| 烏城あきら
書籍名: 許可証をください! 出版社:二見書房 シャレード文庫 感想: 作業着系の仕事BL本です。主人公は中小企業に就職して3年目、理系大卒の若手ホープ・阿久津弘。 物語は弘が乗ったこともないフォークリフトの運転講習を受けるところから始まります。運転がど下手な弘は、同い年だけどすでに人望厚く、みんなから組長と言われ慕われている前原健一郎に指導を賜ります。違う部署で働く二人ですが、会社をより良いものにしていくために、多忙な中を互いに協力し合って仕事をしていくうち、それぞれの心の中に相手を尊敬する気持ちと、それと同じくして微妙な気持ちが生まれます。 ほとんど弘主体の視点で書かれているのですが、前原の人となり、努力する所など、弘が惹かれていく気持ちがわかります。また、そんな自分の心に引いてしまい、前原から逃げようとする気持ちもわかるし・・・そんな言葉はいらないくらい、2人は仕事に頑張ってます。クレームへの対処も。2人の地道な努力が実を結ぶのです。しかし、可笑しいのはクレーマーの片山に「コバヤシさん」と呼びかけてしまう弘。理由は小林稔持に似てるから。それはやばいです、弘くん。 初エッチで、弘くんは前原ならずとも可愛かった。私が前原になりたいくらいでした。 前原もまた年相応な反応を見せてくれます。大人っぽく振舞うかと思えば、せっかく弘とエッチまで持ち込んだのに、つれない弘にムカッとする。自宅に弘を招くために必死で配排水系の図面を仕上げたり。 今回はツボでした。私ってお仕事系のお話に弱かったのねぇ。ま、男の人はお仕事に精を出すのが甲斐性だからな。でも、読んで良かった一冊でした。 評価:B エッチ度 ☆☆☆★★ 感動度 ☆☆☆★★ ワクワク度 ☆☆☆☆☆ |
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| 書籍名: 慰安旅行に連れてって!
出版社:二見書房 シャレード文庫 感想: 『許可証をください!』の第2弾です。 主人公は中小の化学工場で働く理系大卒で若手ホープの阿久津弘、彼と心通じたはずなのになかなか一緒にすごせない工業高卒の前原健一郎、互いに25歳。 今回も2人はよく働きます。読んでる私が疲れました。 工場から出る排水の水質悪化が原因でお役所から操業停止をちらつかせられ、最後の手段、埋没配管の堀上げを行わなければならないと判断する弘と実際に掘り上げる前原。 そこに行き着くまでにケンカです。原因は責任もひっくるめて前原が弘の面倒を見るという発言。 弘だって仕事が好きで、工場が好きで、自分の仕事にプライドがあります。怒った弘は「もうお前とは寝ない」と宣言します。 ここら辺が、好きなのですよ。弘くん。負けたくないという気持ち、わかります。2人は恋人同士であると同時に、ライバルです。 おまけにやはり弘くんは笑わせてくれます。 腹立ちまぎれに描いた落書き、丸書いてチョンの山根さん(お役所の陰険なおじさん)が、いつしか馬糞ウニのサンコンさん。前原の絵にはお花が増えていきます。絵が見つかったときの弘くんは、ほほえましいです。 そして2人のケンカも仲直りしたと思ったら、今度は休む間もなく慰安旅行です。一緒にすごせると思っていたら、別の場所への旅行だったので、連絡を取りたい弘は前原に会えません。でも安心。体力自慢の前原は弘の元へバイクでやってきます。そしてVIP専用の大浴場の畳部屋で朝までエッチです。弘は社長を待たせてるのも忘れて・・・ 弘くんはかわいくて、エロいです。もう、私が前原になりたい!前原にはどつかれますけどね☆ 弘も前原も特別ではなく、普通の男同士であり、ライバルであり、社会人であり、そして恋人同士、そこが一番のお気に入りの理由です。 第3弾、あるのかな~ 評価:A エッチ度 ☆☆☆☆★ 感動度 ☆☆☆★★ ワクワク度 ☆☆☆☆☆ |
| 書籍名: 嵐を呼ぶ台風!?
出版社:二見書房 シャレード文庫 内容: 8月盆休日を前に、喜見津化学は渇水にあえいでいた。新規に取れたばかりの契約内容が遵守できるか出来ないかの瀬戸際。阿久津弘のアイデアで前原健一郎が作った冷却器を前倒しで使い、休日返上で生産を進めるが器械のトラブルなどに見舞われ、なかなか追いつかない。 弘と前原の関係も、互いに求めながらも仕事に手一杯で会える時間が少ないが、ふらりと弘宅を訪れた前原。熱い時間を共にすごすが、手に前原手製の拘束具をつけられてしまう。そこへ弘の両親が、はるばる北海道からやって来る。弘、ピンチ。 感想: 待ちに待った、「許可証をください!」の3巻目です。 『「働く男」の真骨頂』って裏表紙に書いてあったけど、まさにその通り!本を読みながら働いた気分になるのもこの本の特徴でしょうか。とくに毎度のことながら前原は働き者だ。自宅に帰るのが半月ぶりだなんて。彼こそ働く男の鏡だわ。 拘束具には私も、へっ?と思いました。でも、拘束具をつけたいほど好きなんだよね。というか、弘を手に入れたという実感が持てないから拘束したい。鍵のことに執着したのも同じ理由からでしょ?前原の一途な気持ち、わかるなぁ。弘は鈍感すぎるよ。 でも、弘のお母さんを見たら、なるほど、と思ってしまった。 2人の関係が両親にばれたのではないか、と前原が危惧したことと、実際に母親が心配した洗濯物のこと、あまりに隔たりがありすぎて、前原ならずとも私もはれれ~と思いました。 でもいつかはご両親に2人で生きていくことを宣言してほしい。堂々と。 しっかし若いだけあってエッチも熱く・・・弘の無自覚なエロさに当てられる前原、お気の毒です。 もー、弘クン、かわいい(>O<)v 今回も矢野さん、活躍です。でも彼って営業だけあってしたたかですね。土下座ってそんなに効くものなのかしら?矢野さんのイメージ、やっぱりチョロなんだよなぁ。 絵がまた2人のイメージにピッタリです。前原の頭のタオル、最高! 評価:A エッチ度 ☆☆☆☆☆ 感動度 ☆☆☆★★ ワクワク度 ☆☆☆☆☆ |
| 書籍名: ただいま定修中!
出版社:二見書房 シャレード文庫 内容: 喜見津化学は定期修理に入った。その間プラントは停止している。しかし阿久津弘は多忙で、新しいシステム作りのための実験を繰り返していた。私生活では実家を出、新しい仮住まいに入り浸る恋人の前原健一郎に頭を悩ませている。毎日弘のアパートに通いつめる前原。プラントは停止していても前原の仕事だって山積みで、進学のための勉強をし、おまけに営業部の徳永の面倒まで見ているのだ。 そんな中、社長である喜美のたっての希望で、2人は食事に誘われる。慰安旅行の出来事を蒸し返され、しどろもどろになる弘。その帰り、2人そろってラブホに入り、その後前原を残して帰る途中、弘は色事師・辻本に声を掛けられる。そのまま辻本の自宅へお持ち帰りされる弘・・・ 感想: あまりにも自然に2人の動きがスムーズに流れている。しかも登場人物が多岐になろうと、多分、烏城さんの中では彼らが自分勝手に動いてるのだろう、まったく「これは誰だっけ?」と考えなくても個性的に人物が動いている。危なげない作品作りに感動。 今回の弘は、危なすぎる。それと可笑しすぎ。雑誌でも笑ったけど、喜美に慰安旅行のことを聞かれ、お膳をひっくり返すかどうかぎりぎりに追いつめられるシーンは、何度読んでも笑っちゃう。弘が真剣なだけに可愛いし可笑しいし。 ラブホを出るとき、1人を選んでしまうのも弘らしい。しかし辻本さんについていくなんて。危ないよ前原の気も休まらないね。日参するわけだよ。 前原の野望。 そうか、弘に「一緒に暮らそう」と言わせることだったのね。しかし思いははずれ、同じビルに住む、か。良かったのか悪かったのか、よくわからん。やっぱり前原は弘の部屋を日参しそうだし、弘は一人悩むだろう。 今回、2人のお仕事、特に前原のお仕事の量がすこぶる少なかったので、私も疲れなくてすんだ。お仕事の量がハンパじゃないから、読むだけで疲れるんだもんねぇ。 だけど、弘同様、前原も真剣に弘のことばかり考えてるんだねぇ。しかもお仕事大好きで、仕事が多忙で家に半月帰れないくらいオーバーワークでも苦痛じゃなくて、むしろ意のままになかなかならない弘の扱いに苦労している。そんな前原、ヘンと言えばヘンだよね。仕事はバリバリこなしても、弘のことになるとけっこう煩ってるんだもん。 辻本さん、どんどん2人の間に割って入ってるね。危ない弘にイライラする前原の気持ちがよくわかる。辻本の妻を「花子さん」呼ばわりした弘、あっぱれ。ここで再び爆笑だったヨ。このなんとも言えない間の悪さが弘の良いところなんだけど。「僕はあの男にぞっこんです」宣言、とっても良かった。 次回でどうも最終回の匂い?うーむ、残念だ。しかしこのくらいの長さがいいのかもしれない。もっと続いたらとっても嬉しいな。 評価:B エッチ度 ☆☆☆★★ 感動度 ☆★★★★ ワクワク度 ☆☆☆☆☆ |
| 書籍名: LinS-リンス-
出版社:二見書房 シャレード文庫 内容: 商社に勤める宗方惇(26)は大学時代からの親友である今日子に美容院《HST》を紹介される。石蕗(つわぶき)恭輔のシャンプーテクニックに惇の体はかつてない快感を得る。イメチェンされた髪型は周囲に好評で、惇は《HST》に通うようになり、石蕗とも食事に行ったりする仲になる。酒を飲んで前後不覚に泥酔した惇は男からペッティングされ、その相手が石蕗だと気づきギクシャクする。もう来ないと宣言するためにやって来た《HTS》で石蕗のシャンプーを受けるうち、惇は快感でじっとしていられなくなり・・・ 感想: 物語の冒頭付近です。このあと惇は石蕗とラブラブモードに入るかと思いきや、悩みます。ノーマルと思い込んでいた自分の性癖に。石蕗は完全にゲイですが、彼もまた辛い事情があって結婚離婚した過去を持ちます。 自分のアイデンティティについて悩む、当然です。誰だって男が男を好きになって、それもありかな、なんて簡単には思えないはず。そこに石蕗との駆け引きもあり、ドキドキさせてくれました。シャンプーされながら感じてはいけないと思いながらも、声を上げそうになる惇に、「この状況であえいだら大恥かな」なんて私も思ったのですが、もしかすると石蕗の確信犯的所業だったのかも。 タイトルですが、何故にリンスなのかな?シャンプーのほうがいいかも、と思ってしまいました。しかし、何かの意味合いがあるのかもしれません。 評価:C エッチ度 ☆☆☆☆★ 感動度 ☆☆☆★★ ワクワク度 ☆☆☆☆★ |
| 書籍名: 発明家に手を出すな
出版社:徳間書店 キャラ文庫
内容: 生来の性格が災いして会社を辞職してしまった平井将孝は、祖父の仕事を手伝う羽目になった。将孝の仕事は地場の発明家が発明したものを代理で特許を申請する弁理士である。祖父の顧客・原田武之の初見の風貌は全身毛だらけだった。しかしそれは実験の産物で、毛が抜けるとこざっぱりとした良い男だった。今度こそは短気な性格を治そうと決心したのもつかの間、書類の申請に非協力的な原田にキレる将孝。しかし原田は気にしていない様子だった。 原田はアイデアが泉のように湧き出す天才肌の発明家だった。原田は、将孝の以前勤めていた会社と研究契約していた。しかし、そのあまりにも研究者を冒涜する契約内容に怒り心頭し、原田のために弁理士としての第一歩を歩き始める。 感想: どうして烏城さんはお仕事、ことに技術者とか研究者とか、プロジェクトXに登場するような人物を書かせると一級品なんだろう。小難しくて書いてる内容もあくびが出そうなのに、ここまで物語に引き込まれる文章力に完敗。すごいです。弁理士という仕事がどういうものが、外観がわかった気がした。 ただ今回は、キャラの魅力としてはちょっと引き込みが足りなかったと思う。短気な将孝が悪いわけではないし、天才発明家の原田も悪くなかった。 むしろ、自分のアイデアを壁に書きとどめる、なんていうのは大好きなんだ。化学とか電気工学に明るかったり、天才な攻めが好き。受けの将孝も必死に元自社の不正な取引を暴き、原田のために戦おうとする根性がいい。組織と馴れ合いにならずに、ただ、発明家のために働く。その過程で将孝は会社への未練も断ち切る。そういった仕事への欲求はすごく大好きだ。 それなのに、最後になって気持ちが寄り添えなかったんだよね。 理由は、キス一つにこだわり、最後にホテルでエッチ、がどうしても萌えにならなかったから。スーツを着たら、あれステキな男性に変身、原田。これはなんだかなー。野人からいきなりスタイリッシュはどうも好きじゃない。 ボサボサ頭の発明家・原田がよかっただけに、最後の変身がガクンときてしまったな。 次が読みたい気もする。もし次があれば、初志貫徹、発明アングラな原田のままでいてほしい。エッチも塔でやってほしい。研究所、すごくいい感じの住まいだわ。私の頭の中にも塔が建ちました。 評価:C エッチ度 ☆★★★★ 感動度 ☆☆★★★ ワクワク度 ☆☆☆★★ |