞭然でわかるアトラス!ウクライナ危機、国境の変化、世界の新たな均衡など、今日のロシアの地政学的利益が一目でわかる。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten地図で見るロシアハンドブック【習近平の敗北】福島香織著、ワニブックス、2019年刊<「BOOK」データベース>より無能でも皇帝になれる共産党体制、すさまじい牢獄国家で暮らすということ、日本は中国とどう向き合うべきか!-政変、動乱、分裂…中国を襲う9の厄災。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten習近平の敗北【外国人記者が見た平成日本】ヤン・デンマン著、ベストセラーズ、2018年刊<出版社>より現代日本に蔓延している悪性のニヒリズムはいったいどこから来ているのか? これほどまでに高まっている「不信感」はどうすればよいのか? 『週刊新潮』の名物コラム「東京情報」の執筆者で自称オランダ人記者ヤン・デンマンによる珠玉の平成日本の比較文化論。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten外国人記者が見た平成日本
2024.05.03
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在158位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在70位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在40位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在35位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在141位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在3位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在6位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在4位・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、副本3、予約86)現在55位・大学教授 こそこそ日記(1/12予約、入荷待ち、予約?)現在27位・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在52位・本川達雄『ウマは走るヒトはコケる』(3/31予約、副本1、予約5)現在1位・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、副本?、予約106)現在99位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)現在48位・前田和男『昭和街場のはやり歌』 (5/01予約、副本?、予約8)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・西東三鬼『神戸・続神戸』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・地球の歩き方 日本・畑正憲『どんべえ物語』:図書館未収蔵・小倉ヒラク『アジア発酵紀行』<予約分受取:2/04以降> ・絲山秋子『御社のチャラ男』(1/27予約、2/04受取)・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』(2/15予約、2/27受取)・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、2/27受取)・川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』(1/26予約、2/27受取)・呉叡人『フォルモサ・イデオロギー』(2/03予約、3/11受取) ・森見登美彦『太陽と乙女』(3/23予約、3/31受取)・Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機 (4/16予約、4/28受取予定)**********************************************************************【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【イラク水滸伝】高野秀行著、文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>よりアフワールーそこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録ー“現代最後のカオス”に挑んだ圧巻のノンフィクション大作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本3、予約86)>rakutenイラク水滸伝【大学教授 こそこそ日記】 多井学著、三五館シンシャ、2023年刊<「BOOK」データベース>より「いくらでも手抜きのできる仕事」。現役教授が打ち明ける、ちっとも優雅じゃない生活。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/12予約、入荷待ち、予約?)>rakuten大学教授 こそこそ日記【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【ウマは走るヒトはコケる】本川達雄著、 中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>より背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ?鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ?渡り鳥が無着陸で何千kmも飛べる。なぜ?魚やイルカには顎がない。なぜ?皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/31予約、副本1、予約5)>rakutenウマは走るヒトはコケる【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/12予約、副本?、予約111)>rakutenしんがりで寝ています【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【昭和街場のはやり歌】前田和男著、 彩流社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「はやり歌」から、明日の日本の姿が見えてくる…。歌とともに時代を共有した「団塊」といわれるベビーブーマー世代が、エピソードを交え描く歌謡社会文化論!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(5/01予約、副本?、予約8)>rakuten昭和街場のはやり歌【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索【Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機】雑誌、ウェッジ、2024年刊<商品説明>より■【特集】霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なことかつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/16予約、副本?、予約1)>rakutenWedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機
2024.05.03
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図書館予約していた『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』という雑誌を、待つこと12日でゲットしたのです。このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。【Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機】雑誌、ウェッジ、2024年刊<商品説明>より■【特集】霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なことかつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。<読む前の大使寸評>このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。<図書館予約:(4/16予約、副本?、予約1)>rakutenWedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機泉房穂・前明石市長SPECIAL INTERVIEWで泉房穂・前明石市長の提言を載せているので、見てみましょう。p46~47<「方針転換」こそ政治家の仕事 官僚の長所をもっと伸ばせ> 誤解があるかもしれないので、自分のスタンスをはっきりと申し上げておきたい。 私は、「官から民へ」派ではなく、官僚バッシング派でもない。「公の仕事は尊い」と考えている生粋の“公派”の人間である。 もちろん、民間には民間の良さがあるが、この世の中、全てが民間だけでは成り立たない。儲からないことでも必要なことは山ほどあるからだ。行政サービスはその典型である。 人は生まれた瞬間から人によって支えられながら生きている。人間は集団で生き、社会をつくる。社会を運営していくためには、みんなのために使うお金と、みんなのために働く人たちがいる。それが税金であり、公務員だ。両者はまさに社会の基盤である。 私はまた、増税反対派ではなく、小さな政府派でもない。中負担高福祉派である。公務員がしっかり汗をかいて知恵を絞り、国民が満足できる高福祉社会を実現したいと切に願っている。 自著の中でも述べてきたが、こうした思いを持つに至ったのは、幼少期の経験が大きい。 私は兵庫県明石市二見町という小さな漁師町で育った。ずっと、貧乏であった。しかも、4歳下の弟には生まれた時から障害があった。チアノーゼ(酸欠状態)で息も絶え絶え。成長しても障害が残ることが明らかだった。(中略) こんな状況だったから、弟が生まれた時、医師は両親にこう言った。「このままにしましょう」 つまり、見殺しにしようとすることだ。とんでもない話であり、両親はそれに猛反対して、自宅に連れて帰った。命は救われたが、生涯が残った。2歳の時には、脳性小児麻痺で「一生起立不能」とも診断された。 その後もさまざまな葛藤があったが、幸い、弟は小学校に入る前には歩けるまでに成長した。嬉しかった。(中略) 誰かを排除する社会とは、自分が「少数派」になれば排除される社会でもある。だからこそ私は、自分がマイノリティーだと感じた時、生きづらさを覚える「冷たい社会」ではなく「やさしい社会」を実現したいと心の底からずっと思ってきた。 <「今の3対1」から「本来のあるべき3対1」へ> どのような社会にしたいかという理想像は人によって違うのが当然である。大事なことは、より良い社会にするためには、国であれ、地方であれ、まず、政治家が大方針を示し、その実現にむけて公務員がやりがいを持って、生き生きと働けるようにすることである。 マスコミの役割も大きい。放っておくと権力は必ず肥大化するからだ。だからこそ、マスコミは権力を監視して、政策に問題があれば叱咤し、良い効果があれば激励して伸ばしていくことが求められる。 これらは私たちの社会を健全な形で運営していくための基本中の基本である。これはいったい、誰のためあるのかといえば、すべては「国民」のためである。 だが、その「国民」をあまりにも蔑ろにしているのが今の日本であり、今の政治家である。最近は、改善されるどころか、ますますひどくなっている。 こうした状況の中で、「霞が関」についても昨今、政策立案・遂行能力が低下しているとの報道も目立つようになった。事実、私もそう感じている。 しかし、官僚だけが悪いという問題ではない。政治やマスコミにだって大いに問題があるからだ。 今の日本に真の政治家はほとんどいない。いるのは選挙屋ばかりである。この国を立て直したいと、本気で、覚悟を持って取り組んでいる政治家はなかなか見当たらない。日本社会の変革を諦めてしまっている国民も多い。 根が深い問題だ。根本には「政治家」「官僚」「国民」「マスコミ」という4つの関係性が本来のあるべき姿から大幅に乖離していることが大きい。 4つの関係性のうち、「今の3対1」から、「本来のあるべき3対1」にすべきというのが私の持論である。 90年代以降、政治主導となり、官僚が政治家を見て仕事をするようになったと言われているが、私からすれば、その様相は少し異なる。 今の日本は「官僚」が一番上にいて、その下に「政治家」、さらにその下に「国民」がいるという構造になっている。昨今の政治家は勉強不足が著しいから、いつまでも官僚に“お膳立てされた”政策を進めるしかなく、しかも、国民が納得できる説明もなく、負担増ばかりを強いている。 権力を監視し、時には異を唱え、国民を助けてくれるはずの「マスコミ」も一番上にいる官僚の横に位置している。日々の報道で、政治には一応の注文をつけるが、「国民負担やむなし」といったキャンペーンを張っている。これが「今の3対1」である。 だが、本来は、一番上に「国民」が位置し、その国民に選ばれた「政治家」が「官僚」を動かして共同作業を行い、国民のために政策を推進していくことが欠かせない。そして、「マスコミ」は一番上の国民の横に位置し、国民の声に寄り添う形で、権力を監視し、叱咤激励していく。これが「本来のあるべき3対1」の関係性である。『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』2:PART 1 未完の公務員制度改革 『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』1:INTRODUCTION
2024.05.02
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図書館で『写真で見る満州全史』という本を、手にしたのです。この本には、なんかデジャビュの感があるが・・・二度借りてもまあいいかということでチョイスしたのです。(帰って調べると、やはり借りていたので、この記事を(その3)とします。)【写真で見る満州全史】太平洋戦争研究会, 平塚柾緒著、河出書房新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本は大陸で何をしようとしたのか?…「幻の帝国」の前史から崩壊後まで!満鉄・関東軍・満州事変・満州国誕生・日本人街・開拓移民団・帝国崩壊・シベリア抑留・負の遺産…私たち日本人が今知るべき歴史!【目次】消えた帝国を歩くー現在も姿をとどめる「満州」残影/第1章 満鉄と関東軍/第2章 満州事変/第3章 関東軍の満州支配/第4章 日本人が住んだ街/第5章 満州帝国の繁栄と崩壊<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・まさにタイトルにあるとおり写真が満載のビジュアル本となっているのが、ええでぇ♪rakuten写真で見る満州全史どこから読んでもいいのだが、「第3章 関東軍の満州支配」から帝国の誕生あたりを見てみましょう。p102~103<皇帝・溥儀と満州帝国>■国の運命を決した建国五日後の密約 昭和7年3月1日、世界の視線が上海事変に引き寄せられている間隙を縫って、「五族協和」「王道楽土」を掲げて「満州国」は誕生した。しかし満州国の運命は、早くも建国式が行われた数日後には決定されてしまった。昭和7年3月9日の執政就任式を前に、溥儀は一通の書簡に署名している。これは関東軍司令官と交わした重大な密約であった。 内容は次のようなものである。一、満州国の治安維持および国防は日本軍に委ねる。一、国防上必要な鉄道、港湾、水路、航空路の管理、ならびに新設はすべて日本に委ねる。一、日本人を満州国参議に任じ、中央、地方の官署にも、日本人を任用する。その選任、解任は関東軍司令官の同意を必要とする。 このように満州国は、最初から骨抜き状態で誕生した見せかけの“独立国家”だったのである。ところが、この密約は鄭考胥(満州国の国務総理に就任)が勝手に結んだもので、自分は5ヶ月後になって初めて知らされた、と溥儀は『わが半生』に記している。しかし、これは偽りであろう。彼は将来の皇帝就任という確約と引きかえに、新国家の重要な諸権利を引き渡したのである。 昭和7年9月15日、日本政府は正式に満州国を承認、両国の間に「日満議定書」が結ばれる。公表された「議定書」の本文には、「日本の既得権の尊重」「日満の共同防衛」、この二ヶ条しか見られない。しかし、付属協定として先の密約も認め合っていたのだ。それが世人の前に明かされたのは、戦後のことである。 後世に売国奴のそしりをまぬがれないと怖れたのだろうか、議定書調印式の満州国代表・鄭考胥総理は、挨拶をうながされても「いたずらに口をもぐもぐさせ、顔面神経をぴりぴり動かし泣かんばかりの」表情を見せるだけで、ひと言も発しなかったという。■「五族協和」のスローガンも虚しく 満州国では執政・溥儀を元首とし、国務院という組織が行政の中心とされた。国務院のトップ・国務総理が、すなわち首相である。清朝時代から溥儀の側近ナンバーワンである鄭考胥が、初代の国務総理に任命されていた。 しかし、鄭は乗り気ではなく、何回も「辞職したい」と申し出ている。「日満議定書」調印日の6日前にも「今度こそ辞める」と突然いいだし、自宅に閉じこもって登庁しなくなった。あわてた関東軍は、岡村寧次参謀副長を新京に向かわせ、何とか翻意させるというドタバタ劇を演じる。「駒井徳三総務長官の横暴ぶりにがまんできない」ことに、その辞意は発していた。国務総理とは言っても“飾り物”にすぎず、政府の実権は日本人の総務長官が握っていたのだ。ことに駒井は、2月に馬占山を帰順させるなど、自らの政治手腕に酔い、大変な高飛車ぶりだった。 駒井について溥儀はこう記している。「当時日本の雑誌『改造』は、公然と彼を『満州国総務総理』『新国家の内閣総理大臣』と呼んだ。駒井は元『満鉄』につとめていた男で、(略)東京の軍部と財閥の目にとまり、『中国通』とみなされたのだということだった」「彼の目から見た最高の上司はもちろん関東軍司令官であり、私という名目上の執政ではなかった」『写真で見る満州全史』2:「関東軍」の登場>p26~27『写真で見る満州全史』1:ラストエンペラー・溥儀p102~103
2024.05.02
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図書館で『宇宙へ』という本を、手にしたのです。著者は神戸市生まれの理系女性で、宇宙エレベーターに関するハードSFを書いているのがええでぇ♪【宇宙へ】福田和代著、講談社、2012年刊<「BOOK」データベース>より【目次】職業メンテナンスマン。仕事場は、宇宙!2031年、原田拓海は宇宙へ上がる。天に向かい、まっすぐ伸びていく“宇宙エレベーター”で。誰もが宇宙へ行ける時代の到来。夢のその先には、誰も味わったことのない未知なる“お仕事”が待っていた。 遙かなる宇宙の歌/メンテナンスマンはマタ・ハリの夢を見るか?/アストロノーツに花束を/わが名はテロリスト<読む前の大使寸評>著者は神戸市生まれの理系女性で、宇宙エレベーターに関するハードSFを書いているのがええでぇ♪rakuten宇宙へなにはともあれ「プロローグ」の語り口から、見てみましょう。p4~5<プロローグ> 船はずいぶん沖合まで来た。 上下する波と、エンジンの振動が全身を心地よく揺さぶる。 出港は昨夜の午後8時だった。宵闇を透かしても、海の向こうにはときおり行きかう船の灯火しか見えなかった。原田拓海は、船室のリクライニングする座席に座り、毛布を身体に巻き付けてほんの少しだけ眠った。緊張と期待が高まり、おまけに座席は拓海の体格には窮屈で、うとうととしたと思えばすぐ目覚めるような浅い眠りだ。 夜明けが待ち遠しかった。 じりじりとして、待っていた。 窓から光が射しこむと、もうじっとしていられなかった。「おい・・・真人。デッキに行くぞ」 隣の座席で眠っている篠原真人を揺さぶり起こす。真人のやつは、こんな時でも平気な顔をして、ぐっすり眠ってやがったのだ。「うん?・・・なんだ、えらく早いな」 真人は腕時計を見て、呆れたような顔をした。 冷たい風が吹き付けるデッキに出ると、先客の姿がちらほら見える。拓海と同じように、到着を待ちきれず波濤のかなたを眺めているのだ。みんな、水平線の向こうに目をこらしている。「あれか・・・!」 思わず声に出して叫んだ。 それはある意味、異様な光景だった。 きらきら輝く水平線のかなたから、直立して天に向かう四本のケーブル。 まっすぐ、まっすぐ・・・どこまでも伸びるケーブルの終着点がどこにあるのか。正確に知っている人間は、まだ少ないかも知れない。 拓海はデッキの手すりにしがみつき、もっとよく見ようと身を乗り出した。「興奮して海に落ちるなよ、拓海。おまえ、それでなくても背が高いから、バランス崩して落ちそうなのに」 真人が冷静な表情で双眼鏡を渡してくれる。こいつは端正な二枚目で、いつだってクールぶっているのだ。「おまえ、よくそんな平気な顔で見ていられるな。あれを! あんなすごいものを!」「だって俺は、一年も前からあそこで働いてるんだぞ。何回も見ているからな。今度だって、休暇で1週間ちょっと離れただけだし」 真人のやつの言い草に、拓海は軽くむっとする。自分は、これから初めてあの場所に向かうというのに。
2024.05.01
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図書館予約していた『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』という雑誌を、待つこと12日でゲットしたのです。このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。【Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機】雑誌、ウェッジ、2024年刊<商品説明>より■【特集】霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なことかつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。<読む前の大使寸評>このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。<図書館予約:(4/16予約、副本?、予約1)>rakutenWedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機Special Report「霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なこと」のPART 1から見てみましょう。p20~22<PART 1「未完の公務員制度改革 政官関係に外部検証の視点を」:嶋田博子> 50代半ば以上の世代は、日本経済を支える優秀な官僚制が海外から称賛された時期を覚えているだろう。米国政治学者チャルマーズ・ジョンソンの『通産省と日本の軌跡』(1982年、勁草書房)などで、戦後の経済成長や社会の安定に果たした官僚の多大な役割が指摘された。拡大するパイの配分をめぐって、各章は族議員と組んで活発な政策競争を続け、国内でも「官僚は鼻もちならないが政治家に比べて清廉で有能」という評価が定着していた。 こうした評価は1990年代に一変する。少子高齢化から生ずる財政負担がバブル経済崩壊で顕在化し、冷戦終結から急激なグローバル化が進んだことで、従来の縦割りとボトムアップの限界が露呈した。 行政の立ち遅れが目立つ中、主要省からは機動性向上に向けて人事の自由化を求める声が上がる。 一方、同時期に、文部・労働両事務次官の逮捕(リクルート事件)、大蔵省過剰接待、厚生・防衛両事務次官の逮捕など、幹部閣僚の腐敗が相次いで発覚した結果、「政策失敗の原因は官僚の省益追求なので、選挙で選ばれる首相が厳しく統制すべき」という集権化が支持を集めるようになる。 ただ、期待が大きかった反動か、メディアや国会からの官僚バッシングは激しさを増し、議論は原因分析を超えた懲罰的な色彩も帯びていく。 組合からの訴えにより、働く側を置き去りにした改革を危惧した国際労働機関(ILO)からは、公務員の労働基本権制約への見直し検討や組合との協議などを要請する意見書が届いた。(中略) 国家公務員制度改革基本法(以下、基本法)の具体化に向けた法案は、2度の政権交代を挟んで3回廃案となり、14年、第2次安倍晋三政権の下でようやく成立したが、盛り込まれたのは幹部人事一元管理と内閣人事局創設の2項目だけだった。 これ以降、人事という手段を駆使し、首相の望む結果を出すべく邁進する「家臣型」官僚への転換が目指されるようになった。<■集権的な統制は正しい処方箋だったか> 公務員制度改革から10年経った現在、その狙いとは裏腹に霞が関の製作能力は劣化している。幹部官僚は所掌の知見に基づく政策提案を競う代わりに、選挙対策を最重視する官邸に従属した「下請け」に甘んじ、30代以下では政策形成から距離を置いて命じられたことだけを淡々と遂行する「吏員型」化が進む。公務員試験応募者は減り続け、政策立案に徹したい人材はコンサルティング会社やシンクタンクを選ぶ。 ただ、政治主導を徹底するなら吏員型で十分なはずだ。実際、「官僚丸投げから政権政党が責任を持つ政治家主導」を公約に掲げた民主党政権は、官僚を排して大臣らが政策設計を担おうとした。しかし、机上で作った自案のアピールには熱心でも実現に向けた煩雑な関係者調整には乗り出さず、どの政策も宙に浮いてしまった。 2012年末の自公両党の政権復帰後は、政策設計や調整を官僚任せとする慣行も復活したため、このまま吏員化が幹部級まで及べば、政策立案の空洞化、執行体制の無責任化が懸念される。 また、首相の意向が「国民の総意」とみなされ応答が絶対義務化したことにより、本省での勤務は過酷さを増している。国家公務員には罰則を伴う労働基準法上の上限時間規制が適用されない。新型コロナ禍対応部署では残業が月300時間を超える者が出るなど、多くの官僚が昼夜問わぬ要求で疲弊し、重要統計や法案のミスも相次いでいる。 こうした状況下で、幹部人事一元管理や内閣人事局への批判が強まっている。しかし、経済が縮小していく過程では、負担の配分や行政サービスの取捨選択などの痛みを伴う政策が主流とならざるを得ず、国全体を見渡して優先順位づけを担えるのは首相しかいない。それを実行できる人材を各省に配置することも必要で、集権的な統制自体は正しい処方箋だった。 誤解されやすいが、現在の仕組みは、実は本来の基本法の要請から外れている。想定されていた人事一元管理とは、首相の意思を暗黙のうちに察知できる「手足」を部下として自由に選ぶことではなく、主権者たる国民に政策判断や人事の理由を開示して理解を求めることだった。 だからこそ基本法では「政官関係の透明化」「官房長官の人事説明責任」が挙げられていたのに、実際の改革ではこの根幹が置き去りにされた。基本法のつまみ食いによって政権にとっては忖度される心地よい仕組みができたが、国民にとっては政策劣化が日常生活を直撃する。30日報道によれば、政府・日銀から5兆円規模の為替介入があったとのことです。今後どうなるやら。『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』1:INTRODUCTION
2024.05.01
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図書館予約していた『Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機』という雑誌を、待つこと12日でゲットしたのです。このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。【Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機】雑誌、ウェッジ、2024年刊<商品説明>より■【特集】霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なことかつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。<読む前の大使寸評>このところ、毎日、円安のニュースにさらされて意気消沈気味であるが、この日本の危機に日本政府はどう対応しているんだ!・・・と叫んでも虚しいのだ。<図書館予約:(4/16予約、副本?、予約1)>rakutenWedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機Special Report「霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なこと」の冒頭から見てみましょう。p16~19<INTRODUCTION「弱体化する霞が関 もうこれ以上看過できない」> 霞が関の官僚が「エリート」の象徴から「ブラック」の象徴になったのはいつからだろうか。2019年4月に「働き方改革関連法」が施行され、官僚にも時間外労働の上限が定められ、月45時間かつ年360時間が原則とされた。 だが、多忙な部署の職員は月100時間未満かつ年720時間という上限になっており、重要案件や緊急案件に携わる場合は上限も例外も認められている。現役官僚からは「月100時間の残業なら、まだましなほうだ」(外務省)、「国会対応がある部署は、会期中は連日タクシーで帰宅している」(厚生委労働省)との嘆き節が聞かれる。 20年10月、国家公務員制度担当の河野太郎行政改革大臣(当時)が内閣人事局に指示し、これまでブラックボックスだった官僚の超勤時間の実態が調査された。結果は、総合職(キャリア)官僚のうち20代で約30%、30代でも約15%が「過労死ライン」とされる月80時間を超えており、まさに「ブラック職場」の象徴となった。 官僚のこうした過酷な働き方が明るみになったからか、霞が関という職場は学生からも、現役官僚からも明らかに“敬遠”され始めている。国家公務員志願者数の減少や、離職者数の増加は、もはや看過できない状況だ。(中略) 1999年に政治主導のための国会審議活性化法が制定され、委員会での答弁は、官僚ではなく、閣僚が行うこととなった。これにより官僚は閣僚の正確な答弁を用意することが重要な業務の一つとなった。 各党の議員による質問は、委員会開催日の前々日までに通告することが与野党間のルールで決められている。だが、国土交通省のある官僚は「質問通告のルールを守ってくれる先生が増えたと感じるが、守らない先生も一定数いる」と指摘する。 事実、内閣人事局が23年8月に公表した調査結果によれば、4割以上がこの期日を守っていない。 質問通告を受けると、官僚たちは質問をする議員からその趣旨や内容を事前に聞き取りする「質問取り」を行う。 官僚たちは忙しい中、議員会館に足を運ばなければならないだけでなく、「質問が多い先生に関しては、いつ部屋に呼ばれるか分からないので、部屋の前で各省庁の担当者が列をなして順番待ちしている」と国会対応を担当していた元官僚経験者は語る。 こうして質問内容を聞き取った後は、関係する部局に質問を割り振り、割り振られた部局の官僚たちが答弁を作成していく。内閣人事局の同調査結果によれば、全ての答弁作成が終了した平均時間は午前1時30分を越え、作成に要した時間は7時間にも及ぶ。(中略) 目の前の仕事に必死になることを否定はしないが、官僚が本来の能力を発揮し、最も時間を割くべきは、「これからの日本」にとって必要な政策を打ち出し、磨き続けることではないか。 官僚たちはいま、「冬」の時代を迎えている。だが、このまま官僚が疲弊し、本来の能力を発揮できなくなれば、日本の行政機能は低下し、内政の行き詰まりのみならず、国際交渉における下工作もできなくなり、外交面にも多大な影響を与えることになるだろう。課題先進国・日本にとって、霞が関の危機は日本の危機なのである。 官僚制再生には、官僚自身が「前例踏襲」のくびきから逃れる必要がある。ただ、官僚機構を生かすも殺すも政治次第である点は見逃せない。そしてその政治家を選んでいるのはわれわれ国民であり、霞が関の危機は決して「対岸の出来事」ではない。国民も当事者の一人として捉える必要がある。
2024.04.30
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図書館で『人間の未来 AIの未来』という本を、手にしたのです。おお 山中伸弥先生の対談が出ているではないか・・・ちょっと古い本であるが、有意義なアイデアが見えるかも♪【人間の未来 AIの未来】 山中伸弥×羽生善治著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より人工知能、進化するロボット、iPS細胞による最先端医療ー私たちの暮らしはどう変わっていくのか?ノーベル賞科学者と史上最強棋士が「10年後、100年後の世界」を予言する。<読む前の大使寸評>おお 山中伸弥先生の対談が出ているではないか・・・ちょっと古い本であるが、有意義なアイデアが見えるかも♪rakuten人間の未来 AIの未来どこから読んでもいいのだが、「第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?」から見てみましょう。p202~204<人間は不老不死になれるのか>羽生:たとえばiPS細胞による再生医療やゲノム編集技術によって、病気がすべてなくなったら、人間は不老不死になることも可能なのでしょうか。山中:いや、老衰は間違いなく起こるでしょう。今のところ、生きることができるのは、細胞の寿命である百二十歳くらいまででしょうね。 僕もびっくりした話があって、血液を作る細胞である造血幹細胞が骨髄にあります。生まれた時は確か1万個くらいと少ないんです。造血幹細胞自体はあまり増えないけれど、分化する途中に前駆細胞を作り出して、その子たちが急激に増えて赤血球や白血球、血小板になって、どんどん入れ替わっているんです。 ただ、造血幹細胞も時々は分裂しなければいけない。分裂していると、遺伝子に傷が入ったり、寿命で死んだりしていくものもあります。だから造血幹細胞はだんだん減っていくだろうとは思っていました。百歳くらいの人を調べたら、造血幹細胞が二個しかない。羽生:二個でやりくりしているわけですか。山中:その二個がすべてで、何もせずにゼロになったら、間違いなく終わりです。そrが老衰による死です。でも、そこで骨髄移植をすれば、移植された造血幹細胞が血液をつくりだすようになります。 心臓も基本的には生まれたままの細胞がずっと残っていますから、生まれて百年以上経てば、やがて心不全になります。ただ、これも心臓移植をすることができます。足が弱っても、人工関節などの技術が今は進んでいます。 あとは能ですね。能も基本的に生まれたままで、脳細胞は滅多に増えません。でも脳を入れ替えてしまうと、その人がいったい誰なのかわからなくなりますね。羽生:もはや本人とは言えなくなってしまう。山中:だから、決め手になるのは脳じゃないでしょうか。そこまでやるか、という話です。でも脳以外は、超大金持ちがお金にモノを言わせて臓器や細胞などの移植を続ければ、理論的には更新できます。一方で、臓器移植をするには、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与する必要があります。これには副作用があるので、免疫抑制剤によって健康が損なわれてしまう可能性があります。 基本的に老化によって造血幹細胞がどんどん減って、脳も間違いなく衰えてだめになるので、そう考えると、やっぱりヒトの寿命は百二十歳くらいが限界なのではないでしょうか。それとはまた別の問題として、それ以上生きていて楽しいかどうか、ということはありますけど。羽生:不老不死の体を獲得できるか、獲得できてもそれが幸せなことか・・・昔からあるテーマですね。山中:しかしそう考えると、生物って本当にすごいですよ。人間にしても、よくこんな精妙なものができたなと思います。たとえば進化論が説明するような偶然の産物だけで、本当に僕たちはできているのかなと感じる時もあります。『人間の未来 AIの未来』3:ヒトゲノム・プロジェクト『人間の未来 AIの未来』2:iPS細胞の最前線『人間の未来 AIの未来』1:フルマラソンで研究資金を集める羽生:山中:
2024.04.30
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佐和子さんの絶対食感がするどいので、ええでぇ♪・・・ということで、復刻して読んでみたいのです。*********************************************************図書館に予約していた『アガワ家の危ない食卓』という本を、待つこと10日でゲットしたのです。佐和子さんは『聞く力』という本を出すなど、良識な人ではあるが・・・わりと言いたい放題で自己主張の強い人でもあるようです。・・・・ということで佐和子さんと父親とのノーガードのバトルを見てみましょう。【アガワ家の危ない食卓】 阿川佐和子著、新潮社、2020年刊<出版社>より朝ご飯を食べながら「今夜は何を食わせてくれるのかね?」と訊き、「まずいものは食いたくない」がモットーの父・弘之。そんな食いしん坊で怒りん坊の亭主と四人の子供のために台所に立ち続け、齢九十をこえた母。そして女優業にも忙しくなった娘。毎食が波乱含みの食卓の情景で綴る一家の歴史。和田誠氏への追悼文を附す。<読む前の大使寸評>佐和子さんは『聞く力』という本を出すなど良識な人ではあるが・・・わりと言いたい放題で自己主張の強い人でもあるようです。<図書館予約:(11/13予約、副本8、予約5)>shinchoshaアガワ家の危ない食卓佐和子さんのおにぎりを、見てみましょう。p49~52<素手にぎり> ゴルフに出かけるときはたいがいコンビニで朝ご飯を買う。寝静まる早朝の道路脇にてチロリンチロリンとドアの呼び鈴も高らかに、売場の奥へ歩み寄り、さておにぎりにしようか、それともサンドイッチにしようか。迷い迷ってどちらかを選ぶ。その日の気分にもよるが、六四の割合でおにぎりを選ぶことが多い。で、具は何にしようか、それとも梅か・・・。明太子、とり五目、ツナマヨ・・・。ああ、目移り。 人生は選択の積み重ねなりと心に唱えつつ、そして結局、梅か鮭をつかみ捕る。 それにしても今どきのおにぎりはよくできているものだ。海苔のパリパリ感を維持するためのプラスティック包装にしても、種類の豊富さにしても味ににしても、企業努力が尽くされている。思えば私が子どもだった頃、おにぎりを気軽に、しかもこれほど日常的に外で買うという環境はなかった。 おにぎりそのものの歴史はじゅうぶんに古いと聞く。江戸時代にはすでに旅人の携帯食として、あるいは農作業の合間の弁当として人々に愛されていたようだ。明治になると、旅館が竹の皮に包んだおにぎりを駅弁として売り出したという記録もある。 そういえば中学二年生のときに初めてスキー場へ行き、早朝に旅館の玄関に集合してゲレンデへ出発しようと支度をしていたら、半纏を着た旅館のおじさんが、参加者の子供たち一人一人に経木に包まれた弁当を配り始めた。おやおや、何だろう。紐を解いてこっそり中を覗くと、驚くほど大きな三角形をしたおにぎりが二つ、その脇にたくわんが二切れ添えられていた。「それが君たちのお昼ご飯。リュックにしまっておきなさい」 先生の声を耳にしながら、おかずなし? だいたいデカすぎるよぉと密かに顔をゆがめたが、とりあえずリュックに押し込む。しかし、そのあとゲレンデで転んだりスキー板が外れたり、なんとかボーゲンができるようになったり手がかじかんだり寒さのせいで目から涙が止まらなくなったりした末に、「はーい。お昼休み! ロッジに入ってお弁当を開けなさーい」 身体中にこびりついた雪の粉を叩き落とし、凍えた指先をさすりさすり席に着き、経木を開いておにぎりを頬張ったときのおいしかったこと。母以外の人間が握ったおにぎりを食べるのはそれが初めてだったかもしれない。見慣れぬかたちと大きさに驚いて、とても食べ切れないと思った大型三角おにぎり二つだったのに、ペロリと平らげた覚えがある。(中略) 母が握るおにぎりは三角形でなく俵のかたちをした小ぶりのものだった。大きすぎもせず小さすぎもせず、どっしりとした重量感はないが、頼りなくもない。かたちそのものがのほほんとした「母」だった。 私が母の真似をして同じ大きさのつもりで握っても、どういうわけか、母と同じかたちには整わない。安定感がなく、均等な大きさに揃わず、そしてなんだかふてぶてしい。おにぎりは、握る者の性格がみごとに表れるものだと、子供心に合点した。 おにぎりは素手で握らないとおいしくない。父はことあるごとにそう口にした。「手のひらにすり込んだ塩と、手から出るホルモンだか汗だか垢だかわからんが、それらが化学変化を起こしてうまみを出すんだ」 どこで教えられたか知らないが、父はおにぎりをかじるとき、必ずと言っていいほどその話を持ち出した。手から染み出る汗かホルモンか垢か。少々汚い気がしつつも、それはおそらく本当のことだろうと、娘の私は信じ込んだ。『アガワ家の危ない食卓』4:佐和子さんのおにぎり『アガワ家の危ない食卓』3:演技者としての佐和子さん『アガワ家の危ない食卓』2:佐和子さんの韓国料理めぐり『アガワ家の危ない食卓』1:冒頭のエッセイ
2024.04.29
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今回借りた4冊です。 だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は強いていえば、「手あたり次第」でしょうか♪<市立図書館>・Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機・宇宙へ・日本の映画産業を殺すク-ルジャパンマネー・写真で見る満州全史<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機】雑誌、ウェッジ、2024年刊<商品説明>より■【特集】霞が関の危機は日本の危機 官僚制再生に必要なことかつては「エリート」の象徴だった霞が関の官僚はいまや「ブラック」の象徴になってしまった。官僚たちが疲弊し、本来の能力を発揮できなければ、日本の行政機能は低下し、内政・外交にも大きな影響が出る。霞が関の危機は官僚だけが変われば克服できるものではない。政治家も国民も当事者だ。激動の時代、官僚制再生に必要な処方箋を示そう。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/16予約、副本?、予約1)>rakutenWedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機【宇宙へ】福田和代著、講談社、2012年刊<「BOOK」データベース>より【目次】職業メンテナンスマン。仕事場は、宇宙!2031年、原田拓海は宇宙へ上がる。天に向かい、まっすぐ伸びていく“宇宙エレベーター”で。誰もが宇宙へ行ける時代の到来。夢のその先には、誰も味わったことのない未知なる“お仕事”が待っていた。 遙かなる宇宙の歌/メンテナンスマンはマタ・ハリの夢を見るか?/アストロノーツに花束を/わが名はテロリスト<読む前の大使寸評>追って記入rakuten宇宙へ【日本の映画産業を殺すク-ルジャパンマネー】 ヒロ・マスダ著、光文社、2020年刊<「BOOK」データベース>より「日本再生のカギ」「成長戦略の柱」などと叫ばれ、国を挙げて推進されてきたクールジャパン政策。映画産業に関しては「ハリウッドで日本映画を作る」と気炎が上がっていた。ところが、実際は全く成果を上げられないどころか数十億~数百億円の赤字を垂れ流す、壊滅的な状況となっている。巨匠ヴィム・ヴェンダース監督からの言葉をきっかけにクールジャパン政策の問題点を長年追いかけてきた映画プロデューサーが、すべての元凶である経済産業省の不正や非常識を徹底的に暴くとともに、世界各国の成功例を基にした、クリエイター支援のあるべき姿を考える。<読む前の大使寸評>追って記入rakuten日本の映画産業を殺すク-ルジャパンマネー【写真で見る満州全史】太平洋戦争研究会, 平塚柾緒著、河出書房新社、2018年刊<「BOOK」データベース>より日本は大陸で何をしようとしたのか?…「幻の帝国」の前史から崩壊後まで!満鉄・関東軍・満州事変・満州国誕生・日本人街・開拓移民団・帝国崩壊・シベリア抑留・負の遺産…私たち日本人が今知るべき歴史!【目次】消えた帝国を歩くー現在も姿をとどめる「満州」残影/第1章 満鉄と関東軍/第2章 満州事変/第3章 関東軍の満州支配/第4章 日本人が住んだ街/第5章 満州帝国の繁栄と崩壊<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると・・・まさにタイトルにあるとおり写真が満載のビジュアル本となっているのが、ええでぇ♪rakuten写真で見る満州全史
2024.04.29
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川上未映子『黄色い家』(7/24予約、副本?、予約504)現在164位・三浦しおん『墨のゆらめき』(8/9予約、副本12、予約373)現在75位・堤未果のショック・ドクトリン(8/25予約、副本7、予約177)現在40位・『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(9/18予約、副本5、予約126)現在38位・原田ひ香『図書館のお夜食』(10/04予約、副本17、予約402)現在148位・南海トラフ地震の真実(10/20予約、副本?、予約44)現在5位・斎藤幸平『マルクス解体』(11/28予約、副本?、予約?)現在7位・吉岡桂子『鉄道と愛国』(12/04予約、副本?、予約?)現在5位・高野秀行『イラク水滸伝』(1/06予約、副本3、予約86)現在56位・大学教授 こそこそ日記(1/12予約、入荷待ち、予約?)現在28位・絲山秋子『神と黒蟹県』(3/02予約、副本3、予約63)現在53位・本川達雄『ウマは走るヒトはコケる』(3/31予約、副本1、予約5)現在3位・三浦しおん『しんがりで寝ています』(4/12予約、副本?、予約106)現在103位・カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」(4/27予約、副本1、予約48)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・グレタたったひとりのストライキ・カズオ・イシグロ『夜想曲集』・沢木耕太郎『深夜特急』<予約候補>・中野翠『ほいきた、トシヨリ生活』・鴨志田譲×西原理恵子『アジアパー伝』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・李琴峰『彼岸花が咲く島』:第165回芥川賞受賞作(21年)・井上ひさし『本の運命』・ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』・ケン・リュウ『草を結びて環を衡えん』:図書館未収蔵・九段理恵『東京都道場塔』:図書館未収蔵・外山滋比古『思考の整理学』・ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』・西東三鬼『神戸・続神戸』・「中国」はいかにして統一されたか・街道をゆく「モンゴル紀行」「南蛮のみち」・地球の歩き方 日本<予約分受取:2/04以降> ・絲山秋子『御社のチャラ男』(1/27予約、2/04受取)・村上春樹×柴田元幸『翻訳夜話』(2/15予約、2/27受取)・楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』(6/23予約、2/27受取)・川添愛『世にもあいまいなことばの秘密』(1/26予約、2/27受取)・呉叡人『フォルモサ・イデオロギー』(2/03予約、3/11受取) ・森見登美彦『太陽と乙女』(3/23予約、3/31受取)・Wedge 2024年2月号 霞が関の危機は日本の危機 (4/16予約、4/28受取予定)**********************************************************************【黄色い家】川上未映子著、中央公論新社、2023年刊<「BOOK」データベース>より2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(7/24予約、副本?、予約504)>rakuten黄色い家【墨のゆらめき】三浦しおん著、 新潮社、2023年刊<出版社>より実直なホテルマンは奔放な書家と文字に魅せられていく。書下ろし長篇小説! 都内の老舗ホテル勤務の続力は招待状の宛名書きを新たに引き受けた書家の遠田薫を訪ねたところ、副業の手紙の代筆を手伝うはめに。この代筆は依頼者に代わって手紙の文面を考え、依頼者の筆跡を模写するというものだった。AmazonのAudible(朗読)との共同企画、配信開始ですでに大人気の書き下ろし長篇小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/9予約、副本12、予約373)>rakuten墨のゆらめき【堤未果のショック・ドクトリン】堤未果著、幻冬舎、2023年刊<「BOOK」データベース>より「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など…。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(8/25予約、副本7、予約177)>rakuten堤未果のショック・ドクトリン【ぼくはあと何回、満月を見るだろう】坂本龍一著、新潮社、2023年刊<「BOOK」データベース>より「何もしなければ余命は半年ですね」ガンの転移が発覚し、医師からそう告げられたのは、2020年12月のこと。だが、その日が来る前に言葉にしておくべきことがある。創作や社会運動を支える哲学、坂本家の歴史と家族に対する想い、そして自分が去ったあとの世界についてー。幼少期から57歳までの人生を振り返った『音楽は自由にする』を継ぎ、最晩年までの足跡を未来に遺す、決定的自伝。著者の最期の日々を綴った、盟友・鈴木正文による書き下ろし原稿を収録。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/18予約、副本5、予約126)>rakutenぼくはあと何回、満月を見るだろう【図書館のお夜食】原田ひ香著、ポプラ社、2023年刊<「BOOK」データベース>より東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/04予約、副本17、予約402)>rakuten図書館のお夜食【南海トラフ地震の真実】 小澤慧一著、東京新聞出版、2023年刊<「BOOK」データベース>より「南海トラフは発生確率の高さでえこひいきされている」。ある学者の告発を受け、その確率が特別な計算式で水増しされていると知った記者。非公開の議事録に隠されたやりとりを明らかにし、計算の根拠となる江戸時代の古文書を調査するうちに浮かんだ高い数値の裏にある「真実」。予算獲得のためにないがしろにされる科学ー。地震学と行政・防災のいびつな関係を暴く渾身の調査報道。科学ジャーナリスト賞で注目のスクープを書籍化!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(10/20予約、副本?、予約44)>rakuten南海トラフ地震の真実【マルクス解体】斎藤幸平著、 講談社、2023年刊<「BOOK」データベース>よりいまや多くの問題を引き起こしている資本主義に対する処方箋として、斎藤幸平は、マルクスという古典からこれからの世の中に必要な理論を提示する。本書『マルクス解体』は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論、プロメテウス主義の批判から、未来への希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語る。これまでの斎藤の活動の集大成であり、同時に「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(11/28予約、副本?、予約?)>rakutenマルクス解体【鉄道と愛国】吉岡桂子著、岩波書店、2023年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本の発展の象徴、新幹線。アジア各地で高速鉄道の新設計画が進み、中国が日本と輸出を巡って競い合う現在、新幹線はどこまで日本の期待を背負って走るのか。一九九〇年代から始まった新幹線商戦の舞台裏を取材し、世界最長の路線網を実現した中国の高速鉄道発展の実像に迫る第一部、中国、香港、韓国、東南アジア、インド、ハンガリーなど世界各地をたずね、鉄道を走らせる各国の思惑と、現地に生きる人々の声を伝える第二部を通じて、時代と共に移りゆく日中関係を描き出し、日本の現在地をあぶりだす。<読む前の大使寸評>追って記入。<図書館予約:(12/04予約、副本?、予約?)>rakuten鉄道と愛国【イラク水滸伝】高野秀行著、文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>よりアフワールーそこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録ー“現代最後のカオス”に挑んだ圧巻のノンフィクション大作!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本3、予約86)>rakutenイラク水滸伝【大学教授 こそこそ日記】 多井学著、三五館シンシャ、2023年刊<「BOOK」データベース>より「いくらでも手抜きのできる仕事」。現役教授が打ち明ける、ちっとも優雅じゃない生活。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/12予約、入荷待ち、予約?)>rakuten大学教授 こそこそ日記【神と黒蟹県】絲山秋子著、 文藝春秋、2023年刊<「BOOK」データベース>より「黒蟹とはまた、微妙ですね」。日本のどこにでもあるような「地味県」の黒蟹県。そこで暮らす、そこを訪れる、名もなき人々や半知半能の神がすれ違いながら織りなす、かけがえなく、いとおしい日々。まだ名付けられていない人間関係を描き続けてきた著者真骨頂の連作小説集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/02予約、副本3、予約63)>rakuten神と黒蟹県【ウマは走るヒトはコケる】本川達雄著、 中央公論新社、2024年刊<「BOOK」データベース>より背骨と手足を得て、脊椎動物は速く長距離を移動できるようになった。走る、泳ぐ、飛ぶと方法は異なるが、動物それぞれが素早い動きを可能にする体のデザインを持っている。ヒトはコケつつ歩くが、これがめっぽう効率が良くて速い。なぜ?鶏の胸肉はササミよりも3倍も大きい。なぜ?渡り鳥が無着陸で何千kmも飛べる。なぜ?魚やイルカには顎がない。なぜ?皆、納得のいく理由がある。動くための驚きの仕組みが満載!<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(3/31予約、副本1、予約5)>rakutenウマは走るヒトはコケる【しんがりで寝ています】三浦しおん著、 集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>より雑誌「BAILA」での連載4年分に、書き下ろしを加えた全55編!三浦しをんの沼にどっぷりハマる、最新&爆笑エッセイ集。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/12予約、副本?、予約111)>rakutenしんがりで寝ています【カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」】 室橋 裕和著、集英社、2024年刊<「BOOK」データベース>よりいまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか…その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。おいしさのなかの真実に迫るノンフィクション。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(4/27予約、副本1、予約48)>rakutenカレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索
2024.04.28
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図書館で『人間の未来 AIの未来』という本を、手にしたのです。おお 山中伸弥先生の対談が出ているではないか・・・ちょっと古い本であるが、有意義なアイデアが見えるかも♪【人間の未来 AIの未来】 山中伸弥×羽生善治著、講談社、2018年刊<「BOOK」データベース>より人工知能、進化するロボット、iPS細胞による最先端医療ー私たちの暮らしはどう変わっていくのか?ノーベル賞科学者と史上最強棋士が「10年後、100年後の世界」を予言する。<読む前の大使寸評>おお 山中伸弥先生の対談が出ているではないか・・・ちょっと古い本であるが、有意義なアイデアが見えるかも♪rakuten人間の未来 AIの未来どこから読んでもいいのだが、「第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?」から見てみましょう。p98~101<ヒトゲノム・プロジェクト>羽生:お話を伺っていると、iPS細胞の発見もそうですが、生命科学の世界は本当に日進月歩で、予想をはるかに上回る速さでどんどん変化している感じですね。山中:ええ。でも、かたや「がんの撲滅」となると、僕が医学生だったころ、多くの研究者は「人類は2000年には完全にがんを克服しているだろう」と予想していました。僕が医学部を卒業したのが1987年だから、もう30年前のことです。 でもいまだにがんは克服されていません。もちろん、30年前に比べると治療技術ははるかに進んでいますが、やっぱりまだまだがんに負ける場合も多い。そうやって進展のスピードが予想より遅い分野も、いっぱいあるということです。羽生:そんなふうに研究が進むのが速かったり遅かったりするのは、どれだけ研究に力を注ぐかに左右される側面が大きいのでしょうか。山中:それもあります。でもいちばん大きいのは、「ブレイクスルーが起こったかどうか」だと思います。iPS細胞の発見もそうですが、生命科学すべての分野で、この10年20年のいちばん大きな発見は、何といってもゲノムの解読技術です。 ゲノムは細胞の中にあるDNAで書かれた遺伝情報一式で、いわば生物の設計図ですね。科学は未来を予測しますが、先ほどのがん克服にしても、だいたい未来予測は当たりません。ゲノム技術についても、20年前には今のような事態をほとんど誰も良そうしていませんでした。羽生:それだけ予想をはるかに超えて速く進んでいるということですね。山中:はい。1990年代の後半に僕はカリフォルニアにあるグラッドストーン研究所から日本に帰国したんですが、その時は自分でもまだ実験をしていました。 ゲノム解析をするために当時どうしていたかと言うと、電気泳動でDNAを分離する装置を自分で作るところから始まります。一晩かけて固まったゲルにDNAのサンプルを流し、何時間か電気泳動をした後、ATGC(アデニン、チミン、ッグアニン、シトシン)の四文字からなるDNAの塩基配列を読み取っていきます。だから一回の実験で、せいぜい五百塩基対、つまり五百字が読めるという程度です。羽生:20年前には、すごく手間がかかったんですね。山中:一回に一万字しか読めないんですから当然です。月に人類を送り込む「アポロ計画」に成功したアメリカが次に挑んだ一大プロジェクトが、1990年の初めから始まった「ヒトゲノム・プロジェクト」です。アメリカを中心にイギリス、世界各国の研究者が力を合わせて、一人で三十億塩基対あるヒトのゲノムを全部解読しようとする壮大な計画でした。 日本も少し貢献して、ヒト一人の全ゲノム暗号を10年以上の歳月と何千億円という資金をかけて、やっと解読したんです。なかなかうまくよめなかったりしていたんですが、計画は2003年に完了しました。それからコンピュータが加速度的に進歩して、革新的なゲノム解析技術がどんどん出てきました。羽生:結局、コンピュータの処理速度が上がったことが大きいのでしょうか。山中:処理速度も必要ですが、そもそもゲノムを読み取る速さで想像を絶することが起こっています。ゲノム計画で10年かかったことが、今は一日でできてしまいます。費用もどんどん下がって、2年ほど前までは10日くらいで何千万円もかかっていたけれども、今は百万円を切っています。この劇的な変化を2000年の段階で予想した人は、ほとんどいなかったと思います。羽生:じゃあ、全人類のゲノムを読むことも夢物語ではないということですか。山中:これも日進月歩です。少し長いスパンで考えると、ゲノム解読におけるこの変化がこれまでの生命科学の世界における考え方を破壊したと言うか、まったく違う段階に入ったという感じですね。『人間の未来 AIの未来』2:iPS細胞の最前線『人間の未来 AIの未来』1:フルマラソンで研究資金を集める羽生:山中:
2024.04.28
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図書館で『宮本常一 伝書鳩のように』という本を、手にしたのです。エッセイ集となっているが、宮本さんなら文化的センスに富んだエッセイとなっているのではないか、ということでチョイスしたのです。そういえば・・・熱血ポンちゃんの勇ましいエッセイを読んだなあ。【宮本常一 伝書鳩のように】 宮本 常一著、平凡社、2019年刊<出版社>より日本各地を歩き、漂泊民や被差別民、歴史の表舞台に姿を現さなかった無名の人々の営みや知恵に光を当てた「野の学者」宮本常一。膨大な著作のエッセンスを一冊に集成。<読む前の大使寸評>エッセイ集となっているが、宮本さんなら文化的センスに富んだエッセイとなっているのではないか、ということでチョイスしたのです。rakuten宮本常一 伝書鳩のようにどこから読んでもいいのだが、「自然を見る眼」が語られているあたりを、見てみましょう。p147~150<自然を見る眼>■三 自然の重さ この自然の重さの中で、時にはこれをはらいのけようとし、時にはこれにしたしみ、もつれあいにくしみあいつつ私たちは自然の本質というものをすこしずつ見きわめて来たのである。それだけに自然を見る眼はこまやかであり切実であったともいえる。迷信も科学もこうした中で芽吹き育って来た。■四 見すてられたものの中に 同時にわれわれは、われわれの眼にふれ、手にふれたものに、われわれの生命をきざみ、人間の歴史をのこして来た。非情に見える木や石にすら、それが人間の手にふれたものであるならば、そこに人間の息吹と歴史を感ずることができるのである。 ちかごろ出版された柳田国男先生の「海上の道」は暗示にとむ本である。現在日本の主流をなしている米作を中心にした農耕民族は、南方から琉球の島々をつたって日本に来、定住したものであろうと見ているが、その見方に多くの示唆を与えられる。 たとえばアイという風の名をとりあげて、それがいろいろのめずらしいものを吹き寄せてくれる風の名であったこと、さらにはヤシの実が波のまにまにただよいつつ佐渡や但馬や若狭、奥州などにも流れついた歴史をふりかえって、海流による南方のつながりのあったことを認めようとしている。 だがしかし、それだけで南方とのつながりを説くのではなく、4000年もまえに栄えたシナの殷という国が宝貝を貨幣として利用し、この貝をことのほか珍重していたじじつから、その貝を沖縄から求めたのではなかったかと疑っている。沖縄の宮古島はことに美しい宝貝の産地で他のものは比較にならぬ。殷がこの島の宝貝を用いたとすれば、シナ大陸と琉球の間には当然盛んな交通があったはずだし、また宮古に近い八重山には古見というところがある。古く稲作のおこなわれたところであるが、古見、久美、久米などはいずれもコメと共通した言葉であり、それはまた日本の本土にもひろがっており、そこで米作のおこなわれた歴史も古い。 柳田氏がイネの渡来を南方からであると実証づけようとするものはこうした風の名や潮流や宝貝や地名なのである。いずれも日頃は忘れ去られようとするようなものの中にすら、このすぐれた学者は人間の歴史をよみとっている。 また鼠に対する人間の態度・・・わをするにしても鼠に都合のわるいことはできるだけ聞かれないようにするとか、あるいは鼠に若干の尊敬と畏怖を持つことなどから鼠の浄土がまた日本人のやって来たところではなかろうかと、多くの例証によってわをすすめている。 また宝貝の頸かざりとハトムギでつくった頸かざりが、形も似、言葉も通ずるものがあることから、琉球では宝貝が頸かざりとして用いられ、ハトムギの方言を通じて琉球と日本の関係を見ようとしている。 ここに出て来る話の素材の一つ一つは多くの場合見すごされ忘れられるようなものばかりである。まして歴史の主流になり立役者になるようなものとは思えないが、それすら人間の息のかかったものとしてとりあげ方によっては古い日本人の祖先の歴史を文書で書かれたものよりも暗示ふかく教えてくれる。 同様にある一つの角度によって物を見ていこうとするならば、われわれの周囲のあらゆるものの中に、これと同様の真理と法則が含まれたまま、そこにだまって存在しているのではなかろうか。 見るということはいたって簡単な行為であるが、その見方には無限のひろがりと深さがある。そしてそのような物を見る眼は永い間かけて、一貫した態度でありふれたものをも見すてないで、見つけていく以外にひらけては来ない。『宮本常一 伝書鳩のように』2:すばらしい食べ方『宮本常一 伝書鳩のように』1:塩の道
2024.04.27
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図書館で『すごい! へんてこ生物』という新書を、手にしたのです。中を覗いてみると、表紙にヴィジュアル版と書かれたとおり、カラーおよびモノクロの画像が多いのが・・・ええでぇ♪【すごい! へんてこ生物】NHK「へんてこ生物アカデミー」制作班著、祥伝社、2020年刊<「BOOK」データベース>よりへんてこ生物に学ぶ生きる知恵。地球には、さまざまな「へんてこ生物」がいる。彼らの一見不思議な姿や行動には、厳しい生存競争を勝ち抜いてきた、驚くべき理由が隠されている。5億年にわたる厳しい生存競争から「逃げる」ことで生き延びた“天才軍師”オウムガイ、みずからの体に藻を育て「自給自足」を体得した“森の仙人”ナマケモノ、孤独な深海で透明の頭と可動式の目を獲得したデメニギスなどー。本書は、NHKで放映された「へんてこ生物アカデミー」を書籍化したもの。<読む前の大使寸評>中を覗いてみると、表紙にヴィジュアル版と書かれたとおり、カラーおよびモノクロの画像が多いのが・・・ええでぇ♪rakutenすごい! へんてこ生物ポリプテルス「2章 逃げるは恥だが役に立つ」から、ポリプテルスを見てみましょう。p24~30<逃げることから始まった ポリプテルス> 人生には、幾つもの壁が現れる。今日より明日、明日より明後日、一日一日をよりよく生きるために、われわれ人間は日々、その壁を乗り越えようと奮闘する。とくに高度経済成長期、がむしゃらに働くことが賛美された時代された時代を経て、日本人は「目の前にある壁は、乗り越えるべきもの」という価値観を刷り込まれてきた。 しかし、壁を乗り越えることが、唯一の正解なのだろうか。壁の前でUターンをして、ちがう道に逃げ込むことは、負け組の誤った生き方なのだろうか・・・。 ポリプテルスは、ポリプテルス目ポリプテルス科に属し、現在17種ほどが知られている。そのすべてが熱帯アフリカに生息する淡水魚で、体長は30センチから60センチほど。ギリシャ語由来の「poly(意味:多くの)」と「pterus:(意味:ヒレ)」というふたつの単語を組み合わせた学名のPolypterusは、「多くのヒレ」を意味する。それが示すように、細い円筒形の体にきれいに並んでいる背びれが太古の恐竜をイメージさせるとあって、近年では熱帯魚ショップでも大人気だ。 ハイギョやシーラカンスと同様、「生きた化石」と呼ばれるポリプテルスは、魚であって、魚ではない。一般的な魚類とは大きく異なるのは、その呼吸の仕組みにある。 多くの魚類は、えらに水を通すことで、水中に溶け込んだ酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外に排出している。人間における肺の役割を、えらが担っているのだ。 ところがポリプテルスは、えらだけでなく肺ももつ。その長さは腹部全体に及ぶものもある。その肺を使って、時折、水面から顔を出して外の空気も吸う。つまりえら呼吸もするし、肺呼吸もする二刀流。いったいポリプテルスとは何モノなのか・・・? そんなポリプテルスにたいして、ある実験がなされた。 カナダのマギル大学(当時)のエミリー・スタンデン博士は、陸上でポリプテルスを8カ月間育てる実験を行った。肺があるのであればと、ほとんど水のない環境で育てる実験である。 8カ月間、陸上での生活を余儀なくされたポリプテルスは、どうなったか・・・。 なんと、陸上で育ったポリプテルスは、水中で育てたものよりも、ひれを使って上手に歩くようになっていた。 さらにひれを支える3つの鎖骨にも変化が見られ、陸上で育てたポリプテルスは、鎖骨が細く引き伸ばされていたという。これは、ひれをより大きく動かすための変かではないかと考えられている。 この骨の変化は、かつて魚が陸上に進出する過程で起きた変化とよく似ている。約4億年前、淡水に住んでいた魚類(ユーステノプテロン)は、その後2000万年の時間をかけて原始的な両生類(アカントステガ)へと変化した。このときも鎖骨に同じような変化が起きていたのである。(中略) そんな彼らが生息地に選んだのは、天敵となる巨大な魚が入り込めない浅瀬だった。葉っぱや小枝がうず高く積もる浅瀬をかき分けながら川底を蹴って移動しているうちに、アカントステガは、いつしか地上を歩くことができるほど強い足を発達させていったと考えられている。敵から逃げる選択をしたアカントステガは、結果的に地上で生きるための装備を自力で手に入れたのである。(中略) 弱者であろうとも生き延びようと踏ん張れば、未来を変えることだってできる。 そして生き延びるための「逃げ」は、恥ずべきことでも、負けることでもない。生き延びて、未来へと生命をつなぐこと・・・それが地球上に暮らす生物にとって、なによりも重要なミッションなのだから。『すごい! へんてこ生物』2:オウムガイ『すごい! へんてこ生物』1:ウーパールーパー
2024.04.27
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