MY WINDING ROAD

2006.02.20
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カテゴリ: MUSIC
今回は90年代中盤に活躍したユニット・MY LITTLE LOVERのシングルレビューです。
私が高校生の頃、人気があって
女子高生がカラオケで歌ってる姿を何度も見たものでした・・・。

Man & Woman (1995/05/01)
最高7位 91.7万枚

白いカイト (1995/07/03)
最高11位 51.7万枚
>> 「悲しみのため息 ひとり身のせつなさ
抱きしめた 抱きしめたいから Man & Woman♪」

90年代の半ば、夏頃に突如現れたユニットがMY LITTLE LOVERであった。
MY LITTLE LOVERはAKKOとギターの藤井 謙二の2人ユニットでデビュー。

当時、既にミスチルなどのプロデュースで名を馳せていた小林武史が前面プロデュースということで
話題になった。

どこか懐かしさを感じさせるような楽曲が特徴的。
それは小林の創り出すサウンドの成せるワザであることは間違いないが
何よりAKKOの声の存在が大きいと思われる。
卓越した歌い方ではないし、
突起すべく歌唱力があるわけでもないけれど
AKKOの声は、 カラダの奥底に眠れる部分まで浸透していくような
そんな透明感があった。


心の枯渇してしまっているような部分を潤す存在だった。
澄んだ水のようだった。


で、このデビュー曲、そして2枚目はいずれもヒット曲ではあるけれど
いきなり大ヒットしたわけではなく
ジワジワと売上を伸ばしていった。

「マイラバってなんかいいよね」

そんなことを当時の高校生たちは喋っていた。

そして、次にリリースされるシングルがマイラバを一気にメジャーな存在にしたのである。
Hello, Again ~昔からある場所~ (1995/08/21)
最高1位 184.9万枚
>>ドラマ主題歌として、リリースされた「Hello,Again」。
ドラマを越えて大ヒットを記録し、ミリオンセラー&ロングヒットを記録した。
(ちなみにドラマではED。OPは瀬戸朝香の「夏色の永遠」)

どこかノスタルジィーを感じさせる稀代の名曲。
過ぎ去った少年時代を感じさせるような歌詞とメロディーのバランスが秀逸。
そして何より、この歌は AKKOが歌ってこそ意味がある曲だ。
歌詞が描く世界は、大人になってからでも
少年時代に感じたものとは違う何かを感じさせてくれる。
「もう還れない過去」、「過ぎ去っていく時間」、「続いていく未来」・・・・。
無限に続く時間の中で、何かに気付けず、後に何かに気付く「僕」の生きる世界は
自分たちの生きる世界そのもの。
切なくも儚い、だけど美しい、そんな現実世界を見事なまでに描き出している。


忘れてしまっているものを思い出させてくれる・・・・そんな曲だった。

3枚目のシングルにして、
既に境地まで登りつめてしまった感があった。
そして、ここまでの3枚を収録したアルバム「evergreen」は200万枚を超えるヒットを記録した。
「めぐり逢う世界」は名曲だった。
1stAlbumにして、MY LITTLE LOVERは完成してしまったのだった。
ALICE (1996/04/22)
最高2位 103.4万枚
>>最高傑作「Hello, Again」に続く作品が「ALICE」。
前作までのノスタルジックな曲調から一転し、
デジロック な仕上がりになっている。
ミスチルなどでは見られない手法が取られているのが興味深い。
以降、マイラバではチョコチョコとデジロックが出てくる。
結果として、いちばん売れたのデジロック作品この「ALICE」。

AKKOがヌードのようなセピアのPVや
何を言ってるかわからないような場所があったりと
話題もあった。

前作までの路線でも売れたには違いないのだろうが
小林武史としては、1stAlbum「evergreen」で完成してしまったマイラバに
新たな可能性を見い出す ため、このような実験作を発表したようにも思える。
もしくは、小林武史がこのデジロックの方向にずっと進みたかったが
ミスチルではそれを実現できないと思っていたがゆえに
この作品になった・・・・かのどちらかと思われる。

このデジロック系で小林武史が表したかったのは
懐古的なものと近未来なもの、そのふたつの世界の融合のような気もする。

小室哲哉ほどマスコミ露出が多くないため、小林武史の深層心理はあまり情報がない。
NOW AND THEN~失われた時を求めて~ (1996/10/28)
最高2位 65.0万枚

YES~free flower~(1996/12/02)
最高1位 45.5万枚
>>AKKOの産休明けのシングル2枚。
この間に小林は映画「スワロウテイル」の音楽プロデュースを担当し、
CHARAとのYEN TOWN BANDでヒットを記録する。

その後にリリースされたこの2枚は、
映画でのサウンドの影響もあるのか
前作「ALICE」のデジロックはやや影を潜める。
「Hello,Again」に近い・・・・というか古風(70年代の洋楽のよう)なサウンドの 「NOW AND THEN」

この場合は「現在とその時」と直訳しても良いように思われる。

スローリーなテンポと静かに、だけど存在感を示して鳴るサウンドが特徴的。
これがミリオンにならず、「ALICE」がミリオンになる理由がわからない。

バンド的要素のある「YES」。
ミスチルが歌っても面白そう。
デジタル要素と、1stの要素をうまく融合させた1枚。
Britishな感じもして、これはこれでカッコイイ。

これの発展形が後の「DESTINIY」に繋がる気がしなくもない。

ANIMAL LIFE (1997/06/25)
最高5位 22.3万枚

Shuffle(1997/08/20)
最高4位 30.1万枚

Private eyes(1997/11/12)
最高8位 9.8万枚
>>またデジロックに帰ってきたのが「ANIMAL LIFE」(MY LITTLE LOVER featuring AKKO名義)。
「男とは、女とは」と本能にまつわるような箇所もあれば
「あなたの回路は情報過多」とUrbanな箇所もあり、懐古的なものと近未来的の融合という
マイラバの方向性には違いない。

なぜかスカを取り入れた「Shuffle」。Akkoがインカムつけて歌ってたのが印象的。
デジタルっぽさを、スカに置き換えたようなサウンド。
正直、マイラバには、マッチしていなかった。
確かにスカサウンドが十代中心にウケつつあった頃ではあったけれど。
Akkoの声とスカは交わらないものだった。

Private eyesもデジロック。発売方法が特殊だったり、ちょっとアダルトチックだったり、
小林武史独特の手法を展開。

デジタル路線がマイラバに染み付いてきた感がある。
その浸透度と反比例して、売上が低下してきた。

これは、必ずしも小林武史が作ろうとしている音楽が
市場ウケする音楽と等しくないからで、
小林武史自身も、無理に市場ウケを狙わず、マイラバでは自分の作りたい音楽を作っていたのだと推測される。


空の下で (1998/01/21)
最高6位 11.9万枚
>>またまたバンドサウンド。
冬の空をひと筋だけ、突き抜けるような出だしで始まるが
Aメロは、静かなもの。アコースティックな感じなのに、デジタルが見え隠れするのは
Akkoの歌い方のせいだろうか。
この歌くらいから、Akkoの声が高めに澄んだ感じに聴こえる。
そのせいで無邪気さ加減が消えてしまった気もするが
Akkoが「母親」になったことを踏まえて考えると、おかしいことではない。
なんとなく、旅立ちをイメージさせる歌に聴こえる・・・・・。
DESTINY/Naked (1998/05/13)
最高4位 51.0万枚
>>ドラマ「with love」の主題歌。
今にして思うと間違いでメールが届くなんて話、そうそうない気がしますよね。
ドラマの雰囲気にぴったりの運命の出会いを思わせる歌詞です。
Akkoの声とすばらしくマッチしていて、サウンドもバンドテイストではなく
ストリングスを背負って唄ったりと
初期のマイラバを想起させるテイストになっている。
永遠の少女性を持つ母親・Akkoの唄う「運命の出会い」。
あの澄んだ声の歌を聴きながら、一人暮らしの部屋で、
「人生、このままでいいのかな・・・」なんて思う日々を過ごしていました。

終わることない世界、
終わることない時間、
自分の存在、
愛する人の存在。
リアルなのに透明感のあるような、そんな世界観をMY LITTLE LOVERは創りあげていた。
近年は活動が縮小気味(というかマイペース?)になってきていて
チャートで見かけることもほとんどなくなってきたけれど
マイラバは時代に合わせて変化するユニットではなく、
永遠不変な存在であるのだから、
それもまた、あるべき姿なんだと思う。

時代がマイラバの透明性に合わなくなってきた。
それだけ時代は廃れているのかもしれない。






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Last updated  2006.02.20 12:15:57


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