2006/02/09
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カテゴリ: HASIRA生活日誌
ある日、キッチンのシンクの隙間から無数の蟻がはい出してきて、大切な僕の桃を、食べた。その日から蟻は甘い匂いになった。そしてその匂い故に、もっと大きな蟻たちの餌食となった。大きな蟻は、甘い匂いこそしなかったものの、小さな猫の餌食となった。猫は僕に飼われていたが、僕の餌食にはならなかった。でもどこかの車の餌食になった。僕はパパとママに飼われていた(少なくともそういう言い方はしなかった)訳ではなかったが、高校を卒業する迄目に見えない鎖と目に見えないプライドに締め付けられていた。それは僕の就職と共に切れるものだと思われたが、実際には僕が結婚した後まで続いた。なにも僕は、すべての頂点に立ちたかった訳ではない。しかし還暦旅行でパパとママが乗った電車が転覆し、瓦礫の中の二人の遺体を見た時、僕はなんぴとも侵すことのできないピラミッドの頂上に立ってしまったような感覚に襲われた。それはあまりいい気持ちではなかった。そしてそれは一〇年間続いた。哀れな王様は、何の前触れもなく、心臓の病気でぽっくり逝ってしまった。つまりこの僕の三十数年に及ぶ人生は、蟻のようでも大蟻のようでも、また猫のようでもあった。なんてことはない。それだけのことだ。





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Last updated  2006/02/09 11:42:36 PM コメントを書く
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