楽しみのかけら

楽しみのかけら

Jun 2, 2007
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カテゴリ: 庭仕事
庭のアカシアが花の季節が終え、枝がのび放題になっていた。
購入したとき、苗は私の腰ぐらいの高さしかなく、まさか1階をこえるほど、
成長するとは思っていなかった。
今の家に越してきて、業者さんに庭を整えてもらった後、真っ先に植えたものだ。

苗を購入したのは、庭に定植する1年ほど前。
まだ家の設計図も固まらず、いろいろな計画を詰め込んでいるような状態だ。
庭のことを具体的に考える段階ではなかったけれど、
その時期がきたら、相談に乗ってもらう花屋さんだけは目星をつけていた。

その花屋さんは、今まで接した花屋さんの中でダントツにセンスがよく、

気持ちよくこちらに伝わってくるようなオーナーさんだった。

3月も終わる頃、ちょっとした用事で訪れたとき、
ガラスのドアを透かして見えた貼り紙に愕然とした。
・・・店主、急逝のため・・・
最後まで読み進める前に、思わずドアを押し開け、カウンターの中にいた、
奥様と店員の方に、
「えっ・・・と、ほんと、なんですか?」
お二人とも静かにうなづき、
「はい・・。」
とひとこと。
今思えば、あまりにもぶしつけな問いかけをしてしまったと思う。


聞けば、一と月ほどで店を閉め、再開する予定もないという。
オーナーを失ったとあっては、選択の余地はそれしかなかったのだろう。
その日は、とおりいっぺんのお悔やみを言うのが精一杯で、店を後にした。

その前に店に寄ったとき、実はそのアカシアの苗は、
すでに店頭に並べられていた。

そんな状況になってみると、あらためてその花屋さんとのつながりが、
自分の庭に必要なのだ。
と、強く思うようになっていた。
とはいえ、もう一度その店に足を運ぶのもつらかった。
しばらく心の中で葛藤を繰り返すうち、店がなくなってからでは、
いくら悔やんでも後の祭りじゃないか、とようやく気持ちを奮い立たせ、
再度訪問した。
またしても、しどろもどろになりながら、お悔やみと、新しい庭に植えるのだ、
ということを告げ、ようやくアカシアを購入した。
後から郵送された閉店のお知らせに目を通すと、歳は私と同じほどで、
いかに早くに逝ってしまわれたかと、やるせない気持ちでいっぱいになった。

地に降ろしたアカシアが、きちんと安定するまでに2年ほどかかったけれど、
今ではすっかり我が家のシンボルツリーとなり、
花の咲く頃には、道行く人も楽しんでくれるほどになった。
その後、お店の方とは連絡の取りようもなくなってしまったけれど、
花が大好きで、大切にされていたオーナーさんが、空のどこかから、
このアカシアをにこにこと見守ってくれていると、信じている。





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Last updated  Jun 2, 2007 11:23:54 PM
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