「がん」
と言われただけで頭真っ白、パニックパニック。
先生の説明も何も頭に残ってない。
も~わたしはだめなんだ・・・愛する人よグッバイ・・・
などとならないように。
これまでも何度か述べているかと思うのですが、
大腸癌というのは
「治る可能性が高い癌」
なのだから。
今回は「大腸癌」と診断されたらどういう事を知らなくてはいけないのかについて。
具体的なお医者さんへの質問事項
をふまえて述べていきましょう。
ある程度ほかの癌の患者さんにも参考になるかな?!
【STEP1 がんの場所はどこ?】
ひとくちに大腸癌と言っても大腸は1mちょっとくらいはありますし、
体の右から左までぐるっと走行しています。
まず、大腸癌でもどこにあるのかを把握しましょう。

質問例1:「先生、わたしの癌はどのへんなのですか?」
質問例2:「先生、大腸のどのへんなのか図をかいてもらえませんか?」
後者の方がより視覚的にわかりますね。
ここで大事なのは先生の答えが
「直腸癌」 「おしりの出口のすぐ近く」
などの場合です。
肛門縁からの距離が短い・・・これはどういう事を意味するのか。
一番患者さんにとってやっかいなのは
「人工肛門になる可能性がある」
と言うことでしょう。
ですからまず、どこにがんがあるのかを把握しましょう。
【STEP2 がんはどのくらいすすんでいる(進行している)のか?】
当たり前の話ですが早期がんのほうが進行がんより治りやすい、かつ治しやすいわけです。
がんはほとんどの場合、大腸の粘膜、すなわち腸の内側から発生します。
最初は良性の「腺腫」というポリープから始まることが多いです。
このはじめは良性だったポリープが大きくなってくると形が崩れてきて
「悪性化=がん」になります。
粘膜にできたがんは大きくなってくると腸の壁の外側にも食い込んでいきます。
最終的には腸の壁をぶちぬいて腸の外にまで顔を出しちゃいます。
腸の壁の中には 「血管」「リンパ管」
があります。
がんが腸の中に浸潤していくとこうした血管・リンパ管の中にも入り込みます。
さて、お立ち会い。
血管には当然 「血」
が流れています。
同じようにリンパ管には 「リンパ液」
が流れているわけです。
川にボールを放り込めば、ボールは当然流されていきますね。
川の途中に網が張ってあったりすればそこで引っかかりますね。
同じようにがん細胞も血やリンパの流れにのっかって流れていきます。
そういったがん細胞が肝臓や肺、リンパ節にひっかかって大きくなると
「転移」
として現れるわけです。
大事なのは
「いまどの段階にあるのか?」
ということです。
粘膜にちょこっとできただけなのか、
結構ふかいところまで浸潤してるけど転移はしてないのか、
すでに多発性に転移しちゃっているのか・・・
こうしたことを表現するのが
「病期、stage(ステージ)」
です。
これは、がんの浸潤の深さ、リンパ節転移の有無、ほかの臓器への転移がないかなどといった事柄をもとに割り出されます。
例えば医者にstage3aのがんですといえば、それだけで大まかながんの進行度合いがわかります。
病期はまた、予後を反映します。
もっと簡単に言えば
「どのくらい治るのか」
といいかえても大きな間違いにはならないかな。
日本では「大腸がん取り扱い規約」というのにのっとって病期は決められています。
大腸がんの場合stage0から、1,2,3a,3b,4と5段階に分かれています。
数字が小さい方がより早期がん、大きい方が進行がんです。
がんの治療成績をあらわす言葉のひとつに「5年生存率」というのがあります。
簡単に言えば「5年たってどのくらいの患者さんが生きてるか」ということ。
stage0だとほぼ100%
stage1だと90%以上
stage2で80%
stage3(aとb)で70%くらい
stage4だと・・・・がくっと下がって15%くらい
とまあ、だいたいこんなところでしょうか。
直腸と結腸で少し差がありますが、おおむねこのくらいの数字が出てきます。
がんは5年たっても再発、転移なく経過していれば、とりあえずそこで治ったとします。
つまりは上であげた数字の確率に近いところが治療成績になってきます。
もちろん転移や再発を抱えながら5年目をむかえている人も入っている事はご承知おきください。
転移の有無を調べるのには検査をしなければいけません。
胸部CT、腹部CT、腹部超音波、MRIなどで診断します。
肺の転移に関しては胸部単純レントゲンでわからない小さな転移でもCTだと見つかることがありますのでレントゲンだけでなくCTを取ってもらった方がいいでしょう。
(さらに最近では新しい検査としてPETなどもやれる施設があるかもしれませんが、PETの適応は「原発不明がん」ですので、大腸がんと診断が付いていると保険適応にはならないかもしれません。)
医者からこうした検査をやると言われたら、
それは転移や、ほかに病期がかぶっていないかを調べると言うことです。
質問例1:「どのくらいすすんだがんなのですか?」
質問例2:「病期(ステージ)でいえば、どこに相当しますか?」
後者の聞き方をした場合、医者はちょっと態度を変えるかもしれません。
「こいつ、やるな」と。
ステージ3以上といわれた場合はリンパ節転移が疑われます。
質問例3:「他に転移はしていませんか?手術で取りきることが出来ますか?」
医者は勉強してきている患者には緊張します。
下手なことはいえません。
あなたに対する態度もグレードアップすること間違いなしです。
長くなりそうなので続きは次回に分けます
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