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2005年06月27日
『秘密結社』
テーマ:
世界を動かす国際金融(383)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
秘密結社
著者: 越智道雄
出版社:ビジネス社
ISBN:4828411976
サイズ:単行本 / 253p
発行年月: 2005年 06月
本体価格:952円 (税込:1000円)
http://books.rakuten.co.jp/
※ 「序章」から抜粋。
秘密結社は、権力から非合法化されている「野党型秘密結社」と、国家の権力者が善悪入り乱れた権力行使の現場を隠すための「与党型秘密結社」に大別される。後者の場合、「内閣(キャビネット)」という言葉自体、「私室」、つまり秘密結社を意味している。
アメリカは大英帝国に楯突いて独立したこと、カトリシズムに楯突いたプロテスタンティズム主流の国であること、この2つから建国の運動律に色濃く「野党型秘密結社」の要素が根を下ろした。その凝結核は前述のように
だったが、その経緯は第1章で扱う。
「スカル&ボーンズ」
を第2章で扱いたい。ただ、元来が野党的リーダーシップなので、与党型への転換は未だに不器用であり、その典型が現下のブッシュ政権の無骨さに露呈しているとも言えるだろう。
他方、20世紀に入って、ヨーロッパが衰退、西端を合衆国、東端をソ連にサンドイッチされて、その間でいかに均衡を保持するか、その懊悩の只中から大英帝国に生まれてきた「均衡保持型秘密結社」、
「ミルナー・グループ(MG)」
を第3章で扱う。
このMGから派生したのが「
王立国際問題研究所
(RIIA)」、その米国版、冒頭で触れた「国際関係審議会(
CFR
)」、一種の「大西洋同盟」である「
ビルダーバーグ
(BB)」、日本の台頭に引きずられて生まれてきた
「日米欧委員会(TC)」
等々については、第4章で扱う。なお、TCの訳語は近年「三極委員会」と、原語により忠実になったが、一般には馴染みが少ないので、以前の「日米欧委員会」のままにした。
そして寡頭政治(オリガーキー)的に権力を行使するエリート層に対する一部民衆の痛烈な疎外感から生まれてきた「陰謀史観」の理解の手引として、代表的な「陰謀史観論者(コンスピラシー・セオリスト)」、「キリスト教右翼」の「テレビ説教師」、パット・ロバートスンを第5章で取り上げたい。なぜなら、陰謀史観がばらばらの小規模なものに止まるかぎり問題は比較的少ないのだが、アメリカにおけるキリスト教徒右翼は3500万人にも達しており、彼らの無知蒙昧さをあざ笑うだけではすまなくなっているからである。レーガンもブッシュ大統領も自分がキリスト教右翼であると公言したからこそ、当選できたのだから。
【本書の内容】
序章 今日のアメリカ秘密結社の機能と日本
アジアでの自国の相対化を先読みできる日本版CFRは?
現代人は「市民」で同時に「結社員」
第1章 アメリカ建国とフリーメースン
大英帝国への反逆の核になったフリーメースン
海賊になった十字軍、陸にあがった海賊
合衆国を「巨大ロッジ」として建国したメースンたち
ワシントンの就任式、合衆国建国? メースン建国?
「議事堂フクロウ」と「トリプル・タウ」
なぜ多数のメースンがアメリカ建国に関わったのか?
奴隷取引で蓄財した今日の銀行群
阿片の富が流れ込んだアイヴィーリーグ
メースンの使命終了と新たな結社の登場
第2章 スカル&ボーンズ
なぜ他愛もない学生クラブがアメリカ秘密結社の代表なのか
「人肉を食らう」とは「弁証法的手口」?
ボーンズマンは敵味方の境界を越えて一枚岩か?
表の世界と裏の世界の価値観を入れ換える儀式
ボーンズマンが陰謀史観論者らにネタを提供するシニシズム
ブッシュ親子が政権に登用したボーンズマンは11名
7人の大統領に仕え、反日を説いた「日本の宿敵」
「スティムスンの幼稚園」と「園児」たちの中核
「後期スティムスン・グループ」と「ヴェトナム瓦解」
「与党型秘密結社」が見切った現下のアメリカの宿命
第3章 世界統治面での「均衡保持型秘密結社」の原型
古今未曾有「大英帝国連邦」妄想に取り憑かれた男
「セシル・ローズの秘密結社」の存在理由
アルフレッド・ミルナーと彼の「幼稚園児たち」
国際連盟を舞台に帝国連邦が米ソの均衡をとる野望
「フォーニー・ウォー」がなぜ起きたのか?
与党型秘密結社から均衡保持型秘密結社への移行
第4章 今日の均衡保持型秘密結社
米行政独自の「政治任命職」は陰謀史観の温床?
CFRの成立とその生みの親ハウス大佐
情報ゼロの政権に驚嘆すべき巨視的展望を提供
CFR案(米中復交)を横取りしたニクスンたち
ニクスンの疎外感と陰謀史観論者らの疎外感
EUやNATO関係諸国と合衆国を連結するビルダーバーグ
BB創設者レティンガーと「ヨーロッパ合衆国」
「国家群の経済的越境」とTC誕生の背景
TC三角形の日=欧を結ぶ辺の糞詰まり
レーガン政権に噛みついた均衡保持型結社としてのTC
同一シンクタンク・メンバー同士が現実政治の場に立つと
何がカーターに火中の栗を拾わせたか
「強化合宿型折衡」、稲妻の雷雨のうちに終了
第5章 陰謀史観論的結社としてのキリスト教右翼
「頭脳」のネオコン、手足のキリスト教右翼
「新世界秩序」、ブッシュ版とロバートスン版
「大淫婦」と「再臨キリスト」、湾岸戦争
諸問題の現実的解決の不在につけこむ幻想的解決
最低線のキリスト教徒を政治化した「支配神学」
終章 「9/11」
秘密結社衝動の日常化と「新世界国家」
今日のフリーメースンと「9/11」で震撼した結社衝動
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)6月26日(日曜日)
第1165号 臨時増刊
<<今週の書棚>>
越智道雄『秘密結社(アメリカのエリート結社と陰謀史観の相克)』(ビジネス社)
アメリカ通の越智道雄教授の新作は、科学万能時代の先進工業国家にさえ、いまも蔓延する、いかがわしき陰謀史観と、過去はともかく現代社会では、いかがわしくもかび臭い秘密結社の深奥部にぐさりとメスをいれた力作となった。
これらは日本でもっとも誤解されている話題である。
評者(宮崎)は、この種の話は興味津々。いやはや面白いなぁ。まず普通のアメリカ通でも知らない克明な政治人脈の情報が満載されていて、この本、新書版スタイルだが、書き加えられている内容はゆうに単行本を越える。
ホウジという男が居る。
『フォーリン・アフェアーズ』という、国際情勢を分析する雑誌をつくるCFR(国際関係評議会)の編集長をつとめる。日本の右派のなかには、ここが世界謀略の総本山と位置つける向きもあって、ともかく毀誉褒貶が激しい。
ホウジに象徴されるアメリカ人エリートらの世界解釈とは?
北朝鮮と韓国の関係は、「東独と西独でおきた事柄をデータ・マップとして北朝鮮=韓国にかぶせ、北朝鮮の崩壊度と韓国側の衝撃度を、とっくにシミュレーションし終え」ており、「韓国には自作の作戦がある」とCRFは見ているという。
筆者の越智教授は「韓国と中国との提携がはやまる」と考えており、「金正日以後の政権保持は殆ど僥倖に近い。かつての東独の崩壊で西独が激しくよろめき、さしものマルクも未だにかつての強さを回復出来ない」ように、経済的に強くなった韓国さえ、単独では北朝鮮の難民を支えきれず、「韓国は倒壊する懼れが高い」。
だから中国とて表向きの強硬態度とは別に、内心では気が気ではなく、アメリカから見れば、こうした朝鮮半島の危機に際して、日本との安保条約を充実しない限り、日本が核武装するだろう、とホウジらは描いている事実も紹介される。
(なるほど、先日のキッシンジャー論文も、まさにそういう考え方に近い分析をしていましたっけ)。
またブッシュ大統領の反テロ戦争は「あくまで口実」であり、中央アジア、中東、つまり「ロシアの下腹」と「中国の背後」にアメリカ軍を駐屯させる戦略行使である、と結論している。このへんは評者(宮崎)の分析と軌を一にしている(拙著『テロリスムと世界宗教戦争』(徳間書店、2001年を参照)。
さてアメリカにおける「ネオコン」と「キリスト教右派」をいかなる構造図式で描いているか、と言えば「ネオコンが頭脳」で「手足がキリスト教右派」。
つまり「ブッシュ息子政権が頭脳はネオコン、心臓と胴体は米系多国籍企業、腕力は軍産複合体、手足はキリスト教右派という異種縫合の『フランケンシュタイン』である」とみる。
本書は、こうした視点に立脚して「フリーメーソン」(米国歴代大統領のうち25人)、「スカル&ボーンズ」(ブッシュ・ジュニアもケリーもエール大学の学生秘密結社で同窓)、またCFR、BB(ビルダバーグ)、TC(日米欧委員会)、最後に「911テロ」前後の陰謀史観について細密を極める分析がある。
この本はしかしながら、従来ありがちだった陰謀、秘密結社を大げさに取り上げて、過大な脅威を煽る類書と、越智道雄教授とは明らかに立場をことにしている。越智教授は淡々として事実を列記し、その人脈、裏側でのコネクションを叙するのである。
これ以上詳しく書くと本の販売に影響がでるだろうから、陰謀のプロセスなどは本書にあたってもらうほうがいい。
とにかく面白いが、蛇足をひとつ。この書籍は基本的にアメリカの政治知識が乏しいと理解できない難解な箇所も多い。
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/
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最終更新日 2005年06月27日 20時34分52秒
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