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テーマ: お勧めの本(8116)
カテゴリ: 大人の読書感想文



自分の親には感謝の念を持っているけど、感謝の言葉が
なかなか伝えられない方。

そんな人に読んでもらいたい。そうでない人にももちろん
よんでもらいたい逸冊、重松清の「卒業」です。

「まゆみのマーチ」「あおげば尊し」「卒業」「追伸」の4つ
の短編を一冊にまとめた物語です。タイトルは卒業となって
いますが、儀式としての卒業式という意味を内包した、広義
の卒業がテーマとなっており、4編とも肉親との死別が基本設定


この4編の中でも特にぐっと来たのが「まゆみのマーチ」でした。
遠く離れた故郷で、死の間際にいる老いた母の見舞いに帰る中年
の男性と、男性の妹が病院で語り合う、親の思い出。まじめで
優秀だった兄と、幼い頃から自由奔放に生きてきた妹。ふたりが
感じてきた、家族への想い、家族への愛情、葛藤が、母の死を
前にして交錯していく。

自由奔放に生きてきた妹のまゆみの記憶に深く刻まれたトラウマと、
母が歌ってくれた「まゆみのマーチ」。この「まゆみのマーチ」が
泣けました。無垢な愛情表現が持つ、何よりも強いメッセージ。
「私はあなたが好きだ」と言われることで、大好きな母に言われる
ことで、辛い時期を乗り越えてきたまゆみの思い出話が、とにかく


あとがきに重松清自身が書いているのですが、「 流星ワゴン
の対となるような作品で、流星ワゴンが父と息子の話なのに対して、
この小説は母と息子、もしくは母と娘と、母への想いが綴られている。

幸いな事に僕の両親は健在で、今のところはとても元気である。

かなり良好で、月に2回くらいは一緒に食事をしたり泊まりに行ったり
しているのだが、学生時代から結婚前くらいまでは結構疎遠に
なっていた時期があった。ほぼ10年くらいだろうか、親と語ったり
することが殆んど無かった。無論、会話はするのだが、深い話は
避けてしまう。そんな関係だった時期が結構あった。親にきちんと
感謝の言葉を伝えることが出来たのは、結婚式の時に伝えた、
ただ一回だけだ。

このブログを読んでいらっしゃる方であれば、僕がとても親バカで
あり、またしょっちゅう親と一緒に過ごしていることをご存知だろう。
その行動原理として、根っこの部分の想いが、この「卒業」という
小説に詰まっている、「親への想い」「子への想い」と同じであった。
それだけに、他人事とは思えない物語に心を揺さぶられ、涙腺の
蛇口にたっぷりと錆止めを塗りたくられるような一冊となりました。

心の奥底に、まだ伝えられぬ気持ちを持っている方、
大好きなのに、逆の表現ばかりになってしまう方、
自分が愛されていなかったと思っている方、

是非読んでみて欲しい、逸冊です。

GOLA





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最終更新日  2007年08月03日 01時20分39秒
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