風来坊

2006年03月02日
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カテゴリ: 旅と音楽
テントと寝袋をもって学生時代よくツーリングにでかけた。

雨が降ったり、テントをはる場所をなかなか見つけられなかったりしたら、
駅を寝床にしてた。


時は1992年11月 鹿児島県国分駅 での出来事である。

その日、テントをはる場所を探す気力もなく、
たどりついた駅、国分駅。
最終列車が過ぎ、
人の気配もなくなったことを確認し、



冷たい自販機に頭をもたれかけ、
シュラフにくるまり眠りについた。




外が騒々しい。
深夜に爆音が轟く。





「外に止めたバイク大丈夫かな?」
「まあ、あんだけ荷物をつみっぱなしで、
いかにも旅行中ですよ!みたいなバイクには何もしないだろう。」

頭の中には様々な想像の嵐・・・。
すてきな顔つきの男男男・・・。

すてきな形をしたバイクバイクバイク・・・。
背中には大きな刺繍刺繍刺繍・・・。

外をのぞくことはひとまずせず、
多少不安はあったものの再び眠りにつくこととした。






明け方近く、
まだ暗い中、駅の改札へ誰かが入ってきた。
まあ、深い眠りにはつけないような体勢で寝ていたので、
当然、人の気配には敏感に気づけた。

薄目を開け、外がまだまだ暗いことを確認し、
「なんだなんだ、こんなに朝早くに?」
と自分が駅で寝袋にくるまって寝ていることはさておき、
その人に疑問を感じていた。

『チャリン、チャリン…ガッチャン』

突然、自販機がうなった。
そして、また、

『チャリン、チャリン…ガッチャン』

「2本だ。」

と思った瞬間、
体を揺さぶられた。

「はい。」

むくりと起き上がった自分に差し出された。
温かいコーンポタージュスープ。
そして、目の前には、
お腹の大きな妊婦さんがいた。

「あ、ありがとうございます・・・。」

なぜかしら、
それ以上言葉をかけることができなかった。

「なぜ妊婦さんがこんな朝早くに一人で駅へ?」

そんな疑問の中、
その妊婦さんは、駅のホームへと向かっていった。





「あの妊婦さん、今元気にしてるだろうか?」
「あの時、どんな気持ちでコーンポタージュをくれたのだろう?」
「あの時、なぜあんな早くに一人駅にいたのか?」



僕の奥さんは、あの時の女性と同じく現在、 妊婦 である。





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最終更新日  2006年03月02日 22時56分20秒
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