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Apr 1, 2008
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カテゴリ: 本
前回は、日航ジャンボ機墜落事故を題材にした「クライマーズ・ハイ」を読みました。


今日の「深追い」は、三鐘警察署という地方警察署を舞台にした短編集です。
これは普通の短編集として読むことも出来ます。
あっと驚くような謎解きが特にあるわけではありません。
しかし短編集とは言え、どの話もよく出来ている、完成度の高さで引き込まれていきます。

一般の私達には想像するしかない、「警察組織」の中での、階級による絶対的な厳しい上下関係。
「世間体」が、より重んじなければならない世界です。
そういったところからくる個人個人の心のゆがみ、警察という組織のなかで、孤立する警察官の姿。



「深追い」の主人公は交通課事故係主任・秋葉巡査部長。
被害者の妻が中学生の時に付き合っていた女性であったことから。
秋葉が事故現場で拾った夫のポケベルに、その後もメッセージを送り続けるその妻。
夜の献立がメッセージとして送られてくるのだが、返しそびれた刑事がもっていることを知っているらしい・・・

秋葉の勘違いが次第に解明されてくるのだが、 職務を逸脱してゆく警察官の姿は、相手の女性から見たらさぞ恐ろしいものであったことでしょう。
閉ざされた小さな世界が生み出した戒律と、その中の人間としての自己とは?が考えさせられる内容です。
読んでいると、彼の本気がひしひしと伝わってくる、それに対する女性の方の困惑ぶりも。
大人の恋は怖いものと言うことも(笑)
明るい結末ではありませんでした。


人間としての警察官が持つ欲、自己と事件の間で揺れる様々な思惑が描かれているのは「仕返し」もそうです。
職住接近の同じ官舎での暮らし、そこで暮らす家族の毎日は、子供たちの関係も含めて息詰まるものかと。


自分自身の出世と、家族の問題に直面する、警察署次長の的場。
事故の隠蔽工作と家族の問題を巧みにリンクしながら、物語は展開していきます。
子供たちも親の上下関係を見て自分たちの上下関係を決める、警察を舞台にしているが、これはどこででもあることだろうと思える。
物語のラスト、的場の眼に映る風景とは?


七人の警察官の物語。

それぞれに読者の想像力に委ねる、余韻を持たせた結末があります。
しかしここに描かれているのは、横山ワールドとも言える警察小説。警察小説と言えば横山秀夫です。
短編集とはいえ、横山小説の真髄を充分堪能できるものでした。

「半落ち」「顔」「 看守眼」「真相」「臨場」「震度0」。「出口のない海」・・・これだけは読んでいてあまりにも苦しくなってしまって途中で断念してしまいました。
今のところ、私のベスト1は「クライマーズ・ハイ」ですが、さあ、次は「第三の時効」を読もうかしら。





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Last updated  Apr 1, 2008 09:51:28 AM
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