楽しみのかけら

楽しみのかけら

Mar 27, 2008
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春の・・・、花曇りのようなぼんやりした天気の日は、頭もぼんやり。
そんな日は、コンタクトレンズをするのも面倒で、
外出の予定がなければ、眼鏡で一日を過ごしてしまう。
実は眼鏡よりコンタクトの方が、若干目が大きく見えるため、
控えめな目のサイズの私としては、よほどのことがない限り、
外向けにはコンタクトで通したいところなのだけど。

視力が落ち始めたのは、中学に入ってからだった。
後ろの席では、だんだんと黒板が見づらくなり、
授業中は眼鏡をかけるようになった。

女の子で眼鏡とはかわいそうだ、という返事が返ってきたそうだ。
明治生まれの祖父にしたら、器量が悪くなると不憫に思ったのだろう、
と、母から話を聞かされた。

高校に入り、近視はさらにひどくなってしまった。
眼鏡のレンズを厚くするか、コンタクトにするか・・・。
その頃は、眼鏡もそう安くはない買物だった。
しかも私の視力を矯正するには、相当の厚さのレンズが必要となる。
これを見栄えよく薄いものにするには、さらなる金額アップが・・・。

親とも、眼科ともよくよく相談した上で、結局コンタクトを装着することに決めた。
(それも安くはなかったんだけどなあ、今さらながら両親に感謝している)
それまでの眼鏡の度数がすでに弱かったこともあり、

今までぼんやりと見えていたものに、こんなにもはっきりとした輪郭があるということに。
夜空の星は、こんなにきれいに瞬いていたのかということに。

しばらくして、祖父のもとを訪れる機会があった。
ふと、私を心配してくれたことを思い出し、コンタクトにしたことを報告した。
「おじいちゃん、私コンタクトレンズを着けるようになったの。

と、しばらくまじまじと私の顔を見た祖父は、
「ほうか、そりゃあよかった。それにしてもお前、テレビに出てくる歌手みたいに、
目ぇがきらきらとはしとらんのう。」
「・・・・え?」

祖父は、ぼけていたわけでは決してない。
よくよく話を聞くと、どうやらずっとそう思い込んでいたらしい。
テレビにでてくるアイドル歌手の目がきらきらしてるのは、
コンタクトレンズをしているせいだということを。
だから、コンタクトをつけたという孫の眼はどうしてそうならないのだろう、と。
そんな会話を、居合わせた親戚ともども大笑いをしながら交わした。

そんな祖父も、もうこの世の人でなくなって10数年が経った。
いまやメガネ男子だとか、メガネっ娘アイドルだとか、
眼鏡そのものがネガティブなものではない、そんな時代だ。
けれど外出時はコンタクトをして出かけたい、と思うのは、
眼が悪いことだけでなく、女の子に眼鏡は不憫と心配してくれた、
祖父の思いもあるのかもしれない。

ま、当然私自身の見栄もあるのだけれど。





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Last updated  Mar 27, 2008 10:52:42 PM
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