楽しみのかけら

楽しみのかけら

Dec 27, 2007
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去年のちょうど今日、夕方薄暗くなってから玄関のベルが押された。
インターホンを取り上げると、少し間をおいて、
「あの、向かいの工場のおばさんだけど・・。」
との返事。
いつも、顔をあわせれば挨拶を交わすおばさんと見当がつき、
意外に思いつつも急いでドアを開ける。

思ったとおり、いつものおばさんがそこにいた。
突然にごめんね、と前置きをして、
実は年明けたらじきに定年となり、この工場を辞めてしまうのだと、

そうして、挨拶や立ち話程度だったけど、いつも庭を眺めさせてもらったり、
いつかは、朝顔の種もらったりしたから。
と言って、みかんを私に寄越すのだ。

朝顔の種・・、そういえばそうだった。と思い出す。
ちょうど庭に出た私と、お昼休みのおばさんとが行き会って、
朝顔の話をしたのだ。
その年の夏、我が家で栽培したのは、ヘブンリーブルーという水色の朝顔。
改良されていたのか、日が高くなってもすぐには萎れず、
お昼くらいまでは、なんとかその色とラッパ型の花弁が保たれていた。
だから、ちょっと変わってるねぇという話になり、よくよく花を見るおばさんに、
種が取れたらあげますよ。

朝顔は、秋になると大量の種をつけ、私は無事におばさんに種を渡すことができた。

朝顔

種のお礼というのが、みかんを私にくれた一番の理由のように言っていたけれど、
私にはただそれだけ、とは思えなかった。
そんなに饒舌な人ではないけれど、まじめでやさしい印象が、
庭に送る目線や会話の端々から、うかがえるような人。


ひとしきり話をして、淋しくなりますね、お元気でなどととおりいっぺんの、
お別れしか言えない私に、
「朝顔、種蒔いてきっときれいに咲かせるでね。」
と言って、おばさんは去っていった。

今年の夏、私はと言えばここにも書いたように、その朝顔の種は行方不明になっていた。
夏の盛りに出てはきたけれど、去年のようにネット一面に仕立てるには遅すぎたのだ。
おばさんのところの朝顔は無事に咲いただろうか。
一年も終わりに近づいた今日、そんなことを思い出す。





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Last updated  Dec 27, 2007 06:46:33 PM
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