川本美器のお買い物ブログ

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2012年03月02日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
不肖、焼酎アドバイザーですが、泡モノも好きです。

それを口実に世界の泡モノを飲みまくる、という日々です。

泡モノの頂点に君臨するのは、もちろんシャンパーニュです。
美味しいんだけど、普通のスパークリングとシャンパーニュと何が違うかと訊かれても、
「フランスのシャンパーニュ地方産のもので、ガス圧が5気圧以上で……」というソムリエ教本そのままの説明ではイケてません。
こんなとき、シャンパーニュならではのうってつけの説明方法があります。

ザッツ・エピソード語り!

「G.H.マムはF1の表彰台で使ってる公式シャンパーニュです(もしくは「君の瞳に乾杯」のアノ映画で出たシャンパーニュですとか)」

「パイパー・エドシックはマリリン・モンローが大好きだったシャンパーニュなんです」
とかなんとか。
ほとんどのグランメゾンと呼ばれるメーカーで生まれるシャンパーニュには、そういうセレブ絡みの逸話があります。
今年のホワイトデーにシャンパーニュをお返しにしようと計画されている皆様には、ぜひそれぞれのシャンパーニュのエピソードをソムリエやアドバイザーに聞いてみて応用して下さい。
ひと味違う楽しみ方にもなります。

さて。
今回は、私の好きなシャンパーニュの一つをご紹介させて頂きます。
まずシャンパーニュの前に一冊の本のご紹介です。

梨木香歩訳『ある小さなスズメの記録』(クレア・キップス著 文芸春秋 2010.10)

第二次大戦下のロンドン。
傷ついた野生の小雀を拾った老婦人が、あふれんばかりの愛情で育て、共に暮らし、最期をみとるまでの実話記録。


それに応え続けたクラレンスの12年というスズメにしては非常に長い生涯。
たった25グラムしかない小さな命が私達にもたらしてくれる感動は、涙なしには読み終えられませんでした。
仕事で電車に乗っていた時、この本の前の訳本を読んでいたのですが、ぽろぽろ涙がこぼれ出て来て、周囲の人に不審がられる有様でした。
法律では禁止されているのですが、私の実家でもスズメを7年ほど保護していたことがありますので、思い入れはひとしおなのです。スズメの賢さは、当時一緒にいた犬以上で、ケータイ動画も見て喜ぶし、果物の皮を剥いて欲しいと言って甘えて来たり、かわいい存在でした。

晩年のクラレンスが軽い脳梗塞や便秘を患ったとき、キップス夫人が獣医師に言われて与えたのがシャンパーニュ。

(理由は知りませんが、鳥の外傷や内臓疾患にはワインはよく効きます。実家でもよく飲ませていました)
写真が残っているのですが、そこに写っているボトルは、

「ポメリー・ブリュット・ロイヤルブルー」

贅沢かもしれませんが、理由があります。
ポメリーといえば、ブリュット・ナチュール。ブリュット・ナチュールといえばポメリー。
というように、19世紀前半までは甘口が主流だったシャンパーニュに「辛口革命」を起こし、一大消費国である英国にあっという間にブームが広まりました。
つまり、「辛口シャンパーニュ=ポメリー」という構造が出来あがっていたからです。
現代の我々が辛口ビールといえばスーパードライという感覚と同じです。
ポメリー・ブリュット・ナチュールは、スタンダードな辛口といえども味わい深いシャンパーニュで、和食にも合います。
人間だけでなく、スズメも愛飲したシャンパーニュ。
ぜひ、未読の方はクラレンスの物語と一緒に味わってみて下さいませ。





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最終更新日  2012年03月02日 18時55分09秒


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