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2004年09月28日
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"送元二使安西"

渭城朝雨潤軽塵 
客舎青青柳色新
勧君更尽一杯酒 
西出陽関無故人

"元二の安西に使いするを送る"
(王維)
渭城の 朝雨 軽塵を 潤す
客舎 青青 柳色 新なり

西の方 陽関を 出れば 故人 無からん


いじょうの ちょうう けいじんを うるおす

かくしゃ せいせい りゅうしょく あらたなり

きみに すすむ さらに つくせ いっぱいの さけ

にしのかた ようかんを いずれば こじん なからん




"永訣の朝"
by (miyazawa kenji)


けふのうちに

みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ

(※1 あめゆじゅとてちてけんじゃ)

うすあかくいっそう陰惨(いんざん)な雲から
みぞれは びちょびちょふってくる

(あめゅじゅとてちてけんじゃ)


これらふたつのかけた陶椀(たうわん)に
おまへがたべるあめゅきをとらうとして
わたくしはまがったてっぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした

(あめゅじゅとてちてけんじゃ)

蒼鉛(さうえん)いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになって
わたくしをいっしゃうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたう うつくしい いもうとよ
わたくしも まっすぐに きれいに すすんでいくから

(あめゅじゅとてちてけんじゃ)

はげしい はげしい ねつやあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
たいやう系、き圏などとよばれたせかいの
そらからおちた ゆきのさいごのひとわんを
ふたきれの みかげせきざいに
みぞれはさびしくたまってゐる
わたくしは そのうへにあぶなくたち
雪と水とのまっしろな二相系(にさうけい)をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしの けなげないもうとの
さいごのたべものを もらっていかう

わたくしたちが いっしょにそだってきたあひだ
みなれた ちゃわんのこの藍のもやうにも
もう けふおまへはわかれてしまふ

(※2 Ora Orade Shitori egumo)

ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ

あぁあのとざされた病室の
くらい びゃうぶや かやのなかに
やさしく あをじろく燃えてゐる
わたくしの けなげな いもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこも まっしろなのだ
あんなおそろしい みだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ

(※3 Umarede Kurutate
Kondoha Kotani Warã no goto bagaride
Kurusumanã yoni umaredekuru)

おまへがたべる このふたわんのゆきに
わたくしは いまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになるやうに
わたくしのすべての さいはひを かけてねがふ


(註)
※1 あめゆきとってきてください
※2 あたしはあたしでひとりいきます
※3 
またひとにうまれてくるときは
こんなにじぶんのことばかりで
くるしまないやうにうまれてきます


"永訣"(えいけつ)
永遠に別れること。死別。永別。
「五十六歳にして夫人に―したれども/露団々(露伴)」


"永訣の朝"は
「心象スケッチ 春と修羅」の第六部の作品の一つです。

1春と修羅
2眞空溶媒
3小岩井農場
4グランド電柱 
5東岩手火山

6"無聲慟哭"

7オホーツク挽歌
8風景とオルゴール



(6)無声慟哭
47 "永訣の朝"
--《1922.11.27》--
48 松の針
--《1922.11.27》--
49 無聲慟哭
--《1922.11.27》--
50 風林
--(1923.6.3)--
51 白い鳥
--(1923.6.4)--





"永訣の朝"
1 けふのうちに
  とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
  みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
    (あめゆじゆとてちてけんじゃ)
5 うすあかるくいっさう陰惨な雲から
  みぞれはびちよびちよふつてくる
    (あめゆじゆとてちてけんじや)
  青い蓴菜のもやうのついた
  これらふたつのかけた陶椀に  
10 おまへがたべるあめゆきをとらうとして
  わたしはまがつたてつぽうだまのやうに
  このくらいみぞれのなかに飛びだした
    (あめゆじゆとてちてけんじゃ)
  蒼鉛いろの暗い雲から
15 みぞれはびちよびちよ沈んでくる
  ああとし子
  死ぬといふいまごろになつて
  わたくしをいつしやうあかるくするために
  こんなさつぱりした雪のひとわんを
20 おまへはわたくしにたのんだのだ
  ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
  わたくしもまつすぐにすすんでいくから
     (あめゆじゆとてちてけんじゃ)
  はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
25 おまへはわたくしにたのんだのだ
  銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
  そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
  …ふたきれのみかげせきざいに
  みぞれはさびしくたまつてゐる
30 わたくしはそのうへにあぶなくたち
  雪と水とのまつしろな二相系をたもち   
  すきとほるつめたい雫にみちた
  このつややかな松のえだから
  わたくしのやさしいいもうとの
35 さいごのたべものをもらつていかう
  わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
  みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
  もうけふおまへはわかれてしまふ
    (Ora Orade Shitori egumo)
40 ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
  あああのとざされた病室の
  くらいびやうぶやかやのなかに
  やさしくあおじろく燃えてゐる
  わたしのけなげないもうとよ
45 この雪はどこをえらばうにも
  あんまりどこもまっしろなのだ
  あんなおそろしいみだれたそらから
  このうつくしい雪がきたのだ
     (うまれでくるたて
50    こんどはこたにわりやのごとばかりで
      くるしまなあよにうまれてくる)
  おまえがたべるこのふたわんのゆきに
  わたくしはいまこころからいのる
  どうかこれが天上のアイスクリームになって
55 おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
  わたしのすべてのさいはひをかけてねがふ 
----------------------------------------------  
(構成)

1段(1~15) 
死にゆく妹に頼まれて、あめゆきを二つの陶椀に取ろうとし
て、暗いみぞれの中に飛び出した"私"

2段(16~27) 
一椀は私を一生明るくするための妹の願いだったと思い至り
、感謝しながら、自分も真っ直ぐに生きると誓う"私"

3段(28 ~ 44 )
「一人ゆく」というやさしくけなげな妹に心打たれ、その妹
のために、一椀の雪をもらっていこうとする"私"

4段(45 ~ 56) 
二椀の雪が天のアイスクリームとなって、妹とみんなに聖い
糧をもたらすようにと、自分の全ての幸いをかけて願う"私"


(解釈)

第1段
けふのうちに/とほくへいってしまふわたしのいもうふとよ=
今日のうちに/この世から去ってしまおうとしている最愛の妹に対する賢治の悲痛な悲しみを表す言葉。 


大正11年(1922)賢治26歳。 
妹トシ(花巻高等女学校教諭)25歳で死亡。

賢治は衝撃を受け、
「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」を書く。

賢治の悲しみの深さは連作の次の言葉を合わせ読むと分かります。



「松の針」
あヽけふのうちにとほくへさらうとするいもうとよ
ほんとうにおまへはひとりでいかうとするか
わたくしにいっしょに行けとたのんでくれ
泣いてさう言ってくれ

「無声慟哭(どうこく)」
ああ巨きな信のちからからことさらはなれ
また純粋やちひさな徳性のかずをうしなひ
わたくしが青ぐらい修羅をあるいてゐるとき
おまへはじぶんにさだめられたみちを
ひとりさびしく往かうとするか
信仰を一つにするたったひとりのみちづれのわたくしが
あかるくつめたい精進のみちからかなしくつかれてゐて
毒草や蛍光菌のくらい野原をただよふとき
おまへはひとりどこへ行かうとするのだ






"枯葉"(Les feuilles mortes)
作詞:Jacques Prévert
作曲:Joseph Kosma
日本語詞:岩谷時子

♪~♪~♪~♪

あれは遠い想い出
やがて消える灯影(ほかげ)も
窓辺あかく輝き
光充ちたあのころ

時は去りて静かに
降り積む落ち葉よ

夢に夢を重ねて
一人生きる悲しさ

木枯らし吹きすさび
時は帰らず 心に歌うは
ああ シャンソン恋の歌

(※)暮れゆく秋の日よ
   金色の枯葉散る
   つかの間燃え立つ
   恋に似た落ち葉よ
   いつの日か抱かれて
   誓いし言葉よ
   はかなく ただ散りゆく
   色あせし落ち葉よ

(※繰り返し)



『枯葉』は、もともと、コズマが『ランデヴー』というバレエ曲のために作曲したものです。

1946年制作のフランス映画『夜の門』(マルセル・カルネ監督)の中で、プレヴェールの詞のついたものが歌われ、人気を博しました。

歌ったのは、この映画で主演した"イヴ・モンタン"です。

のちにジャズに編曲され、フランク・シナトラやナット・キング・コールなどが歌って世界的なヒットとなりました。



"Les feuilles mortes"
by"Yves Montand"


Paroles: Jacques Prévert.
Musique: Joseph Kosma
autres interprètes: Mouloudji, Fernand Gignac



Oh ! je voudrais tant que tu te souviennes
Des jours heureux ougrave;
nous eacute;tions amis.

En ce temps-lagrave;
la vie eacute;tait plus belle,

Et le soleil plus brucirc;
lant qu'aujourd'hui.

"Les feuilles mortes"
se ramassent agrave;la pelle.
Tu vois, je n'ai pas oublieacute;...

"Les feuilles mortes"
se ramassent agrave; la pelle,

Les souvenirs et les regrets aussi
Et le vent du nord les emporte
Dans la nuit froide de l'oubli.

Tu vois, je n'ai pas oublieacute;
La chanson que tu me chantais.

(Refrain)

C'est une chanson qui nous ressemble.
Toi, tu m'aimais et je t'aimais

Et nous vivions tous deux ensemble,
Toi qui m'aimais, moi qui t'aimais.

Mais la vie seacute;pare ceux qui s'aiment,
Tout doucement, sans faire de bruit
Et la mer efface sur le sable
Les pas des amants désunis.

"Les feuilles mortes"
se ramassent agrave; la pelle,
Les souvenirs et les regrets aussi
Mais mon amour silencieux et fidegrave;le
Sourit toujours et remercie la vie.

Je t'aimais tant, tu eacute;tais si jolie.
Comment veux-tu que je t'oublie ?
En ce temps-lagrave;,
la vie eacute;tait plus belle
Et le soleil plus brûlant qu'aujourd'hui.

Tu eacute;tais ma plus douce amie
Mais je n'ai que faire des regrets
Et la chanson que tu chantais,
Toujours, toujours je l'entendrai !

(Refrain)



「あめゅじゅ とてちて けんじゃ」
 "Ame yuzyu totekite kenjya"!!!
Could you ????





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最終更新日  2004年09月28日 08時08分01秒
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