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30年以上も前に演奏活動をしていた伝説のバンド「曼珠沙華」の
リーダーFujio Muto君の衝撃的な詩(その2)を紹介しよう。
***
Death Valley
誇り高きギリシャの戦士よ 廃墟の岩に槍を突き刺し
その柄を握り締め 悩み多きこのローマ
愛してやまないアポロの光に お前の影は焼き付けられる
激しい雨がかの地、快楽の島をぬらしたあとで渚の砂浜に
うずまり名もなく あがない続けるお前
かの地訪れる人が来るほどに
カルアマナクーラ 地にも空にも
ジャスミンの悩みを島中にぶちまけ
赤道一周 足のチリを残し
かなたに沈む英雄たちが お前の宝に鍵をした
女は美しく生まれ 男は強く
髪の毛と瞳 裏切りと神の許しと
水と緑にうもれた石のポリスと
奴隷には足かせ 農夫には鋤かせ
世界の秘密と危機感じたまま滅びた
ある日突然遣いがやってきて かの栄光のギリシャは落ちたと知った
光の洪水へ絶望の Jumping
うつろなドクロの目に奈落への Diving
守るための城がない たった一人の反逆児
エジプトの女のためのダイヤがなくなり
ユダヤの女に与えるネックレスが消え
バイキングたちへの燭台もなくなり
アトランティスの供養のための 金の子供もいなくなった
湯につからなくなり 祈りとともに7日が過ぎ
頭にシラミが湧き 初めて自分が貧乏であると知った
神秘の妻とビレッジの小僧っ子とのやり取り
そいつを思いながら ポルトガルのバーで
金に困って身をすり減らした
やつは云う
「世界中の女絞め殺せたら、俺は生きがいの半分投げてもいい」
女が云う
「あなた愛してれるわ」
やつが云う
「神かけて すぐさま飛び込むよ」
女が云う
「あの崖から身を投げて」
やつは地下鉄の階段 ふらふらのぼり
また時間のずれの中 迷い込んでいった
俺は見た やつが下っていくのを
死の谷へ道は下りだ Death Valley !
広い道の真ん中 流れる衛星の車
無人のヘッドライトに映し出される
のろわれた岩塩 シャギードレスは昔に
暗い宇宙のはて ただひとつの星に座っている
悪臭ぷんぷんたる山犬のように
インディアンと白人の間に生まれ、しみだらけのあいの子
辱められ置き去りにされ ののしられ 見捨てられた男
時の霧の中ぼんやり見える
古代の彫刻に向かい話しかける
魂の台所で歌い疲れる赤いよだれのコーラスガール
やつが狂わないでいられるのは
時の荒波のほんのご挨拶
Poet by Fujio Muto
***
彼は詩を書くことによってある種のチャネリングをしていたのかもしれない。
僕らの背負った時代の危機を感じたまま歌にしたと思う。
連綿とした人類の命題のような詩。
昨今のニュースを見て、この詩の内容と重なり合うところが多く、
脳みそが煮詰まるような面持ちで演奏していた30年前、そして今。
正直、戸惑う自分の居場所がなくなる。