唐揚げスペシャル | DokuDokuDOKUSHO

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2005年01月18日

朝から 出掛けなければならなくなった日の事です。

その日は日曜日で、うちの奥さんは仕事でしたから、子供達だけで留守番をさせておくワケにもいかず、子供達を連れて３人で行く事に・・・。

用事は早く終わると思っていたのですが、長引いてしまい、ようやく終わって時計を見ると、すでに 12時 を過ぎており、子供達の ハラ時計 もとっくに『お昼』を知らせている様でした。

家に帰って何か作ろうかとも思ったのですが、私も疲れていたので、たまにはいいだろうと、どこかで食べて帰るつもりでした。
ところが、なぜか３歳の娘が嫌がり、大好きな お子様ランチ の事を言っても・・・

「いやぁやぁ～！いえでたべるぅ～！」

･･･の 一点張り で、しまいには、泣き出す始末です。
しょうがなので、外食は諦めて、その代わりに お弁当 を買って帰る事にしました。

しばらく車を走らせ、『 ●っか●っか亭 』というお弁当屋さんに到着する頃、車の揺れが心地よかったのか、元々眠かったのか、それとも泣き疲れたのか、娘は助手席で熟睡です。
起こすとかわいそうなのと、車は店の前に停めてましたので、小２の息子に見ててくれる様に頼んで、私はひとりでお店の中へ・・・。

「いらっしゃいませ～！」

ドアを開けるなり、元気そうな声が聞こえてきたのですが、カウンターに立っていた店員さんは、その声とは 裏腹に 、疲れた顔した２０歳になるかならないかの女の子でした。

早速、子供達の『 ハンバーグ弁当 』と『 ヒレカツ弁当 』、そして自分の『 唐揚げ弁当･御飯大盛り 』を注文したのですが、店員さんが注文を復唱しているのを聞いている時に目に付いたのが『 スペシャル 』の文字・・・。

どうやら、 おかずが多め になったものの事らしく、御飯大盛りをやめて、『 唐揚げスペシャル 』に変更してもらいました。

車の方を見ても子供達に変わった様子は無いみたいでしたから、店内のイスに腰掛けて待っていると・・・

「えー！うっそ～、なんでぇ～！」

「そんな大～きな声で・・・｣

「 あ、うん・・・そやけど、マジでぇ～？ 」

「 マジやでぇ～、アカンかぁ～？ 」

奥の厨房の様子は、 仕切り がある為、あまりよく見えないのですが、他に２人程店員さんがいたらしく、そのうちの１人と先程の店員さんが、なにやら話している様でした。
聞こうとしたワケではないのですが、特にする事もなかったので、話し声が気になって・・・

「 アカンことはないけど、 おっさんやし、太ってんでぇ～！ あんなんがええの？ 」

「 ええやんかぁ～、私はああいうのがええんやわぁ 」

「 へぇ～～～～ 」

その時、何気に仕切りの中程にある小窓を見ると、先程の店員さんがこちらを見ていて、目が合ってしまいました。
まさかと、思いましたが、店内にお客さんは私しかいなかったですし、どうやら私の事を言われていた様です。

「 こっち見てはったわぁ～！ 」

「 あんたが大きな声でしゃべってるからやんか・・・ 」

そう言ってる方の声も、よく聞こえていたのですが・・・。

この後、話し声は聞こえなくなりましたので、話すのをやめたのか、さらに小さい声で話していたのかは判りませんが、『おっさん』『ふとっている』『あんなん・・・』と言われ、『ああいうのがええやわぁ』とも言われて、弁当ができるまでの待ち時間は、かなり居心地の悪いものになってしまいました。

しばらくすると、先程の店員さんがお弁当を２つ持って奥から出てきました。

「おまたせしました。もう１つは間もなく出来上がりますので、先にお会計させていただいてよろしいでしょうか？」

そう言われてお金を払っていると、そのもう１つの弁当を持って、さっき話していた相手と思われるもう1人の店員さんが奥から出てきました。

中山美保 似の店員さんが・・・。

（注：吉本興業の中山美保で、中山美穂ではありません）

まだ、お弁当は食べていないというのに、すでに おなかいっぱい の気分で、そのお弁当屋さんを後にする事となってしまいました。

家に帰り、買ってきたお弁当をあけてみると、 おかず多め のはずの『唐揚げスペシャル』のおかずが多い様には見えず、唐揚げなんて、２つしか入っておらず、店内で見たメニューの写真とのあまりの違いに呆然してしまいました。

ですが、よく見ると、 御飯が多め になってる様な気がしないでもなく・・・。

文句言いに行こうかとも思いましたが、またあのお店に行くのがためらわれ、その『 唐揚げスペシャル風･御飯中盛り 』を食べる事にしました。

夜になって、仕事から帰ってきたうちの奥さんに、その日のお昼の事を話すと 大笑い されてしまい・・・

「それは、おばちゃんの気持ちが多めに入った、唐揚げスペシャル･乙女心大盛りなんやでぇ～！」

私は、知らないおばちゃんの乙女心よりも、 唐揚げ をもっと食べたかったのであります。 (´ヘ｀ )

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