マイプライベートBL

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真昼の月

真昼の月 真昼の月2
著者名:いおかいつき
出版社:雄飛 アイノベルズ

真昼の月 真昼の月(2)

内容:
ヤクザ若頭・辰巳剛士×元刑事・神崎秀一。年下攻め。
刑事時代、もっとも信頼していた先輩に裏切られ、警察の後処理にも組織への不信が募り、秀一は警察を辞めた。生まれ育った東京を捨て、祖父の遺産を引き継ぐべく大阪へやってくる。祖父のビルで出合った男・辰巳は桐山組の若頭だった。
辰巳との出会いで秀一は警察への未練が払拭され、大阪の街に馴染んでいく。

感想:
掘り出し物です。いおかいつきさん、この作品を読むまで知らなかった。買った理由はヤクザものだったから。

最初はありきたり、辰巳なんか特にBL界・しかも最近よく読んでるやくざものでは使い古された設定だなぁ、と思った。しかも、秀一は流されやすく、エッチもそれほど抵抗なく受け入れてる。秀一の全体像がつかみどころがなくって困惑した。彼は男×男にもヤクザにも葛藤しない。状況に流され続ける。

普通だと私の好みではない展開なんだけど、なぜか気に入った。
何故だろうと思った。

秀一の存在、彼は得体が知れない。何故こんなにヤクザの情人になることを簡単に受け入れることができるんだろう、などと、私の方が心配したけど、彼の意識は全て警察機構への未練、そこへの離別に向けられてるのだ。性格的なこともあって、恐らくは辰巳の存在は彼の意識にとっては取るに足らないもの、反対に未練を断ち切るナタのような存在なのだろうと思う。
そんなことあるんだろうか、と思う反面、実際この物語はBLであって、BLは男×男がいかにして恋愛成就していくか、ということに集約されるわけだから、この作家さんはBL的展開に重きを置いてるのだ、と考えるとこの展開は納得出来る。

そう思ったら、この本がBL本中でも良い作品だと思えた。
文章は不味くないし、あまりにもスマートな嫌いはあるが、秀一は辰巳のみならず魅力的な受けであり、女性的でなく男である必要性もある。興味の持てるお話の展開、これらが揃っているのだ。

辰巳もBL的若頭としてはこんなものかな、とも思う。余裕のある所作言動、全ては秘書が段取りよく切り盛りしてパーフェクト。関西弁が泥臭さを少しアピールして、常に秀一ラブ、だけど秀一を拘束しない。
理想的なBLカップルなんだ。

BLは絶対にありえないお話なんだけど、それをさもありえるように書いてある小説が私は好きだった。「もしかしたら、こんな世界あるのかも」と思える錯覚を引き出せる作家さんが良い作家さんだと思っていた(今もそう思ってる)。
しかし、この作家さんの本を読んで、「BLの世界限定で進行する話だってアリだ」と思えた。少しだけ私の意識を改革してくれたいおかいつきさんは、これからの作品に期待。



評価:B
エッチ度  ☆☆☆★★
感動度   ☆☆★★★
ワクワク度 ☆☆☆☆★

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