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「三郎を陣の後方へ!」義経が右の手を振って郎党どもに命じた。体を真横に射抜かれた佐藤三郎兵衛継信を源氏の兵が担いで、戦場から後方へ退いた。「三郎!なんの!こんな傷・・・」義経は継信を少しでも励まそうと言葉を探したが、見つからない。強の矢は継信の体を貫通していたので、さほどの出血は今のところないが、いかんせん、その弾道は確実に心の臓を貫いている。内出血はおそらく相当のもので、継信の顔色はみるみる青ざめて、ここで矢を抜こうものなら、一瞬で出血死するだろう。「は、はは・・・九郎殿・・・どうやらわたしはここまでのようです・・・」左手で突き抜けた鏃の先を握りながら継信が言った。「落ち目とはいえ、平家にもツワモノがおりましたな」「その平家をそなたの助太刀で倒すのではないか」義経が継信の手を取りながら言う。「しかし・・・この傷では・・・」息も絶え絶えに、継信が言う。「思い残すことなどありはしないが・・・ただ九郎殿の栄達を見ることなくこの世を去ることのみ心残り・・・四郎はおるか」継信は弟・佐藤四郎兵衛忠信を呼んだ。「はっ!兄上!わたしはここに!」忠信が膝を折ってかしずいた。「これよりは・・・そなたが・・わたしの代わりに九郎殿を盛り立てよ・・・よいな」継信は右手をのばして、忠信の左のほほにあてながら言った。忠信は涙を流しながらその手を取った。「あぁ、兄上っ!」「はは・・・主の身代わりとなって死ねるとは・・・末代までのほま・・れ・・・」鏃を握っていた左手がだらりと折れ、地に落ちた。「さ!三郎っ!」平家の者どもが海上に去った後の戦場に、義経の声がこだました。元暦2年(1185年)2月19日の払暁、義経四天王のひとり・佐藤三郎兵衛継信討死。その死を見届けた義経は、鎧の袖でその涙をザっとふき取ると厳かに命じた。「このあたりの僧を探して、継信を弔わせよ、その料にわが太夫黒を与えん」太夫黒とは義経が一ノ谷の戦いの鵯越えを行ったときに乗っていた名馬で、かつて後白河法皇から賜われたものであった。「佐藤三郎兵衛継信・・・この地にて安らかに眠るがよい・・・そなたの忠義、この義経、一生忘れぬ」義経の視線は、押し寄せる潮に朝陽きらめく海の上にあった。
2015.01.26
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"Who is this black shadow?"
2015.01.05
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